

『3−4x 10月』Roughrider評
Roughrider
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真面目くさった大上段version
映画作家 北野武の衝撃
「3−4X10月」は北野作品の第2作目にあたる作品なんである。
第一作目「その男、凶暴につき」において既にして評論家の一部や映画好きの一
部に驚きを与えていた北野監督であったが、一作目は主に「監督業」に徹していた
北野武であった。
もっとも、その一作目からして、ピンチヒッターとして急遽つとめた監督業であ
りながら、既存の脚本をこれでもかとリアリティあるものに書き直し、説明臭さを
排し、「少ない言葉数」「独特の間」「笑い」「あっけない突然の死」「激しい暴
力」といったエッセンスの混在は疾うにそこにあった。
結果として、脚本家を激怒させ後々まで怨みを抱かれることになったのだけれど
(笑)。
そして、衝撃の本作、第2作目の登場である。第2作目は最初の脚本から北野武
が手がけた、根っから映像作家・北野武のものであった。
私の受けた衝撃たるや、それがまだ第2作目であったがために、超弩級のもので
あった。私はまだこのとき上記のような北野作品の真骨頂というものを完全には理
解していなかったのである。
この作品は、ある評論家からは「ストーリーが破綻している」、またある評論家
からは「いきあたりばったりの演出」「あんなタイトルつけてる時点で駄目」など
と酷評されながらも、ハリウッド映画を価値観の頂点に置いていない、ないしは
「おせちもいいけどカレーもね」という、ある部分の人々の芯を確実に貫いた。
当時の雑誌で行われた、鴻上尚史、秋元康、大槻ケンヂの対談では、薮から棒に
この作品のことが話題にあがり「ところで『3−4X10月』観た?」「ああ、観
た。凄かった」「凄いねえ」「あれは凄いよね」「凄かった…」といった会話が為
された。
あのフランスのカイエ・デュ・シネマ誌は「この映画は、現代の映画が抱える問
題点に対するあらゆる答えを含んでいる」と手放しに絶賛した。
こういった人たちは、北野作品を「わかる」人たちだったのであろう。
私はといえば、ガタルカナルタカとベンガルのやりとりあたりで完全にノックア
ウトされた口である。そして、確かにストーリーはあってないようなものだからそ
うぼかす必要性は感じないのだけれども、ラストのありがちとも言われかねない
「オチ」に至っても、私の評価はいささかも揺らがなかった。
この作品は、ある意味、私の中で、北野作品中ベストと呼びたい作品である。
ソナチネ当時、北野監督も「できの悪い子供だけど一番好き」と言っていた。完
成度では断然「ソナチネ」だから、「ソナチネ」をベスト1として他人に勧めたい
という思いはあるのだけれど、それでも、私の中では「一番震撼させられた」とい
う意味で、この「3−4X10月」がナンバー1なのだ。
私の耳からは、今に至るも、あの遠くから聞こえる草野球の掛け声の余韻が消え
ることがない。
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