遙かなガンダーラ          2000 5月2日制作

  ここは仏教発祥の地 ガンダーラ

  今はその面影もなく

  イスラムの地

  厳格に日々の生活を律する回教の国

  遠く望むヒマラヤが

  モスクの塔が

  その変遷を知っている
 
 わずかに しるしを残す 仏像遺跡

 そびえ立つ崖に 刻まれた

 五米ほどの仏

 冨と権力で作られた 奈良の大仏

 それと比べ なんと素朴な

 しかし 名もない工人が

 荒涼とした自然 旅する人々の無事を祈り

 渾身の力を使い 作った 崖に残る仏の像 
 
  恵まれた 富める国の王子

  若者となり 初めて出た城外で

  みにくい老人をみて 老いを知り

  苦しむ病人を見て 病をおそれ

  死せる人を見て 死とは何かと 答えを求め

  城を 家族を捨て 苦しい断食と 瞑想のくりかえし

  六年の歳月 それでも解けない 奥深い道

  ガンダーラの ブッダの像

  すざましい修行 求道を物語る ブッダの像

 かっては修行僧で 満ちあふれた

 仏教寺院跡 タフティバヒ

 しかし今は 観光の季節もはずれ

 人の気配もなく 静寂の中に たたずむ

 石積みされた 多くのほこら その中に

 仏像が安置され 全体を 屋根が覆い

 ほの暗い ほこらを照らす かすかな燈光

 今はそれもない 僧の読経 それもない

 ガンダーラ 遙かな昔の ガンダーラ
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