20話 あなたへ届けlove letter 燃える闘魂熱いぜjanken!



「あ、もうこんな時間?」

扇風機の風に髪を揺らされながら、ふと教室の壁にかけてある

時計を見て亮は呟いた。

その思わぬ呟きを聞いた遼平が「んにゃ?」とこれまた間抜けた声を

出しながら言う。

「僕お腹すいたにゃ! 亮くん、買ってくるにゃ!」

可愛らしく亮が着ている制服の裾を引っ張る。

しかし、いくら可愛らしく言っても姿は男の橋本遼平なわけであって

デレデレしながら「あ、いいよいいよ」なんて言う筈も無い。

「こんな夜に、面倒くさい。 あ」

亮はロッカーの上に置いてある、茶色い物を見つけた。

少し潰れていて変な形をしているが、食べられないわけではなさそうだ。

「黙ってこれでも食っとけ」

それを掴んで遼平に投げつけると、遼平は「ありがとー」と言い終わらないうちに

ぺロッと完食してしまった。



そんな事は露知らず、優子はそこらへんの机と椅子を

山積みにされた席達から引っ張り出し、それに座って手紙を書いていた。

その手紙のメモは優子お気に入りのプーさんメモ帳。

しかもそのメモの中でも更にお気に入りな一枚である。

だが、これは今使うべきなのである。重要なラブレター。

やっとのこさ書き終わり、コツッとシャーペンの先と机がぶつかり合う音が聞こえた。

それを丁寧におりおり。そして席を立ち上がり、寝ている綾の元へと行く。

「おーい、綾さーん?」

言いながら大きく身体を揺すってみるが、反応はない。

「綾さん? 起きないとどうなってもしらないよー?」

「……ぐー」

優子は大きく拳を振り上げた。それをクラス中のみんなが息をのんで見つめた。

「お・き・ろ!」

ドゴッ!!



「いい? これを無事いー君に届けてくるのよ、高速で」

「はひ……」

優子は微笑んで綾にlove letter(もどき)を手渡した。

綾は泣きながらそれを受け取り、背中から羽を出して学校を飛び立つ。

「よし!」

それを見送ってから優子は自分のバッグをしょって、横に座って

呆然とさっきの事を思い出している華に

「じゃぁ、今から愛を求めに行ってきま〜す!」

とお茶目に言い放ち、急いで教室を飛び出した。

すると、今度は歩がうっすらと目を開ける。

「あ、歩ちゃん!」

加奈子はドライヤーの設定をHOTからCOOLに変え、それに応答した。

歩はうつろな目で小さく口を開く。

「スンデレラ城……愛……」

またバタッと倒れる。もう何だかわからん。

歩の頬には、一筋の涙が、輝いていた。

井上くん(ついでに美沙と亜美)へ

村田くんに会いました。勇気を見つけました。

学校に行きました。からあげが潰れました。いま、会いにゆきます。

こんな低レベルなラブレターはありですか?



「あはははははは、三船ナーイス!」

亜美と美沙が手を打ちながら笑う。

学校とシンクロ率ハモり率、共に200パーセント。

三船は歌った恥ずかしさで顔を赤くしながら近くにあった椅子へ腰掛けた。

すると、祐樹が「あ」と何か思い出したように言った。

「そういえば、今日ネズミー行くんだよな?」

その言葉を聞き、「あぁそうだったねー」と亜美は常備していたチケットを取り出した。

「いいか」

祐樹は神妙な面持ちで話し始めた。

「チケットは5枚、この場に居るのは6人。 これが何を意味してるか分かるか?」

一瞬にして彼らは感づいた。

というか問題簡単すぎます。幼稚園児じゃあるまいし。

美沙が、はい、と言って手を挙げた。

「この中で1人、置いてけぼりをくらう人がいる……って事ですよね?」

「正解だ」

え、何この空気。

この言葉を聞いた亜美がヒステリックに声を上げる。

「え、誰がなるの!? 私嫌だ!」

ふと5人の頭にある人物の名前が浮かび、そちらへと視線を向けた。

訂正。宏光だけはGBから目を離さなかった。

「――……え、俺!?」

明弘が自分に指をさして亜美よりも大きな声を上げた。

祐樹はそれを見て「いやー」と言い

「いくらヤラレキャラだからってその仕打ちは……」

考え込む祐樹。すると今度は宏光が手を挙げた。

「ポ○モンで戦闘して決め……」

「ここは公平にジャンケンで行こう」

宏光の発言を遮る様に、否遮って三船が提案した。

それに全員(宏光は不満そうだが)同意。

そして右手拳を力強く握り締め、6人声を合わせて言った。

「最初はグー!」

ここで今、世界中の何よりも熱いジャンケンの始まりが火蓋をきって落とされた……!







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