「鉄検」と「時刻表検定」


 現在、鉄道系の検定試験としてJTB系の「鉄道旅行検定(鉄検)」と弘済出版系の「時刻表検定」がある。どちらもまだできたばかりで、主催者側も試行錯誤の状態という。

 そんななか、「時刻表検定」を主催する会社が「練習問題集」を出版することになり、その問題作成の仕事が舞い込んだ。「時刻表検定」はまだ1回しか行われておらず、今後どのような問題を出していったらよいのかの参考にもしたい、ということで実はなかなか責任重大な仕事だったのである。

 B5版の大型時刻表も大きく2つあり、JTBの『JTB時刻表』と弘済出版の『JR時刻表』がある。2つとも編集方法に特色があり、利用者にも「JTB派」「JR派」がいるといわれる。

 編集方法の大きな違いといえば、簡単に言えばJTBは「趣味的」、弘済(JR)は「実用的」なのではないかと思っている。『JTB時刻表』だとまず東海道・山陽本線から始まってそれがまず下関まで延々と続く。次に房総各線、東海道・山陽本線の支線各線・・・・という具合に配列してあり、「青春18きっぷ」利用者でもない限り在来線の東海道・山陽本線を東京から下関まで利用する人などまずいないから、検索する際は何十、何百というページをめくってあっちこっち見なければならないのに対し、『JR時刻表』は東海道線はまず米原で終わり、次に東京〜米原間ののりかえ各線、そして米原から先の続き・・・という形で構成しており、『JTB時刻表』に比べれば便利である。

 ただ『JTB時刻表』の配列は路線名に忠実で、まず本線が掲載されてそのあとその支線群という形は一部を除いて一貫されており、そのあたりが分かっている人には配列を覚えやすいという点もある。だから「趣味的」だと思うのである。また、鉄道マニア向けの欄外コラムもある。

 検定試験にもそれが出ており、JTB系の「鉄道旅行検定」はかなり趣味的な問題が多く、そもそもの趣旨が、鉄道の知識をたくさん持った人がそれを試す機会を提供する、というものだから趣味的、変な言い方をすれば「自己満足」な試験であるのに対し、弘済系の「時刻表検定」はまず『JR時刻表』の持ち込みが可能で、問題そのものも時刻表を見れば分かるような問題で占められているところから、純粋に時刻表が使えるかどうかを試す実用的な検定試験という印象を受ける。

 だから、今回の仕事でも趣味的な知識を問うような問題は極力避け、時刻表を見れば分かる問題を作るよう心がけた。逆に、列車が遅れた時の扱いや、運賃と料金の距離計算の違いなど、多少専門的とも思える事柄でも時刻表に載っている事柄は取り上げた。時刻表さえ使いこなせれば、かなりの事案を処理できるということを知ってほしかったからだ。ちょうどこれは大学の入学試験にも似ている。東京大学の入試問題は良問が多いといわれるが、それは一見難しいようでいて、実は教科書に載っている知識で解ける、というものだ。(私にはとても時間内に解けないが)

 今回の仕事は私一人で受けたものではないので、他のメンバーの問題も見せてもらったが、「115系が云々」とかいう問題もちらほら見えて面食らった。「鉄道旅行検定」の練習問題作りじゃないんだよ? 宇都宮線に乗って「115系ってご存知ですか?」と聞いたって知ってる人なんかほとんどいないよ? 君は知ってるのかもしれないけどさ。

 「時刻表検定」を主催する会社の方はたぶん分かっていると思うが、この世の中に「鉄道旅行検定」なんてものは1つで充分。「時刻表検定」は実用性という路線を明確にして、「鉄検」とは一線を画すようにしてほしいもの。それが時刻表のさらなる普及にもつながると思う。(といっても、すでに「一番売れてる月刊誌」って時刻表なんですけどね)


高橋秀暢/g98a1514@mn.waseda.ac.jp