皆さんこんばんわ。
HAMEX−MEN馬鹿漫画レビューのお時間です。
さて、今回私が皆さんに紹介する作品はこちら。


ゴッセージ著 『龍虎の拳』

皆さんご存知だとは思うが、一応説明を。
「龍虎の拳」とは、1992年にSN系から発売された、対戦格闘ゲームである。
ネオジオの100メガショック第2弾(第1弾はファイヤースープレックス)として華々しく誕生(デビュー)し、
そのハードな世界観と、今までに無いド迫力の演出で多くのファンを獲得したゲームである。
私、チョン吉もこのゲームが大好きで、これのためにバイトしてネオジオ本体を買った程だ。
今更ゲームセンターで発見するのは難しいと思われるが、知らない人は是非一度プレイしていただきたい。
ゲームを知っていれば、より今回のダイジェストが楽しめる事は、間違い無いだろう。
(また、そのつもりで書くので、御容赦願いたい)

当作品はその「龍虎の拳」をモチーフにコミカライズされたもので、連載はコミックボンボン誌。
さあ、一気に期待が高まったところで、本編に入りたいと思う。


バトル1 『リーパイロン猿叫拳!』

極限流道場。
激しく組み手をするリョウとロバート。
リョウとロバートの拳がぶつかりあい、ナレーション。

『極限流師範代 リョウ=ナガサキ
『極限流師範代 ロバート=ガルシア』
いきなりこれである。
出会い頭のハードブロウである。
言うまでもなく、この男の名はリョウ=サカザキであって、決してナガサキではない
人として、やってはいけない大誤植だ。
実力伯仲の二人。しかし、負けん気の強い二人は、一向に退こうとはしない。
そこに
「はい、ブレーク!」
と、パックの牛乳を手に、リョウの妹、ユリが登場。
マリちゃん」
「・・・ユリ」
またしても!
ロバートの口を突いた「マリちゃん」のセリフ。
ここまでのシーンを総合すると、彼女の名前は
「マリ=ナガサキ」であって「ユリ=サカザキ」とは苗字も名前も別の、まったくの別人である。
(以降のシーンでは、流石にちゃんと「ユリ=サカザキ」表記で統一されるが)
今日はロバートの誕生日だと言う事で、ナガサキ家でパーティーを開こう、と提案するマリ
喜ぶロバート。しぶしぶ承知するリョウ。

サカザキ家(マンション)。
ケーキとプレゼントを用意するユリ。
チャイムが鳴り、二人が来たかとドアを開けるが、そこには誰も居ない。
その時、突然あかりが消える。
懐中電灯を照らすユリ。
そこに照らし出された者は、猿の面を被った怪人、リーパイロン!
驚くユリに当て見を入れ、さらって行くリーパイロン。

サカザキ家に辿り着くリョウとロバート。
あかりを点けて、その部屋の荒れ様に驚く二人。
「おい!リョウ!」
ロバートが、置き手紙に気づく。

『女はあずかった。毒猿の谷まで来い』

非常に分かりやすい、シンプルな置き手紙である。
というか、ちょっとシンプル過ぎないだろうか。
普通、「返して欲しければ」ぐらい入りそうなものだが。
「なぜ・・なぜだぁ〜!!」
ブチまけられたケーキのそばに、自分へのプレゼントだったペンダントを見つけ、首にかけるロバート。
手紙を握りつぶすリョウ。
床には三人で撮った写真が。フレームのガラスが割れている(ゲームのOPの、あれ)
「まってろよ!!」
決意を胸に、飛び出す二人。

毒猿の谷に辿り着く二人。
間髪入れずに、リーパイロンが襲いかかる。
毒猿の血を塗った手甲刀(鉄の爪)の一撃を食らい、思い通り動けない二人を、
容赦無く襲う、リーパイロン。
ロバートがやられ、怒りのリョウ。
己の腹に強烈な一撃を入れ、血を吐く。
『極限流秘伝・肝撃
要するに、肝臓にパンチを入れて、活動を促し、毒を分解するという荒業である。
リョウ=サカザキ、最初に使った技が虎煌拳でも飛燕疾風脚でもなく、こんなんである。
「しゃらくさいわ!猿叫円盤拳!」
回転しながら向かい来るリーパイロン。
「いくぞ!極限流〜ッ!!」
『覇王拳!』
出た!オリジナル必殺技!
見た目はどうも「虎煌拳」のようだが、名前は「覇王拳」である。
「覇王拳」で吹き飛び、壁に当たり、撥ね帰って来たパイロンに、止めの一撃。
『飛燕疾風散撃脚!』
矢継ぎ早に、またしても登場・OB(オリジナルブロウ)!
名前こそは「飛燕疾風脚」のバリエーションに見えるが、やっていることはそのまんま
ロバートの必殺技「幻影脚」だ。
思うにこれは、ゲームをうろ覚えで作者(ゴッセージ)が漫画に描いてしまい、後になってキャラが逆だと発覚し、
技名を適当に差し替えたのではないだろうか。

毒に倒れたロバートを肝撃さっきと技名が変わっているね!)
で回復させ、リーパイロンから事情を聞き出す。
「貴様らはMASKに狙われている・・」
今回の件は、格闘界の巨大組織「MASK」が極限流を参加に収めんと、仕組んだ事だと言う。

バトル2 『ミッキー=ロジャース ジュノサイドアッパー』

MASK・・噂は聞いたことがあったが・・・実在しとったとはな・・」
と、ファミコンロッキーの芸夢遊一郎みたいなセリフを吐くロバート。
力を持った格闘家を集める為に、手段を選ばず襲う組織らしい。
リーパイロンの案内で、とある教会に辿り着く二人。
中から現れたキングの案内で、地下にある賭け格闘場に。
MASKの一味・キングの仕向けた通り、賭け試合のリングに上がるリョウ。
相手は薬物使用疑惑でボクシング界を追放された男・ミッキーロジャース。
試合開始。
ドーピングでパワーアップしたミッキーの猛攻に追い詰められるリョウ。
必殺の『ジュノサイドアッパー』をまともに食らい、天井に串刺しになる。
(というか、ジェノサイドでは?)
しかし、ミッキーにはゲームでも「バーニングアッパー」や「ローリングアッパー」という技があるのに、
何故にオリジナル技にこだわるのか?
血まみれでダウンするリョウ。
その時。耳もとでロバートが囁く。
「そのままのびとれ!ユリちゃんは俺が助け出して幸せにしたる!」
それを聞いて立ちあがるリョウ。
「馬鹿な・・!俺のフィッシュブローで倒れないだと・・!?」
リョウが、ロープの反動を利用し舞い上がり、空中から「覇王拳」を放つ。
『落下落雷!覇王拳!』
『ジュノサイドアッパー!』
ぶつかりあう必殺技。
砕け散ったのはミッキーの拳だった。

倒れたミッキーに代わり、キングがリングにあがる。
対するはロバート。


バトル3『キングのブリッジバトル』

にらみ合うロバートとキング。
背景にはが。
(しかし、なぜキングが蠍?)
キングが合図すると、リングが二つに割れる。
中には足場用の一本のロープと、その下には溶岩。
どうにも、キン肉マンっぽい展開である。
慣れない足場での戦いに四苦八苦するロバート。
キングの猛攻にロープから滑り落ち、両腕でなんとかぶら下がるロバート。
「MASKにひざまずけば助けてやろう」
その時。ロバートの頭にユリの声援が浮かぶ。
「け、アホクサ!魂売って奴隷になっても、ユリちゃんは微笑んでくれんやろ!?極限流をなめくさんなよ・・・」
「良く言った、ロバート!俺が必ずお前を弔ってやる!安心して死んでくれ!
怒りのキングのストンピング攻撃で、ユリのプレゼントのペンダントの鎖が切れ、溶岩に落ちかかる。
方腕をロープから離し、ペンダントを掴むロバート。
「楽しませてもらったよ」
残されたロバートの方腕を踏みつけるキング。
「ええ気になるな・・・極限流の極意は・・モウダメのドピンチに・・最高の力を発揮できる事なんや・・!」
「ほざけ!」
「みせたらーーっ!」
ロープに歯で食らい付き、自由になった両腕を使い、ペンダントの鎖で髪を束ねる。
そして
「もはや貴様は死んだも同然!」
止めの一撃を仕掛けるキング。
「覇王〜!翔!吼!拳!!」
覇王翔吼拳(やっと登場)の直撃を受け、天井に叩き付けられるキング。
キングが女だと知り、間一髪でその命を救うロバート。
キングから、ユリが南部軍事基地の空軍第四格納庫に囚われていると聞き、向かうリョウとロバート。
基地入り口で「極ドロップキック」(ゲームから)で襲いかかるマックスデビル(こいつの名前はジャック=ターナーのはず)を
『覇王翔吼圧挟拳』(左右からの覇王翔吼拳で挟み殺す技)にて1ページで倒し、基地内部へと進む。


バトル4 『Mrビッグ 三位一体マジック攻撃!』

前回のラストシーンから
『覇王圧挟拳!』
何故か「翔吼」が抜けている)
「いくぜロバート!」
「OK」
大佐「ジョン・クローリー」がリョウ達の潜入をモニターで見て、動き出す。
「こうなったら使うしかなさそうだな・・あの秘密兵器を」
倉庫。
棺桶が横たわる。
「起きろ!ビッグ」
事の経緯をジョンクローリーから聞き、やる気マンマンのMrビッグ。
「派手にやって・・いいんですね・・?
なぜか、丁寧な物腰である。
ここまで、一応ゲームの設定に忠実に(必殺技以外は)進んできたのに、ここに来て、急にオリジナル設定が出始める。
もしかしたら、ゴッセージ氏の腕前ではジョンクローリーステージを超えられなかったのかもしれない。
第4格納庫にたどり付くリョウとロバート。
そこには、Mrビッグの棺桶が。
そこに登場したジョンクローリーに囚われのユリを見せられ、逆上するリョウ。
「ざけんじゃね〜」
その時。
棺桶をぶち破り、Mrビッグ登場。
ビッグの『バンパイアロッド』に首を締め上げられるリョウ。
バンパイアロッドから脱出したリョウだったが、Mrビッグの高速分身攻撃に苦しめられる。
(ゲームのMrBIGはむしろ遅いです
葉巻を吹かし、余裕をかますビッグ。だが・・
「いつまできどっとるのや、このイカサマ吸血鬼が!」
「見たぜ!てめえの秘密をよ!」
狼狽するビッグ。
再び分身攻撃で襲いかかる。
「惑わされてたまるかい!」
ロバートがリョウの足を掴み、ジャイアントスイング気味に振りまわしつつ、リョウが四方八方に「覇王拳」を放つ。
「ターゲットがぎょうさんあれば・・・」
「ヒットしやすいってもんだぜ!いくぞ!!」
『覇王拡散照射拳』
もうメチャクチャ
である。
やりたい放題とは、こういうのを言うのだろう
吹っ飛ぶビッグ。
ビッグの葉巻の煙幕が晴れる。
そこに現れたのは、倒れた三人のMrビッグだった。
『覇王拡散照射拳』の巻き添えを食って倒れるジョンクローリーより、
ユリがコブリンタワーのヘリポートへ向かった事を聞き、追う二人。
外からヘリのローターの音が。
今まさに、ユリがヘリで連れて行かれるところだった。
「助けて、おにいちゃん!ロバート!」
「ユリ〜〜!」


バトル5 『覇王対決!翔吼拳VS翔吼拳』

コブリンタワー。
通称、百鬼の塔。
次々と襲い来る刺客をブチのめしながら、100階からなるビルを昇って行く二人。
コブリンタワーの一室。
ロウソクの前に、男が座禅している。
「先生!」
「気を集中しておる・・静まれ」
「しかしそこまで!90階まで・・!」
「静まれと言っておろう!」
必殺の重ね当てで弟子を斬り殺す、先生。
「気は満ちた・・まいられよ!」
そう、ここにきてついに藤堂龍白の登場である。

塔の百階にたどり付いた二人。
その前に立ちはだかる藤堂。
「あの構えは・・」
「気をもって千の刃をなすという・・日本古武術の秘技、”重ね当て”!!」
カッ!
目を見開く藤堂。
「リョウ=ナガサキよ!MASKに身をゆだねなされ・・
 そしてMASKの為に生きるのだ」
「なにィ!?」
ここにきて!ここにきて鳴りを潜めていた誤植が!しかも2度目の「リョウ=ナガサキ」である。
確信犯か?
そりゃリョウでなくとも「なにィ!?」と言いたくなるというものだ。
「それこそ、おぬしの父上が一番喜ばれる事なのだ!」
「な・・なんであんたがオヤジの事を・・?」
「それは・・現在MASKをとり仕切っている・・その首領こそ・・
 いや、雑念は無用!己の使命をまっとうせん〜 まいる!!」
勝手な事を言う藤堂。
不意打ち気味の必殺「重ね当て」をロバートが真剣白刃取りで受けとめる。
「ここはオレが・・行け、リョウ!」

屋上。
「ユリ!」
「おにいちゃん!こ・・来ないで〜ッ!」
「え!?」
その時。
「よくぞ・・良くぞここまで来た・・・成長したな、リョウ!
突然、天狗の面を被った男が現れる。
「おにいちゃん、その人は・・その人は・・・
「・・!!ま・・まさか、まさか・・・オヤジじゃないだろうなぁ!!
この手の漫画にしては珍しく、核心をズバっとつくリョウ。
「それはどうでも良い事だ!」
と、天狗、問答無用発言
うろたえるリョウに、天狗の覇王翔吼拳の洗礼。
「うて・・うってきてみろ!」
ユリの涙の制止も聞かず、覇王翔吼拳を打ち合う二人。
だが、天狗のそれのほうが、リョウをはるかに凌駕していた。
「所詮この程度のものか・・失望したぞ!・・覚悟!」
「!?」
その時。
「リョォーーッ!」
藤堂を倒したロバートが駆けつける。
「ちゃう!そいつはお前のオヤジとちゃうぞぉ!
 そいつは絶対倒さなあかん!俺達、龍虎の拳で倒さなアカン敵なんや!」
「!」
立ちあがるリョウ。
「もはや手遅れだ!この巨大な「気」を!!受けてみよ!」
「行くぞリョウ!」
「おう!」
『覇王翔吼龍虎拳〜〜!!』
二人の合体拳を受け、ビルの屋上から吹きとぶ天狗。

「なぜ、オヤジじゃないと分かったんだ?」
藤堂がゆうたんや!あの天狗はお前のオヤジさんのライバル
 二人とも極限流の実力者やった・・」
以下略。
リョウとロバートが硬く握手し、ユリの元へ駆けて、END。

・・・なんじゃそりゃ というのが正直な感想である。
最後に来て設定を変えて、結局、ゴッセージは何がしたかったのだろうか?
素直に「天狗=タクマ・ナガサキ」では何か問題でもあったのだろうか?
「フランダースの犬」よろしく、「父と子を戦わせないでぇー」という投稿が殺到したのだろうか。
そして何故、藤堂はリョウに思わせぶりなでたらめを言ったのだろうか。
ユリの「お兄ちゃん、その人は・・」の続きはなんだったのだろうか。
(「その人は・・私達のお父さんのライバルだった人よー!」か?)
深い謎を残したまま、物語は、その幕を閉じてしまう。



誤植ラストオリジナル必殺技濃い絵柄を除けば、意外とまともだった当作品。
全体を通して、親と子、ライバル、親友、兄妹愛といった、
強いメッセージ性・・・、いやさゴッセージ性を感じる、名作だといえる。
何故か古本屋に沢山出まわっているようなので、見かけたら是非購入する事をお勧めしたい。