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坂本龍一(監修)+sustainabillity for peace
幻冬社 刊
目次
Cabul Afeganistao 1996(セバスチャン・サルガド-写真-) a view from Williamburg,bklyn(MASAKI-写真-)
WAR IS OVER(オノ・ヨーコ-ポスター-)
☆たった一人の反対者(バーバラ・リー)
報復しないのが真の勇気(坂本 龍一) 泣くのは誰のため?(ジョン・ゲラッシ)
憂うつな問いのリンク(村上 龍) ☆わが子の名において
信じがたい事態の必然性(ジョン・ビルシャー) 私たちは帰ってきます(中村 哲)
あらゆるテロリズムに対抗する連帯を(ヴァンダナ・シヴァ) ゲルニカを忘れないで(加藤 尚武)
☆リゴベルタ・メンチュウからブッシュ大統領への手紙
武力で戦う「勇気」があるなら、言葉で戦う大きな「勇気」を持ってみろ(上村 英明)
善玉・悪玉劇場(エドゥアルド・ガレアーノ) ☆今日も、3万5615人の子供たちが死んだ
砂へ返る(山本 芳幸) 道義なき攻撃の即時停止を(辺見 庸)
この新しい段階で私達が求めるべきもの(重信 メイ) テロ根絶の処方箋(ロバート・M・ボウマン)
人々の命と尊厳を最優先する世界に(佐久間 智子) 理性で根元に立ち向かえ(ベルベース・フッドボーイ)
戦争は破壊と殺戮以外の何ものでもない(梁 石日) 闇と光(マーチン・ルーサー・キング)
報復−戦争は百倍のテロリズムである(ハワード・ジン) ☆村の状況報告
CHANCE!(平和を創る人々のネットワーク)が創る、平和運動の新しい波(小林 一朗)
平和ゲリラの祈り(中田 正一) テロリズムに対する報復が人権を踏みにじる(ウィリアム・A・シャバス)
☆日本の憲法研究者の緊急共同アピール 愛の秘訣(モスタファ・ヴァジリ)
平和への祈り(マドンナ) NY 悲しみの青空(TAKURO) さよなら2001年(桜井 和寿)
心の平和がなければ、世界の平和はない(大貫 妙子) ハートランドからの手紙#136(佐野 元春)
米国のテロ報復戦争の愚(青山 貞一) 王の身代金(シーモア・ハーシュ)
☆暗い見通し ブッシュ政権と企業のつながり ☆断片からの確信 フランスの公共放送「フランス3」より
水と子供たちのための祈り(デヴィッド・ジェームス・ダンカン) ☆アフガンのイスラムはワシントンが作り上げた
☆祖国を忘れないで ☆世界の皆さん、意見を聞かせてください 忘れてはいけない(田中 優)
「間違っていることがある」と恐れずに言うこと(ワエル・フマイダン)
テロ根絶 米は中東政策を変えよ(モハマド・アリ・アブダビ)
☆何が起こっているのか?どんな地獄が出現しているのか?自由を求める! ☆小泉はブッシュの奴隷なのか?
☆二一世紀のキーワードとしてのブローバックス ☆戦争か平和か カルフォルニアの高校生の声
☆反戦を訴えた女子高生に停学処分 ある友人への手紙(熊谷 伸一郎) 種・戦争・希望(宮内 勝典)
散らばった陶器のかけら(テリー・テンペスト・ウィリアムズ) 課題は、想像力の欠如(逢坂 誠二)
怖れを前にして想う(ウェンデル・ベリー) きのこ雲の下から見た『報復戦争』(銀林 美恵子)
母なる地球への捧げもの(A・T・アリヤラトネ) ピース・トレイン(ユスフ・イスラム〔キャット・スティーブンス〕)
グラスルーツ−対等な関係からの出発−(羽仁 カンタ) イマジン−未来への想像力(ポール・ホーケン)
終わりの始まりのなかで(森野 栄一) 全地球的教訓(ファディ・ヌーン) 未来からの贈り物(星川 淳)
☆イギリス政府発表 「2001年9月11日 米国におけるテロ残虐行為の責任者」
核と非暴力(マハートマ・ガンディー)
あとがき(坂本 龍一)
2002年1月10日 初版発行
定価 1,500円(税抜) 404p
昨年(2001年)暮れ、チョムスキーのインタビュー集「9・11−アメリカに報復する資格はない」とほぼ同じ時期に出版され、一躍大ベストセラーになったのがこの本である。
坂本龍一が「あの日の空の青さとともに、人類はとうとう『パンドラの箱』を開けてしまったのか、という腰のなえるような恐ろしさを、ぼくは一生忘れることができないだろう」と「あとがき」のなかで触れているとおり、「2001年9月11日」は世界中の人にとって、一生涯忘れることのできない事件であることは論を待たない。世界貿易センタービルに旅客機が突っ込むなど、いったい誰が予想し得ただろうか?しかもテロ組織はペンタゴン(アメリカ国防総省)にも突っ込み、幸い前回は免れたとはいえ、一歩間違えれば全世界中は地獄のどん底に突き落とされただろう。ブッシュが声明を出したのは事件発生から6時間後で、しかもその間の所在がいまだに不明であることから、一部では「ブッシュは、これらの事態をあらかじめ知っていたのではないか」とまで囁かれ、事実それを裏付ける証拠めいたものがネット上に流れた。だがその後は、この事実を深く突っ込むマスコミも人間もいなくなったのはどういう事だろう?真相はいまだに藪の中だ。
ここ最近、平和運動が停滞していたというのは事実だ。日米ガイドライン(周辺事態法、だがアメリカでは明確に「戦争マニュアル」と呼んでいる)が制定された時ですら、反対運動は盛り上がりを欠いていた。世間一般は「平和平和と叫んでいれば、世界は平和になるのか」というさめた意見や、「現実問題として、軍事力がなければ平和は保てない」という意見が充満していた。それに対して平和運動団体側も、それに対抗できる有効な対案を何ら提示できず、結果として国内の平和運動は閉塞状態に陥っていた。そう、少なくても日本国内においては。
そんな空気も「9・11」で一変する。事件が起きた当初、原因や犯行集団に関してさまざまな揣摩憶測が流れた。テロの首謀者についてはビンラディン一派率いるあるテロ集団「アルカイダ」の犯行だといわれてきたが、本当に彼らがやったことなのか、事件が起きてから1年近く経過したが決定的な証拠が出てこない。事故から少し立って、イギリス政府がビンラディン一派の犯行だと発表したが、イギリスのマスコミはこれについても異議を唱え、辛辣に酷評していることは、この本に収録されている「2001年9月11日 米国におけるテロ残虐行為の責任者」の解説(星川淳氏)を見ても、それは明らかである。にもかかわらずブッシュ大統領は「これは戦争だ」と叫び、「我々の側につくか、それともテロリストの側につくか」と言うセリフで二者択一を迫った。国内外のマスコミも戦争ムード一色になり、いつどんな形でアメリカがビンラディン一派に宣戦布告するのか、興味はその一点に絞られるような報道スタンスをとる新聞社もあらわれた。
しかし、日本国内はむろんのこと、全世界中において「戦争だけで本当に平和が訪れるのか?すべての問題が解決するのか?」という思いがネット上の世界に急速に広まっていく。それが現実世界に置いても行動が具体化し、テロの背景やいまだに解消されない南北問題について深く知ろうという動きも徐々に増していく。日本国内で広がった「平和」への思いはやがて平和を求める市民ネットワーク「CHANCE!」に結実する。今までの平和運動はとかくイデオロギー論争になりがちだったが、この事件をきっかけにして右派・左派がお互いの垣根を乗り越え、国内の平和運動が一つになった。その動きは10月のアフガン「報復空爆戦争」が始まるにつれて、ますます盛んになっていく。国内外でも、従来の平和運動のイメージにとらわれない、新しい感覚を持った団体が続々と生まれる。インターネット上でお互いに情報を交換し、時には意見を戦わせ、そして行動に移していく。「ピースウォーク」という、新しい行動様式の誕生はこうしてうまれた。これは従来のデモとは一線を画したものである。この行動は誰でも気軽に参加できるようにと、イデオロギー色をなくしていることに特徴がある。1回もデモ行進に参加したことがないという人が多数参加している事からも、それは明らかだ。これまで平和運動やデモ行進に興味も関心もなく、むしろそれらの活動に対して反発を感じていた人間をも巻き込むことに成功した。
それと並行して、一冊の本を作ろうというプロジェクトが立ち上がる。坂本龍一もあとがきで触れているように、ほとんど顔を合わせたことのない人間が1日当たり250ものメールを交換しながら編集作業を行った。Webからの情報を頼りに筆者をたどり、転載許可を求め、翻訳をし、新たに原稿を書き下ろしてもらう。編集作業が決して順調に進まなかったということは、坂本の「思わぬ反発に出会ったりする……(中略)……たくさんの筆者の論考を一つの本にまとめる難しさを知る」
という一文からも、さまざまな葛藤をかいま見ることができる。
立ち上げから出版まで3ヶ月足らずだったにもかかわらず、国内外約50名の著名人がこの本にメッセージ・論考を寄せてくれた。400pを越える大著故、ここではそれぞれの論者についての感想はあえて書かない。人によっては、これは収録するに値するのかと思われるのもあるかもしれない。だが一ついえることは、この本には世界中の人たちの平和に対する熱い思いが込められている、ということである。作家、音楽家、NGO職員、学者などさまざまな立場を乗り越え、平和について語っている本というのは、なかなかお目にかかれないだろう。収録されたメッセージの中には、ネット上で広がったものも多数ある。一つ残念なのは、この本にメッセージ・論考を寄せた人間の中に、日本の政治家が誰もいなかったということ。個人的には、辻元清美にメッセージを寄せてほしかったなと思っているのだが。
編集チームの名前になった「sustainabillity for peace」とは、「平和のための持続可能性」という意味である。そのためには我々には何ができるのか、読者には真剣に考えてほしいと同時に、筆者達の
「人を殺すな」
「生き物を自分の利益のために殺すな」
「子供たちの生きる権利を奪うな」
という思いを感じ取ってほしい。と同時に「戦争が答えではない」ということも知ってほしい。
この本を読んで、「非戦」という希望が、人々の間に広がっていくことを切に願う。
なお、この本の印税は全額アフガニスタンに寄付され、同国の復興資金の一助となることが決定している。
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