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『M78星雲より愛をこめて』について

序章 『Q』から『コスモス』まで その肥沃な作品世界を歩く

 本書の性質について、大ざっぱにまとめています。また本書が、作品世界についての解釈と、作品世界と外部(=現実世界)との関わりについて述べたものであることも書いてあります。
 1章の導入になるよう『ウルトラマン』のジャミラのエピソードに触れています。

1章 『ウルトラマン』の正義観

 『ウルトラ』シリーズにおいて「正義」がどのようなものと捉えられ、それを何に喩えて描いているかという論です。

2章 『ウルトラマン』の恐怖観 現実世界からの距離

 『仮面ライダー』世界と比較し、等身大怪人と異なる巨大怪獣の存在する意味を説明しています。

3章 悪

 1章とは逆に、「悪」についてです。悪と言っても、様々な悪があることを述べています。またそこから『ウルトラ』の悪の系譜についても導いています。

4章 『ウルトラマン』の時間と空間論

 『ウルトラ』シリーズそれぞれが、どのような時間、空間の出来事であるのか、またなぜそのような舞台設定になったのかを論じています。

5章 神から人間へ

 平成『ウルトラ』のキーワードとも言うべき『人間ウルトラマン』。神的存在だったハヤタ=初代ウルトラマンが、郷秀樹=帰ってきたウルトラマン以降、どのように人となっていったのかを追っています。

6章 ウルトラマンの目が白くなったわけ

 ティガ以降のウルトラマンの目が乳白色になり、かつての黄みを帯びた眼光でなくなった理由を、ウルトラマンのエネルギー源「太陽」「光」と絡めて説明しています。

7章 『ウルトラマン』の恋愛観

 ダンとアンヌ以降、シリーズにはどのような愛のかたち、結末が存在したかを考察しています。郷とアキ、アスカとリョウらを見ていくことで「愛」には「死」が相関していることがわかります。

8章 ウルトラマンの光と闇 コスモスとカオス

 『ウルトラ』世界に内在する二項対立、と言っても、「正義/悪」ではなく、「光/闇」「コスモス(秩序)/カオス(混沌)」について述べています。

9章 『ウルトラセブン』12話「遊星より愛をこめて」
 
 現在、欠番扱いとされ放送できない『ウルトラセブン』「遊星より愛をこめて」について、内容、欠番になったであろう経緯、その後の動き、そして今後どうあるべきかという私見を書いています。

10章 文学のミクロコスモスとしての『ウルトラマン』


 日本の文学の流れと、『ウルトラ』シリーズの流れの比較、国文学として『ウルトラマン』を読んだときに開かれる読みの可能性を示しています。

11章 大人の読みとしてのウルトラマン 作品の持つ叙情性

 叙情性が際立つ作品をピックアップし解釈しています。また、大人向け、子ども向けとは何か、考えてもいます。

12章 上原正三論

 『ウルトラ』を支え、日本の特撮界を支えた脚本家、上原正三氏について、その作風、魅力を分析しています。

13章 カオスとしてのウルトラマンコスモス
 
 劇場版『ウルトラマンコスモスVSウルトラマンジャスティス』について。コスモス=秩序ではなく、カオス=蒙昧的な存在としての人類に味方するウルトラマンコスモスと、コスモスからカオスに越境するウルトラマンジャスティスについて述べています。
 
最終章 ウルトラマンの現在

 ドラマの存在意義、『ウルトラマン』の社会的位置(あるいは地位)についてです。

というわけで…

 以上で、概要はおわかり頂けたかと思います。本書は、『ウルトラマン』の持つ、文学性、あるいは社会性について論じています。作者の意識、あるいは無意識からにじみ出たメッセージを読み取り、時代の表象としての『ウルトラマン』を読み解いてみました。


 本の出版が決まったのが、2003年1月末。それから追加の原稿を大量に書き上げ、3月末には原稿の8割方ができあがりました。これに、写真が入れば、なかなか良いできの本になるぞ、と考えていました。
 しかし、諸般の都合で写真は使えず、本のタイトルに「ウルトラマン」という語も使えなくなってしまいました。それまでは『ウルトラマン文学論』という題名でいこうと思っていたのです。
 こうなると難しいのは、タイトルの代替案。そしてどのような表紙にするかです。タイトルと表紙デザインの両方から、すぐにウルトラマンの本であると理解してもらわなければなりません。様々考え、思いついたのが『M78星雲より愛をこめて』というタイトルです。「M78星雲」というのは実際にある星雲なので、これをタイトルに含めることは版権上、問題ありません。そこに例の『ウルトラセブン』12話の副題「遊星より愛をこめて」をくっつけ、現タイトルとなりました。少々、ウルトラに詳しい人であれば「M78星雲」といえばピンと来るはずなので、まずまずのタイトルかなと思っています。
 次に表紙ですが、これについては文芸社の方が頑張って下さいました。ウルトラマンをダイレクトに連想させてはまずいというので、ギリギリの線で作って下さいましたが、赤に銀でウルトラマンの胴部をデザインしており、見る人にすかさずウルトラマンの本と理解させてくれるものと思います。また帯が紺色なのはウルトラマンティガをイメージしてのことです。
 文芸社の方には、終始、親身に相談に乗っていただけました。特に編集特課の片山さんには細部に至るまで教示をいただき、出版界の現状についても触れて話して下さったことは、素人物書きである私にとって大変ありがたいことでした。