たけしの遺伝子
キネマ北野
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 『あの夏、いちばん静かな海。』のらのら評
のらのら

この映画は北野映画の中では個人的に3-4X10月の次に好きな映画。俺はたぶん10回以上は見たことあると思うんだけど何回見ても飽きないの!俺、意外と好きなものには固執するタイプだから好きな映画って何回でも見ちゃうんだよね。それでも飽きないで見ていられるって言うのは、やっぱイイ映画なんだと思うのよ。まあ、これに限ったことじゃなく他の映画にしてもね。

今回はこれについてだけど。この回数に絶えられる良さって言うのは、やっぱ品のよさだよね。だけど、逆にこの映画において品がないなと思うことがあるのよ!それでも他の映画と比べたらたいしたことではないのかもしれないんだけどね。それは何かと言うと・・・ずばり、久石譲!!!!彼の曲なのよ!映画の音楽ってどういう風に付けていくのか知らないんだけど。この映画の場合耳の聞こえない主人公の代わりに音楽が語りまくっていると思うの。曲自体はこの映画の音楽は良いんだけど使い方がどうもね、気になるの。気になるシーンって言うのは、シゲル(真木蔵人)と恋人がサーフボードを買ってバスに乗るじゃない。あの時女の子だけバスに乗ってるじゃない。あのシーンからかかってる曲が異常に気になるのよ。別に良いじゃんって感じなんだけど雄弁過ぎるの!俺にはね。なんかちょっと切ない感じの曲がだんだん大きくなっていって女の子が真木蔵人に追いついた時なんてこれでもかっていう劇的な感動的な盛り上がりかたしちゃっているのよ、曲が。二人のアップの顔が映し出された時の曲の音の大きさや劇的な感じって言うのは全体のトーンからしたら曲がしゃべりまくってるみたい。北野映画ってそう言うシーンでも意外とそのシーンのカット割やなんかで見せてきたと思うのよ。曲にしても切ないながらも音まで大きな音にしてまで劇的に盛り上げるって事はなかったと思うのよ。この映画の場合ってなんか曲で盛り上げてやるって言うのがかなり見え見えな気がする。曲は良いんだけど使い方がね、どうも気になるっていう。このシーンみたいなことって何ヶ所かある気がするんだけど。えっ!って言うのがラストね。これはマズイと思うもん。ラストの記念撮影みたいなカットが続くじゃないその時の曲っていうのはメインテーマで劇中もかかってる切なくて綺麗な良い曲なんだけど、ラストの時はこの曲に合わせて「サヨナラ」って言う声が入ってるのよ!!!それも曲に合わせて連呼してんの!キャーって感じでしょ?!そうじゃねえだろ久石譲よ!!そんな声を入れなくても観客には映像やら雰囲気で伝わってくるものって言うのはあるわけでサヨナラって入れてしまったことによって一つのさよならって事が強調されてしまわないかって言う。

これはたけしが良く言うことなんだけど、一杯のラーメンを「うまい!」ってひとこと言えば見ている人は皆うまいんだろうなって思うけど、そこで「この麺のコシが」とか「こってりした」とか「さっぱりした」とか「味噌味が」‛&と言った瞬間に見ている人は、コシがあるのは嫌い、こってりは嫌い‛&って最終的には美味いって思う人がえらく減ってしまう事もあるっていう。ただ「うまい」の一言ならあれはこんな味なのかなって事を考えながら皆が皆「俺の好きなあのタイプの味かな?!」って思うみたいな。雄弁過ぎるが上に逆に伝わらなかったって言うことってあると思うし、そんなヤボなこと言うなよってことってあると思う。それがラストの曲に感じられた。でも、もちろんこれは何回も見ている中でコアな見方をしようって意識的に思った時に気になるだけで、普通に見たら全然気にならない。この作品以降の久石嬢の曲は文句のつけ様もないよ、もちろん。特に個人的には久石嬢の曲の中で「ソナチネ」の曲は「みんなーやってるかー」・「菊次郎」以外の他の全作品にマッチするだろうと思うぐらいハマってる。北野映画の世界を表現した曲だと思う、「ソナチネ」は。やっぱりそう考えても「ソナチネ」は起承転結の結だね!


なんか気になることを書いてしまったから今度は気に入ってること書くね。(まだまだ終わらないよ!) 俺個人的に、やるな!って思ったのはやっぱラストなのよ。記念撮影のようなシーンが続くじゃない。あれが物凄いイイと思った。なんか、「お・も・い・で・・・」って感じで良いと思いません?!それもなんか映像的にいい感じの画が続くじゃない。本編にはなかった二人の戯れる様子とかさ。なんか健康的で物凄い好き。やっぱ綺麗な恋だよ、うん、やっぱそう思うよ俺は。恋が終わった時に、「お・も・い・で・・・」っていうカットを自分の頭の中で繋いでいって映像を作った時に、どろどろと恋の駆け引きしてるところや必死になってヤっちゃってるところ、トチ狂ってSMなんかしてるところなんかの画を繋ぐような恋の映像だったら想い出どころか悪夢だよね。そんな恋はしたくない。この映画は恋人同士の話なんだけどヤってるシーンやキスのシーンすらないじゃん。これがいいのよ!だからこそラストのカットが異常に綺麗で恋ってイイなっていう。どうせするなら最後にこういう綺麗な「お・も・い・で・・・」的な映像が回想できる恋がイイじゃん。この辺が俺は恋愛映画は嫌いだけど別格と思わせるだけじゃなく理想的な恋愛と言える映画の由縁だね。ホント、キスシーンすらないことでサーフボードを2人で持つ画っていうのが映像的に非常に品があって綺麗に見えるわけよ。2人がサーフボード持って歩いてるシーンってとにかく絵になってるもん。さすが巨匠だね。まいったか、コノヤロー!って言わんばかりの演出だね!シミジミ、すばらしい!!

あとラストで言ったら本当のラストカットがイイのよ。二人が並んで海を見てるシーンをバックショットで引きの映像(この映画で一番好きな画かも)で映して、しばらくするとその映像にかぶってタイトルの「あの夏、いちばん静かな海。」って文字が浮かび上がって、2人の映像が消えていって真っ黒な画面にタイトルだけが残って浮かんでるって言う。たまらん!そしてエンドロールになるんだけど、前からの映像とつながって波の音だけがずっと聞こえてるのよ。音楽も何もないただの波の音だけっていう。いいでしょ?!そしてこのタイトルって言うのがオープニングじゃなくて初めてラストで出てくるっていうのもイイでしょ。しかもタイトルが「あの夏、いちばん静かな海。」っていう文章なのよ。「、」や「。」が入ってることによって完全に文章じゃん。これがいいのよ。言葉のない映画で最後の最後にタイトルが言葉を発してるみたいに。だからこそ久石嬢の「サヨナラ」はいらなかったんだよ!このタイトルだけだったらラーメンの「うまい!」の一言の威力があったっていうね。そのぐらいこのタイトルっていうのは何も語らない映画においてポイントが高い文章になってるね。まあ、しつこい様だけど曲に関しては普通、全然気にならないんだけど粗探しじゃないけどコアな見方した時にちょっと気になる程度ね。


まあ、俺の感想はこんなもんだね。前半の曲の話しはどうでもイイのよ。ホントに。ちょっと気合入ってるところ見せてみただけだから。後半の感想は常に思うことだから後半をちゃんと読めよ!!!!!!


さらにおまけとしてたけしが本当にこの映画でやりたかったことが一つあって。それって言うのがね、耳の聞こえない聾唖の人って言うのは一つの感覚が閉ざされてるわけだから残された感覚って言うのは、普通の人と違うものがあるんじゃないかって。


だから、この映画って他の北野映画と比べて海が綺麗って感じじゃないじゃん。でも、この2人から見た海って言うのは凄い綺麗なんじゃないかって。それで、2人から見た海っていうのだけは綺麗な海に見せたかったんだけど金銭的に出来なかったんだって。そう考えるとラストの写真貼ったサーフボードが浮かんでる海っていうのは他の北野映画と同じ綺麗な海に見えるのは俺だけ?!せめて2人のサーフボードはきれいな海にっていう気持ちがたけしにあったのかなって。


書いてるうちにもう一つ思ったのが、シゲルが死んでしまった後に女の子が泣いたりしてるシーンがないのも品がイイと思いません?!サーフボードを海に持っていく時に再び軽トラの運ちゃん(寺島進)に会ったときなんか、なんとも言えない良い笑顔しちゃってるじゃん、女の子が。この笑顔に俺惚れたもん、この子に惚れた。女の子の弱ってるって言うか精神的に安定してない時とかの顔ってなんか魅力的じゃありません?!俺が守ってやるみたいな気になる。なんかいじらしいなって思ってしまう。俺、いじらしい子って好きなのよ。このシーンのこの子の笑顔はそれを感じる魅力があったね、全編的にいじらしい子なんだけどラストの笑顔はきたね。泣いてる顔じゃなくて正解だよ。同じ安定してない状態でも私って可哀想でしょっていう態度の子より健気にがんばってますっていう子の方が、なんかいじらしいじゃない。うん、かわいらしいよ!そうは思わないかい?!それこそロミオとジュリエットの「ジュリエーーート!!」と比べてもそうじゃん。これは品がないよ、やっぱり。しかも男が泣いちゃなーって。とにかく泣き顔じゃなくて笑顔をもって来た監督北野武の品のよさに拍手ってことで終わりにしようかね。


注:これは友達に送ったメールをねこさんが手を加えてくださった物なので文体が偉そうで卑猥な表現があることはご了承下さいね。

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