2004年2月16日より、法務省入国管理局は、「不法滞在等の外国人情報」を同局のウェブサイト上から直接記入できる窓口を開設した。これにより、「違反者と思われる人」の国籍・名前・人数や、「働いている場所又は見かけた場所等」としてその住所、電話番号、業種などの情報や居住に関する個人情報を提供するよう呼びかけている。アムネスティ・インターナショナル日本はこのような法務省入国管理局の情報提供募集のあり方について、強い懸念を表明する。
今回の入国管理局によるウェブサイト上での情報提供募集は、人種差別を助長する行為である。「違反者と思われる人」として確たる証拠がないままに通報を奨励している点、また通報動機に「近所迷惑」「不安」などの違反行為とは無縁の理由が掲げられていることなども考え合わせると、この窓口はいたずらに外国人一般に対する漠然とした不安感・反感・嫌悪感などを煽るものとなっている。これは一般社会の中の監視体制を助長するものであり、人権保障に対する重大な危機である。本来、法務省が率先して保障するべき人権が、法務省自身の手により侵害されているのである。日本政府が1995年12月に批准した人種差別撤廃条約の第2条(a)は、「各当事国は、個人、個人の集団又は公益団体に対する人種差別のいかなる行為又は慣行にも従事しないこと、並びに国及び地方のすべての公的権力及び公共団体が、この義務に従って行動することを確保することを約束する」と定めており、今回の措置はこれに抵触するものと言える。
さらに同条約第4条(a) は、「人種的優越又は憎悪に基づく思想のあらゆる流布、人種差別の扇動、並びにいかなる人種又は皮膚の色若しくは民族的出身を異にする集団に対するあらゆる暴力行為又はこれらの行為の扇動、及び人種主義的活動に対する財産援助を含むいかなる援助の供与も、法律によって処罰されるべき犯罪であることを宣言する」としている。日本政府は未だにこの条文に基づく明確な差別禁止措置を講じていない上、今回の措置は、政府自らがこれに抵触する行為に及んだとみなさざるを得ない。
アムネスティ・インターナショナル日本は、法務省当局が直ちにこのような措置を中止し、国際的な義務である人種差別撤廃条約の趣旨を忠実に履行するよう、強く要請するものである。
2004年2月20日
アムネスティ日本
TOP APPEAL-TOP RAPPEAL-TOP