旧松井田町役場
昭和31年(1956) 設計・白井晟一
白井晟一の代表作の1つであり、戦後建築界で巻き起こった「伝統論争」の引き金となった重要な作品です。丹下健三らは弥生文化の繊細な美を支持したのに対し、白井は縄文の荒々しさに着目しました。その実践例として重要な建築です。当時の山間部の田舎町に建設された役場としては破格の建物であり、町役場に鉄筋コンクリートの不燃構造が採用されるのも珍しかったそうです。
その豪華さと美しさから「畑の中のパルテノン」と呼ばれました。ベランダには初期の白井作品に多く見られる「はちのす」状の装飾があり、ごつごつした石張りの外壁、太く力強い柱といった荒々しい部分がありながら、緩やかなカーブからは優しさが感じられました。正面玄関から中に入ると、白井が好んで用いた螺旋階段が目に飛び込んできます。かなり老朽化してガタがきているようですが、松井田町はこの建物を「文化財資料室」として保存しています。秋田の建物も保存の道を歩んで欲しいです。
「横手興生病院」や「酒造会館」、「雄勝町役場」など、秋田県南出身の僕にはお馴染みの建築のパネル展示もあります。遠く離れた町の人が、これら作品について知っているのに、地元の我々は白井の名前すらずっと知らなかったのです。恥ずかしいですなあ・・・
ぜひ後世まで残って欲しい、素晴らしい建築でした。