快適な住生活の為に
リニューアル提言の為のエッセンス
合資会社建築保全コンサルタンツ
リニューアルコーディネータ 中村喜文
◆ 日頃から注意、点検を
◆ 建物の劣化の種類と修繕方法
◆ マンションの法定耐用年数とは
◆ 改修周期について
◆ なにもしないとどうなるのか?
◆ コンクリートの強さって?
◆ 鉄筋とコンクリートの役割分担
◆ コンクリートの亀裂と劣化
◆ モルタル塗りについて
◆ 大規模修繕工事計画書の作り方
◆ 大規模修繕工事計画書の内容はどんなものか
◆ 大規模修繕の資金計画
◆ 大規模修繕の必要性についての区分所有者の考え方
◆ 長期修繕計画作成のポイント
◆ 長期修繕計画の作成
◆ 建設省が標準管理規約を改正
◆ マンションの建替え5分の4の賛成で可能
◆ ホームページへ戻る
☆★☆★日頃から注意、点検を☆★☆★
建物の維持保全を適正に実施することは、思わぬ事故を防いだり、地震や火災等の災害時の被害を軽減したり、建築物の寿命を長持ちさせることにつながります。省エネルギー、地球資源の問題からも今後大変重要な事項です。
@ 建物の外壁は安全ですか
外壁は、年数が経過すると老朽化し、ひび割れや浮き上がり、腐食等が発生します。そのまま放置すると外壁の落下により思わぬ事故が発生し社会的な責任も問われる場合があります。日頃から点検、診断し、異常が認められたときは早急に補修・改修をしましょう。
A 非常用の照明装置、排煙設備等をご存知ですか
照明装置、排煙設備等が適切に作動しないと、火事が発生した時など煙にまかれて死亡するなどの事故が発生します。日頃から照明装置、排煙設備、換気設備を点検いたしましょう。
B 火事の時、安全に避難できますか
廊下,階段,バルコニー等に物を置いたり、防火シャッターの下や防火戸のまわりに物を置いたりすると、火事が発生したときなど、いざというときに逃げられなかったり、火災による被害を大きくする原因となります。日頃から注意・点検をいたしましょう。
・ エレベーター、エスカレーターは安全ですか
日常の維持管理を怠ると、エレベーターの中に閉じ込められるなどの思わぬ事故が発生します。日頃から適正な維持保全を行うようにしましょう。
☆★☆★建物の劣化の種類と修繕
方法☆★☆★
(1)物理的劣化
建物は建設されてから一定の年数を経ると、雨水、空気中の炭酸ガス、繰返し使用による減耗などの物理的あるいは化学的要因等により、使用材料・機器の劣化が始まり、さらに経年とともに劣化範
囲が拡大し、劣化程度も進行します。このため、各劣化状況に応じて適切な修繕が必要でありますが、劣化が全面に至ると大規模な修繕を実施しなければなりません。
2)機能的劣化
しかし、建物の劣化は物理的劣化だけはありません。建物は、ある一
定の機能を果たすために建設されるのでありますが、建設後の技術の向上によって、建設時よりすぐれた性能やよりコンパクトな設備機器・材料が開発され、その結果当初設置された機器等の性能が低下していなくても、相対的な評価としてその機器が劣化(陳腐化)しているようになる場合があります。あるいは、法的規制の変化によって建物が備えるべき機能が向上あるいは拡大することにより、同様にその機器が劣化しているようになる場合もあります。このようにして起こる劣化を機能的劣化といい、冷暖房機器の高性能化・小型化、各戸の電気容量やコンセント数の増加あるいは消防法の強化や新耐震設計法の施行等に伴う既存建物の不適合は、その一例です。
(3)社会的劣化
さらに、物理的劣化、機能的劣化以外に社会的劣化といわれるものがあります。これは社会的要求水準、要求内容が変化したことによって生じる劣化です。高度情報化、多様化あるいは潤いを求める現代社会の変化に対応して、住居に要求する内容も変貌しており、部屋構成の変化、住戸面積の増大、OA化対応あるいは建物の外観の高級化等が求められますが、これらに対応できないことにより生ずる劣化であります。しかし、大規模修繕ではこの社会的劣化に対応できる範囲はほとんどありません。機能的劣化、社会的劣化を改善するためには、建設時より高い水準まで改良したり、あるいは別の機能を付加することが必要です。
☆★☆★マンションの法定耐用年数とは☆★☆★
「マンションはどの位の年数もつものですか?」「30年から40年しかもたないそうですが、本当ですか?」などの質問をされることがあります。各種の法定耐用年数を次に述べます。
[1]借地法・・・60年
土地の賃貸借上の法的耐用期間。その上に建つ建物の構造によって定めている。
[2]住宅金融公庫法・・・50年
貸付金の利率、償還期間は、用途及び構造形式によって定めている。
[3]公営住宅法施行令・・・70年
家賃の限度の算定方法を決めるとき、住宅構造の種類によって償還期間を定めている。
[4]大蔵省令・・・60年
建物の減価償却資産としての法定耐用年数を、用途、構造ごとに区分し、細目を定めている。
[5]自治省固定資産家屋評価基準・・・80年
税収入の確保を目的として定めている。
以上は全て法定耐用年数といわれるものですが、建物の性能について経年の実証的裏付けがあっての法定ではなく、法令等の目的を達成するのために定めたものです。一般には、大蔵省令の年数をもって代表的な法定耐用年数(60年)としています。
最近では、鉄筋コンクリート建物の躯体は、管理次第で80年以上は十分にもつ、という改修技術の建築専門家がでてきています。
☆★☆★改修周期について☆★☆★
@ 一般外壁の改装・改修周期は10〜13年が目安です。
A 鉄部の改装・改修周期は3〜5年が目安です。
B 防水層の改装・改修周期は10〜12年が目安です。
☆★☆★なにもしないとどうなるのか?☆★☆★
一般的にマンションの強度は鉄筋とコンクリートの組み合わせで保たれています。鉄筋が錆びると体積が増えてコンクリートを押し出してしまい、外壁が落ちます。
従って「鉄筋を錆びから守る」ことが延命のポイントとなります。錆びの原因は水と空気ですので、鉄をカバーしているコンクリートのひびや水の浸入経路となる屋上防水を定期的にメンテしないと確実に寿命が短くなり資産価値は下がります。
鉄筋の弱点はさびやすいことと曲がりやすいこと。これを補っているのがコンクリートです。圧縮する力に強いコンクリートは、鉄筋の曲がりをガードします。逆に引っ張られる力に弱いコンクリートを鉄筋が補強します。しかも鉄筋の酸化(錆び)を、アルカリ性であるコンクリートが防ぐという関係もあります。ただし、この強力なコンビも、年月が経つとコンクリートがひび割れ、鉄筋がさびて弱まってきます。鉄筋コンクリートの耐久性を保つためには、鉄筋の表面を覆っているコンクリートの厚み(かぶり)を厚くするほどよく、3cmは必要です。ただし厚いとひび割れの原因にもなります。そこで、当初から切り込みを入れて(誘発目地)を入れて、そこにひび割れが起きるようにします。その部分には雨水が侵入しないようにコーキングするなどの対策がなされています。
「老朽化」とは、本来安全に維持すべき耐用年数=(建物を構成する個々の材料固有の性質を、安全に維持できる期間)内に、適切な管理を施さなかったために、その材料の交換が簡単には行えなくなったり、あるいは他の材料に悪影響を与え、その回復には多大な費用を要する状況を指します。その結果、維持管理不能に陥り、ついにはその建物の寿命が尽きることになります。この状態になると、おそらく補強等の費用が建て替え費用を上回ることになるかも知れません。
☆★☆★コンクリートの強さって?☆★☆★
コンクリートは、セメントと砂と砂利とを水でこね合わせて作られるので、型枠の中で水和作用によって固まっていき1週間で目的の強さの60〜70%ぐらいの強度を発揮し、4週間でほぼ100%に達します。この強さは、通常の建物用のコンクリートで1p2当り圧縮強さで200sぐらいの物が使われています。これは、葉書の大きさの面積で約30トンの重さを支える程の強さとなりますが、コンクリートは、引張られる力や、折り曲げられる力に対してはズット弱いため実用上は、これらに強い鋼材−鉄骨や鉄筋に曲げ、引張り力を、コンクリートが圧縮力をと役割を分担しながら一体化した、鉄骨鉄筋コンクリート(SRC造)、鉄筋コンクリート(RC造)として使われています。
上図は関西ペイントより引用
☆★☆★鉄筋とコンクリートの役割分担☆★☆★
鉄筋コンクリートの建物では、コンクリートの中に鉄筋の骨組が埋め込まれた形になっています。これは、鉄筋とコンクリートによる力の分担のほかに、火災等の火に弱く(高温で熱せられると飴のようにグンニャリしてしまいます。)また、空気に触れることで酸化して錆びてしまう鉄筋を、アルカリ性であるコンクリートが囲むことで保護し、いつまでも力を支える機能を持たせ続けようと考えられた物です。
そのため、鉄筋の表面からコンクリートの表面までのかぶり厚さは建築基準法施行令の中でも最少2cm以上と定めています。これは、コンクリートが火災時等に鉄筋の耐火被覆機能と、コンクリートのアルカリ分の中和作用による中性化で鉄筋の防錆機能を失ってしまうまでの時間を保つために必要な事項と考えられたからです。
☆★☆★コンクリートの亀裂と劣化☆★☆★
コンクリートは、元来アルカリ性ですが長い年月の間には、空気中の炭酸ガスや亜硫酸ガスなどの影響で、そのアルカリ分が失われ(中性化)それが鉄筋にまで達すると、コンクリートによる防錆機能が失われ、鉄筋は錆び、錆びることで肥大して表面のコンクリートを押し出して剥落(曝裂)させます。理論上は、こうなる迄には数10年かかりますが、実際はコンクリート自身の収縮、地震や交通による地盤の振動や台風などの色々な外力、真夏の太陽から真冬の凍りつく寒さまでの温度差による熱膨張、収縮などのためにコンクリート表面には大小さまざまな亀裂が出来、これらに雨水等が浸み込んで中の鉄筋を錆びさせたり、劣化の進行が一層促進されます。
☆★☆★モルタル塗りについて
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モルタルとは、セメントと砂を水でこね合わせたもので、左官屋さんの手によって建物の床や壁や、天井などへ鏝(コテ)で15〜20o程度の厚さに塗付けられます。これは、その上へ塗料などを刷毛やローラーで塗ったり、タイルを張ったりの仕上げ材料を取付けるためにコンクリート表面の凸凹を均す下地材としての役割と、コンクリート表面を覆うことによって保護する皮膜としての役割とを併せて持っています。モルタルは、コンクリート表面にモルタル中のセメント糊分で付着しているだけなので、時間の経過と共に、コンクリートと肌分れをして(浮き)、部分的に欠落したりします。浮いた所は、叩くとポコポコと音がするので、判ります。日常のご注意をお願いします。
☆★☆★大規模修繕工事計画書の作り方☆★☆★
大規模修繕工事を実行するためには、総会での特別多数決議が必要です。その総会議決にはきちんとした提案が欠かせませんが、手続きもさることながら、総会出席者が提案された大規模修繕工事の内容を正確に理解することが大前提です。この場合、提案事項となる大規模修繕工事計画そのものがかなり複雑で広範囲な内容のものであるために、提案しようとする計画の内容を理解してもらうための独自の工夫が必要になります。その独自の工夫の最たるものが、綿密にまとめられた大規模修繕工事計画書の作成です。
☆★☆★大規模修繕工事計画書の内容はどんなものか☆★☆★
大規模修繕工事の実行に関して、実際に理解しておいてほしい項目をすべて盛り込んだものが、必要です。
@ 大規模修繕工事の実行が必要な理由
なぜ大規模修繕工事をしなければならないかという建物劣化の実情。逆に言えば、大規模修繕工事をしないまま放置しておくと、どういう不安があるかという点の説明。
A 大規模修繕工事を行う工事範囲
どの部分の修繕工事をするのかをはっきり示すこと。共用部分であることの説明はもちろん、少しでも具体的にどこからどこまでの修繕工事であるかを示すことが必要。図や写真があると、なお分かりやすくなる。
B 大規模修繕工事の工事期間
工事期間が何か月何日ぐらいになるか、何月何日ごろから何月何日ごろまでになるかを明示すること。なお、分かっていれば、期間中の工事作業時間や、休日についても明示した方がよい。
C 大規模修繕工事の工事費用
大規模修繕工事計画書の中でも最も重要なポイント。工事費用はいくらか、どういう方法で確かめた工事費用なのか、工事費用の主な内容はどういう費目か、修繕積立金の積立残高はいくらあるか、臨時費用は必要ないかどうかなどが中心となる。
D 大規模修繕工事を発注する工事会社の選定
最も慎重な説明を必要とする項目。工事会社を選ぶ方法はどういう方法か、選定の基礎となる管理組合としての考え方はどうなるか、選定の基準は何か、選定の対象となる工事会社の選び方はどうするかなどが必要項目となるが、このほかに、それぞれのマンションごとに特有の項目を独自の判断で追加した方がいい場合がある。
E 選定した工事会社とその選定理由
具体的に選んだ工事会社の内容。社名、所在地、業務内容、工事実績、工事関係者の組織体制、工事費用支払の条件など。
F 工事費の支払方法
ほとんどは分割払いになるが、何回に分けていくらを、いつ、どういう方法で払うかを明示すること。臨時負担金が必要となる場合は、この点の説明が微妙に関係する。下手をすると、工事代金未払いになり工事が中断することにもなりかねない。
G 生活面ヘの影響など関連する点
例えば外壁改修工事であればベランダの片づけ、排水管改修工事であれば水回り部分の使用制限など、生活に関連する事情のすべて。この点をきちんと説明しておかないと工事が始まった後、問題が起こりやすい。特に、賃貸化住戸の場合は、区分所有者よりも占有者(賃借人)との関係の方が大きい点に注意がいる。
H 住戸室内ヘの立入り
工事内容によって室内立入りが必要な場合は、いつ、何時間程度、室内のどの部分に工事作業との関係が生まれるかなどを具体的に説明すること。居住者の生活面ヘの影響が大きいからである。この点をはっきり説明しておかないと、立入りができない住戸が生まれて工事日程が狂う場合がある。工事が遅れれば、当然その分だけ工事費用の増加にもなることを説明すること。
前項と同じく、賃貸化住戸・社宅化住戸の場合に注意がいる。
I その他
マンションごとに特有の事情があれば、必ず盛り込むこと。例えば、店舗付きのマンションの場合の店舗部分との関係、エレベーターの使用制限の有無、騒音や振動・臭気などの予告、子供の事故防止のための注意など。なお、大規模修繕工事の工事規模によっては、工事期間中の現場事務所や資材の置き場や、工事用車輌の駐車場、さらに工事作業員のための仮設トイレなどの用意が要る場合もある。
☆★☆★大規模修繕の資金計画
☆★☆★
(1)工事費用の調達
マンション総合調査によると、大規模修繕費用の調達方法は一般的に8割強が修繕積立金を使用し、区分所有者から特別徴収した組合は2割強、公的・民間機関からの融資を利用したのは17.8%で増加する傾向にあり、修繕積立金による方式が定着してきている。特別徴収金が多額になれば区分所有間の合意形成が困難となるため、特別徴収よりも借入れを併用する組合が増えているものと考えられる。
(2)マンション修繕費用積立保険
毎月積み立てられる修繕積立金は、大規模修繕実施までの間長期にわたり蓄積されているので、その効率的な運用を図るための新たな金融商品の開発が望まれていた。昭和60年11月に創設された「マンション修繕費用積立保険」(損害保険会社21社による共同引受でスタート)もその一つである。この積立保険は、マンションの共用部分の火災その他の事故に対する総合的な補償機能と、修繕積立金の効率的な運用機能の二つを兼ね備えており、管理組合の毎月の修繕積立金あるいは累積積立金を保険料として払い込むものである。この保険に加入すれば別途火災保険の付保が不要のほか、保険期間満了時に支払われる満期返戻金及び契約者配当金には課税されない等のがある。なお、この積立保険は、保険の自由化の流れを受け、これまでの共同引受から平成9年8月以降の契約分より損害保険会社各社の単独引受けに変わり、今後は損害保険会社により保険料、補償内容も異なる余地が生じているまた、このほかにも損害保険各社が独自に発売している「積立マンション総合保険」がある。前記保険は積立金の運用利益に重点を置いているが、これは補償内容に重点を置いている。
(3)共用部分リフォームローン
大規模修繕を実施するマンションの共用部分は、住戸である専有部分の区分所有権に付随するものであり、区分所有者は分割請求も分離処分も行えず、鑑定評価上単独の価値を求めることはできないとされている
このため、従来の大規模修繕資金の融資は、区分所有者を対象と
した個人融資が大部分であったが、区分所有者の専有部分(住戸)は購入時の融資の際低当権が設定されていることもあって担保余力が小さく、民間金融機関では自社系列の保証会社の保証を付保させるのが一般的であった。 しかし、個々人の借入れが円滑に進まない場合には大規模修繕実
施の大きな支障となるため、大規模修繕費用の不足分を管理組合で一括して借り入れる方策が検討されてきており、現在では住宅金融公庫をはじめ民間融資機関においても、管理組合を融資当事者とする制度を設けている(なお、管理組合向け融資制度の発足当初は法人格を有する管理組合に限定されていたが、最近では非法人の管理組合も対象としてい)。
このうち、昭和60年9月から管理組合法人向けに、昭和62年7月からは非法人も含めて開始された住宅金融公庫の「マンション共用部分リフォームローン」は、融資金利が2.7% (平成11年7月21日現在)と低利なこともあって利用する管理組合は多くなっている。このローンの利用に当たり、センターの債務保証(保証料は、返済期間5年の場合融資額の約2%)を付保すれば担保は徴求されない。
なお、センターの債務保証は管理組合法人を対象として昭和61年9月から、更に昭和62年7月からは非法人管理組合を対象として実施されている。借入金の返済に当たっては、区分所有者が負担する修繕積立金を
増額する管理組合が多い。
☆★☆★大規模修繕の必要性についての区分所有者の考え方☆★☆★
修繕積立金の引上げ
各区分所有権から徴収する修繕積立金の月額は、平均6,767円と前回調査4,108円の64.7%増となっており、さらに、駐車場等専用使用料収入からの充当額を加えると平均
8,222円とかなり改善されてきている状況がうかがえる。しかし、新築時(築3年末満)においては、平均徴収額が4,208円(駐車場等専用使用料収入からの充当額を加えると6,296円)と、必要な修繕積立金の目安(注)約9,000円
からみるとまだかなり低く、マンションの販売時点における積立金の取扱い、入居直後の数年間における積立金の見直しなど、修繕積立金の今後の検討課題の一つを示唆するものとなっている。
☆★☆★長期修繕計画作成のポイント☆★☆★
(1)長期修繕計画作成の考え方
長期修繕計画作成の目的は
第一に、著しく劣化する前にあらかじめ適切な修繕を施し、その性能を回復させる「保全管理」を計画的に行うため第二に、大規模修繕に必要な資金をあらかじめ計画的に積み立てるためです。築後5年以内なら、ある程度大雑把な予測に基づいた20年間の計画を、定形化された長期修繕計画マニュアルを使って作成します。以後数年ごとに、劣化状況を観察し、修繕項目の追加、予定工法・機器の仕様等の見直し、予定費用の積算のやり直しをします。経済変動も考慮して、修繕積立額の改定を図っていくのが望ましいでしょう。築後25年位を超えると、大規模修繕工事が次から次と玉つき状態で迫ってきます。そして、これまでは補修や改修の方法で間に合ったものが、全面的な改修や取替えになり、工事費が急激に嵩むようになることが必定です。修繕工事資金の不足分を融資に頼れるのは、せいぜい20年までと考えておいた方が無難です。資金計画を誤ると、多額な臨時徴収をしなければならなくなります。それが障害となって、適宜適切な修繕ができなくなることにもなります。
(2)必要な図面
竣工図
建築工事図
土木設計図
電気設備図(屋内・屋外)
衛生設備図
共通設備図
集会所建築設計図
共聴設備図
給水所関係図
その他図面
(3)計画修繕項目と数量の洗い出し
基本的に設計図書類から項目と数量を拾い出します。それに後に増えたものがあれば項目と数量を追加します。これを現場調査によって照合・確認します。
(4)劣化調査
築後間もない場合なら、予測耐用年数によれば可能ですが、築後10年以上経過したところでは、全般的な目視による調査と、項目によっては抜き取り調査をあわせて行って、修繕適期、修繕工法を策定し、それぞれの工事費の積算をします。調査費が高くなるようでしたら、調査結果の精度に影響の少ない範囲で、抜き取り調査の箇所数を削減します。
給水所や汚水処理施設の設備機器等の劣化は、直接生活に影響しますので、制御盤や計器類その他の修理部品が緊急に調達できるかを調べておく必要があります。何年かすると修理部品の在庫がなくなってしまう可能性がある場合、早めに新規格のものに交換するようにします。
☆★☆★長期修繕計画の作成
☆★☆★
(1)修繕積立金との関連
大規模修繕に要する費用は、基本的には修繕積立金(駐車場使用料等からの繰り入れ分も含む)で充当すべきもので、予想される各種の大規模修繕がおおよそ実施される時期とそれぞれの所要見込工事費を勘案して設定するのが適当である。この大規模修繕の概ねの施工時期、工事内容、金額を定めたのが「長期修繕計画」である。つまり、長期修繕計画は、大規模修繕そのものの必要性を区分所有者に理解させるとともに、費用負担の平準化を図りつつ大規模修繕費用を確保するための合理的な修繕積立金額の設定や改定の重要な資料となるものである。
(2)修繕周期
外壁塗装、屋上防水、給排水管等の建物各部、設備機器等は、これまでの経験則によると概ね一定の周期をもって相当の修繕を必要とする劣化状況になることが判明している。このため、分譲段階時点でもあらかじめその状況を想定して長期繕計画を作成することができるのである。もっとも、個々のマンションにおける修繕周期は、当該建物の立地条件、施工品質、日常的な保守点検や修繕の程度等により相当の幅があり、例えば外壁モルタル塗りの修繕周期は一般的には築後12年であるが、その幅は築
後9年から15年までとなっている(したがって、単に長期修繕計画の時期どおりに大規模修繕を実施するのは問題があり、劣化診断による現状把握が不可欠である)。表−5は、建設省が昭和60年度に当センターに委託して作成した「マンションの修繕積立金算出マニュアル」に掲載されている計画
修繕周期表である。これによると、外部金物(鉄製)は4年、屋上露出アスファルト防水は12年、給水管取替は16年となっている。
(3)長期修繕計画の例
長期修繕計画は、マンションを構成する主な各部・機器の修繕周期が一巡するとみられる25年から30年を目安とし、その期間内での大規模修繕項目の周期を想定し、概算工事を算出することにより、実施予定年度の大規模修繕費用の支出合計額を推計したものである。
☆★☆★建設省が標準管理規約を改正☆★☆★
今年の2月25日付にて、建設省から「中高層共同住宅標準管理規約(一般的には、「標準管理規約」と云われている。)の改正が、都道府県、政令指定都市、(社)不動産協会、(社)高層住宅管理業協会などの業界団体、(財)マンション管理センター、全国マンション管理組合連合会などの関係財団等、住宅金融公庫などの関係機関等々に通達されました。
従来の標準管理規約は、昭和57年に通達され(昭和58年に区分所有法の改正に伴い一部改訂)ていたものである。建設省の推計では、昭和57年当時の分譲マンションのストック総数が約113万戸であったのに対して、現在時点では約300万戸にこの15年間で約3倍近くに増加するとともに、その形態も多様化している。
この事態から、建設省では、分譲マンションの建物の維持管理や居住ルール等をめぐって区分所有者等の間で様々なトラブルが生じている状態を踏まえ、快適なマンション生活を享受していくためには、区分所有者全員が一体となって共同財産の管理にあたり、円満な共同生活関係を構築していくことが重要であるとしている。
このためには、各マンションにおいて区分所有者間の基本的ルールである管理規約を整備しておくことが何よりも大切であるとの考え方から、平成7年2月に建設大臣より住宅宅地審議会に対して諮問を行っていたものである。
建設省では、標準管理規約は、新規分譲が行われる場合に使用するために作成したものであるが、既存マンションの管理規約についても、特に改正の主要点の部分については、改正規定を参考にして、なるべく早い時期に修正されることが望ましいと考えている。[参考@]
3タイプ別に作成された
今回の改正標準管理規約は、従来の一棟のみの住戸専用マンションを対象にしたものではなく、「単棟型」「団地型」「複合用途型」の三種が作成され、それぞれに条項別の解説等を記載した「コメント」も共に作成されているので、参考にする場合には、正確な理解のためにコメントをも併せ見ることが必要である。
建設省の通達添付文書と住宅宅地審議会の答申書の前文などによれば、今回の改正の要点は次のとおりである。
1.マンションの適正な維持管理を促進していくための改正
マンションにおける居住水準を維持し、良好に維持管理していくためには、計画的な大規模修繕を適切に実施していくことが重要であるが、必ずしも十分に行われているとは言えない状況にあることから、大規模修繕を円滑に進めていく上での前提となる長期修繕計画の作成または変更に関する業務を管理組合の業務として規定した(単棟型第31条)。[参考A]
2.マンションにおける適正な使用関係を促進していくための改正
マンションの使用をめぐるトラブルが多くなってきていることから、区分所有者間の公平性を確保し、マンションの管理の適正化を図っていくための規定を次のように位置づけている。
駐車場の使用をめぐる区分所有者間の公平が図られるよう、駐車場の使用について、「専用使用権」という文言を削除する等規定を整備した(単棟型第15条)。
専有部分におけるリフォームをめぐるトラブルを未然に防止し、建物全体への影響を考慮するという観点から、専有部分のリフォーム工事を行おうとする場合の手続き規定を整備した(単棟型第17条等)。
配管の枝管等専有部分である設備のうち、本管等の共用部分と一体となった部分の管理については、本管等の共用部分の管理と一体として行った方が適当な場合が多いことから、管理組合が一体として管理を行うことができるよう規定を設けた。(単棟型第21条等)。
居住者間のトラブルが近年多くなってきている犬、猫等ペット飼育を認めるか否かについては、各マンションにおける居住者の嗜好に大きく左右されるものであることから、付属する標準管理規約コメントに、ペット飼育に関する規定は規約で定めるべき事項である旨を明示した(単棟型コメント第18条関係)。
3.団地型と複合用途型の標準管理規約を新たに作成
マンションの普及に伴い、一つの敷地内に複数の建物が存在する団地型のマンションや店舗と住宅等が併存する複合用途型のマンションが増えているが、これらの型のマンションには、従来の標準管理規約をそのまま当てはめることができないので、従来の単棟型の改正のみでなく、新たに団地型と複合用途型を新たに作成している。
団地型の標準管理規約は、団地型として最も一般的な、団地の土地全体が区分所有者の共有となっている形態を対象とすることとし、管理組合は、団地全体の共有物のほか、各棟についても一元管理するものとする。(団地型第4条、第21条等)。
団地内における管理対象物に対する各区分所有者の費用負担を明確にするため、管理費、団地特別修繕費および各棟特別修繕費のそれぞれの費用の額の算出方法および使途について明確にするとともに、収支を明確に分けるため、それぞれの費用ごとに(各棟修繕積立金は棟ごとに)区分して経理することとする(団地型第24条、第29条等)。[参考B]
団地型の標準管理規約では、さらに区分所有法の条項規定において団地に準用されないで、各棟毎に対処しなければならない条項があるが、この区分所有法の規定にしたがって、団地総会とは別に団地管理組合の中においても区分所有法第3条もとづく棟総会の規定が新設されている(第8章の第64条〜第71条)。
[参考C]
複合用途型の標準管理規約は、複合用途型として多数を占めている低層階に店舗があり、上階に住戸があるという形態で住宅が主体のマンションを対象とすることとし、管理組合は、住宅または店舗の区分所有者のみが共用している一部部分についても一元的に管理するものする(複合用途型第4条、第21条等)。
管理対象物に対する各区分所有者の費用負担を明確にするため、全体管理費、全体特別修繕費、住宅一部管理費、住宅一部特別修繕費、店舗一部管理費および店舗一部特別修繕費のそれぞれの費用の額の算出方法および使途について明確にするとともに、収支を明確に分けるため、それぞれの費用ごとに区分して経理することとしている(複合用途型第24条、第25条、第31条等)。
[参考@]
標準管理規約は民間分譲のマンションの管理組合へ分譲業者等が提供する原始規約の標準的規定として、建設省が行政指導の一環として発表しているものです。この改正がマスコミで伝えられた時に、区分所有法の改正と早合点された方もおられるようだが、それは違う。
既存のマンションから見れば、強制されるものではないが、民間分譲、公社公団の公的分譲の別なく、管理規約の時代的要請といった観点から落ちついた態度で評価したいものである。現行規約が不充分であったり、運用し難い規定があったりして、改正を企図している場合には、大いに参考にすべきである。ただ、10年も経っているマンションではある種のコミュニティ文化が出来上がっているので、それとの整合性に留意する必要がある。
[参考A]
長期修繕計画の策定や一定期間毎の見直しを管理組合の当然の業務として位置づけていることに意義がある。長期修繕計画の内容には言及していない。建設省としては、適正な管理が行われるために管理委託を受けている管理業者に周知を図っている標準管理委託契約書の仕様内容の追加見直しが、今後の課題になる。
管理組合が持つべき長期修繕計画の内容としては、住宅金融公庫の基準に照らせば、外壁補修、屋上防水補修、給排水管補修の三項目は欠かせない。
[参考B]
団地管理組合における団地修繕積立金と棟別修繕積立金の規定は、住宅都市整備公団の標準事例では、かなり以前から提示されている。新規分譲の当初からこの考え方で実務が実施されている場合は別にして、既存マンションで既に大規模修繕を実施しているところでは、過去を精算しなければ、この考え方を採用できない。検討に当たっては、理論的な合理性と実務の実際性の整合をはかって、マンション内の合意に時間をかける必要があろう。
[参考C]
団地管理組合であっても、建物毎に区分所有者が適法な決議をもって対処しなければならない団地に準用されない区分所有法の規定は、次のとおりである。法第57条第2項(共同の利益に反する行為の停止等の請求)、法第58条第1項(専有部分の使用禁止の請求)、法第59条第1項(区分所有権の競売の請求)、法第60条第1項(占有者に対する専有部分の引渡請求)、法第61条第1項(建物の一部が滅失した場合の滅失した共用部分の復旧)、法第62条第1項(建物の老朽化等の場合の建替え決議)である。該当事態の実際においては、団地管理組合は複数の建物を一元管理するために組織されているから、当該建物の区分所有者の適法な決議と団地管理組合の妥当な決議の両者が共に必要になることが予想される。多くの団地管理組合では、従来からこの規定を設けているか否かにかかわらず、該当事態に対処するためには、改正標準管理規約の棟総会の規定に準拠した手続きがないと適法になりえない。団地居住者の中でも、区分所有法のこれらの定めを知る人が案外少ないので、この機会に留意してほしいものである。
新しい標準管理規約および同コメントについては、建設省のホームページに掲載されている。
アドレスは、http://www.moc.go.jp/house/index.html
マンション管理組合の交流組織である関住協(関西分譲共同住宅管理組合協議会、1981年発足の会員制団体、300管理組合、全国マンション管理組合連合会の一員)は、集合住宅維持管理機構の設立要請団体であるが、住宅宅地審議会の答申書提出段階で建設省通達の最終内容の改正標準管理規約と同コメントの全文をいち早く入手し、2月下旬には、会員管理組合に通知するとともに、その内容検討ために弁護士さんを招いた熱心な交流会を開催している。
関住協では、会員外希望者にも「改正標準管理規約と同コメントの全文」を頒布できるようにしている。希望者は、関住協事務局(TEL06−316−1850
FAX06−316−1640)へ「単棟型」「団地型」「複合用途型」のいずれかの希望を伝えて申し込まれるとよい。会員外希望者は有料。また、何ヶ月後には、有力書店の店頭にも全文掲載の解説書が並ぶことでしょう。
☆★☆★マンションの建替え5分の4の賛成で可能
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これまで、建物が老朽化した場合でも、建替えをするためには、一人でも反対者がいれば不可能でした。しかし、昭和59年(1984年)の法改正により、集会において、5分の4以上という特別多数の決議があったときには、マンションを建て替えることができることになりました(62条)。この決議がされたときは、建替えに参加する者は、参加しない者の有する区分所有権等を強制的に時価で買い取ることができることとされます。ただし、建替えの決議は、建替えを必要とするだけの客観的要件が備わっていなければ無効です。
また、建物の一部が滅失した場合の復旧についても規定が設けられ(61条)、滅失した共用部分について、集会で復旧の決議(4分の3以上の多数決)をすれば、これに基づいて区分所有者が共同して復旧することができることになりました。ちなみに滅失した自己の専有部分については、区分所有者自身が復旧すべきものであることはもちろんです。
なお、この改正で、昭和59年(1984年)1月1日以降に新築された分譲マンションについては、売買や担保に際して、専有部分と敷地利用権とを一体的に処分しなければならないものとされましたが、これによって、従来、複雑をきわめた区分所有建物に関する登記がよりわかりやすく簡素化されました。