メールマガジン 東と西のあいだにて 第2号
『滞在許可書更新物語(1)』
2003年7月24日
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☆★東と西のあいだにて★☆
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第2号 滞在許可書更新物語(1) 【発行】SK
『滞在許可書更新物語』
◆1
滞在許可証をとるのはなかなか大変である。
ヨーロッパ圏以外の外国人学生の場合、
6ヶ月以上の仏国滞在ならば必ず取得しなくてはならない。
日本人ならば3ヶ月まではビザなしでも欧州に滞在可能であるが、
それ以上となると日本の仏大使館で学生ビザの取得をしなくてはいけない。
3ヶ月以上、半年未満の滞在ならば6ヶ月用のビザ、
半年以上となるとちょっと複雑で、3ヶ月のビザを日本で取得後、
渡仏してすぐに滞在許可証の申請へと切り替えなくてはならないのだ。
そして有効期限を一日でも過ぎてしまえばなんと「不法滞在」になってしまうのである!
その許可証にちょっとした問題が発生してしまった。
以前に暮らした土地で申請していたものの予約証しかもらえず、
(注:許可証の実物をもらえるまでの仮の滞在証明)
その期限は8月末で切れてしまうのである。
新たに申請するまで時間を必要としており、私は不法滞在の身となってしまう。
最悪の場合、帰国しなくてはならない。真っ青である。
とにかくなんとかならないものかと、残り少ない有効期限内に、役所に行くことにした。
◆2
朝八時半に出発する。
地下鉄の6番線、クーボンヌの駅だと聞いてはいたが、正確にどこだかは知らなかった。
普通ならば各都市の県庁に出向くのだが、パリは人が多いため学生の申請地が違うのだ。
友人は「旗が立っていて、人が並んでいるからすぐにわかる」と言ったが、
地図にも載っていない、名前もわからない建物を見つけられるのか不安だった。
おまけに相当長いこと待たされると聞いている。
ピーク時では連日、朝3時から並ぶ人がいるという。
フランスでは係員の対応次第でどうすべきか決まってしまうことが多々あるので、
できるだけ早めの、まだ彼らが疲れきっていない時間帯に着きたいのであった。
しかし、結局散々迷ってしまった。
件の駅は15区で、地下鉄が高架線上を走っているのである。
その視界を縦断するようにふさぐ高架線で、
四方交差点に道が何本もつながっているように見えてしまう。
相当に焦ってしまう。気が気ではない。
突然頭に「右も左もわからない」という日本語が流れ、
その文の意味を納得できたことに驚きつつもやはり困惑している。
「不法滞在」そして「強制送還」といった言葉もぐるぐると頭の中を回り始めるのだった。
◆3
それでもようやくたどり着いたその場所は学生センターというような名前だった。
建物の外側に、行列は見当たらない。
内部にはどれほど人が多いだろうかと思いながら警備員のチェックを受け、
らせん階段を事務所へと上ると、カウンターの係員と目が合い、呼ばれた。
つまりは、時期外れに運良くあたり、全く待つ必要がないのだった。
あわてて書類を出し、自分の事情を必死になって説明する。
アフリカ系の受付嬢は落ち着いた様子で書類に目を通し、
「9月に入ったらまたいらっしゃい」と言う。
8月末で切れてしまう有効期限を見せ、9月には効力がないことを心配しているんだと、
私はさらに必死で訴える。
するとその女性はなんでもないように言った。
◆4
「効力が切れたって一ヶ月は問題ないのよ」と。
その場で一瞬呆然としてしまう。
ええ?問題ない?!
じゃあ、なんだって守られない日付が指定されているのだろう。
そんなの有効期限ではないじゃないか?
あわてて会話を打ち切った。そして逃げるようにその場を去る。
小さな衝撃からまだ冷めてはいなかったもののこちらには好都合とわかったからである。
すっかり肩透かしをくらってしまった。
フランス人の感覚で、書類申請を進めなくてはならない。
几帳面といわれる日本人にはやはり滞在許可書申請は大変かもしれない。
■■あとがき■■
当「東と西のあいだにて」も創刊第二号を迎えることができました。
読者の皆様、本当にありがとうございます。
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東と西のあいだにて 2003年7月24日
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