| (前編からの続き) 大畑 ガンディーは「全世界の人々が持てるものを持たない、全世界の人々が持てないものを持つことは搾取である」と言っている。 飢餓で苦しんでいる人々は私が知っている範囲で11億人、その一方で10億人が肥満だといわれている。その11億人のうち、毎日ジェット機10機分の人たちが飢餓だけで死んでいく。彼らは、食べ物がない地域に住んでいるわけではな い。彼らから食物を奪っているのは先進国の人間だ。日本は自給率が大変低いが、輸入されている食物の60%が貧困国からの輸入だ。また我々の食糧の30%は捨てられている。浪費的な生活によって、貧困国の生活は産み出されている。自分たちの生活で飢餓で死んでいく人に気がつかないといけない。大きな改革は大きな権力を持たなくてもできないことがあるが、小さな改革は権力がいらないものがたくさんある。 「日本のガンディー」といわれた阿波根昌鴻(あわごん しょうこう)さんのこんな言葉がある。 「世の中に善人がどんなに増えても、資本家が権力を握っている間は戦争はなくならない。口先だけでいくら叫んだところで、強い権力の座にある戦争屋に勝つことは難しい。戦争反対は生活の中から始めなければならない。戦争屋の喜ぶことはしてはならない」といっている。 普通の人は歯磨き粉のチューブを絞ったら捨てる。阿波根さんはチューブをはさみで切り開き、さらに歯ブラシでこすって「あと5回使える」といっていたそうだ。あと5回使えるものを捨てて新しい物を買うことは、資本家を喜ばすことになる。資本家の儲けたお金は、第三世界の搾取に使われる。 彼の映画を作った高岩仁の本に「戦争案内」があるが、その本の中にある大学の先生の計算した数字が載っている。その人によれば「全世界の人が日本人と同じ生活をしたら、地球上の資源は3ヶ月しか持たない」そうだ。日本国内にいれば、自分たちが贅沢三昧の生活を送っているとは思わないだろう。だが地球的視点で見れば、日本人はいかに異常な豊かさの生活の中で暮らしているかがわかる。 コンゴの内紛の原因の一つが、ノートパソコンや携帯電話を作るために絶対に必要なタンタルという金属をめぐる利権争いだ。自分たちの生活の利便さは、このような犠牲の上に成り立っている事に気がつく必要がある。自分たちの生活がどんな基盤で成り立っているかを知ることで、いらないものを捨てていくことができると思う。 グローバリゼーションをなくせば飢餓人口が減っていくという質問だが、ローマで’96年に世界食料サミットがあり、当時8億人いた飢餓人口を2015年までに半分に減らそうと話し合われたが、実際には12億人に増えている。グローバリゼーションが進めば飢餓人口は減るということはあり得ない。アメリカを見ても、貧困層と金持ち層の格差は広がっている。’60年代は富裕国と貧困国の平均給与の格差は1:30だったが、現在は1:60だ。 ガンジーは「高い山を作るためには、深く掘らなくてはいけない」といった。高い山を作るために深く掘る作業がグローバリゼーション。分け合いではなく奪い合いだから、そんなやり方では飢餓人口は減らない。 小林 「イギリスを招き入れたのは自分たちだ」とガンディーは語っているが、自分たちは問題にぶち当たった時に「軍事産業が悪い、行政が悪い」などと人のせいにしているが、その背景を成立させているのは自分たちだ。自分たちが変わることによって(物事を)変えることができるからだ。自分たちのできることをやりながら参加し、発言し、指摘し、そういったことを積み重ねることで変えるとができると思う。 経済のグローバル化は経済成長をしなければいけないからやる。オカネを投資して生産力を高めれば当然そうなるから次の市場が必要だ。最後の市場が水で、これまで国が担っていた安全保障システムを民間にしたら、ボリビアでは料金が3倍になったりしている。それは貧困層に跳ね返っている。通貨も株も取引して利ざやを稼ぎ、それが年金に回っている。今は臓器や月の土地までもが取引され、臓器の取引では第三世界で子どもが殺されている。そのために日本人や外国人が手術を受け、彼らの臓器を入れてくる。臓器移植がいいか悪いかを議論するのは別の問題だが、そういう暴力的なことをさせているのが貧富の格差。途上国が日米並みに発展したらどうなるか?そうなったら(地球は)救う道がな い。環境問題に携わっている人たちは「救う道はない」と思いながらこれらの問題をやっている面ってあるんじゃないか?それでも「自分は何をやっていくのか?」を日々自分に問いながらやっていると思う。 こういうセミナーをやっていると「助かると思うのか!」と責められたりするが、助かるとマトモに思っちゃいない。人を責める前にに自分たちにできることをやれといいたい。それが大事だ。第三世界は工業化し、自分たちの国が戦争もできるくらいに強くならないと搾取され続けるということは、植民地時代以来知っている。だから「先進国」が強い経済力を手放さないことも知っているから、これからも経済発展を進めるだろう。彼らに「経済発展するな」といったところでムリだ。それが進んだ将来どうなるのか?(資源の)奪い合いで地球が破綻するだけだ。 これをどう変えるか?これは持っているモノしか変えていくしかない。持たないモノは「お前らやっているではないか」とずっと言い続けるだろう。ドイツやスゥエーデン、デンマークは代わっているけれど、日本やイギリス、アメリカなどが代わることが大事だと思う。自分たちが第三世界から搾取しない生活の仕組みに変えるのが非常に大事だ。その反面、中国は年間5%の経済成長を続けているが、それを支えているのが化石エネルギー。中国の石油政策は、アメリカと敵対している国々と交渉しながら石油を輸入することをやっている。それがなければ中国は発展できない。新橿ウィグル地区にはイス ラム教徒が住んでいるが、中国はそこに「テロ組織がいる」といって軍事力で押さえつけているのが「9・11」以降の中国だ。そこは天然ガスが出るが、東側の工業地帯にパイプラインを引くという計画を立てている。 化石エネルギーを使って使い捨てをして経済をどんどん発展させ、いつか壊れてしまうこの文明を維持するために皆が暴走しているのが9・11以降の世界。それを止めるには戦争を起こさないのは無論のこと、自分たちが化石燃料に依存しない、工業一辺倒に頼らない産業のあり方を一つ一つ考えていく必要がある。変えていくんだということを一人一人が思うことがとても大事だ。 田中氏 世界的規模でいろんな動きがあるとと訴えたい。 確かに経済のグローバリゼーションを進める立場の人間は世銀、WTO、IMFなどがあるが、毎年スイスの山奥にあるダボスで開かれているダボス会議があり、そこに政財官のエリートが集まっていろんな話をしている。それに対抗する形で世界社会フォーラムが去年から開かれ、現状を分析してオルタナティブな視線を探っていこうという動きがある。今年はポルトアレグレ(ブラジル)で開かれ、年一回だけではなく各大陸別、課題別にフォーラムを開こうということになり、今年の11月には「ヨーロッパ社会フォーラム」が開かれ、来年早々にはインドでも「アジア社会フォーラム」が開かれ、ラテンアメリカではアルゼンチンでは新自由主義についてのセミナーが開かれ、ブラジルで自由貿易協定の問題について会議を開くとか、全世界が連動しながら動いている。 日本の場合は世界の動きに乗れないので焦っているが、ヨーロッパではそれが当たり前になっている。今年3月、バルセロナではサミットに異議を申し立てるデモンストレーション参加者が50万人以上集まっている。6月のスペイン・イタリアでの同時ストライキには100万人が集まり、グローバリゼーションの動きに抵抗を強めている。私達はこれらの研究を通じて流れに乗っていきたいなと思っている最中だ。 Q:途上国の主な輸出物は原材料と農産物になると思うが、日本人が世界の農産物の多くを消費していると誰かがいったが、なぜ輸出するのかというと、彼らが外貨を稼ぐためだからであり。外貨を稼ぐのは途上国で生産できないものを買うためだ。そういう問題に直面するから輸出品を増やそうとするだろうし、先進国もこの前のヨハネスブルク・サミットで農産物に関税をかけないでもっと輸入しようという動きになっているが、それについての代替案を聞かせて欲しい。 安在 今の貿易を突然変えるならそういう問題が起こるはずだが、貿易を止めることが問題解決にはつながらない。貿易のありようというか、貿易の生産の仕方にいろんな問題があるということを放置したまま貿易を続けるというのはよくない。途上国の輸出をいきなりやめろという話ではないが、椰子の熱帯林を開いてプランテーションを作ったため、もともと森の中に住んでいる人はこれまでのように自由に作物が採れなくなってしまったため、彼らは生活に苦しんでいる、そんなことが世界中で起きている。貿易によって得るものはあるが、だからといってそこで利益を得ている人の多くは都市の富裕層だが、マクロの数字だけを見る議論でなく、細かいところを見て、貿易がその国のためになっているのかを議論すべきで、そういう情報を我々は知らなくては行けない。 フェアトレードがきちんと機能しているところは貿易が必要だから、ひとつひとつの場所で何が起きているのかを認識した上で議論すべきで、大ざっぱな視点で自由貿易は善か悪かを話し合っても話は進まない。自由貿易の問題点をきちんと認識している人間は多くないと思う。 新聞の経済面は規制緩和を前提にしているし、その問題を社会部の人間がレポートしているという矛盾した構造が今も続いている。新聞の経済面は経済システムの問題を指摘するべきなのに、WTOが経済面で利益をもたらすという発想の人間が新聞を作っているため、問題点に気がついた人の記事はなかなか載らない。規制緩和によって自由貿易の現場で何が起こっているのかを我々は知るべき。メディアはその視点が欠けている。 大畑 日本が輸入している食料の6割は貧困国から来ている。貧困国ははじめから換金作物を作っていたのかというと、そうではない。今日食べるものがないのに、輸入しないと買えない食べ物を買いたいと思うはずがない。強要されて作らされているが故に自分たちが食べたいものが作れないという問題がある。さかのぼれば、植民地支配からの時代が延々とある。急に帰ることは難しいが、変えることは可能だ。 非暴力平和隊の予算は2,000人規模の場合年間100億円という予算を見積もっている。これは全世界の軍事費の1時間分にも満たない金額だ。世界の軍事費は’00年度で97兆円、昨年度で105兆円。’00年度の数字で計算したら、1時間で世界は軍事費を110億円使っている。このセッションが始まってから(筆者注:この時点で1時間30分経過)200億円近い軍事費が使われているし、アメリカの原理経済研究所が、現在使っている軍事費の1/3があれば、債務超過問題、核兵器廃棄、きれいな水、ホームレス解消、難民救済等々人類が抱えているすべての問題を解決できるといわれている。そのためのカネがあるのに解決しないのは私達がそれらの問題を知らないからだ。もっともっと私達は政府に対して要求するべきだ。 志葉 日本は湾岸戦争で90億ドルの資金を提供したが、その金はミサイル・弾丸・戦闘機の燃料に使われた。湾岸戦争の時は民間人の死者が20万人と推定されている。イラクがクゥエートを侵攻したからといって、こんなにたくさんの人を殺していい訳がない。「誤爆」というが、実際には一般人が多数殺されている。そのカネの一部を非暴力国際平和隊の活動に使えば、止められる紛争もあるのではないかと思う。 田中 途上国は何か新しい物を作りたいために輸出しているのではなく、膨大な借金を返すために換金作物という関係ないものを作らされ、輸出させられている。 アメリカの食糧倉庫といわれたジンバブエでは、現在バラを作らされている。食べ物が作れないから国内は飢餓になるし、実際そうなった。 小林 90年代の途上国は、土地や環境をぶっ壊しながら借金を返済している。はっきりいってサラ金状態で、外から買いたいから換金作物を作って売っている構造ではなくなっている。 Q:第二次大戦後は「産業国になる」というのが一番の目標だった。外貨を稼ぐために技術を開発したり科学を研究していたが、それがそのまま途上国に当てはらないと思う。自分は学校の勉強でしかわからないが、途上国も一定の収入がほしいために産業を興し、工業化を進めなければ行けないということを勉強する。だが一定の所得というのは、現地の人間がどのような生活を望んでいるのか、どのような生活をしたいのかわからないから何ともいえないが、そのためには外貨が必要だ。借金をなくすだけでなく、発展するためにはためには外貨が必要だ。「豊かさとはなんなのか?」という日本と途上国の考え方の違いを知りたい。 小林 基本的には大学・新聞がいう経済は経済学ではなく、経済成長学。近代経済学は「不可能なこと」を権威づけてやっている。大学もいろんな教え方をしているから一概にはいえないが、NGOがどんな批判をしているのかをおさえるのはいいのではないか。 前述の繰り返しになるが、自分のできることを現実を見据えてやっていくことである。確認していきたいのは、貨幣経済は国際資本とつながれば、防衛する機能をつけない限り資本の言いなり。非営利連帯や地域通貨を使い、国家貨幣と切り離した経済確立がどれだけできるか。一番いいのは昔の租庸調の復活だ。労働に対してオカネではなく、サービスを提供するやり方も十分あるのではないか。あとは年貢とか(笑)。自分はライターだが、原稿を書いたら米をやるといえば書くし、分析した報告書を出したらアパートに住まわせてあげるといえば住みますよ。そういうことによって支配されない仕組みを作ることは可能なんだということを、常識に縛られないでふくらませていく。今の常識は一般人をいかに投資家にさせていくかという流れだから、それと違うやり方は可能だと知ることが大事だ。 アメリカ1国の軍事費は3,000億ドルを超えている。世界の累積債務国は2,000億ドル。これははっきりいってクレージーだ。日本の軍事費だけで456億ドル、これは世界で3位か4位あたり。戦争をしなければその金を飢餓・貧困問題に回すだけで全然違うことができるが、現実は科学技術や経済が工業技術や戦争とと密接に関わっている。 科学技術や環境ののNPOもやってきているが、科学技術の代替案を考えている。循環型や自然エネルギーをやっていきたい。 安在 今の社会を前提として考えると、そういう答えが出てくるという面はある。違う答えが明確にあるというかというと、世界の経済がちゃんと見えるかというと見えてこない。だが今のやり方でやったら将来がないというのはわかっているから、それがどういうやり方だったら機能するのかということを考え、これしかないからこれというのではなく、違うものをどう見つけていくかということだ。 問題点が気がついても、それに依存して暮らしている人もたくさんいる。違うシステムに変えるには新しいビジョンが見えないと怖くて変われない、わかっているけど変えられないというのが現状だ。世界経済でも地域経済でも、どうしたらいいのかを明確にする作業を急いでやらなくてはいけない。10年前に比べるとパーツは見えてきているとからどう組み合わせ、産み出して一つの形にしていくという、すごく大きな変化が起ころうとしている。こうするしかしょうがないということに納得するのではなく、こうでないものができるのかというところに知恵を絞るしかない。現状認識の先にどうしたらいいかということを考える作業をしないといけない。 途上国の発展シナリオの先には未来がないということがわかっているから、劇的な変化を起こしていかなくてはいけない。今の延長線上には希望がないから、違う社会をどう見つけていくか。すごく大変な作業ですぐわかる話ではないが、それに変わるビジョンを目指すしかない。 田中 20世紀は戦争の世紀だった。たくさんの人が戦死したり餓死したりして、大変な思いをしてようやく国際連合という形で平和共存してやっていこうという形に変わり、経済も自由勝手にやった結果戦争になったから、理性を持った社会をつくるということをしてきたが、’80年代から逆転してグローバリゼーションが進み、自由勝手気ままなことをやりはじめ、挙げ句の果てに始まったのがブッシュ・ドクトリン。営々と築き上げてきた国連の平和共存体制と、多国籍間で話し合って平和解決を目指す事を一方的に破ろうという野蛮な体制になっている。 だが今度そんなことをやったら地球は破滅する。理性的に解決しなければダメだと思う。 日本では政治を騙ることがダサいという感じだが、真剣に環境や戦争の問題を突き詰めていけば政治にぶつからざるを得ない。「脱政治」ではなく、政治を熱く語ることを再びやらなくてはいけない。 大畑 世界中で穀物は21億トン生産している。全世界中では9億トンあればOKのはずだが、飢餓人口は11億人いる。この経済システムのおかしさを変えていかなくてはいけない。 機械化の「機」の字はハタオリから来ている。実際産業革命は機織りから始まった。これが発端となって技術革新が行われたが、生産量が2倍になれば、原料も2倍いる。全部国内で売れるわけではないから市場を見つけないといけない。産業革命以降は大量の原料と市場を必要とするために植民地政策が推し進められていった。今はあからさまな植民地主義はないが、グローバリゼーションはより巧みな植民地主義だ。 先ほど自分たちの豊かな生活を維持するために軍隊を出すという話をした。そのことをもう少し詳しく説明したい。 三菱がマレーシアで放射性をばらまいて作った安い材料や製品を日本人は扱っている。マレーシアやフィリピンで森林を伐採しているが、環境保護や劣悪な条件をよくしようと運動している時に、それを弾圧するのはその国の軍隊だ。自分の豊かな国を維持するために日本の企業が進出し、そこの住民の運動を抑えるために使われているのがそこの国の軍隊であり、軍隊を訓練している施設が日本にある。「在日米軍」というとなんか押しつけられている気分になるが、日本人の実際の生活は生活は軍隊があるということを前提にしているということに気がつく必要がある。自分が何かいいものを手に入れる時、これがいったいどこからくるのかということを日々考えることから生活改善につながる。輸入することによって自分たちの生活が豊かになる事は、ガンジーもそれは肯定している。ガンジーの思想は「売る時は高く、買う時は安 く」ではなく、命を支えるために何が必要なのかを考えた経済でなくてはいけないということを「自立の思想」の中で説いている。 なぜ文明が諸悪の根元かはガンジーの「自立の思想」という本を読めばわかると思うから是非一読して欲しい。 ファシリテーター・志葉の挨拶 経済のグローバル化はかなりムチャクチャナコトをやっている。地球上の資源は有限なのに、そのことを無視した使い方をして地球温暖化の問題を引き起こしたり、ある意味病的な経済であることを認識してもらいたい。現実に犠牲 になっている人がおり、場合によっては戦争につながる。 一人一人の変革が必要だという意見がでたが、パレードに参加することも意思表明のひとつだと思う。今日聞いた話を日々の生活の中で考えて、見つけて頂ければ幸いだ。 TOP REPORT-TOP TW-TOP BACK |
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