カッコー

去年迄お世話になっていた某団体の数年前の公演でのお話です。
金管五重奏で、まるまる一曲tubaお休み、指笛で「カッコー」の鳴きまねをするというアレンジの譜面があり、その日のプログラムに入っていました。(フィリップジョーンズブラスアンサンブルのアレンジに詳しい方なら御存知だと思います。)
私は、指笛が鳴らせなかったので、その曲を演奏する時は、別の曲で使っていた「カッコー笛」で、その指笛の箇所を演奏することにしていました。
本番が始まり、数曲演奏。そして、その曲が近づいて来た時に気が付いたのですが
「無い」(またかよ!)「無い」
「カッコー笛はどこ?」
と思っている間にも次の曲。
「あーあー、やっぱり楽屋だよぉー」
どんどんその曲が迫って来ます。休憩無しの短いプログラムだったので、楽屋に戻っている暇は、ありません。そして遂に、その曲が始まってしまいました。トロンボーンのベースライン、ホルンの後打ち、そしてトランペットの軽快なメロディ「うーん。素晴らしい!」(余裕じゃん!)と言っている間にも、カッコーが鳴かなくてはならない瞬間が迫って来ています。
「わぁーわぁーどーしよー」と思った時、私が鳴いていました。
「かっこ〜ぅ、かっこ〜ぅ」
(しかも変な裏声で)会場に響きわたる素敵な雄叫び。
「かっこ〜ぅ、かっこ〜ぅ」
ワンフレーズごとに奇声を発し続ける変わったtuba奏者。
「そう私は鳥。鳥になれたのよぉ〜。あーこのままお空へ飛んで行ってしまいたい(涙)」
二分程の短い時間でしたが、私は、おそらく世界初「コンサート中に鳥になった男」となったのです。無事本番は終了。お客様方には、妙に喜んでいただけた様で、最後のメンバー紹介でも割れんばかりの拍手の中、
「もーしわけございませんっ。ふっ、ふえを、ふえをわすれてしまいましたー。」
と、何故か鳥から人間に戻った私の土下座(これに関しては、おそらく世界初では、ありません。)でコンサートは、幕を閉じたのです。(良い子は忘れ物しちゃだめヨ)(04.3.7)

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