

たけちゃんのラジオ情報
松尾雄治のピテカンワイド
ビートたけし&ガダルカナル・タカ ゲスト出演 〜 2000年12月18日〜22日の放送より
佐藤公哉(相談役)
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<12月18日(月)>「ビートたけし・松尾雄治しか知らないふたりの秘密」
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松尾:今回はですね、たけしさんをゲストにお招きするということを放送で知らせた結果、リスナーからの質問FAX・メールがたくさん届きまして、その中からこういった色々なテーマでお話させていただきます。よろしくお願いします。江東区のチハルさんからの質問です。「たけしさんと松尾さんが出会ったきっかけは?」。出会ったきっかけ、どこでしたっけね?出会ったのは。
ビートたけし:出会ったのはアレだろう、あの……。
松尾:松尾伴内と間違えたんですよね、最初、店で。
たけし:そうそうそう、山城(新伍)さんか何かがいたとこで、「松尾が来てますよ」って、「松尾さんが来てる」って言うから、「“松尾さん”だ?この野郎偉そうに」と思って。「何だあいつ、さん付けなんかさせてやがるな、伴内の野郎」って、「おい松尾!」って言ったら――。
松尾:便所の前で待ってたんだよね。
たけし:「松尾!」っつったら居たんだよ、驚いちゃったよ。「何だおい、ラグビーの松尾だ」っつって。あれで焦っちゃったんだよ。
松尾:そこが最初だったんですよね。
たけし:それで「松尾!」っつっちゃったんだ。
松尾:それで、その時の第一印象はどんな好感度でした?
たけし:笑ったね。
松尾:ははは。
たけし:その前に、噂聞いてたから。あの、膝故障したりね、いろんな故障してる割にはね、新聞とかいろんなニュースで「再起不能」なんて言ってる割にはね、銀座で飲んでたり六本木でグチュグチュいわせたりカラオケで歌ってるのも知ってたしね、「インチキ野郎!」って言ってやろうかと思って。
松尾:ははははは!
たけし:「詐欺師!」とか言ってやろうと思って。
松尾:そういうことですね。
ガダルカナル・タカ:すいません松尾さん、急に入って来てごめんなさい。
松尾:いやいやいやタカちゃん、あ、どうも。
タカ:どうも。ラジオをお聞きの皆さんこんばんは。あっ、こんにちはですね。
松尾:こんにちはだよ。
タカ:これが今、TBSでも評判が悪いと言われているラジオ。
松尾:はっはっはっ、何を言ってるんだ、大変な週なんだから。
タカ:えー、“爽やかな汚れ”ガダルカナル・タカでございます。
松尾:ね、すごいよもう。ホントに。
タカ:いや、これ、いいらしいですよ、今。
松尾:だってこれ、アレですよ、黒田征太郎さんが描いてくれたんですよ。クロセイさん。
たけし:クロセイさん。
タカ:大評判らしいですよ。
たけし:ホント?
松尾:ホントなんですよ。
タカ:このラジオ、レーティングもいいし。
たけし:うん。
タカ:松尾雄治は最高だなァ!ってかなり評判になってる、って言え、ってさっき言われたんですよ。
松尾:ははははは!
たけし:それだけだろ。
松尾:いや、まずね、たけしさんがすごいと思ったことはね、僕はたくさんありますよ、ホントに。ホントにあるのはね、やっぱり、よく「ドミナント」で飲んだじゃないですか。あの時もたけしさんがさ、「飲みましょう」って言うと「おおいいよ」っつって、必ずたけしさんはひとりで来るんだよね。
タカ:あっ、そうですよね。普段そうですよ。
たけし:友達いないんだもの。ひとりでも誘ってもらったら、外しちゃいけないから。何だよ。
松尾:必ずひとりで来るんだよね。
タカ:どこでもひとりで行きますよね。
松尾:俺、それはね、すごいと思ったし。それからね、もうひとつは、「おい、そこ(の店)はあの、今日汚いカッコなんだけどよ、大丈夫か?」「いや大丈夫ですよ」って、ホントにTシャツ一枚で来たもんね(笑)。Tシャツにサンダル、汚ーい作業ズボンみたいなので。
たけし:俺はね、大体ね、それが嬉しいんだよ。どんな高級レストランでもね、大抵服装うるさいとこがあるだろ、今までね、断られたことがないんだ。短パンとTシャツにサンダル履きで、他の客の前で平気でそのフランス料理屋で飯食っててもね、何も言われないっていうのが嬉しくてしょうがない。
タカ:店の人が怖いんでしょうね。
たけし:昔散々追い返されたから、売れてない時は。ざまあみやがれと思って。何だい、売れたらこんだけ扱い変わるんじゃねェか、と思って。全部に共通じゃねェじゃねェかこれ、って。売れてなくって、汚いカッコして行くと、シッて言われるけど、売れちゃえばいいんだよ、と思って。
松尾:そうなんだよね。
タカ:でも普通、売れたらいいカッコして欲しいですよねェ?
松尾:少しはね、ははは。
タカ:同じカッコじゃなくて。
たけし:何を、それが粋なとこだよ。
松尾:やっぱり、男は中身なんだと。それで、ユミコさんから、「今だから言えるふたりだけの秘密って何ですか?」とかね、「ふたりで遊びに行った時の話とか教えて下さい」って書いてあるんですよ。
タカ:そんなもん、言えないことばっかりじゃないですか。
松尾:そうだな、こりゃ言えねェなァ。
たけし:そっちが博打で捕まった時に――。
松尾:言えないっての、それは全然!
たけし:あのー、王さんが居たとか(笑)。
松尾:ははははは!
たけし:そういうこと言うんじゃないよ!何てこと言うんだ!
松尾:だからねェ、その時もね、ショボンとしょげてんのにさ、自宅まで電話して来てね。
たけし:泣いてんだよ。
松尾:いやァ、泣かされちゃった。
たけし:「俺。大丈夫?どう?」っつったら「あっ先輩。エーン!」って、小学生が捕まったんじゃないんだから。
タカ:でも嬉しいでしょう、凹んでる時に。
松尾:一番凹んでてね、周りとワーワーやってた時だったんだよね。こっちの部屋で、とか。そこへ電話来たもんだからさ。
タカ:結構ね、こんな風に見えてそんな優しさはあるんです。
松尾:そうなんだよね。それで騙されちゃうんだよ。
タカ:で、今ほら、マーシーもちょっと今、いろんな状況で凹んでるじゃないですか。でもね、ホントに嬉しかったって。「たけしさんに励ましのメールもらってホントに嬉しかった」って、泣きながら電話かかって来ましたよ。
たけし:ポイントポイント、押さえて置かないと。マーシーが復帰して、何か番組を持った時に、俺が落ち目の時使ってくれるだろうと。
タカ:セコイじゃないですか!言ってることが。
たけし:うまいとこ保険打っとかなきゃ。
タカ:何言ってるんですか!?カンベンして下さいよ。
たけし:だから俺、森繁さんなんかに何も贈ったことないんだよ。
松尾&タカ:ははは!
たけし:先がないんだから(笑)。先を読まないとダメだよ。
タカ:ダメだ、それ、ははは。
松尾:その辺全部読まないと?
たけし:うん、子役から全部付け届けすんだよ。
松尾:ったくしょうがねェなァ。そんでね、まァこれ月曜日最後ですけどね、たけしさんのお母さんが教えてくれたこととか心に残った言葉。これマジメな話、あります?たけしさんのお母さん。他人に迷惑かけるんじゃない、とか。
たけし:おふくろにはもうとにかく――「品が良く」だね。
松尾:品が良く!?
たけし:その「品が良く」ってのは、基本的には「並んでまで飯を食うな」とか。
松尾:ふうーん。
たけし:いくら貧乏でも、安くてうまく、なんて言って、人がいっぱい並んでまで食うんじゃない。そういうものを食うんだったら、ちゃんと金儲けてゆっくりうまいものを食え。要するに品というのは、貧乏とか金持ちとかじゃなくて、下品なことはやめなさいと。要するに、バーゲン・セールで人と奪い合う様なことは――買えなきゃ買えないでいいの、っていうんだよな。だから、子供の時ものすごいぶん殴られたもん、俺。駄菓子屋が出来て、出来た時にお菓子や何か配ってる訳、ただで。で、俺並んでたらぶん殴られたもん。「帰れ!みっともない、そんなもん!」って。そういうことはうるさいね。
松尾:あァそう、いいことだね。
たけし:ホントに金がなかったんだろうけどさ、絶対にダメだったね。そういうのは。下品なこと嫌いだった。
松尾:やっぱりね、そういういいお母さんがいたんだよね。俺んちは親父だけどね。
たけし:(松尾氏の)お父さんはすごいぞ、ワン・ストップ(笑)。
タカ:あははははは!
松尾:ホントだったでしょ!?すごいことになってたでしょ?
たけし:あれ、やってみたんだ。佐竹チョイナ・チョイナに。「ギャー」って言ったら、その「ギャー」っていう声でまた倒れてた(笑)。
タカ:犬がうるさいからって、なかない様にね。
松尾:ウチの親父はあれをやってさ、「ワン!」って言ったらカーン!って倒れちゃったよ、ホントに。
タカ:あと焼き鳥を、普通だったら途中まで食ったら横にして食うのに、そのまんまどんどん奥まで刺してって、喉から血が出た、っていう。変わったお父さんですよね。
たけし:お父さんよく社長やってたよなァ。
松尾:今会長ですよ、もう。
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<12月19日(火)>「今だから言える、漫才ブーム・アンビリバボー!」
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松尾:ビートたけしと北野武の違いってのは何ですか?
タカ:難しいとこついて来ますねェ。
たけし:俺はね、要するにあやつり人形をふたつ持ってる訳。それで、“北野武”の人形が必要な映画監督とか、本を書く字は“北野武”っていう人形を持って来て、それで俺が操る訳。それで、今日はテレビで“ビートたけし”だな、ったら“ビートたけし”って人形を持って来て操る訳。ホントの自分は私なんだよ。その本当の姿を見せるのは、Sexの時だけ!
タカ:ワーオ!
松尾:またそんなこと言ってるから、バラされちゃうんだ全部。
たけし:そうなんだよ。週刊誌に出ちゃったんだよ。(タカさんに)おまえだろ、紹介したの、アダルト・ヴィデオのおネエちゃん。
タカ:紹介したんじゃないんですって!あの女が、俺が連れてったのに、たけしさん見た瞬間に「あっ、たけしさんたけしさん!」って、俺がナンパしたんですよその女。
松尾:しかも布団の敷き方から、どっち側に寝るかとか、そんなことまでバラされちゃったんだもん。
たけし:それで、そのあとに違うネエちゃん呼んだら「本とおんなじ」って笑われたんだから。
タカ:その通りだったんですから。
たけし:情けない。マニュアルが変わってないんだよ。レシピなんだよ(笑)。
タカ:ははは。これは皆さんにお教え出来ないですけどね。
松尾:だけどね、やっぱりアレだなァ、ビートたけしっていう、足立区のビートたけしっていうさ、やっぱりそういうとこもありの、さ。
たけし:だってこっちは成城だぜ。
タカ:そうですよね。
たけし:成城のお坊ちゃんで、あんまり悪くて成城学園クビになったんだから。
松尾:どうしようもなかったんだ。
タカ:でもやっぱり、日本でラグビー界では、中尾さんもすごいって言ったって……。
松尾:そりゃ平尾(誠二・前日本代表監督)だよ(笑)、中尾じゃねェだろ。しかしホントに、僕はアレだと思ったんだ、文化人的なことをやる時に“北野武”って名前でさ、こういうテレビとかやる時は“ビートたけし”と。
タカ:みんなそう思ってますよね。
松尾:まァそれはどうでもいいのかな。
たけし:どうでもいいんだよ。
松尾:一番何しろ、漫才ブーム、お笑いブームで一番あん時はすごかった、って話をね、ぜひ聞かせてくれって来てるんですよ。江戸川区のツーツーレロレロさんから。
たけし:あん時はねェ……ツーツーレロレロって、ウチの弟子じゃねェかそれ(笑)。あん時はね、最初に驚いたのは金だね。16万だったの。で、漫才ブームが起こって半年後に、16万の給料がね、1,500万になった。
松尾:1,500万!?
たけし:半年後に、16万の奴が1,500万もらっちゃった訳。で、洋七っているだろ、B&Bの。あれも同じぐらいの売れ方だから、同じなの。ふたりでその金を持って、銀座ってとこ行ってみよう、って行ったの。そしたら「いらっしゃいませ」なんつって、ワーッと居て。金持ってったの、現金で。こんなんなっちゃって。で「ヘネシーなんかどうでしょうか?」「ガイジンの女なんかいらねェ」っつったら笑われちゃって(笑)。「いや、飲み物ですから」「あ、そう」とか言って、それで鮨取っちゃって(笑)。高いの、とか言って。高いタクシー呼べ、とか言って大騒ぎになっちゃって。それで一年経ったら税金が来たの。七千万。で、一銭もないの。
松尾:あっはっはっはっ。
たけし:クルマも、クルマ屋行って、「ベンツ、これくれよ、お金今払う」って持って帰ろうとしたら「バカなこと言わないで下さい、色々あるんです、車庫証明とかナンバーとか」「何で乗れないの?すぐ乗れるクルマをくれ」とか言ってたけど、そんなものないですよって言われたり。
松尾:ははは。その時は、週何本ですか、出るのは。週って言うか、一日。
たけし:一日テレビ三本、営業一本。
松尾:あァそう。でもそれは、ちょんちょん出るのを入れれば大変なものでしょ?
たけし:それはもうテレビだけで。あとはもう走り回ってた。新幹線なんかで営業行くじゃない?そうするとさ、テレビでやったネタなんかさ、ブームだからみんな知ってて、客が「見た!」とか言う訳。で、新しいネタを考えようと思って、大阪まで三時間ぐらい、隣に相棒がいるじゃない?ビートきよし(現・ビートキヨシ)さん。アイマスクかけて寝てんだよね(笑)。俺、こん時にもう別れようと思ったね。こいつは嫌だ、と思って。「おい相棒起きろ、漫才どうするんだよ」っつったら「おまえビシビシ喋れ、ビシビシ突っ込むから」ってそれで終わりなんだよ。やってみたら「へー、ほー」で終わりなんだよ。こいつ、絶対同じ金じゃおかしいと思ったもんな。イライラしちゃったよ。それで、そん時は、初めはネエちゃんに全然モテないじゃん。ところが今度アイドルみたいになっちゃったから、ネエちゃんなんかもう、地方の方行くと、俺らなんかが行くホテルに、同じフロアに七人ぐらいネエちゃんが泊まってるんだもん。それで、カタコトって音がすると、グッて顔出すんだもん。「たけしさん」とか言って。それ見たら、東京から追っかけて来た奴だったもん。
タカ:今のSMAPと同じですよ、あの頃。アイドルと同じ状況。
松尾:営業やられてる時はさ、全国北からずーっと行って来てさ、東京飛ばしてまた一泊するじゃない?冗談じゃねェよ、ってさ。
たけし:北海道でさ、キャバレー行ってさ。キャバレーで、ストリッパーと漫才なの。一部が漫才、二部がストリップ踊ってるの。で、ウチの相棒がそのネエちゃんをどうにかしようと思って、同じ旅館だから夜中に夜這いしたら、ヒモが来て半殺しの目に遭って(笑)。
タカ:ははは!
たけし:で、北海道から帰って来る時に、青函連絡船なんだよね。普通飛行機なのに、青函連絡船でこうやってたらさ、ストリッパーとそのヒモといっしょにこうなってて、ヘロヘロなの。やっと東京にこれで帰れる、と思ったら「はい、静岡」って延々廻らされて。それでもう、その当時は興行師なんかさ――Wモアモアってのがいるのね。それのトラ(代役)っつってさ、都合悪くなって行かれないっていうからツービートで行ったの。そしたら仙台の興行師がさ「あれっ、何だおまえら」「ええ、Wモアモアのトラで来ました」「何、モアモアが来られない?おまえら何て言うの?」「ツービートです」「くっ、ダメだ、ゴミみたいな漫才が来やがって、何だよおまえら」「いやすいません」っつったら、「もう嫌んなっちゃう、しょうがねェなァ、モアモアが良かったのになァ」なんつって、「何分ぐらい漫才やるんですか?」って言ったら「何分でもねェ、一時間でも二時間でも」って言われて、「そんなに出来ませんよ」「何分出来る?」「30分ぐらい」「バカ野郎、腕もねェから」って30分ぐらいやって、ある程度ウケたのよ。そしたら帰る時に「バカ野郎、つまんねェ芸やりやがって、帰れ!」なんて帰らされて、その半年後、同じ奴。オイラもうスターになっててね。手ェ振ってんの(笑)。「たけちゃーん、来ないかと思ったァ」って(笑)。
松尾:ははは、やっぱり人間は変われば変わる。
たけし:「どれぐらいやればいいの?」「1分でも2分でもいいよォ、何でもやってくれ、来てくれてありがたいんだから」って、帰りおみやげ持たされて「またね」だって。半年で豹変したぜ。
松尾:そんなもんだよね、だけどね。
たけし:信じられない、もう。
松尾:それでね、自分の時のアレと(比べて)どうですか?今の漫才を志してる人たちは。結構面白いの?今の若手も。
たけし:要するに、そっちもそうだけど――ラグビーやってて「今のラグビー選手はどうですか?」って言うじゃん。だけどそれはね、ホントのこと言ったら、比較しちゃいけないんだよね。要するに、全盛時の比較しなくちゃいけない訳。その時代の、日本のラグビー界で松尾雄治ってのがスターで居た時の、社会とスポーツのランクと考えると、スターな訳。だけど要するに、ジェシー・オーエンスとモーリス・グリーンの記録はまるっきり違う、何秒も。だけどどっちがすごいかって比較出来ない訳。だって記録伸びてるんだから。カール・ルイスよりもモーリス・グリーンの方が速いのは決まってる訳、世界記録も出てるんだから。だけどどっちがすごいったら、全盛時ならカール・ルイスの方がすごいに決まってる訳。記録的にじゃなくてね。それと同じ様に、今の漫才の方が進化してるから面白いに決まってるの、ネタはね。でも、その時代に俺よりも面白いネタやってるんだけど、9秒の奴に10秒の奴が破られて来んじゃん。俺のネタを破って来ただけなの。だから要するに、俺のステップがあって、今のネタ。だから今のネタは面白いに決まってるの。だけど、その時代時代で比較しないとダメだね。だから、今の方が面白いのは間違いない。
松尾:ああそうか、いい話が聞けたな、やっぱり。
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<12月20日(水)>「たけし・松尾、衝撃のドラマ・あの事故の裏側」
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松尾:えー水曜日はですね、「20世紀メッタ斬り・たけしが選ぶ10大ニュース」ということでですね、サトコさんからいただきました。「ビートたけしさんが自分自身で選ぶ10大ニュース」。やっぱり、あのでっかい事故ですかね。
たけし:あ、俺のか。俺は……うーん、事故だねェ。
松尾:前も話したんですけど、その前後全然覚えてないって言うじゃないですか。
たけし:覚えてない。
松尾:あの時、中野の「カトフク」でさ――。
たけし:会ってるんだよね。
松尾:中野の「カトフク」ってお好み焼き屋さんのオープニングの日でさ、会ってるんだよね。僕と、僕のほら、テツとさ、ふたりで待ってた訳ですよ。たけしさんといっしょに飯食おうっつって、カトフクと三人で。そしたら来ないから、開店の日だから人がいっぱい来ちゃったんですよ。それで俺は「悪いから」って言って、それで僕は目黒に飲みに行っちゃったの。で、たけしさんとこに「目黒に居るよ」って電話したんですよ。そしたら「おうおう、あとから行くから」って言って、もう相当酔ってた訳。それで僕が目黒で、12時ぐらいだったかなァ、11時半ぐらいか12時、電話が来てさ。あの時確かカトフクのカトちゃんかな、あとキンちゃんかな、電話が来てさァ、「殿が大変だ!」って言う訳。びっくりしちゃったァ。
たけし:俺、だって、記憶がないんだよ、要するに。カトフクまでの記憶はあるけど、事故の時はね、医者が言ったけど、脳が自殺する、みたいなとこあんだって。で、「あんたは運がいいよ、一時間かそこらしか記憶消えてないんだから」って。中には小学校六年まで飛ぶ時もあるんだって。そうすると、小学校六年生までに会った人は覚えてるけど、あと会話から何から全部六年生の会話なんだって。
松尾:まァねェ。で、こっちはさ、会いに行こうと思ってるんだけど、いろんな偉い芸能人の方がさ、行っちゃダメだって言われてる、って言うからさ、行けなくてさ。それでね、お願いして、携帯電話を中に持ってってもらって、たけしさんとベッドで話した時は「いやァ、ホントに生きてたぞ」っていう感じだったのね。で、普段からオーバーだと思ってたから、そんなことはねェだろと思ってたらさ、あの記者会見、あん時の顔はびっくりしたよもう。
タカ:日本中が驚きましたよあれは。
たけし:あんなのね、まだね、甘いよ。
松尾:もっとひどかったんでしょ。
たけし:俺は事故の時に見た時にね、顔が半分、もう一個ついてんだ、こうやって。ほいで、吐きそうになった、あんまりすごい顔で。ウェーッと思って、「俺こんな顔かい!?」ト思ったら、アーッと思って、それであの顔になった訳。あの顔の時は「いい男になったなァ」って(笑)。
松尾:だんだんだんだん見てて。
たけし:周りはみんな変な顔しててさ、俺は「治ったなァ」と思って。初め、こんな顔見てるから。
松尾:それでアレでしょ、鉄のパイプが頭の中に入ってるんでしょ。
たけし:こっからここまでさ、鉄のパイプが入れてある訳。
松尾:鼻の下から。
たけし:鼻の下から、こっちの頬っぺたを膨らましてるの。それを、鼻の中に麻酔打って、抜くんだわ。グルグルグルグル、って。おでんの気持ちがよく判った、って言ったら医者が「バカなこと言うんじゃない」って。
松尾:おでんの気持ち(笑)。
たけし:それで、モルヒネを打つって言ってて。もう激痛だから、耐えられないから麻薬を、そうすると寝られます、って。でも俺一回もしてないし、あの現場で写真見たら血だらけになってんじゃん。でも俺輸血してないんだよ。
松尾:あァ、そう!?
たけし:医者が「血圧、あんた下がってないんだよ。変な体してるんだ」って。
松尾:変な体!?
タカ:だから、普通の生き物じゃないんですよ、絶対ね。
たけし:俺死んでたんだって、止まってて。
松尾:ホントに、だって、あの顔見た時は死んでると、ホントにヤバかったなと思うね。
タカ:事故現場のね、出血の写真見たって、もうこれはダメだろう、っていうぐらい、塊の血が落ちてましたからね。
たけし:それで、運がいいことに、俺の体だけ街灯の真下に倒れてたんだって。それでタクシーが見つけたんだって。あれ、ちょっと外れてたらバンバン轢かれてたんだって。
松尾:轢かれちゃうよね。
たけし:権田原、真っ暗だから。あんたすごい運がいいんだ、って。
松尾:運がいいんだ。はァ。今もう、はとバスの観光名所だって言うじゃないかよ。あそこ見に行っちゃったよ。
たけし:観光名所でよ、変な占い師がいて、あそこでお祓いしなさいって言って、事故一ヶ月ぐらい経って、こうやって行ったの。そしたら向こうの方から声が聞こえんだよ。「ここの場所はビートたけしさんが事故を起こした場所で――ギャーッ」(笑)。ギャーッて言ったまま飛んで行ったよ(笑)、俺と目が合って。「ここは権田原といいまして、ビートたけしさんが事故を起こした――ギャーッ!」って、ふざけんなこの野郎、っつって。お線香あげて拝んでたんだから。
松尾:ははは、自分のとこ拝んでちゃしょうがねェだろ。
たけし:だって、言うんだもん、ちゃんとお祓いしなさいって。お酒やってどうのこうの、ってさ。
松尾:そうかァ。で、芸能界で印象に残ったニュースは何ですか?
たけし:芸能界?十年間?
松尾:いやァ、何でもいいですよ。
たけし:うーん。俺は要するに、ヴェネツィア映画祭の賞もらったのは、もらった時はどうってことねェと思って、「何だ映画祭で賞もらったのか」って、そしたら39年ぶりだとか、黒澤さん以来三人目だとか、そんなすごい賞かこれ、と思って。とにかく、あんまりカンヌとか知らなかったからね。すごい賞というんじゃなくて、映画祭があるな、っていうしかなくて、パッと行ったらあったから、帰って来たら、要するに日本が変わってた、みたいなところがあるんだよ。俺の映画なんか、誰も見なくてつまんない映画、って散々叩かれて、帰って来た瞬間に世界の北野だ、すごい映画だ、なんてやられたから、今までのやつがみんなひっくり返ったから。
タカ:ニュースで流れたから――臨時ニュースみたいなの、あったじゃないですか。また何かやった!?と思ったんですよ。
たけし:思ったろ?
タカ:講談社殴り込んだ、事故起こした、うわっ、また何かやったぞ師匠、と思って。
たけし:それでフランスから勲章もらった時笑ったろ、おまえ。
松尾:ははは。だけどね、そういう時もね、全然変わらないさァ、今までのことは変わらないんだよ。そこがいいんだよね。どんなに偉くなってもね。
タカ:変わりますからね、ちょっと自分の立場が変わると。
松尾:そうそう、みんなな、偉そうになっちゃって。ダメなんだなァ。その辺がいいとこです。
たけし:偉そうにしたいんだよなァ。
松尾:偉そうにしたいの?
たけし:したいんだけど、どうも――。
松尾:パンツ一丁でまた今日もやったでしょ。
たけし:そうなんだよ。どうもダメなんだよなァ。
タカ:しょうがないですよ。
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<12月21日(木)>「巨泉・たけし軍団をブッタ斬り!」
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松尾:生き方と言えばね、大橋巨泉さんの生き方はどうですかね?セミ・リタイア。
たけし:俺は嫌いだね。大体あの親父はね、リタイアなんてそんなことを偉そうに言っちゃいけないよ。人間が一番素晴らしいのは、死ぬ直前まで仕事が出来る奴で、そして、やる仕事がある人。
松尾:ホントそう。
たけし:要するに、「リタイアして」ってガイジン的発想だけど、日本人はそうじゃなくて、98でも100でもまだ仕事を持ってて、それが出来る人、それが一番幸せに決まってんじゃん。それで、遊びってのはその合間にするもんでね、それを「リタイアした」って、リタイアしたってさ、やることねェからゴルフやってさ、現地で相手にされないから日本に来てみんな誘って、またみんな逃げられて。
松尾:そうそう、ゴルフも最後はひとりでやってたらしいから。麻雀もゴルフも全部ひとりで(笑)。
たけし:やっぱり、結局はね、遊びっていうのは、何かした褒美としての遊びだから。それは、長い人生半分働いて、あと半分遊びで、ってそういう訳には行かないよ。
タカ:貧乏性ですよね、俺らね。
松尾:貧乏性じゃないよ、それはね、マジメなんだよ。
タカ:いや、だってほら、海外に行くじゃないですか、旅行だって言って。一週間ぐらい行ったって、もう二日三日したら、もうそわそわしちゃうんですよ。もう日本で何か仕事やんなきゃ、大丈夫かなァ、って思っちゃうんですよね。
たけし:アダルト・ヴィデオがないもん、海外には。
タカ:そんな問題ですか(笑)。
松尾:俺はアダルト・ヴィデオ山ほどもらったよ、バッグで持ってけないほど(笑)。「これ持ってけ」ってさ。じゃあですね、長嶋監督。巨人優勝しましたけどね、来年どうですか?
たけし:来年優勝だよ。
松尾:また優勝?
たけし:長島さんはもうねェ、監督なんてんじゃなくていいの。もう、死んでもミイラとしてね、ベンチに置いときゃいいの。
松尾:死んでもミイラで!?
たけし:カーネル・サンダース扱いでいいの。「GIANTS」というユニフォーム着させて、野球場に常に置いとく。ベンチに常に置いとく。で、長嶋さん、采配なんかしなくていいんだから。巨人が負けたのは長嶋さんのせいじゃないんだ。負けたら選手のせいに決まってるんだから。あれだけの選手がいて勝てないんだったら選手のせいに決まってるんだ。もっと情けないチームだったら采配があるけど、違うんだから、みんな打つのは。長嶋さんってのはもうマークでいい。ジャイアンツの象徴ね。いいじゃないあの人。
松尾:いいですよホントに。
たけし:ケタ違うじゃない。ゲスなとこ全然ないんだから。
松尾:全然ない。いっしょにゴルフやりましたね。ちょこちょこ歩き回って、もう。
たけし:「たけしさん動き過ぎるよ」「あんたの方が長いよ」ってぐるぐるぐるぐる廻っちゃったりして。
タカ:初めて誘われた時に「たけしさん、ゴルフですか?」って(笑)。
たけし:「たけしさん、ゴルフですかー」っていなくなって、「あれ、誘ったのは長嶋さんじゃねェかな?」――感動して、講談社のあとだから、涙ぐんで行ったら「またねー」っていきなりいなくなって、「あれ?」って思ってたらまた帰って来て「ごめん、僕が誘ったんだ」って言った時はどうしようかと思ったよ、ホントにな。
松尾:でもホントにいいよなァ、やっぱり長嶋さんにはね、スポーツ省の大臣になってもらわなきゃしょうがないからな。で、アレですよ、この前の僕のオープニングでも言ったけどね、たけしさんもスポーツ省が出来たら、ちゃんと入閣してもらわなきゃ。入省してもらわなきゃ。リハビリ担当大臣。
たけし:私?トトカルチョ、野球賭博、その元締めを私がやりたいね。
タカ:全部そんなのばっかりじゃないですか。
松尾:はいはい。じゃあね、たけし軍団のホントのところ、というね。
タカ:んっ!
松尾:そもそも、弟子をホントに取ろうと思ったのはどうしてですか?もういい加減に来ちゃったの?
たけし:来ちゃったんだよ東が。
タカ:(自分から弟子を取ろうとは)思ったことないですよね。
たけし:みんなまとわりつかれて、危ないからさ。今のストーカーみたいなもんだから。あまり邪険にやったら、刺されちゃったりしたらしょうがないから、もういっしょに居な、っつってそれで終わり。
タカ:だって、お笑い目指してる若手がいる訳じゃないですか。で、こんなすごい人がここにいる、って思った瞬間に、もう見つけちゃった訳じゃないですか。「やったァ!もうとにかくここに行けばお笑いは常にここにあるんだ」と思ってみんな集まって来ちゃうんですよ。
松尾:みんなそうだったらしいね。もう死んでもいいと思ったらしいよ、みんな。
タカ:そりゃあやっぱり、行きますよ。
たけし:だってね、ラジオなんかやってる時に、印象づけようと思ったり、ウケようと思って、ニッポン放送から俺んちまで裸で走って来る奴はいるしね。「何だこいつは」っつったら「見てくれました?」って入ろうとする訳。いろんなのがいたもん。
タカ:一時、だからね、ホントにあの、年間何百人か、弟子入り志望がありましたね。
松尾:ああー。でさ、何でそんなに変な名前なの?みんな。ガダルカナル・タカとかさ。
タカ:そんなもん俺に聞かれたって判んないですけどね。
松尾:師匠が全部つけたの?
たけし:酒飲んでる時に「名前を下さい」って言うから、「うん、おまえは“ふぐ珍味ピリピリ”」とか言ってたんだよ。
タカ:ひどいでしょ?ビール飲みながら、手元で枝豆食ってるじゃないですか。「枝豆、これいい名前だな。誰か枝豆要らないか」って(笑)。それで「ああいただきます」って、こっちにラッキョウがあったんで――。
たけし:グレン・カオペとか、クロマティに対抗してシロマティとか、そんなことばっかし言ってて。で、全部つけられて、熱海マッサージってのをつけられた奴がいて。実家に電話して「たけしさんの弟子になって名前もらいました」「あァ良かったね」っておふくろ涙ぐんで、「何て名前だい?」「熱海マッサージ」「帰って来なさい」って(笑)。
タカ:NHK出られない奴いっぱいいるんですから。
たけし:NHKで名前出せないんだもん、だって。玉袋筋太郎なんて。
タカ:知恵袋、って名前変えられたって怒ってましたよ。
松尾:ははは、知恵袋?
タカ:NHK出たけど。
松尾:バター犬たろうってのも居るよな。
たけし:負古太郎(笑)。
松尾:ダメだ、ホントにね。で、アレですか、たけしさんところは、何か家引っ越したらしいですね。
たけし:あ、カミさんがだろ?
松尾:あ、カミさんが。
たけし:青山に引っ越して、見に行った、こないだ。建ってた。
松尾:あーそうですか、それで、「一番好きな食べ物は何ですか?」っていうのがあるけど。嫌いなものはあんまりないですよね。
たけし:嫌いなものは何もない。
タカ:たぶんね、俺が思うにね、インスタントの袋麺、あれが一番好きなんじゃないかなァと思います。
松尾:ははは、一番好き?
タカ:自宅に置いといて、夜中自分で煮ている姿を見たら、やっぱり師匠これか、と思いますよ。
たけし:やっぱりサッポロ一番の塩ラーメンだろう。あれにね、魚肉ソーセージでも入れたら夢の様だね。
松尾:ははは、ダメだそれじゃ。いつまで経ってもそれじゃあね。
タカ:だってね、おいしいんですもん、あれが。
たけし:あれの煮過ぎのやつ。
タカ:ちょっと、麺が柔らかくやってて。
たけし:麺がうどんとラーメンの区別がつかないやつ、あれがうまいんだよ。何でもいいんだ、もう。
松尾:で、今アレですか、昔ピアノとかやってたじゃないですか。今やってないんですか?
たけし:もう一回始める。
松尾:やっぱりピアノとかやるといいですか?手の動きにもいいし。
たけし:要するにあの、ピアノとか芸事って、何てんだろ、ゴルフやってテレビにも出て絵描いてピアノ弾けるぐらいのサイクルで遊びたいんだよ。だから将来の為だね。仕事あんまりなくなったら遊べるじゃん。だからゴルフもそれで始めた。
松尾:今までさ、色々やったけども――もちろん漫才から始まって、映画もやったでしょ。そのうち今度チャレンジしたいものは何ですか?
たけし:いやァ、もう、俺は映画と、オーダーが来れば役者やるくらいで終わりだね。
松尾:この前の『バトル・ロワイヤル』だって、いいじゃないですか、ねェ。たけしさんの、役者としてのアレは良かったじゃないですか。
たけし:基本的には、役者ってのはアレだと思うよ、今役者目指してる人いっぱいいると思うけど、その人物の背負ってる裏が出て来ないとつまんないんだよね。(高倉)健さんは健さんだけど、今スターって居ないじゃない。そうすると、ただちょっと顔が良くて売れて来て、ってそうじゃなくて背中にいろんなもんを背負った奴が画面に出て来ると、その辺の迫力がある、ってのはあるから、俺は意外にいろんなことやろうとする。
タカ:捕まったこともあるし、死にかけたこともあるし、いろんなもんがありますからね。
松尾:それは俺もあるな、何回も。何回も、はないけど、あっはっは。そうですか。あれ、今たけしさんはどんな部屋に住んでるんですか?
たけし:俺はマンションで、3LDKかな。でも、荷物だらけでどうにもなんない。
タカ:水槽に金魚も居ますしね。
松尾:水槽に金魚居るの?
たけし:ランチュウ買ったんだよ、ランチュウ。ランチュウね、一匹十万円もするんだよ。
松尾:ランチュウ?ランチュウって何それ?
たけし:頭でこぼこの。
タカ:金魚ですよ。
たけし:義太夫とかさ、荒俣宏さんみたいなやつ。ジミーちゃんとか。荒俣さんとかジミーちゃんって名前つけたの。で、こんななって泳いじゃって、頭でこぼこで。したら、餌のあげ方ってあって、ランチュウは目が横に離れてますから、目の前に餌を落としてやって下さいって言うから、餌をこうやって落としたのよ。そしたら、落とした瞬間にランチュウが泳いで来て、頭がアフロ・ヘアみたいになっちゃって。それを載せたままずっと泳いでるから、かわいそうだから取ってやろうと思って箸でこうやってコンってやったら、ツンって突いちゃったんだよ、頭。そしたら仰向けに上がって来ちゃって。十万円それでパーで。
松尾:死んじゃったの?
たけし:一匹死んで。
松尾:強く突き過ぎだって、それ(笑)。
たけし:それで、水槽の酸素が足りないってまた上がって来ちゃって、今一匹だよ。今荒俣さんしか生きてねェよ。
タカ:義太夫死んじゃったんですか?
たけし:義太夫死んじゃったよ。義太夫は、下の方でずーっと動かなかったから、ちょっと水かき回したら、回転しながら上がって来た。それで終わりだよ。
松尾:ダメだなそれじゃ。
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<12月22日(金)>「世界の北野武・映画『BROTHER』について大いに語る」
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松尾:あの、今軍団にメッセージを送るとしたらどんなことがありますか?自分が今棺桶で――。
タカ:もう死ぬかもしれないという状況で。
松尾:軍団が「殿、殿ォ!」って泣いてる訳。それで何を言うか。
たけし:ざまァ見やがれ、だね。
松尾:ははは、何にもしてないじゃん、だって。
タカ:いや、でも、重い言葉ですよ、ざまァ見やがれ。
松尾:てめえらもこうなれと。
たけし:でも俺も大変なんだよ、ホントにね。タカがいるけど、しょうがないけどね、俺たちだって落ちこぼれ出るんだよ、何人もね。結局ね、全員が食える訳ないじゃん。だけど、俺の人生の中でかかわった人たちだ。するとね、それを勝手に「おまえら売れないの、じゃあ仕事やめろ」って訳には行かないじゃない。そうしたら、芸人として諦める瞬間があるかも判らない、そいつら。そん時に、焼鳥屋の一個も出さなきゃいけないと思ってるから、貯金してんだよ。それで、タカが番頭さんでな、色々あって。俺んちはお中元とかお歳暮、禁止なんだよ。全部現金なんだ。現金だけです、って。こっちが管理して。そうしないとさ。偉そうに「親分、親分」っつってて、若い衆の面倒見ないの居んじゃん。
松尾:でもやっぱりそういう、ミスした奴にはびっちり怒るんでしょ。
たけし:怒るよ、殴ったり蹴ったり。でも、やることは――要するに「もう仕事ないからスナックでもやろうと思います」なんてのが出て来るじゃん、絶対に。その時に、「あ、そう」って金渡すか渡さないかは勝負だから、渡そうと思って今頑張ってる訳。だからね、貧しい生活してる訳ですよ。
松尾:貧しかないじゃないですか。
タカ:でも大変ですよ、これだけ人数いたら。いろんな奴いるし、普通じゃない奴ばっかりが芸人になっちゃうし。
たけし:ケンカした、って俺んとこに来るじゃない。ケンカして、変なのがくっついて来りゃ、たけし、たけしってやられるじゃない?たけしの弟子だからおまえ、って、俺訴えるみたいなこと言うじゃない?そうすると、慰謝料だ何だって裏でやんなきゃいけないんだよ。結構取られちゃうんだよ。
松尾:そうだねー。
たけし:腹立たしいけどね、しょうがない。
松尾:まァ何てったってケンカはすごいんだから。
タカ:ねェ、我々が止めても本人が行くから。
松尾:俺がいるからたけしさんなんか絶対大丈夫だと思ってたら「おまえは甘いなァ、ケンカってのはまず謝るんだよ、相手がうしろ向いたら思いっ切りビール瓶でぶん殴るんだよ」って、そんなケンカしたことねェもん俺(笑)。俺は「何だこの野郎」っつってるのに「バカだなァ、謝んだよ、相手がうしろ向いたら思いっ切り行け」だって。そんなケンカじゃしょうがない。
タカ:ホント元気ありますよ、でもねェ。
松尾:ということでね、もう一度、「21世紀にはばたく、世界の北野・大計画」ということでですね、『BROTHER』というこの素晴らしい映画がですね、ここでもう大当たり、うん。
たけし:当りゃいいんだけどなァ。いつも外れちゃうんだよ。
松尾:いやァ、そんなこたァないですよ。ただやっぱり、どうしてもああいう暴力映画が好きなんですね。
たけし:いや、いろんなことやるんだけど、外国行くと、前に『菊次郎の夏』ってのを撮って、そしたら「何でおまえ、暴力の映画やめたんだ」って、おまえらが「いつも暴力の映画ばっかし撮ってるから」っつってるから撮ったんじゃねェか、って。またどうせ「こないだヴァイオレンスの映画撮ったじゃないか、何故戻ったの」とか言うじゃん。だけど、食べ物の嗜好と同じで、フランス料理もイタリア料理も日本料理も食いたいんだから、映画のジャンルの中でいろんなものに手を出す、それで当ればいいんだよ。
松尾:あー、それで、今までの作品を振り返ってどうですか、今度のこの『BROTHER』ってのは、結構自分でもホントに気合入ってる?
たけし:『BROTHER』はね、エンターテイメントだったら一番面白いと思うよ。ただ、アートとか、そういう小難しい映画評論家に言わせると、『ソナチネ』の方が問題作かなァっていうことなんだけど。だけど、映画ってのは、大人から子供まで幅広く考えればね、『BROTHER』が一番判りやすくて面白いと思う。ただ将来はね、あと何年か後には絶対アカデミー賞狙ってるんだよ。それで、獲った時にそこでコメディアンの血が騒ぐ訳。
松尾:出た!
タカ:出た!
たけし:授賞式にふんどしで現れるという。
タカ:はははは!
松尾:それが夢な訳だ。
たけし:カンヌ映画祭でもね、世界の巨匠になってどうボケるか。もう、都はるみの格好して行ったり、かつら被って行ったりする。
松尾:世界に認められることの意味ってのは、やっぱりあるでしょうね、映画では。
たけし:ジャパニーズはジャパニーズ、という風な意識がないとダメだよ。今、国際化、国際化って言うじゃない。国際人になれ、って。あれ、無国籍になれって勘違いしてる奴がいるね。要するに国際人っていうのは、自分とこの文化を背負った奴が正当にガイジンと話し合えて、ノーはノーと言える奴なんだよね。それをさ、訳判らずさ、ナイフとフォークの使い方が上手ェから国際人だと思ってるバカいるじゃない。平気で「箸くれ」って言った奴の勝ちなんだよね。「俺は箸しかダメなんだ、しょう油ねェか」ってしょう油かけて食っちゃえばいい訳。「何でおまえはそうする?」「いや、これの方が俺は美味いんだ」って言わないと。そうすると映画でも何でも、みんなね、外国でこういうのが流行ってCG使ってどうのこうの、って、金もねェのにね、よく中野辺りの貧乏な女がエルメスのバッグ持って歩いてる様な(笑)、恥ずかしいからやめなさいそういうのは、っていう。エルメス持って歩くんだったらいいマンション住みなさいよ、ってのがあるじゃん。そういう無茶する訳。だから、それに合わせた文化で、それなりに対応しないと、それは国際人じゃないんだけどね。
松尾:認められよう、認められようったって、そんなのはあんまりね。ちゃんとやってりゃァ、向こうだって評価してくれるんだから。
たけし:そうそう、よくさァ、時代劇とかそういうの作って持ってって、黒澤さんの時代じやねェのに行って、それで紋付羽織袴とか和服着させちゃって、ジャパニーズでございます、ってやるじゃない。それ一番カッコ悪いよね。
松尾:まァそうだなァ、ホントに。それからですね、今後やってみたいテレビ番組とかはどうですか?
たけし:……まァそうだな、自殺完全中継とかそういうのはやりたいけどね(笑)。
タカ:ははははは、ダメだこりゃ。
松尾:そんなの出来る訳ないじゃない(笑)。
タカ:と言うかね、すべてやり尽くしてますからね。今のヴァラエティの番組って、基本にはすべてたけしさんがやって来た番組がある訳じゃないですか。やっちゃってるから、もうないんじゃないかと思いますけどね。
松尾:ただ、今だから言えるけど、僕とたけしさんが番組やった時のね――『スポーツ・シャワー』って番組あったでしょ。スポーツのことばっかし、たけしさんが悪口ばっかし言うんだ。
タカ:今いっぱいありますよ、そういう番組が。
松尾:だけど、それが結局未だ語り継がれてるのは、岸井記念体育館の中にさ、アマチュア団体がいっぱい入ってる訳よ。あそこの中の人たちは、みんなたけしさんが言ってることが正しいと思ってたんだからね、その時に。だってねェ、選手ふたりしかいねェのにさ、役員が八人もいてさ、総勢十名だって。で、選手はエコノミーで役員八人がファースト・クラス、そんな団体どこにあるんだ!?なんてデッカイこと言う訳よ。あれ、聞いてるからさ、みんな「俺たちのこと言われてるんだ」って思う訳でしょ。で、そういうことはね、スポーツ界にとってはいいことだったよね。
たけし:だからあの当時はね、まだ固くてね、番組やった時もね「棒高跳びやりたいから棒高跳びの選手紹介してくんない?」って言ったら、「そんな、テレビなんかに選手を出せない」とかね。今は必死になって出て来てやがってさ、いい加減にしろっつうんだよね。
松尾:ホントそうですよねェ。ま、しょうがねェか。で、あとは、目標とか――もう最後だけどな。「20世紀中にやって置きたいこと」――これももうやったもんなァ。
タカ:でも、その「新しい番組」ってことを考えたら、こうやって松尾さんとたけしさんとふたりいるんだったら、やっぱふたりの一番感じるところはスポーツじゃないですか。だから、またそういう番組ふたりでやってくれれば、絶対に今までにないスポーツ番組が出来ると思うんですよね。
たけし:ラグビーがね、あれだけ国立(競技場)のスケジュールも取れなくなったのはどういう訳だ、って。サッカーに取られちゃったじゃん。それで、あれだけラグビー、早明戦だ何だ、って盛り上がってさ、社会人のアレとかすごい時代があったのに何故下がったか、っつったらそれはね、ラグビー協会の怠慢だよ。だって、渡しちゃったんだから。初めから上げるったらね、なかなかラグビー上がんないっていうけど、あれ国立満杯にした時代が何年も続いたのに、その時代に何をやんなかったかってのは、考えなきゃいけない。
松尾:そうなんですよねェ、ちょっとね。これからプロ化が進むって言うから、監督も交代したりしていろんな形でプロが出来て来ると、またそこで良くなるかも知れませんね。まァ、じゃあ最後に、21世紀の北野武さんの目標――21世紀、もうこれからね、来年だ、もう。21世紀の目標。
たけし:俺は、映画を作るのが、まずね。それで、映画で、俺今、カンヌ映画祭がね、二回しくじってるのね。獲る、獲るって言われて、それで俺も獲った気になってたら、やっぱり現場でひっくり返されて、あァやられた、って思ったけど。あとベルリン映画祭。三大映画祭をグランド・スラムで獲りたい。
松尾:それはあの、自分の感覚の中に、あれがダメだったから獲れなかったとか、あれがこうだったら獲れたとか、そういうのは残って帰って来ました?そういうのあります?
たけし:うんうん、大体判るよ。要するに、人が選ぶもんだからね。現場の会場でいくらウケたって、審査員がノーって言ったらしょうがないだろうと。で、今回の審査員ってのはちょっと癖がある奴だから。だって素人にやっちゃったんだ、全部。主演女優賞、全部素人だ。それで、その時のコメントは、「今までかつて映画賞をもらった監督には一切あげません」ってやられちゃったらさ、俺とかいろんな奴が、絶対獲るってのが結構いたんだけど、落とされたんで、そりゃそうだけど、でもホントにそれで獲ったからってどうってこたァないけど、けじめとしてはさ。
松尾:どうせやったんだからね。
たけし:偉そうなこと言えないじゃない。「何だよ」なんて言われるの嫌だからさ。一応獲っといて、全部獲っといて改めてそれの悪口始めないと。
タカ:悪口言いたくて(笑)。
松尾:悪口言いたいだけじゃない、それじゃ。
たけし:要するに、金持ちの悪口は金持ちが言わなきゃいけないの。貧乏な奴が金持ちの悪口言ってもね、カッコ悪いだけなんだよ。そうじゃなくて「金なんか要らないんだ」ってのは、誰が言わなきゃいけないかって言うと、金持ちが言わなきゃいけないでしょ。映画でも「映画祭なんか関係ないんだよ」ってのは、誰が言うかったら、獲ってないうちに言うんじゃない、ってのがあるから、獲らなきゃいけない。
松尾:はーい、判りましたァ。もういいかな?最後、あっ、これ絶対もう、読者の方、中野さんからですね、「コマネチ!」の声をどうしても聞きたいと。
たけし:もう、すごいぞ。形が見えないのがかわいそうだけどね。
タカ:これ残念ですねェ、形込みですからねェ。
たけし:形から行くぞ、平行四辺形!
タカ:ははははは!
松尾:誰がそんなことやれって、平行四辺形って。
たけし:形だよ!
タカ:この形が平行四辺形なだけで、ギャグは違うじゃないですか。
たけし:形がって、新ネタじゃねェかバカ野郎。みんな「コマネチ!」って来るかな、って思うところを平行四辺形って来る――もう一個行くよ。
タカ:これはちゃんとしたのを。
たけし:ひし形!同じじゃねェか(苦笑)。
タカ:何の変わりもないじゃないですか(笑)。でもねェ、やっぱりみんながね、声だけでも聞きたいのはね、この「コマネチ!」ですから。
たけし:しょうがねェな。コマネチ!
松尾:はァーっ、どうもありがとうございました。
たけし:人がいいだろ、おまえ。楽屋で録っちゃって。
松尾:いやァホントに、ありがとうございました。
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