Where are there the right ?


piece.1 迷える二つの魂


いくらその光をつかんでも、この手はかげをつかむだけ。
ただ、光りに近づきたくて、包まれたくて…。
一人、今日も黒の世界をさ迷う。
一人は嫌だ。もう黒く青い世界に居るのは御免だ!!
漂ってやっと見つけた光りの集団、沢山両手に余るほどあるのに。
いつも……。
光って、まるで砂のよう。
両手をいっぱいにしても、開いてしまったかすかな指の間からさらさらと落ちていく。
このはかなさがまるで光のよう。
あんなに高く飛べたら、白く温かな光のある世界にいけるのだろうか?
もし、翼があったなら……。
俺は、最初から翼なんて持っていなかったんだろうか?
勇気というなの翼を。背中についたもう何年も使われていなかった、ホコリかぶって傷ついた羽。
もう使い方さえ忘れてしまったよ。
動く事すらも出来なくなって、ついには座っているだけだった。
もう、一生光には出合う事はないという絶望という重みとともに、ここに置き去りにされてしまったんだろうか?
声も聞こえない、偽りつくりものの光さえもない。
ここは、何も存在しない場所、『界の狭間』の空間なのだから。
通る人などゼロに等しく、ほとんど何者にも見つかる可能性もないといっていい。
今の俺には最高の死に場所かもしれないな・・・・。
当たり前だよな、俺が闇に追われることも。
光を掴めない事も。
俺のしてきた行為は、その権利を失うに値する以上の物だったのかもしれないから。
挙句の果てには、住んでいた国,地界ドウラスや、大好きだった親友からさえも俺は見捨てられた。
何者も、俺を思う人はもうこの世にはいない……。
未来永劫えいごう誰にも見つからず、広がる「赤の池」が大きくなって行くのをただ見つめながらどんどん霧の意識の中に身を潜めていくのだ。
どんなに悪い奴でも、死が近づいてきたらやっぱり願ってしまうんだな。
もう1度最後に、光の温かさに包まれてみたいと。
もし、その光が俺にとって本物であり、その思いを叶えることが出来たのなら、その時俺は、必死になってそれまで散々裏切ってきた神に命乞いをするのかもしれない。
やっと手に入れたその光を守るために。
その光を、どんな事をしてでも絶やさないために。
だが、ここには決してそれは叶わない、ありえない。
もういい、俺はここで池へと一人静に沈んでいこう・・・。
この逃れられる事のない永遠の闇と共に。


* * * *


手に入れた光は、私にはとても心地よい物だった。
長い旅路の果てに辿り着いた温かな場所。

−私はやっと手に入れられた。この安らぎを。−

ここは輪廻の輪に戻る事を許された魂の行き場所の一つ、“天界リンベル”。
ここにいれば、もう二度とあの場所にいなくてもいい。
汚らしく、汚れ果ててしまった地球[人間界ガイア]なんかに。
やっと得られた私の至福のとき。
“他に何もない”ということがこんなにも幸せだなんて……。

どこまでも広がる、甘い匂いをはなつ草花達の群れ。
その蜜に誘われる蝶の中間達。
小鳥達の声もこんなに近くに聞くことができる。
争いの「あ」の字も存在しないくらい平和で純粋な国。
それが、ここ『リンベル』が理想の楽園と呼ばれる由縁である。
中央に聳え立つ噴水広場には、この国の光の源である巨木がどっしりとして、それでいて温かな面持ちで腰を下ろしている。
小鳥達の声もこんなに近くに聞くことができる。
ごちゃごちゃした町並みを除けば、何一つ人間界ガイアと変わらない感じ。

だけど、ここには人間などという貪欲どんよくの魂は一欠片カケラも存在しない。
静でまさに楽園という言葉が相応ふさわしい。

こんなにも素晴らしい場所に、私の魂がこれるなんて、何かの間違いだったんじゃないだろうか?と思わずにはいられないある。
もし、間違いでなければ私は神に心から感謝しよう。
神が生前に私に与えた消え様もなかった傷をも全て忘れ去ろう。
いまなら、この温かさが私の過去を全て洗い流してくれるような気がするから。
できるならずっと……、ずっとこの安らぎに居たかった。
でも、私は知ってしまったの……

−本当の温かさあいというものを。−