

殿に関するみんなの色々
BROTHERとヒップホップ
佐藤公哉(相談役)
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弟ねこさんの、銃の専門家ならではのエンスージアスティックな論評に大変感銘を受けました。
ここはひとつ、音楽業界に片足突っ込んでる人間としては、少しは頑張らないと。
ということで『BROTHER』とヒップホップについて少し。
先日の「ZEEBRA featuring AKTION“Neva Enuff”と『BROTHER』」原稿と併せてお読み下さい。
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イマドキのヤクザの若い衆の服装はヒップホップが主流だというお話をこの間聞きました。
最近新宿の裏の方に行くことがほとんどなくなったのでなかなか確認できないのがツライとこですが、それは有りうることでして。
向こうのヒップホップはやはり裏世界との絡みも多いものでして。2パックとかノトーリアスBIGとか、射殺された有名ラッパーも少なくない。パフ・ダディの裁判はどうなるのかなァ。
そんな中、『BROTHER』には往年の有名ラッパーが出演しました。
クール・モー・ディー。
ヒップホップの歴史本を開いてみると、彼に関する記述は思いの他少ないのですが、彼は間違いなく、ある時期のヒップホップを担ったひとりでした。パブリック・エネミーやLLクールJなんかといっしょにね。ただ、今の時点でリスペクトはあまり受けていない。この辺は、ツービートは今でもBIGな存在だけど春やすこ・けいこのことを今でも覚えていますか?みたいなお話ですね。
ヒップホップ界のビートたけし的存在としてフレッシュ・プリンスというラッパーのことを御存知でしょうか?と言ってピンと来る方は少ないでしょう。
でもウィル・スミスなら御存知ですよね。『インディペンデンス・デイ』『メン・イン・ブラック』他に出演の人気俳優として。そう、フレッシュ・プリンス=ウィル・スミスです。
今回『BROTHER』にクール・モー・ディーが出たのも、ウィル・スミスのお友達だから、って側面がかなりあるようです。
クール・モー・ディーもフレッシュ・プリンスa.k.a.
ウィル・スミスも、エンターテイメント性の強いラッパーでした。それゆえ伝説にはなりにくく、当時のセールスに比べて現在のヒップホップの世界での評価はそれほど芳しくない。で、ウィル・スミスはさっさと見切りをつけて俳優に転進して大成功。一方、そこまでうまく立ち回れなかったクール・モー・ディーは、とりあえずウィル・スミスのツテで俳優業に転じた結果『BROTHER』にチョイ役で出演したりしているわけです。
で、また、クール・モー・ディーの役どころが、山本組に売り込みに来て撃ち殺される役。
彼の全盛期を少しでも知っている人間としては非常に物悲しい役どころですね。
何かこう、「もしクール・モー・ディーがパフ・ダディんとこに売り込みに行ったら?」みたいな感じでね(苦笑……しかしこの笑いは本当に苦いね)。
さて『BROTHER』のお話です。
山本組の面々が腰につけているチェーンを見て、クロムハーツよりもロールズロイスのゴールド(※)を思い出してしまう私のような人間にとって『BROTHER』は非常にヒップホップ的な匂いを感じさせる映画であります。
最下層の黒人が表の世界で成り上がろうと思ったら、バスケット・ボールのプレイヤーかラッパーになるしかない。そういう現実は今でもかの国には存在していて。
ヒップホップというのは、そういう意味では希望の音楽でもあります。裏社会に行かざるを得ない境遇の人間が表の世界で活躍できるチャンスを与えてくれるという意味で。
山本が本当に『BROTHER』として認めるのは実弟のケンではなく、オマー・エプス演じるデニー。ぎりぎりのサグ・ライフの中で、最後に希望を託した相手がデニー。これは本当に象徴的です。
彼がラスト・シーンで山本からの最後の贈り物を見つけた時の喜び様を見て、「何でそんなに大袈裟に喜ぶんだ」と訝しく思ったひともいるかも。しかしあれは、米日の感情表現の違い(ま、「ガイジンは何かにつけ大袈裟だよ」的なことね)だけではなく、そういった文化背景もあるのだ、ということを判った上で『BROTHER』を改めて見直すと、山本がデニーに託したのは、ただのイカサマバクチの埋め合わせではないことが、より実感を伴って伝わって来るに違いありません。
(※)RUN-DMCが首から下げていたアクセサリー。彼らの全盛期、あちこちのロールズロイスからゴールドが盗まれて問題になったりもしました。
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