<9話 隠す 前>

「ごちそうさま。おいしかったよ。」

食卓にはぽろろを除く3人が座っていた。
「あの日以来・・・随分食べなくなりましたね、ぽろろ。」
Bが呟く。
「でも、あいつおなか一杯食べてるーって、言ってたぞ。」
「そうですけど・・。」

「一度、しっかり話をした方がいいだろうな。」
フサが考え込むように言う。
「じゃあ、今日は僕、ぽろろの好きなもの作りますよ。」
「頼む。」
3人の中に、重い空気が漂っていた。

(おなかすいた・・・何か食べたいなぁ・・・)
ぽろろは公園のベンチに腰掛けて、ぼんやりとしている。
「ぽろろ・・・・ぽろろ!!」
「わっ!」

「もー、何回呼んだと思ってるんだよ。」
しいはぽろろの隣に座った。
「ご、ごめん。」
ぽろろは視線を落とした。

「・・・なぁ、お前、最近元気なくないか?」
「えっ・・?そ、そんなことないよ。
 元気だよ。」
「ならいいけどさ。」

ぽろろのとなりで、しいが色々と話している。
しかし、ぽろろはしいの話に集中できない。
(おなかすいたな・・・。
 次のごはんまで後どれくらいだろ。
 でも・・・たくさんは食べられないし・・。
 でも、おなかすいたな・・。
 だめだ、しい君のお話に集中しないと。
 しい君の・・・しい君・・。)

「なぁ、お前はどう思う?ぽろろ。」
「しい君、おいしそう。」

一瞬、間が空いた。

「くくっ・・あっはっはっはっは!!」
こらえきれずに、ふきだすしい。
「あっ、え、えっと、その・・・」
慌てて訂正しようとするぽろろ。

「なんだよ、お前。
 なんか考え込んでるかと思ったら・・・食べ物かよ!
 何、腹減ってんの?」
しいはまだおかしそうにしている。
「あ、うん・・・ちょっと。」
「ご飯食べてきたの?」
「え?えっと・・・」

(ごはん食べてるのにおなかすく・・・なんて言ったらへんだよね。)

「たべてないんだー。
 いそいであそびに来ちゃったから。」
ぽろろは精一杯の作り笑顔だ。
「おまえなー。」

しいは、再び雑談をしている。
ぽろろは、やはり集中できない。

(おなかすいた・・・おなかすいた・・・)

<9話 隠す 中>

帰り道・・・。
今日はぽろろ一人だけだ。

(しい君をおいしそうって言うなんて、僕、どうかしてる。)
とぼとぼと歩くぽろろ。
(でも、おなかすいたなぁ・・。)

その時、ぽろろの目の前を鳥が飛び去った。

「とりさん・・・。」
ぽろろは思わずつられて空を見上げる。
「とりさん・・・やきとりって・・・・たしか、とりさんなんだよね。」
また、一羽飛び去った。

(とり・・とりさん・・・とり・・・にく・・・
 やきとり・・・おにく・・・とり・・・おにく・・・・・)

「おにくなら、食べていいんだよね。」

また一羽、ぽろろの目の前を飛び去ろうとした。

ガガッ、ドサッ、バサバサバサ

その鳥は、二度と飛び立つことはなかった。

<9話 隠す 後>

「ぽろろ、今日は遅いですねー。」
空はもう真っ暗だ。
ぽろろはいつもは、日の明るいうちには帰宅していた。

「せっかくぽろろの好物作って待ってるのにな!」
Aは待ち遠しそうに言う。
「作ったのは私ですがね。」
いつも家事を強いられているBが文句をこぼす。

「ただいまー!!」

ぽろろの元気な声が響く。
「やっと帰ってきたか・・・。
 随分遅かったじゃないか、ぽろろ。」
「ごめんなさい、博士。」
「これからは、もっと早く帰るんだぞ。
 暗くなると危ないからな。」
「はーい!」

その時ぽろろは、テーブルの上の食事に気がつく。
「わぁ、ハンバーグだ!
 僕、これ好きなんだ。
 手をあらってくるね。」
ぽろろは元気の良い調子でそう続けると、キッチンの方へ向かった。

「・・・・なぁ。」
フサは少し驚いたように口を開く。
「随分元気じゃないか?今日のぽろろは。」
「・・・博士もそう思いましたか?」
「なんか、良い感じだったぞ。」
きょとんとする三人。

「いただきまーす。」
そんな三人をしりめに、ぽろろはハンバーグを美味しそうに食べた。

しばらくして、ぽろろはハンバーグを食べ終わる。
「ごちそうさまでした!」
「ぽろろ、おかわりはしなくていいの?
 好きなんでしょ、ハンバーグ。」
呆然とぽろろの食事風景を見ていたBが慌ててたずねる。
「ありがとう。
 でも、僕もうおなか一杯だから。
 おいしかったよ、Bさん!」
その言葉を残し、ぽろろは立ち去った。

「・・・博士、どうしますか。
 ぽろろに話は・・・」
「そうだな・・。
 なんか、元気になってるみたいだし・・・もうしばらく様子を見るか・・。」

ぽろろの部屋。
ベッドに横たわっているぽろろ。

(とり、おいしかったなぁ。
 これからも、こうすれば良いんだ!
 おなかも一杯になるし、博士たちにもめいわくかけないもん!)