LUXMAN M-05
TWIN-MONOLITHIC POWER AMPLIFIER ¥490,000
ラックスが1983年に発売したパワーアンプ。C-05とペアとなる製品として発売され,ラックスらしく純A級動作による
ハイパワーアンプとして話題になりました。強力な電源のなせる結果か,105Wという出力とは信じられない音を聴か
せてくれました。M-05の特徴の1つ目は,C-05同様,左右チャンネル間の干渉を抑えた徹底したツインモノラル構成でした。写真で
見ても分かるとおり,電源トランスから左右が独立した構造で,電源コードも左右独立という,まさに2つのモノラルアン
プを1つにしたような形になっていました。ラックスは,この「05シリ−ズ」のペアにおいて,徹底してアース回路の「基
準電位=0」にこだわっていました。動作の基準点であるアースの基準電位がふらつくことで生じる,左右チャンネル間
周波数間,増幅段間,電源のプラス・マイナス間の相互干渉の問題を嫌ったものでした。「05シリーズ」では,基準電
位=0の絶対化を図るために,左右チャンネル間の干渉を完璧に排除するツインモノラル構成を採用し,理論的中点ア
ースを排除して全てのアースをシャーシ接地し,各段ごとのアースラインを1点に集中するという方式をとっていました。M−05の2つ目の特徴は,回路のシンプル化を求めた「1段増幅アンプ」でした。従来のアンプ回路では,NFB(負帰
還)を多量にかけるために必要なアンプゲインが大きく,そのため,初段増幅の次に2段目の増幅回路が入り,出力段
という回路構成が一般的でした。ラックスは,NFBをかけるまえのオープンループでアンプの性能を高め,そこに適量
のNFBをかけ,帯域外から音像をひき締めるDCサーボを組み合わせるという「デュオ・ベータ回路」を搭載していまし
た。結果として,アンプに必要とされるゲインが従来に比べ少なくなり,初段増幅の後出力段というシンプルな回路で
十分なゲインがとれるようになり,「1段増幅アンプ」が実現していました。これらの技術は,ラックス伝統の技術として
プリメインアンプのL-550,L-530,L-510などにも生かされていきました。しかし,何といってもM-05の最大の特徴は,疑似A級動作やバイアス可変のノンスイッチング動作などによらない,
バイアス電流固定の正攻法の真正の純A級動作で105W+105Wの大出力を実現していたことにありました。当
時,これほどの大出力の純A級アンプはなかったはずです。AB級動作にすると400W+400Wクラスの実力を持つ
出力段でした。BTL接続にすると,AB級400Wの大出力モノラルパワーアンプとしても使えるようになっていました。
A級動作だけに発熱に対処するために大型のヒートシンク・ブロックと大型の放熱ファンを備えていました。回路構成は,プリドライブ段に,デュアルFETによるカスコード・ブートストラップ差動一段増幅アンプを搭載し,ドライバ
段と出力段には,三段ダーリントン接続によるSEPPとし,出力素子にはリニアリティに優れたハイスピード・パワー・ト
ランジスターをトリプルプッシュプル構成で搭載していました。電源部は,電源コードから完全に左右独立で,特別設計の大容量トランスを左右独立で搭載していました。電源トラン
スは,内部を硅砂で固めて温度上昇を抑え,一次側,二次側とも巻線管理を徹底して行い,極性管理のできるラインフ
ェーズ・センサを備えていました。ケミカルコンデンサには,大容量のものを各チャンネルあたり2個搭載し,プリドライバ
段とサーボ回路への定電圧回路も,一段増幅レギュレーターにより電源供給の安定性と瞬発力を両立させるようにして
いました。
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C-05と同様に,電磁歪み対策を徹底し,シャーシ自体をアルミ筐体とし,要所に銅板との2重構造を使用するという構
造体を採用していました。パーツの面でも厳選し,しっかりと音質管理をされて使用されていました。スピーカーターミナ
ルは,特に設計された大型のものが搭載されていました。以上のように,M-05は当時のラックスの最高級パワーアンプとして,贅を尽くした設計で純A級動作で105Wという大
出力を可能にした,弩級アンプといえる存在でした。頑丈な筐体と強力な電源部により重量も40kgにも達する大型機で
した。当時,オーディオ販売店でアルバイト店員をしていた折,2人がかりで試聴室まで運び上げ,「まさに金属の固まり
だな。」と実感したことと,その後聴かせてくれた,滑らかでしっかりした音が印象に残っています。
以下に,当時のカタログの一部をご紹介します。
ピュア・オーディオ デュオ・ベータ
思想が,技術が,
この「音楽性」を生んだ。
| ◎究極のシンプリシティ−「一段増幅アンプ」 |
| ◎極限の練り上げ−「基準電位=0」の絶対化 |
| ◆ツインモノーラル構成の採用 |
| ◆理論的中点アースを排除し,すべてのアースをシャーシ接地 |
| ◆各段のアースを完璧に等価とする「1点集中アース」を採用 |
| ◎真正のA級動作大出力を完璧な
ツイン・モノーラル構成で |
| ◎贅沢な素材をふんだんに |
●M-05 SPECIFICATIONS●
| 連続実効出力 | A級105W+105W(8Ω,20Hz〜20kHz 両ch同時動作) |
| BTL接続実効出力 | AB級400W(105WまでA級,8Ω,20Hz〜20kHz) |
| 全高調波歪率 | 0.008%(8Ω,両ch同時動作) 0.01%(4Ω,両ch) |
| 混変調歪率 | 0.008%(8Ω,60Hz:7kHz=4:1) |
| 周波数特性 | 10〜100,000Hz(−0.5dB) |
| 入力感度 | 750mV |
| 入力インピーダンス | DIRECT-IN 300kΩ,ATT-IN 45kΩ |
| SN比 | 120dB(IHF-A補正) |
| 付属装置 | ピークホールド付ピークメーター(メーターOFF SW付)
ELECTRO STATICスピーカ用端子 シグナル OFF SW 3段切替FAN SW 電源の極性を管理できるラインフェーズセンサ BTL接続SW サブソニックフィルタSW(15Hz) −6dB/oct 入力アッテネーター ウォーム・アップ機構 プリヒート機構 |
| 保護回路 | DCドリフト検出スピーカ保護回路
過電流検出アンプ保護回路 温度検出アンプ保護回路 |
| 電源電圧 | AC100V(50/60Hz) |
| 消費電力 | 540W(電気用品取締法の規定による) |
| 寸法 | 460W×210H×437Dmm |
| 重量 | 40kg |
| 別売オプション | 専用木箱 W-05M ¥60,000
ラックマウント用アダプタ L-05M ¥15,000 |
※本ページに掲載したM-05の写真,仕様表等は1983年9月のLUXMANの
カタログより抜粋したもので,ラックス株式会社に著作権があります。したが
って,これらの写真等を無断で転載・引用等することは法律で禁じられていま
すのでご注意ください。
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