

歌手・ビートたけしについて
船村徹作曲生活50周年記念曲
ビートたけし作詞(船村徹作曲)「追憶」の解説
佐藤公哉(相談役)
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“追憶” 〜 船村徹作曲生活50周年記念曲
作詞:ビートたけし 作曲:船村徹 編曲:蔦将包
c/w “サヨナラ” 作詞:ビートたけし 作曲:船村徹 編曲:蔦将包
01.05.18発売 テイチク TEDA-10507
私は演歌に関してはさほど聴き込んだことはなく、二、三ヶ月に一度くらい内山田洋とクールファイブ全曲集をフル・ヴォリュームで聴いてカタルシスに浸ったりする程度だが(苦笑)、それでもここでのたけしさんの歌詞があまり演歌にそぐわないのはよく判る。演歌で一人称が“僕”というのはあまり聞かないし、“存在”なんていうタームもあまり使われない気がする。船村氏もこの辺りは調理にてこずったのでは?という気がする。
“追憶”の二コーラス目は船村サイドで追加した歌詞だそうだが、“やつれ”“汽車”“ホテルであって飲んだ”なんて演歌ワードてんこもりなのが微笑ましい。
たけしさんの元々の詩の中で、強いて言えば演歌的、と言えるコトバ遣いを探すなら、“サヨナラ”に出て来る「君がくれたマフラー 帽子 手袋」「駄々子のように」といった辺りだが、「この辺りが演歌として盛り上げるキモだ!」と船村さんは思ったのか、そこの部分に来ると演歌的情感が盛り上がる。
と、書いているうちに何だか馬鹿にしているような文章になってしまって大変恐縮だが、もちろんそんなつもりはない。むしろ、演歌の大御所作曲家がたけしさんの世界を演出するとこうなるのか、という新鮮さをとても楽しませてもらえた。
元々歌詞にするつもりで書かれたのではない“詩”なので、音楽化するのにはこういう演歌のようなスタイルは実は大変適しているのかも知れない。
個人的には、この詞世界、スガシカオ辺りに委ねたらまた全然別の面白さかあるかもなァ、ということもふと思った。彼なんかは、ウェットな心情を乾いた質感で聴かせることにかけては今の日本のポップス界では随一だから、船村さんの、ウェットな心情を更に更にウェットに盛り上げて行く手法とは逆のヴェクトルでの面白さが期待できそうな気がする。
最後に、たけしさんが他のシンガーに詞を提供した作品というのはあまりないのだが、宮沢りえに書き下ろした“心から好き”、あれは良かった。慎ましい女性像の描き方が、逆にとてもリアルで官能的だったように思う。またぜひ女性シンガーへの詞提供というのもいつか実現するようだと嬉しいね。
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