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−−サンジのオヤツーー
勢いよくキッチンの扉が開き、ウソップが猛ダッシュで甲板に飛び出してきた。
「まて、このクソ野郎っ!!」
ウソップを追ってキッチンからでてきたのはサンジ。彼は額に青筋をたててウソップを追っている。
ウソップは、自分を追ってきたサンジのその顔を見て、走るスピードを速めながら大声で怒鳴った。
「キライだって言ってんだろっ!!」
「キライもクソもあるか!」
「最初から言ってんだろっ!」
「俺も最初から言ってんだろーがっ!食い物を粗末にすんじゃねえよ!」
「粗末になんかしてねぇよ。どーせルフィが食うだろっ?!」
「俺はてめえに言ってんだっ!このクソ・・・」
「野郎」と続くその言葉を言う前に、サンジは甲板に転がる。何かにつまずいてしまったらしい。
派手に転んだサンジを振り返って見てウソップは立ち止まり、サンジの方に戻って行き声をかけた。
「おい、なんでこんなトコで転んでんだ?大丈夫かよ?」
「っきしょー。痛てぇ・・。」
何につまずいたか確認するようにまわりを見ているサンジに、ウソップは
「あ、それじゃねぇの?」
とあぐらをかいているサンジの靴を指差した。
ウソップに指差されたサンジの片方の靴底は、つま先の方が少しだけペラペラと剥がれている。
「あ〜・・。畜生。この靴、高かったんだぜぇ・・。」
サンジはペラペラしている方の靴を脱いで、残念そうに呟く。
「お前がなんでも蹴りまくってるから、靴の寿命が短くなるんじゃねえのか?」
冷静に言うウソップを見上げてサンジはウソップの足首を掴もうとしたが、ウソップは素早くそれに反応しまた一目散に走り出す。
サンジはウソップの走り去った方を見て小さく舌打ちをしてから、もう一度靴を履きゆっくりとキッチンに戻って行った。
キッチンに戻るとすかさずビビに声をかけられた。
「ウソップさんて、本当にキノコが苦手なんですね。」
「そうなんだよ、あの野郎。俺の作ったものを残すなんて許せねぇだろ?」
「うめえのになあ。」とルフィが口をもごもごしながら言う。
「あんたはなんでも美味しいんでしょ?でも、サンジくん、ウソップがキノコ嫌いなの知ってて、このメニューはキツイわよ。」
ナミが呆れたようにルフィに言ってから、食後のお茶を飲みながらサンジに言った。
「えぇ、でもせっかく美味しそうなキノコを市場で見つけたから・・。ナミさんとビビちゃんに食べて欲しくて。」
サンジはウソップの残したキノコピラフをルフィに渡して、ビビのカップにもお茶を注ぐ。
「まだまだキノコ、余ってんだよなぁ。・・ったくあの長っ鼻はワガママ言いやがって・・。」
「夜ご飯は、キノコ無しのメニューで作ってあげてくださいね、サンジさん。」
ビビが微笑んでサンジに言うが、サンジは顎鬚に手をやり少し悩んでいる様子。
(あの野郎がキノコキライになったのは、毒に当たったからなんだよなあ。味自体はキライじゃねぇんだよなあ・・・。)
サンジはルフィがキノコピラフにがっつくのを横目で見ながら考えていた。
ウソップはナミのみかん畑に逃げ込んでいた。
みかんの木に隠れながら下のキッチンの扉が開いたり閉まったりするのを見て、
サンジ以外の仲間達はみんなキッチンを出て行ったのを確認する。
ウソップから見た仲間達はみんな満足そうな顔をしてキッチンを後にしている。
「じょーだんじゃねぇぜ、あのラブコック・・。なんだってんだ!あのピラフは。あんなの食えたモンじゃねえ。」
そう呟いた直後、ウソップのお腹がギュルギュルギュルと、音をたてて鳴った。
「ちきしょー。腹減ったなぁ。どーせサンジはずっとキッチンにいるだろうし、今日は夕飯までこのままかぁ?」
そんな事を考えていると、
「おい」
と急に後ろから声をかけられた。ウソップが振り向くとそこにはゾロが立っている。
「あぁ、なんだ、ゾロか。どうしたんだ?」
ゾロはウソップの横に座り込み、1番太いみかんの木によりかかる。
「昼寝だよ。この木の下がちょうどいいんでな。」
ウソップはゾロを見て納得した。木陰になっているし、木と木の間から、優しい風が通り抜ける。
ここなら、ゾロじゃなくてもぐっすり眠れるだろうと思った。
「腹減ってんなら寝ちまうのが1番だぜ。腹が減ってるって事、忘れるからな。」
ゾロはそう言って、頭の後ろで手を組み、寝る体勢を整える。
「腹が減ってて眠れねーよ!おめぇと一緒にすんなっ!!」
ウソップはゾロにそう怒鳴ってから立ち上がりみかん畑を出て行こうとする。
「どこ行くんだよ?」
「おめぇの昼寝の邪魔になるだろっ!部屋に戻る。」
振り向きもせずにウソップはそう言い放って、歩いて行ってしまった。
「別に邪魔じゃねーのによ。」
ゾロは心の中で呟いてから、ゆっくりと目を閉じ自分を通り抜ける潮風を感じていた。
その数分後には、ゾロの寝息が1番太いみかんの木に静かに響いていた。
ウソップはみかん畑を出てから、男部屋に戻っていた。
ルフィとチョッパーは甲板でウソップの作った釣竿で遊んでいる。
「ウソップも一緒にやらないか?」とチョッパーに声をかけられたが、「後でな」とだけ返事をして男部屋に入ってきた。
靴を脱いで、自分のハンモックの上に横になる。
靴を脱いだ時に一瞬ウソップの脳裏をかすめたサンジの靴。
「あ・・・、あいつの靴、壊れたままだな。あれじゃ危ねーだろ。予備の靴、持ってねぇのかな?」
ハンモックの上に寝転んだまま、ウソップはサンジの荷物の置いてある方に目をむけた。
パッと見たカンジでは、靴は無さそうだった。大きなバックがあるが、もしかしたらその中に入っているのかも知れない。
ハンモックの上で寝ずらそうにゴロゴロ転がりながら、ウソップはヒマを潰していた。
ウソップは新しい武器の事を考えたり、ナミに頼まれた武器の事などを考えている。
何かを作ることが好きなウソップは、そんな事を考えているとあっというまに時間は過ぎる。
一度、起き上がって、大きく伸びをしてみる。
すると、入り口が開き、サンジが梯子をゆっくり降りてきた。
「サ、サンジっ!」
サンジは殆どの時間をキッチンか甲板で過ごすのをウソップは知っているので、
こんなに早い時間からサンジが男部屋に来た事をびっくりしている。
「やっぱりここにいたのか?おめぇの為にオヤツ作ってやったぞ。来いよ。」
サンジはそう言いながら梯子を降りて、自分の荷物の方に歩いていく。
ウソップのお腹はサンジの「オヤツ」と言う言葉に反応し、一度おとなしくなっていた腹の虫が、またギュルギュルと鳴り出した。
「先に行ってろよ。」
サンジは自分の荷物を探りながらウソップのお腹の音を聞いて言った。
「お、おうっ!!」
ウソップは嬉しそうに梯子を大急ぎで登る。
ウソップの頭の中は、以前サンジが作ってくれたオヤツ、「プチフール」だとか、「タルト」だとかでいっぱいになった。
甲板に出て、ウソップはすごいスピードでキッチンに向かって走っていく。
キッチンの扉を開けると美味しそうなできたてのクッキーがウソップの目に飛び込んできた。

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