このお話は「Dark Night of The Fairbanks」で掲載している「Back to Begining」の初の番外編です。
内容は5話の途中ぐらいにしています。
本編はこちらへどうぞ。
NEON GENESIS
EVANGELION
2nd STORY「Back to Begining」 番外編「とある日常風景」 (朝)
ニャニャニャニャッ。ニャニャニャニャッ。ニャニャニャニャッ。
ニャニャニャニャッ。ニャニャニャニャッ。ニャニャニャニャッ。
ニャニャニャニャッ。ニャニャニャニャッ。ニャニャニャカチッ。
リツコの部屋の猫型目覚ましが鳴り響いていた。
幸せそうにベッドで抱き枕を抱きしめていたリツコはのっそりと目覚ましに手を伸ばし目覚ましを切る。
目覚まし時計はAM05:00と表示していた。
今日から幼稚園に通うシンジの為にお弁当を作ろうと早起きするためいつもより1時間半早くセットしていた。
親と離ればなれで暮らしているシンジにはせめてお弁当くらい手作りのモノにしてあげたかったのだった。
ベッドの布団をきちんと整え洗面所に向かった。
顔を洗い終えシンジの部屋のドアをそっと開け中をのぞき込むとぐっすり眠るシンジの寝顔が目に入った。
リツコがこれまで生きてきた中でこんなに心が安まる事は無かったかもしれない。
母親が世界最高峰の科学者だったため周囲から色眼鏡で見られミサトに会うまで友達らしい友達もいなかった。
母親からの期待、周囲からの期待に応えるため勉強ばかりしていた自分が子供のためにお弁当を作る姿など想像もできなかった。
ミサトが言うように自分自身がなんだか変わった気がする。
シンジといるとなんだか心が満ち足りた気持ちになる。
母親であるナオコがいつも研究のため家を空けていたため、いつも1人でいることになれていたはずだった。
突然の同居からしばらくたった今ではシンジがいなかった頃の生活には耐えられないだろうと思う。
シンジと同居する前のリツコ自身、常日頃の食事を自分で料理することは少なく店屋物やコンビニのお弁当ファミレスなどの外食が中心だった。
しかしシンジが喜ぶ顔が見たいために夕べシンジが寝てから下ごしらえしておいた弁当のおかずを「誰でも簡単 子供が喜ぶお弁当」を見ながら調理する。
弁当を手渡した時の喜ぶ顔を想像するとフライパンを持つ手に力が入る。
自分が作ったちょっと失敗した料理でも本当に美味しそうににこにこ食べてくれるシンジ。
なんだか家族って良いものだと思ってしまう。
炊いておいたご飯を一膳分ボールに移ししそご飯の素を振りかけかきまぜる。
それを小さなしそおにぎりにし2ついれる。
そしてジャーから直接ご飯を手に取り中に昆布を入れ小さなおにぎりにし海苔を巻く。
本に従いタコさんウインナーになるよう切れ目を入れておいたウインナーをタマネギと炒める。
キュウリと鶏のささみとプチトマトをつまようじにさす。
子供が喜びそうな少し甘めの厚焼き卵。
程良い大きさに切った焼き鮭の切り身。
できあがったおかずを順にお弁当箱に詰めていく。
そして夕べ試行錯誤して作った梅肉ソースを小さなキャップ付きのケースに入れできあがりだ。
夜中に物音で目が覚めたシンジは布団から出ると物音がしているキッチンにそっと近づく。
そこには少々危なっかしい手つきで弁当のおかずの下ごしらえをしているリツコがいた。
これまで他の人に作ることはあっても作ってもらった記憶はほとんど無い。
まぁある意味一緒に同居していたのが生活破綻者であるミサトやほとんど家事をしないアスカだったためしかたがなかったといえばそれまでだ。
そっと部屋のドアを閉め気づかなかったことにし再び眠りについた。
遠くで猫の鳴き声の目覚ましの音が聞こえシンジは目を覚ました。
片手でカーテンをめくり窓の外を覗いてみたがまだ薄暗かった。
時計を見ると5時を指していた。
しばらくすると部屋の前で足音が止まったため目を閉じる。
ドアが軽く開きリツコが覗いているようだった。
数分後リツコがそっとドアを閉めキッチンの方へ足音が遠のいていくのを感じ取ったシンジは天井を見上げていた。
「なんだか嬉しいな。母さんと暮らしていた頃の記憶はほとんどないけどきっとこんな感じなんだろうなぁ・・・」
6時半ぐらいになったら起きようと決めたシンジは1時間ほどのまどろんだ時間をベッドの上ですごした。
トントン。
「おはようシンジ君。もうすぐ朝ご飯できるからそろそろ起きて顔を洗ってらっしゃい。」
「は〜い。」
シンジはベッドから降りて布団を整えてから部屋を出る。
顔を洗ってリビングに行くとリツコが朝食のお膳を運んでいた。
普段のトーストではなく今日は和食の朝食だった。
「リツコお姉ちゃんおはよう。」
「おはよう。ご飯はもうできたから食べましょう。」
「あ、今日はご飯なんだね」
「そうよ。パンよりご飯の時の方がシンジ君もたくさん食べて朝から元気でしょ」
「そうだね。僕、パンも好きだけどやっぱしご飯の方が好きだもん」
「今日から幼稚園に通うんだしこれからはできるだけご飯にしようかしら」
<幼稚園での出来事は本編で書く予定ですので割愛させて頂きます。>
他の園児達がバスに揺られて帰っていったので砂場の縁に座り空を見上げていた。
「ふぅ〜。なんだか疲れた。」
見かけは4歳の子供でも中身は15歳の我らがシンジ君だが万能と思われていた彼も幼稚園では勝手が違っていた。
みんなそろってのお遊戯やお昼寝をこの年になってやるとは思わなかった。
お遊戯なんかしているとさすがに照れが出てしまう。
「まだ3時過ぎだしリツコさんの所にでも行ってみるか」
「あの角を曲がってまっすぐ行くと第2東京大学だよ」
「ありがとう。」
シンジは礼を言いぺこりと頭を下げると教えてもらった大学に歩いていった。
しばらく行くと大学の塀を発見し正門の方へ進んでいった。
30分くらい歩いたんで少々疲れたので正門の脇の花壇の縁に座り込み休憩することにした。
「う〜ん。子供の足じゃさすがに遠いか。」
シンジは周囲の何故子供がこんな所にという疑問を余所にぶら下げていた水筒からお茶をくんで飲んでいた。
「うぅ・・・眠ぃ。だいたいあの親父の授業眠すぎなのよね〜全く。」
睡魔との戦いに勝利し何とか授業を乗り切ったミサトは次の授業まで時間があったのでCDでも買いに行こうかと行きつけの店へ向かっていた。
「ねえねえ。さっきの門の所にいた子供可愛かったよね」
「あれぇ?おまえって子供嫌いじゃなかったっけ。まぁ確かに可愛かったけどな」
「でしょう。」
「あれって2丁目の幼稚園の制服だろ。誰か待ってんのかな。」
「かもね」
すれ違った二人の会話が何となくミサトの耳に飛び込んできた。
大学の門の前に子供?
2丁目の幼稚園。
それは確かシンジが通うことになった幼稚園だった気がする。
シンジは今日から幼稚園に通うと聞いた気がする。
いままで子供が来たことがない所に子供がいる。
時間は3時。
「う〜ん。これってやっぱりシンちゃんのことよね。幼稚園は終わる頃だし間違いないか」
ミサトは正門の方へと向かっていった。
正門の前ではシンジを中心にえらく遠巻きながら人だかりができていた。ミサトはその人だかりを押しのけ中に入っていった。
「やっぱしシンちゃんだった。」
「あっミサトお姉ちゃん。」
シンジは飲んでいたお茶を脇に置き花壇から飛び降りる。
「リツコを待ってるの?」
「うん。幼稚園おわちゃったから一緒に帰ろうと思って」
ミサトはアゴに指を当て考える素振りを見せ
「そっか〜じゃ、こんな所じゃなくリツコの所にいって待ってよう」
「でもはいっていいの?あのおじさんが入っちゃ駄目だって言ってたよ」
「ふふ、この大学であの赤木リツコ女史に面と向かって文句が言えるヤツなんていないわよ」
リツコの名を聞いた警備員の顔が見る見る青ざめていく。一体何がここまで彼を怯えさせるのだろうか?
「ははは・・・」
「まさかあの赤木さんの知り合いの子だったとは・・・」
「葛城さんが言っているし間違いないか。それにしても可愛い子だな」
「はいはいどいたどいた。あんた達どきなさい。」
ミサトはシンジを引き連れ大学に入っていくと周りの人だかりからミサトに声がかかる。
「ミサト〜。その子と赤木さんの関係はなんなの」
ミサトは猫のような笑みを浮かべ
「それはただでは教えられませ〜ん。リツコに改造されちゃうしね」
と言い大げさに身を震わせる。
「「「「「・・・・・!!!」」」」」
ミサトの一言に周囲が凍りついた。
赤木リツコ女史の改造。
それはまことしやかにささやかれる大学の7不思議の一つでタブーとなっていた。
「どうしても知りたいならリツコに直接聞いてね」
ウインク一つを残して去っていくミサトとシンジを周囲の学生は黙って見つめることしかできなかった。
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2nd STORYEpisode: EX ”one day”
「さてと私は洗い物をするからシンジ君先にお風呂に入ってね。」
「うん。」
シンジは食べ終わった食器を運ぶのを手伝い終えると着替えを持って風呂に向かった。
リツコは手早く洗い物をすませると自分の着替えとタオルを持って脱衣所の扉の前にたった。
(大丈夫よリツコ。けしてやましい事なんて無いわ。小さな子と一緒にお風呂に入るだけじゃない!!)
扉の前で自問自答しているとミサトの顔が頭をよぎる。
何度もドアのノブに手をかけては放しかけては放していたが意を決してそっとドアを開けた。
手早く服を脱いで中に入ろうと思ったがさすがにいきなり裸は恥ずかしかった。
棚にあるバスタオルをとりだし体に巻いて覆い隠すとそっと浴室のドアを少しだけ開いて中を覗いた。
一方その頃シンジは頭を洗っていた。
(はぁ・・・10歳も年下の幼稚園児と一緒にいることがこんなに疲れるとは思っても見なかった。
やっぱし保母さんって偉大だよなぁ)
シャンプーでごしごし頭を洗いながら今日の出来事を振り返っていた。
「〜♪〜♪」
鼻歌交じりで頭を洗っていたがそろそろ洗い終えたのかシャワーのノブを手探りで探す。
「はい。シンジ君。」
シャワーのノブをひねったリツコはお湯の噴き出すシャワーをシンジに手渡す。
「あっありがとうリツコお姉ちゃん。」
「どういたしまして」
シャワーで頭を洗い流しながらシンジはあることに気がつく。
(あり?何でシャワーをリツコさんが手渡してくれるの・・・)
閉じていた目をゆっくりと開くと横にはバスタオルを巻いたリツコが座っていた。
「あうあう・・・えっえっ・・・リツコお姉ちゃん!!」
「たまにはシンジ君と一緒にお風呂でもはいろっかなぁって」
暖かい浴室内にいるため(もしくはシンジと一緒にお風呂にいるから?)リツコの肌はほんのり赤く染まっていた。
そんなリツコを目にしたシンジはパニックに陥っていた。
「こらっお風呂でそんなに暴れると危ないわよ」
シンジの両脇に手を入れると転ばないように軽く持ち上げる。
「・・・・・!!!」
しかし、その行為はかえってシンジをパニックに陥れていた。
ちょっと目線を落とすとそこにはリツコの胸の谷間がしっとりと濡れてそれこそ手を伸ばせば届く距離にあった。
「暴れないからおろして〜」
(そりゃ、アスカ、綾波の裸はみたことはあるけどこんな間近で・・・あうあう)
5分後どうにか落ち着きを取り戻したシンジはリツコと湯船につかっていた。
さすがに向き合ってつかるのだけはやめてもらったシンジだったが後ろから抱かれるような形でつかるというのはシンジの思考回路を麻痺させるには十分すぎる状態だ。
「ふふ。シンジ君って子供なのに照れ屋なのね・・・」
顔を真っ赤にしてうつむいているシンジを見ているうちにリツコの心の中のある一部が激しくうち鳴らしていた。
(どうしたんだろう私・・・恥ずかしがっているシンジ君をみてると何故かこうギュ〜って)
「あうあう・・・」
(そうこんな風に抱きしめて・・・)
「ど、ど、どうしたのリツコお姉ちゃん」
「・・・・・そうだ、シンジ君に聞きたいことがあったの」
「何?」
「何がシンジ君をそんなに・・・」
くるしめているの?と聞きたかったが言えなかった。
夕日を見て涙するシンジの後ろ姿を見た時から自分には想像もできない悲しみのようなモノを感じていた。
できるだけ他人と距離を置いていた生き方をしていた以前の自分からは想像できない今の自分。
それは間違いなくシンジとの生活で手に入れたモノに違いなかった。
だからこそリツコはシンジを救ってやりたかった。
「どうしたのリツコお姉ちゃん?」
「やっぱり秘密。また今度聞くわ」
「うん。」
「さてと体洗ってあげるから椅子に座って」
「え、え〜。自分で洗えるよ僕」
「良いからそこに座りなさい」
「じゃ背中だけでいいでしょ」
湯船から出てしぶしぶ椅子に座るシンジ。
リツコはスポンジにボディシャンプーをつけシンジの背中を洗っていく。
「シンジ君はお母さんとお風呂に入ってたの?」
(どうなんだろ?母さんとお風呂に入ってた記憶なんて残ってないなぁ。10年くらい前だし)
「ちゃんと1人で入ってたよ。」
「そうなんだ」
(シンジ君くらいの子供なら一緒に入っていて当たり前なのに・・・母さんが言っていたとおりね。
きっと忙しい両親に心配かけないようにしてたのね)
リツコはなんだかいじらしいシンジの姿に少し涙が出てしまった。
それを悟られまいと優しく声をかけた。
「ふふ。それじゃシンジ君今日はお姉ちゃんと一緒に寝よっか?」
あわてて「駄目だよ」と言おうと振り返ったシンジと後ろから抱きしめてやろうとしたリツコ。
2人のタイミングが合ってしまったため当然まともに抱き合う形となった。
「きゅ〜」
ゆでだこのように赤くなったシンジはそのまま目を回してしまう。
「し、シンジ君!!しっかりしてシンジ君!!」
自分の胸で気を失い目を回したシンジをあわててリビングのソファーに寝かせる。
しかし何をどうしたらいいのか思いつかない。
大学一の才媛とうたわれているいつものリツコからは考えられないくらいあわてていた。
目の前にあった携帯を手に取るとナオコに電話をかける。
プルル・・・プルル・・・ガチャ。
「あらりっちゃんどうかしたの?」
「シンジ君が・・・シンジ君が・・・どうしたら」
「落ち着きなさいリツコ!!」
「うっ。ごめんなさい。シンジ君がお風呂で倒れちゃって」
「どこかぶつけたりしたの?けがは?」
「いやどこにもぶつけちゃいないわ。けがはないと思う。」
「とりあえず楽な姿勢で涼しい所に寝せてあげなさい。しばらくしたら気づくわよ。」
「ええ。今ソファーに寝かしているわ。」
「一体何があったの?」
「実は・・・」
リツコは事の顛末をナオコに伝えた。
「りっちゃんの裸や抱きしめられてきっとシンジ君も恥ずかしかったんじゃないの」
「でもシンジ君はまだ子供よ」
「ふふ。確かにそうだけど子供といっても男の子なんだし恥ずかしがっても良いんじゃない」
「でも母さん嬉しいわ。りっちゃんがシンジ君をそんなに大切に思ってくれているなんて」
「母さん・・・」
「今やっている実験はシンジ君にとってもしかしたら人生を左右するほど関係しているの。
だけどそれでも成功する確率は2桁にすら届かないかもしれない」
「そんな」
「だからリツコ。あなたにはシンジ君を支えてあげてほしいの」
しばらくするとシンジはソファーの上で目を覚ました。
「あれ僕・・・」
横を見るとリツコがシンジの手を握ってくれていた。
「ひっく。シンジ君心配したんだから」
涙で目の周りをはらしたリツコに抱きしめられたシンジはリツコが本当に自分のことを大切に思ってくれていることを実感していた。
「ホントに一緒に寝るの?」
「もちろん。シンジ君はいや?」
「ぼ、僕はリツコお姉ちゃんが良いなら・・・」
その日からリツコとシンジが一緒に風呂に入った日はそのまま一緒に寝る事になった。
後書きのコーナー諸事情により遅れて誠に申し訳ありません m(_ _)m
gx9901さん。この度HPの開設おめでとうございます。
維持していくのは時に辛いこともありますが訪れてくださる皆様からの感想やらが届くともう少しがんばろうかと思ってしまいます。
今後もよろしくお願いします。
「Back to Begining」の初の番外編いかがでしたでしょうか?
なんとこのSSがファル自身初の投稿作品だったりします。
私が管理人をつとめる「Dark Night of The Fairbanks」に投稿してくださったgx9901さんがHPを開設するということで急遽SSを送らさせて頂きました。
このSSの内容は本編のプロットにあがっていたけど途中で取り消しになったモノの1つでいつか書こうと思っていたモノです。
本編を読んでないとわかりにくいところもあると思いますのでよろしければファルのHPまでおこしください。
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