今日は生暖かい風が吹いている。
こんな日は、あれがとっても似合う。
肝試し
じめじめした空気。
暑い日差し。
そんな暑さに体力を削られたスマイルは、ユーリの城に入って安堵のため息をついた。
「ふぅ〜・・・さすがに僕でも暑さには弱いかも・・・。」
スマイルがそんな独り言を呟いた。
ユーリの城は石造りだ。
その為真夏でも中はひんやりと冷たく感じる。
特に地下室なんて、鳥肌が立つくらいだ。
しかし、それはメンバーにとって丁度良いことだった。
まぁ、地下室で鳥肌が立つほど寒いのには他に訳があるけれど。
幸い彼らは吸血鬼、人狼、透明人間だったので特に問題は無いと思われた。
が、人狼は極度の怖がりだったのだ・・・。
そんな人狼の怖がりを直そうとスマイルは計画を練っていた。
そして、今日が計画実行の日というわけだ。
ユーリに事前に許可をもらい、ユーリ城が舞台となった。
ユーリの城ははっきり言って肝試しに最適だった。
その計画を話すとユーリも、面白そうだと計画に参加をした。
そして、人数の足りない部分はMZDに協力をしてもらい、
ポップンパーティーの参加者を程々に集めてもらった。
そんなわけで、アッシュを驚かして怖がりを直すための肝試し大会が実行に移された。
もちろんアッシュには全て秘密で・・・。
「ヤッホー☆元気ィ??」
「お前は無駄に元気だな。」
「ご機嫌っスね、なんかあったんスか?」
「へっへ〜♪実はいいこと思いついちゃったんだよねぇ☆」
「???」
アッシュは訳が分からないという顔をしてスマイルを見た。
スマイルはそんなアッシュを確認するともったいぶって紙を取り出した。
「じゃーん☆」
「どれどれ・・・気もだめ・・・し・・・?」
「ほう、面白そうではないか。」
「でしょ?」
「いつやるんだ?」
「ん?モチロン、今日に決まってるでしょ♪」
「ええええぇぇぇぇぇぇっ!?」
「何だ、怖いのか?」
「俺が怖がりなのユーリも知ってるでしょう!」
「あぁ、知っているぞ。」
「じゃ、じゃあ・・・!」
「場所はどこだ?」
「ここだよ☆」
「・・・マジっスか・・・?」
「マジだよー♪」
「本気だが?」
アッシュは項垂れたように耳を垂らした。
「じゃあ、参加者の人たち呼んでくるネー☆」
「へ?他にもいるんスか?」
「うん、多いほうが楽しいでショ?」
そう言ってスマイルはお得意の笑顔をアッシュに向けると、すっと消えた。
そのまま唖然としながらアッシュは思い出したように呟いた。
「用意・・・誰がやるんスか・・・?」
―――――――――――・・・・・・。
「それじゃー、ルール説明するヨー!」
MZDが集めたメンバーに向かってスマイルが大声で言った。
「あぁ、始めてくれ。」
「ルールは簡単☆このユーリ城の地下の一番奥の部屋の棺桶の中に造花のバラが置いてあるのでそれを取ってきてください!」
「ひ・・・一人で・・・っスか・・・?」
「う〜ん・・・そうだねぇ・・・。じゃあ、二人組にしようか!」
「はーいっ!賛成!」
「私さなえちゃんと行きたいなv」
「私もりえちゃんとがいいわ!」
「じゃー一組決定!」
「よし!じゃあ、二人で幽霊がいたらやっつけようぜ!スギ!」
「そうだな、じゃあ一緒に行くかレオ!」
「ハイ、もう一組決定☆」
「あと残ったのは私とアッシュとスマイルとサイバーか・・・。」
「あー・・・僕もうサイバーと行くって決めてるんだよね☆だから二人で行ってよ。」
「あぁ、分かった。それでいいか、アッシュ。」
「は・・・はいっス・・・。」
「いいそうだ。」
「じゃあ決定だね!」
意外とスムーズに組み分けは終わり、ついに肝試しが始まった。
「じゃあ、一組めのりえさなチーム出発!」
「いってきまーす!」
「気をつけろよ!」
「次のチームは5分後に出発だからじゅんびしておいてネ☆」
「わかった!」
そして5分たちスギレオチームが出発した。
「次僕らが行くから、アッシュとユーリはまた5分経ったら来てネ☆」
「あぁ、わかった。」
そして、スマイル達が出発し5分経った。
「では、行くか。」
「や、やっぱ俺ここで待って・・・!」
「何だ、狼男のくせに怖いのか?」
「だって、怖いの苦手なんスよ〜!!ユーリは怖くないんスか!?」
「あぁ、無いな。私は吸血鬼だからな。」
「いいっスよねぇ・・・いざとなったら飛べるんスから。」
「失礼な。そんなことより、おかしいと思わないのか?」
「?何がっスか?」
ユーリの顔が突然険しくなっているのに気づいてアッシュの身が固まった。
「最初のチームが出発してから15分は経っているというのにまだ帰ってきていない。」
「あ・・・!そういえば!!」
ユーリの城の地下室はそれほど広くは無いので往復でせいぜい10分程度だった。
「それに、声すら聞こえない・・・地下室では音が響くはずだ。」
「じゃあ・・・皆さんどこに行っちゃったんスか・・・?」
「行くぞ、アッシュ!」
「はいっス!!」
そして最後のアッシュとユーリの組も城の地下室へ足を踏み入れた。
スマイルの計画に乗ったとも知らずに。
「おい・・・誰かいないのか?」
「皆さーん・・・どこにいるっスか・・・?」
大きな声で呼んでも、誰の気配もしない。
アッシュは不安になってユーリに引っ付くようにして歩いた。
「なんだ、歩きにくい。」
「あ、す、すみませんっス!で・・・でも、怖くて・・・。」
「全く、頼りにならんな。」
「すみません・・・。」
石造りの地下室では靴の音がよく響いた。
その音がまた、恐怖を引き立てる。
すぅ・・・っと風が吹いただけでアッシュは身震いした。
「だ・・・誰もいないみたいっスねぇ・・・。」
アッシュがそう呟いたとき、目の前を白い影が素早く通り抜けた。
「!!ユユユユユーリッ!!」
「今度はなんだ・・・。」
「い、今白い影が・・・!!」
「気のせいだろう。」
「で、でも目の前を通って行ったんスよ!?」
「では追いかけてみればよかろう?」
「嫌っスー!!」
アッシュはユーリにしがみついたまま縮こまっていた。
「情けないな。」
「そんなこと言ったってー・・・。」
「もういい、お前が行かないのなら私が行く。」
「え、ちょ・・・ユーリ!?」
そのままユーリは暗い地下室の奥へと行ってしまった。
「お・・・俺一人・・・っスか・・・?」
その場に数秒座り込んでいたアッシュもすぐに立ち上がりユーリのあとを追いかけた。
「ユーリ!!皆さん!!どこにいるんスかー!?」
しかし、ユーリには追いつけず、アッシュは一人地下室を彷徨う羽目になった。
そしてそんなことをしているうちに地下室の一番奥の部屋・・・つまり、棺桶の置いてある部屋に着いてしまった。
「ここ・・・ゴールの・・・皆さんここに集まってるんスかねぇ・・・。」
恐る恐る扉を開けるとそこに人影は無く、あるのは造花のバラが入った棺桶だけだった。
しかも一本も無くなってはいない。
「まさか・・・ここに到着する前に消えちゃった・・・?」
アッシュが戸惑っていると扉がひとりでに閉まった。
「!?えぇ!?そんな!!だ、誰か!!」
アッシュが慌てて扉を開けようとする。
しかし予想以上に扉は軽く簡単に開いてしまった。
「・・・へ?」
開けた本人も不思議に思い外へ出て扉の周りを見回してみると・・・
「スマイル!?」
「あ、ばれちゃった〜?」
「何してんスか!!」
そこには尻餅をついたスマイルと、ほかの参加者の姿があった。
「皆さんも・・・ひょっとして俺をだましてたんスか!?」
「あ、ははは・・・アッシュ・・・怒らないで・・・。」
「怒るっスよ!!全く!!」
完全に計画がばれてしまい、スマイルは内心残念に思った。
「ってことは!ユーリもあれは演技だったんスか!?」
「当たり前だろう、馬鹿犬。・・・いや、意気地なしか?」
「酷いっスー!」
「たかが白い影を見ただけであんなにもびくびくしおって。それでも本当に狼男か?」
「でもあれはホントに驚いたんスよ!」
「へ?白い影??何のこと?」
「何だ、お前じゃないのか?」
「僕知らないよ〜?見間違えじゃ無いの??」
「え?でも確かに・・・。」
「ってことは・・・本物??」
その瞬間、ユーリ以外の参加者の顔は蒼白に染まった。
そしてアッシュは眩暈がして座り込んだ。
「何だ、この城は古いのだから幽霊の一人や二人くらい居たっておかしくは無いのだぞ?」
平然としたユーリの言葉を聞きながらアッシュも他の全員も
「もうユーリ城で肝試しなんか絶対にしない・・・!」
と心に誓ったのだった。
ちなみにアッシュの怖がりが治るどころか、より一層酷くなったのは言うまでも無い。
END
+++後書き+++
ありがちです!!!もう自分でも困ってしまうほどにありがち過ぎます!!
まぁ、ネタもありがちだったんで・・・しょうがないですが。
お友達との会話から生まれた小説です。
Deuilならお化けも平気そうだよね!!とか、アッシュは怖がりだから無理かも!とか、路上で妄想に浸りながら(笑
もっと面白おかしくギャグっぽくしたかったんですが・・・無理ですか?
私はギャグ人間ではないのね・・・。と改めて知らされました。
夏といえば肝試し!!って感じですが、私は肝試しとかは苦手です。
怖がりのくせに好奇心が勝ったりしますが・・・。(汗
怖い話は全然平気です!えぇ、そりゃもう!むしろ聞きたがりです。
聞いてしまった後、後悔したりするのですがね(駄目じゃん
どうしてもアシュユリに偏ってきますね・・・全然そのつもりは無かったのになぁ。
気づけばアシュユリ・・・いや、ユリアですか???
ってかユーリ冷たいね!!しかもアッシュ弱虫だね!!へたれ度倍増です。(笑
しかもやたら長い・・・ここまでお付き合いくださってありがとうございましたvv