2002.02.22

HAMEX−MEN編集部−−−

「いや、正直重たかった。」
「お、買えたんですか!」
「で、どうだった?恒例の行列は。」
そ、それが…!
「とにかく、気を取り直して、早速プレイしましょうよ!」
「そうですよ!」
「ああ、そうだな!」
早速黄緑色の袋から、巨大な黒い袋を取り出すタイメイ。
「でかいっ…!噂には聞いていたが、これほどとは…!」
「よし、セット完了。じゃあ誰からだ?リサリサか?アッサクか!?
 オレの忍者ハヤブサでボコボコにしてやるぞっつーか!」
「そうはいかないぜ!オレのザックのホールドの冴えを…」
「いえ、ここは私が。新キャラの空手少女で…」

白熱する対戦。
そして1時間が過ぎた頃。

『技は力の中にあり!』
「やった、勝ちました!」
負けたっつーか!
「みんな。何を盛り上がってるんだ?」



チョンキバヤシさん。
「遅かったなっつーか!
 見ろよ、コレ!X−BOXアーンドデッドオアアライブ3!
 買っちゃったっつーか!」
「それが噂の…!話に聞く以上にでかいな…!」
「どうです?やってみませんか?」
「そうだな。一丁、手合わせ願おうか。」
よどみない動作でセーラー服かすみを選択するチョンキバヤシ。
「勝った!」
「負けたっつーか!」
「しかし、あいかわらずの良い出来だな。
 アーケードに無いのが悔やまれるよ。」
快勝し、上機嫌のチョンキバヤシ。
「もう一本…!もう一本っ…!」
「負けぬけのルールだろうがっ…!」
「そうですよ!交代っ…」
死ねっ…!ドタキャン野郎っ…
「もう一本…!もう一本っ…!」
そんなやりとりの外。
一人眉を寄せるチョンキバヤシ。
「どうかしたのか?」
「…いや、どうもおかしいと思ってな。
 何か、妙な違和感を感じるんだ。」
「違和感?」
「ああ。このゲームには何か、
 そう、DOAとして大切な何かが欠けているような…」
「そう言われてもなあ。」
 ちゃんと乳揺れもしてるし、パンチラもしてるし。ウヘヘヘ。」
下品な笑いを浮かべるタイメイ。
「いや、違う…。
 なんといか、1から2になったときも感じた違和感というか…」
「む、そうか。もしかして…」
そういって、PS2を起動するリサリサ。
ディスクをときめきメモリアル3からDOA2へと換え、数秒のロード待ち。
「オレの勘が正しければ、違和感の正体はこれだ。」
「えっ…?」
ロードが終了し、画面にはDOA2のロゴが。
『誰にも邪魔はさせないっ!』
!!
「これだ!この声だ。
 そうか、違和感の正体は声…。
 かすみの声だったんだ!
「ど、どういうことだっつーか!
 オレには何が違うかサッパリだったぞ!」
「いいか、聞き比べてみろ。
 これがDOA3のかすみ。」
そう言って、X−BOXのDOAを操作するチョンキバヤシ。
『あなたに私は倒せない…!』
「ム、これは…!」
「た、たしかに、オバサン臭い声になってますね!」
「そうなんだ。DOA2までの、あの甘ったるい声ではなくなってしまっているんだ。
 だが、一体どうして…!声優の声変わりだろうか…」
「…ふむ、なるほど。やはり…」
「?」
「みんな、ちょっと来てください。」
PCを操作するアッサク。
「何か解かったのか?」
「ええ。早速インターネットで検索してみたんですが…。」
かすみ:桑島法子…!違う…!
 丹下桜じゃない…!だが、一体どうして…!」
「いや、声優の変更は別に珍しい事じゃないぜ。
 DOAは、1から2になったときも、一部キャストを変更している。」
「たしかに、よくある事ですよ!
 声優プロダクションの関係だったり、あ、あとは声優が亡くなった場合とか。」
「何っ…!丹下桜は死んだのか!
「い、いや、ちょっとそれは解かりませんが…」
「丹下桜といえば、『カードキャプターさくら』か。
 たしか、一昨年(99年)にチョンキバヤシが映画を見に行ったんだよな?」
「あ、ああ。
 だが、あの時は紛れもなく丹下桜だった。
 さくらの声が桑島法子だなんて、そんな事はなかったはずだ!」
「そうだ。CCさくら…NHKといえば、僕も一つ気になることが。
「どうしたんだ?ユウスケ。」
「おじゃる丸っていうアニメ、知ってます?
 子供向けアニメなんですけど。」
「ああ。は聞いたことがある。」
「マッタリマッタリハァ〜 マッタリナ〜ってやつだろ?」
「じ、実は、あれの主役のおじゃるの声も、小西寛子から西村ちなみへ
 変わってしまったんです!」
「なんだって…!?」
「…DOAのかすみ。おじゃる丸のおじゃる。
 どちらも作品を代表する主人公だ。
 その主人公の声が、相次いで変更になるとは…おかしいと思わないか?」
「そうだ。声優といえば…」
「どうした、アッサク。」
「サクラ大戦の神埼すみれ役で有名な、ミッチーこと富沢美智恵も、
 4を最後に、サクラ大戦を降板すると、何かの雑誌で読みました!」
またしても声優が…。こうも続くとは…」
「…確かに異常な事態のようだな。
 よし。HMR・調査開始だ!


この世には−−
常識でははかれない、様々な謎や超常現象が存在する−−
ここ、HAMEX−MEN編集部には
これらミステリー現象を、科学的調査に基づく独自の切り口で解明しようとする 特別班が組まれていた・・・・
それを−−ハメックスメン(HAMEX−MEN)ミステリー(MISTERY)調査班(REPORTAGE)
通称HMRという−−

『ファイル524 消えた声優を追え!』



第1章『調査報告』


「では、皆。
 消えた声優についての調査報告を聞かせてもらおう。」
「ハイ。では僕から。」
立ち上がるユウスケ。
電話で丹下桜の所属事務所に尋ねてみました。」
「で、返答はどうだったんだっつーか。」
「それがですね…
 丹下桜さんは、99年末に青二プロダクションを辞めているそうなんです!
「!!」
「理由については教えてもらえなかったんですが…
 僕からは以上です。」
「それについては、オレの調査と重複する部分がある。
 リサリサ。お前はたしか、おじゃる丸の声優について調べていたんだったな?」
「ああ。
 俺は、おじゃる丸の声優こと、小西寛子についてリサーチしてみたんだが、
 残念ながら、有力な情報はつかめなかった。」
「そうか…。」
「ただ、小西寛子はおじゃる丸の他にも、萌え系アニメのヒロインを多数こなしていて、
 どうやら、オタク層への人気は、我々の想像を遥かに上回るものだったらしい、
 という事は解かった。」
「なるほど。わかったよ。
 次、タイメイ。どうだ?」」
「おう!まかせとけっつーか。
 みんな、これを見てくれ。」
そういって、一冊のパンフレットを取り出すタイメイ。
「これは…?」
映画・クレヨンしんちゃん…ですか。
 しかし、クレヨンしんちゃんと今回の件に何か関係が…。」
「ヘヘ…入手に苦労したんだぜっつーか。
 …と、ここだ。ここを見てくれ。」
パンフレットの付箋の頁を開くタイメイ。
「こ、これは…!」
「そう、消えた声優の一人、富沢美智恵のコメントが載っているんだが…」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!?

 
20世紀 の思い出
 “私がクリスチャンになったこと”
 20世紀お気に入りの映画
 『十 戒』『ベン・ハー』“神様の偉大なる力と愛が描かれているから”




「こ、これは…!」
「ギャグなのかっ…!」
「なんて電波丸出しナコメントなんだっ…!」
「…その話でしたら、私もインターネットで調査しました。」
「よし、聞かせてくれ、アッサク。」
「富沢美智恵が入信したという宗教は、東京キリストの会です。
 HP上で、富沢美智恵本人から、同会の週報へ寄せられ記事が見られるのですが…」
そう言って、PCを操作するアッサク。

参考URL
http://www2.gol.com/users/tccyuri/j/shuho/jshu1216htm.htm


「……!」
なるほど、わかったよ…。
「チョンキバヤシ!一体、何がわかったんだっつーか!」
「実は、オレもあるルートから丹下桜を追ってみたんだが…
 どうも彼女も、声優を引退した後、新興宗教まがいの有料ウェブサイトに活躍の場を移したそうなんだよ!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!


参考URL
http://www.wonder-net.net/
http://www.sankei.co.jp/kusano/sakura/html/0503sakura-40.html
http://plaza13.mbn.or.jp/~wondernet/wdn/lt1.html


「つまり、消えた声優の裏には…宗教が…
「で、ですが…
 宗教…信仰の問題は大変デリケートというか…」
「そうだな。宗教であれば仕方が無い…
 考え方は人それぞれだもの。」
「確かに…。ちょっと歯切れの悪い幕引きだが…」
「この件に関しては…
 …HMR…調査終了だ。


第2章『共通点』


一週間後。
HAMEX−MEN編集部。
「しっかし、後味の悪いリサーチになっちゃまったなっつーか。」
「ここは一つ、アニメでも見て気分を紛らわしませんか?」
「アニメ?なんかオススメのでもあるのか?」
「ええ。」
カバンから一本のVTRを取り出すユウスケ。
「今、話題騒然のアニメがコレです。つい最近まで、フジテレビの深夜枠で放送されていた…」
「お、なんだ。なにか始まるのか?」
「リサリサ、アッサク。
 お前らも休憩か。だったら一緒にビデオでも見ようぜっつーか。」
そこに伸びをしながらチョンキバヤシも現れる。
「なんだ?ビデオか。だったらこの、花右京メイド隊を…
ダメェ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ…!
絶叫・ユウスケ。
「おいおい、どうしたんだ、ユウスケ。」
「今日はこのビデオを見るんですっ!」
半ば強引にテープをセットし、再生するユウスケ。
「む・・・これは」
Kanonか!
「ええ。PC・DC・PS2で、何万人ものオタクを感涙させしめた名作ギャルゲー  KanonのTVアニメです。
 今から皆には、このKanon、全13話を一挙に見てもらいます!」
えっ…

6時間後…

くぅ〜〜〜っ
「ようやく終了か。」
「一段落だな。」
大きく伸びをする一同。
「ううっ… 良い話だなあ… 何度見てもっ…」
感涙に咽び泣くユウスケ。
「で、みんなはどうでした?」
「zzz…あ?終わったの?」
「私は、展開が急すぎて、感動できませんでした。」
「そ、それは古いタイプの人間の感じ方だっ!
 ムダなシーンがないと言ってください!」
ムキになって反論するユウスケ。
「名雪ってキャラの扱いがヒドイかったな。」
「う、確かに…!それは僕も感じていた不満点っ…」
「俺は、KanonはDC版で全シナリオクリアしていたんだが…」
「ム!さ、さすがはチョンキバヤシさんだ!」
「だが、このアニメはいただけないな。
 原作のシナリオを活かせてないと感じたよ。」
「くっ…」
「つーかさ、話は変わるが」
先ほどまで高いびきをかいていたタイメイ。
「キャスティングってどうなってるんだっつーか。
 ヒロインの声に聞き覚えがあるような気がするんけど…。うぐぅってやつ。」
「月宮あゆですね?
 それだったらほっちゃんですよ。」
「ほっちゃん?」
ほったゆみですか?
「違いますよ。ほっちゃんといえば堀江由衣…!
 当代きっての人気声優・堀江由衣さんの事です!
「ほう〜、この声が、噂の堀江由衣か。
 話には聞いていたが…。
 一部では”今をときめくオタクのアイドル”とまで呼ばれ崇められているそうだな。」
「ほっちゃんはラブひなのヒロインとか、他にもいろいろな作品で主役級を演(や)ってますから。
 どこかで声を聞いていても不思議ではないですよ。
 あ、最近ではアレですよ。DOA3のカラテ少女をやってました!」
「おお、それかっつーか!
 なるほど、納得がいったよ。」
「声か… え…?声だって…?
 そういえば…」
「ん?どうした、チョンキバヤシ。」
「いや、もしかしたら俺の記憶違いかもしれないんだが…」
そういって、机からDC版Kanonを取り出すチョンキバヤシ。
…やはりそうか。
 …だが…となると…!」
「ああ?何をブツブツ言ってるんだっつーか。」
「チョンキバヤシさん…?」
「みんな…どうやら…
 俺たちは、とんでもない思い違いをしていたのかもしれないぞ…!
「ど、どういうことです…?」
「説明してくれ!チョンキバヤシよ!」
「俺は、このKanonのアニメを見ていて、ある違和感を感じたんだ。」
「違和感…?」
「それは、目がでかすぎるとか、口の位置が上過ぎるとか…?」
「いや、違う。
 そんな些細なことじゃない…もっと根本的なことだ。」
「それは一体…」
「…病弱少女、美坂栞のキャストだよ!
「?」
「栞のキャスティングが、アニメ版ではDC版から変更されていたんだ!
「な、なんだって!?」
「そして、DC版の声優は…」
ま、まさか…!
「そう、おじゃる丸を演じていた…
 ”消えた声優”の一人、小西寛子なんだ!
「!?」


「意外なところで前回のリサーチにぶち当たりましたね…!」
「だが、忘れたのか!チョンキバヤシよ。
 あれは宗教問題が絡んでいるので、止む無く調査を中止したはず…」
「そ、そうですよ!」
「…俺は、ユウスケの話を聞いて、ある共通点を発見したんだ。」
「共通点…?」
「ああ。
 丹下桜の消えた『デッド・オア・アライブ』
 小西寛子の消えた『Kanon』
 かたや3D格闘ゲーム。
 かたやビジュアルノベル。
 …そう、一見なんの接点も無いように見えるこの2作品を繋ぐ、ある共通項を…!!
「それは一体…!?」
「おい、勿体ぶってないで教えてくれよっつーか!」
堀江由衣だよ!!
「!?」
「今回の人気声優消失事件の二人…丹下桜と小西寛子が出演していた大作…
 それも、その二人が降板した後の続編に、例外なく堀江がかかわっているんだ!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!
「妙だとは思わないか?みんな。」
「ぐ、偶然ですよ!
 堀江由衣さんは関係ないっ!

「たしかに、単なる偶然とも考えられる。
 だが、偶然を偶然と切り捨ててしまっては、真実を見失ってしまうんじゃないか?」
「うっ…」
「………面白いんじゃないか?」
「そうだな。堀江由衣という新たな側面から切り込んでみれば・・・
 もしかしたら、消えた声優の謎を暴けるかもしれないっつーか。」
「やりましょう!」
「み、みんなが、そこまで言うなら…」
「よし…決まりだな。
 HMR!調査再開だ!


第3章『検証』


HAMEX−MEN編集部−−
「では、早速はじめたいと思う。
 まず、これを見てくれ。」
「あ、結果が出たんですね!」
「ああ。我々が独自に設置した、人気声優調査・アンケートCGIなんだが…」
「どうかしたのか?」
「とにかく、これを見てくれ。



※設置期間 2002 5/7〜5/14
 調査へのご協力ありがとうございました

!?
「こ、これは−−−!」
ダントツ…!ぶっちぎりじゃないですか!」
「ああ。堀江由衣人気の凄まじさを、改めて思い知らされる結果だったよ。」
「しかし…」
「どうしたんだっつーか、リサリサ。」
「どうにも解せないな。
 一体何故、この堀江由衣という声優一人に、
 これほどまでの人気が集中するというんだ?」
「それについては答えは明確。」
得意満面に立ち上がるユウスケ。
声とルックスですよ!
 ほっちゃんは、声優として、声が良いのは勿論として、
 ルックスの方もアイドル並みとまで言われていますから!」
「そうなのか。」
「あとは、人気作品の主演というのがポイント高そうですね。」
「確かに。ラブひな、シスタープリンセス…
 昨今世間を騒がせた大ヒット作品の顔とも言えるキャラを、
 共に堀江が演じているのは興味深いな。」
「だが、俺は堀江由衣の顔なんて見たことが無いっつーか。」
「私もです。」
「…確かにそうだな。
 どうやら我々は、堀江について無知すぎるようだな。
 みんな、支度をしろ!これより調査に出かけるぞ!」


第4章 『堀江由衣』


秋葉原−−
「ふう、ったく…
 平日の昼間だっての、結構な人出だなあ、オイ。この暇人どもめっ!」
通行人に毒づくタイメイ。
秋葉原駅から徒歩15分。
一行がたどり着いた先は−−−
「この店だ。」
「リバティー…?
 チョンキバヤシさん、この店は…」
「中古CDショップだよ。
 ここ、秋葉原という場所柄から、この店の商品棚は、
 アニメ・声優関係CD市場の縮図と言っても、過言ではないだろう。」
「つまり、ここの堀江CDの情況を見れば…」
「ああ。
 自ずと堀江人気を確かめることができるという寸法さ。」
そこに、先行したタイメイが、
激しく手を振りながら。
「おーい、皆、早くきてくれっつーーーかーーー!」
「どうしたんだ!?」
「こ、こいつ見てくれっつーか!」
「!!」
「これは…!
 無い!堀江由衣のコーナーが…!
林原めぐみのCDはこーんなにあるのに、
 堀江由衣のCDは『は行』のスペースに1枚…
 この『ラブデスティニー』1枚しかないんだっつーか!」
「そんなバカな…俺たちの調査の結果では、こんなはずは…
 ユウスケ、堀江はCDを出していないということは無いか?」
「いえ、実際ボクも何枚ももってますし…!
 アルバムも2枚出ているはずですが…」
「では、これは一体…!」
困惑する一同。
そのとき。
「お客様、堀江由衣のCDをお探しですか?」
「えっ…」
「はい、実はそうなんですが…
 どうにも予想外の情況で…
 堀江由衣の人気は過去のモノって事ですかね?」
ハッハッハ…!
「えっ…?」
突然笑い出す店員。
「いえ、失礼しました。
 お客様があまりにトンチンカンな事を仰るから…」
「どういう事ですか…!?」
「実際はまったくその逆…!
 真逆ですよ…!
 堀江由衣のCDは人気がありすぎて、中古市場では殆ど出回ってないんです。」
「!!」
「よっぽど、手放すのが惜しいんでしょうね。
 あれだけの人気商品を扱えないワケですから、我々中古屋としては、頭の痛い話なんですよ…
 正直、堀江のCDを探すなら、大型CDショップか、アニメショップを当たった方が賢明ですよ。」


アニメイト秋葉原店−−−

「なるほど、確かに素晴らしい品揃えだな。」
「あ、ほっちゃんの新譜が出ている!
 僕、ちょっと買っていきますね!」
「…声優雑誌の見出しにも、堀江の名前が乱舞していますね。」
「予想以上の人気だっつーか。」
「チョンキバヤシさん!こっちに来てください!」
「こ、これは…!
 エッセイ集に…写真集だって!?
「チョンキバヤシさん!買わないでどうするんですかっ…!」
「えっ…?」
資料っ…
 調査上の重要な参考資料っ…!
 必要出費っ…!必要出費っ…!」
「………!!」



都内某美容整形外科−−−

「おいおい、こんな所まで来て、何をしようってんだ?」
「まあ待て。そろそろだ。」
扉を開いて、恰幅の良い男が登場する。
「お待たせしました。」
「こちらが美容整形の権威、ネビト・アーギン博士(仮名)だ。
「ど、ども。」
「…では、早速見せてもらいましょうか?」
「はい。この写真です。」
そう言って、鞄から数枚の切り抜きを取り出すチョンキバヤシ。
「ほう、この女性が…?」
「ええ。電話でお願いした件なんですが。」
「解かりました。見てみましょう。
 ふうむ…」
写真を眺めながら扉の奥へ消える博士。
「おい、今のは一体何の話だっつーか。」
「堀江由衣の写真を、美容整形外科の先生に見せるなんて…
 ハッ!…ま、まさか!」
「どうしたんだ、アッサク!」
「私がネットで調べた情報の一つにあったんですが…
 堀江由衣が整形美人だという噂があるんですよ!」
なんだって!?
「…ああ。その通りだ。
 堀江由衣は声優にしては美人すぎる…
 その点を不信に感じたんでな。
 専門家に真贋を判定してもらおうと思ったんだ。」
「た、たしかに、言われてみれば顔が整いすぎてるように感じなくも無いが…」
「な、何をバカなことを言ってるんですか!そんなはずがあるもんか!
 ネットの風説を真に受けるだなんて、馬鹿げている!ナンセンスですよ!

「落ち着け、ユウスケ。
 その為に我々はここに来たんだ。」
ガチャリ
再度開かれる扉。
HMRの注目の視線が集中する。
「お待たせしました。」
「博士!」
「で、結果は…!?」
固唾を飲む一同。
コホン…と咳払いをし、アーギン博士(仮名)。
「写真を見てビックリしましたよ…
 この女性は完璧な美人だ!
「!?」
「顔のバランス、目、鼻、口…
 身長、体格に至るまで…
 どこをとって完璧…
 日本、いや世界中の人に受け入れられる、典型的な美人です。
「で、では、堀江由衣が整形美人だという噂は…」
とんでもないっ…!
 この顔にメスを入れるだなんて…
 それこそ"Profanity to God"(神への冒涜)ですよ!!


第5章『恐るべき真相』


数日後。
HAMEX−MEN編集部---

「八方手ふさがり、ですね…。」
「いくら調べてみても、不信な点は見当たらないですね。」
「やはりオレ達の考えすぎだったんじゃねーのか?」
「確かに…。」
「あーあ、チョンキバヤシの奴も独自に調査してみる、とかいって音信不通だしよー」
「もう、1週間も経つな。」
「…考えたんですが…」
「どうした、アッサク。」
「ここは一つ、原点に帰ってみませんか?」
「原点?」
「ええ。
 もともとは丹下桜、小西寛子という、若手の新鋭声優が消えた事が発端だったワケで…」
「発端…ほったん… ほっちゃん!
 なーんちゃってな!ナッハッハ!
「タイメイさん!こんな時に、ふざけないでくださいよ!」
「悪い悪ぃ、けどよぉ…」
ま、待ってくださいよ…!
「どうしたんだ、ユウスケ?」
「ほっちゃん…堀江由衣…
 ほり江由衣…!
 だが…だとすると…まさか…」
深刻な表情で考え込むユウスケ。
…んげさくら…こにしひろこ…
突然、メモ用紙に殴り書きするユウスケ。
「おい、なにを一人でガタガタ言ってんだ!?」
「解かりました…解かったんですよ!
 人気声優失踪事件の真相が!
「そ、それじゃあ…!」
「ええ!
 …謎は全て解けた!
「!!」

一呼吸置き、3人の方を向き直るユウスケ。
「…すべての謎を解く鍵は、名前の中にあったんです。」
「どういう意味だ?」
「いいですか…?
 堀江由衣…ほりえゆい…ホリ江由衣。」
「何を、堀江由衣の名を3連呼してるんだっつーか!」
「違いますよ!…まだ解かりませんか?
 HOLY江由衣ですよ!
「!?」
「Holy…すなわち、聖なる人なんです…!堀江由衣さんはっ…!
 天使のようなっ…!」
「で、他の二人はどう関係あるんだ?」
「丹下桜は懺悔(ザンゲ)桜!
 すなわち、Holy江由衣に懺悔する存在なのです!」
「じゃあ、小西寛子は…?」
「ここが僕の推理の鍵…肝なんですが…
 これを見てください。」
そう言って、小西寛子の名がひらがなで書かれた紙を指差すユウスケ。
「こにしひろこ…これを並べ替えるんです…すると…」
「!!」
「ころしにこひ…コロシニコヒ…
 『殺シニ来ヒ』となるんですよ!!」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!?

「だが、それは一体何を意味するというんだ!?
「ガンダムWのリリーナじゃあるまいし…」
「教えてくれっつーか、ユウスケ!」
「それは…」
「ユウスケ!」
僕にだって…わからないことくらい…ある…!

真実を追い求める姿勢は美しい。
「なんだ!?」


「だが、己が浅はかな知識に溺れ、真実を見る眼を曇らせ、結果、誤った解釈をしてしまう事…
 人それを…”とんでもない考え違い”と言う!


チョンキバヤシさん!
「待たせたな…!」
「今まで、一体何処に…」
「この一週間の調査で、オレは掴んだんだ…!
 堀江由衣に秘められた、声優界…いや、
 人類全体の未来を揺るがしかねない、恐ろしい秘密を…!
「!?」
「そうか…わ、解かったぞっつーか…!
「えっ…?」
「何がわかったんですか、タイメイさん!」
「いや、さっきのユウスケの仮説だよ…!
 あれには重大な誤りがあったんだ…!」
「どういう事ですか?」
「こにしひろこをアナグラムすると…
 『ころしにこひ』、即ち『殺シニ来ヒ』になるのは周知の事実だが…
 ここで、さらに並べ順を変える事により…」
「えっ…!」
「見てくれっつーか!!
 『ここにひろし』となるんだよ!!」
「つ、つまり、『ひろし』なる人物が、この事件の鍵を握っていると…!?」
「ああ。間違いないっつーか。
そして、ひろしといえば『関口宏』の事だ
 これは、世間一般に声優人気が大爆発し、
 ゴールデンタイムのお茶の間に『どっちの声優ショー』が放映される…!
 その事を暗示しているんだっつーか!
 そうだな?チョンキバヤシ!
「…皆、こっちへ来てくれ。」
「!!」



「まず、こいつを見てもらおう。」
そう言って、ビデオテープを取り出すチョンキバヤシ。
デッキにテープを挿入、再生−−−
テンションの高いバイオリンが走る。
そして…
『♪アイタイ Love Love Love Love(アイアイアイアイ)のに〜』
「…?」
「このテープで良いんですか?」
「いいんだ、これで。」
「こ、この曲、僕歌えますよ!
 これ、堀江由衣さんの『LoveDestiny』のビデオクリップです!

「そうだ。そして、この中に問題のシーンがある…。」
『♪初めての出会いは平凡だったけどぉ〜ぉ 逢ぁう度に過去の 誰よりも惹かれてく 』
息をのみ、画面に釘付けになる一同。
………
……


『♪ポーズとは裏腹 巻き込まれていく感じ』
『♪見えない力で 引き寄せられていく』
2分34秒−−

「ここだ!」


「こ、これは…!?」



ほ、堀江由衣が二人…!?
 だが、そんなバカな…!」
「これは一体、どういう事なんですか!?チョンキバヤシさん!」
「うむ…それについては後で説明しよう。
 次に、これを見てくれ。」
PCを操作し、一枚の画像を表示するチョンキバヤシ。


「これは…」
「堀江由衣…ですよね?」
それが違うんだ。
「えっ…だって、どう見たってこれは…」
「いいか…!この人物は国府田マリ子という声優…!
 堀江由衣とは全くの別人なんだよ!
「なんだって!?」
「ですが、こんなに瓜二つな人間が…しかも同じ声優という職業だなんて…」
「そして、次にこれを見てくれ。」
チョンキバヤシがマウスをクリックする。
すると…


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?



重苦しい沈黙。
そして。
「だが…!」
意を決して立ち上がるタイメイ。
コンピュータ実験による検証で、この二人の人物…
 堀江由衣と国府田マリ子の、異常ともいえる相似性は証明された
 だが、それが意味することとは、一体なんなんだ、チョンキバヤシよ!」
4人の視線がチョンキバヤシに集中する。
「…今から俺が口にすることはあくまで仮説…
 俺の推理に過ぎないことなんだが…」
「き、聞かせてください!」
「チョンキバヤシ!」
「覚悟はできています…!」
「…ならば言おう…!この女性…
 国府田マリ子は堀江由衣のできそこない、プロトタイプだったんだ!


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!?


「ど、どういう事ですか!?」
「…何者かが、完璧声優の雛型として『国府田マリ子』を作った。
 だが、未完成であったがゆえ、あまりにも幼く、
 そしてあまりにもアニメ的な彼女の声は、
 大衆の支持を得る事が出来なかった。」
「そ、それで…?」
「そこで、声を徹底的に改良し、顔の細部を微調整した完全版『究極声優』…
 『堀江由衣』を世に送り出したと考えればっ…!
 堀江の異常人気はすべて説明がつく…!
!!
「例のアニメ、Kanonで、国府田の演じた名雪の扱いが、
 堀江の演じるあゆの『噛ませ犬』的な扱いだったことが、
 皮肉にも現状を暗示しているんだ。」
「…!」
「た、たしかに「声優」の改良を重ね、欠点を排除する…
 そんな事が可能なら、ありえない話ではないですが…」
「…そして俺は、消えた声優達も、この件と密接な関係があるんじゃないかと思うんだ。」
「ど、どういう事だ!?チョンキバヤシよ!」
「丹下桜と小西寛子。
 それに堀江由衣を加えた3者は、2000年の段階では、声優人気を3分する存在だった。」
「たしかに…」
「あの二人も、声優業を続けていれば、
 それこそ今の堀江をしのぐ人気を獲得していた可能性だって、ありましたよね。」
「…つまり、堀江由衣を世に送り出した何者かが、
 丹下桜と小西寛子という、2大新勢力を声優界から排除する事により、
 大衆から嗜好の選択の幅を奪い取り、強制的に堀江の独り勝ち状態を作り出した…!
 そう考えれば、全てのつじつまが合うんだ!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!

「で、ですが…」
「そんな事が…」
「全てが偶然…偶然の一致だったとは考えられないのか!?」
「…偶然の一言でで済ませるには…
 堀江はあまりにも誰からも愛され
 そして、あまりにも完璧過ぎるんだよ!」

「…で、ですが!」
立ち上がるユウスケ。
「ですが、仮にチョンキバヤシさんの仮説が正しくて、
 声優の仕事のすべてを、堀江由衣さんが独占したとして…!」
「…。」
別に人類が滅ぶわけでもないですし…!
 むしろ、僕としては、願ったり叶ったりって言うか…!」
「それが、そうも言っていられないんだ。」
「どういう事ですか!?」
「さっき見たビデオクリップを忘れたのか?」
「!!」
二人の堀江…!
「俺は、今回の調査の中で、最近の堀江由衣のスケジュールを調べてみたんだが…
 アニメやゲームのアフレコ、歌のレコーディング、ラジオのパーソナリティー、
 さらには雑誌のグラビア、あまつさえコンサート…。
 とてもじゃないが、一人の人間にこなせる仕事量ではなかった。」
「!?」
「そして、先程のビデオの画像…。
 その事から導き出される解答は一つ…!」
「まさか…!」
「そうだ… 堀江由衣は一人じゃない…!
 超過密なスケジュールをこなす為に、堀江はクローニング技術により、量産化されているんだ!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!

「ビデオクリップの映像は、何かの偶発的トラブルで、
 控えの堀江がカメラに写り込んでしまったモノだろう。
 それ以外では、あの映像の説明は出来ない。」
「バ、バカバカしい!なんだよそれ!」
涙目ながらに、強固に否定するユウスケ。
「それだけじゃない。これを見てくれ。」
「堀江の写真集ですか?」
「ここだ。このページにさり気無く書かれているコピーを見てみろ。」


「!?」
「さらに、さっき見たビデオクリップの曲…
 ラブデスティニー。
 あの中にもう一つ、堀江のクローンを暗示する歌詞がある。」
「そ、それは…」
「1番のAメロディーの最後…『運命の恋と 人は呼ぶのでしょう−−−』
 この次だ!」
「あっ…!!」
「そうだ。堀江オタクのお前にはわかるな、ユウスケ。」
「つ、続く歌詞は…
 『ひとみ 閉じたら ふたりになれる』
 です…!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!
「ま、まさか…本人の口から、クローンの事実が暴露されていたなんて…!」
「待ってください…!」
「どうした、アッサク。」
「そもそも…その曲のサビ、『アイタイ アイ アイ アイ〜』…
 変な歌詞だなと、さっきからずっと気になってたんですが…」
「そ、それは俺もだっつーか!」
「”アイ”を ”I” に置き換えれば…
 堀江の増殖を、暗に物語っている、とも受け取れます!」
!!


「だ、だがな、チョンキバヤシ。
 仮に、堀江由衣が量産されたとしても…
 それでも俺には、人類が滅亡するとは考えられないんだが…」
「確かに、今はな。」
「!?」
「もし、今後、今以上に堀江人気が爆発したとしたらどうなる…!
 各業界の堀江需要が増し…そして、供給する側には、それに応え得るクローン技術がある…
 結果は必然…!堀江のクローンは増加…街は堀江で溢れかえるんだ!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?

「そ、そんな事が現実になったら…!」
「世の女性達は失職してしまいます!
 そうなれば、失業率はさらに増加…!日本経済は完全に崩壊してしまう!」
「ああ…それも問題なんだが…もっと恐ろしいのは、
 堀江の魅力に魅せられた男達が、世間一般の女性には見向きもしなくなり、
 ただ堀江を求めるようになる事だ。」
「!!」
「た、確かに、今の堀江人気を考えれば…!」
「ありえない話では無いな…。」
「−−−そして、数年後…
 世に送り出された堀江のクローン達が結婚し…子を産み、世界は堀江の子供で満たされる。
「………。」
「そして、やがて…その子供達が大人になり、結婚する。
 同じ母を持つ者同士の交配…
 即ち近親交配が行われる。
 結果は言わずもがな…!
 やはり人類は滅亡する!!



「…だ、だが、一体、誰が何のために…!?」
「それは、まだ解からない。…だが、必ず暴き出してみせる…!」
「そうですね。やりましょう、チョンキバヤシさん!」
「行きましょう!」
「ああ!」
「よし、行こう!いこうぜ、みんな!」





我々HMRは、現在、堀江由衣を、徹底調査中である−−−!















完璧声優1号…ハヤシバ…
キャラクター造形に歪み在り…失敗…プロジェクト凍結…
完璧声優2号…コウダ…
声質の調整不足…失敗…プロジェクト凍結…
完璧声優3号…ミツイシ…
演技能力に異常…失敗…プロジェクト凍結…
完璧声優4号…シイナ…
自尊回路に異常…声優としての職務の全うを拒否…失敗…プロジェクト凍結…
完璧声優5号…クワシマ…
性格に歪みあり…失敗…プロジェクト凍結…
………
……

完璧声優6号…ホリエ…
2号の改良系…現在プロジェクトは順調に進行中…
完璧声優7号…ミズキ…
4号の発展系…現在プロジェクトは順調に進行中…














■おわり■

※この作品は事実をもとにしたフィクションです。

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