the TV series layer:08 story


「貴方も傷付来たいの?心をヤスリに掛けられる様な思いがしたい?だったら、絶対に目を背けないで…。」

ネットワークRPG世界の中。ドット絵の世界の中、ドット絵の少年「タロウ」がモンスターを薙倒している。そんな中、唯一リアルな姿をしているレイン。
「ワイヤードに神様が居るかどうかなんて判らないさ。居ようが居まいが、ユーザーには関係の無い事だもの。」タロウは、モンスターを薙倒しながらも、レインの問いかけに答えている。
「何が面白いのさ。他のプレイヤーを殺してばっかり…。」
「何がどうして面白いのかなんて、誰にも判らないさ。」
「橘総研って、看板には書いてあったんだけど…」NAVIの前の玲音は呟く。

lain TV08-01 レインは、ある「アダルトサイト」に居た。
「橘総研程の大企業が非合法活動などする筈が無い。しかし、噂は聞いた事がある。」男がレインに語りかける。
「我々がワイヤードで、この様に情報をやり取り出来るのはIP(インターネット・プロトコル)のお陰だ。今や、その存在を気にする事すら無くなる程になっている。しかし、今の第6世代プロトコルもデータのスループット(情報量)を筆頭に頭打ちになってきている。」
「第7のプロトコル…。」レインは、状況を理解し始めていた。
「そう、第7のプロトコル。それを支配する事は、ワイヤードを支配する事に等しい。故に、それに対する妨害も執拗らしく、それを始末しているのが…」
「橘総研。」レインは全てを理解し、その場を去った。

自分の部屋を出た玲音は、廊下で姉・美香の姿を目にする。美香は、空ろな瞳のまま声に成らない声を発していた。
「お姉ちゃん…。」玲音は声を掛けるが、反応が無い。
玲音は、そのまま居間まで行く。そこには、玲音の両親が居た。
「ねぇ?パパ、ママ…。この間、ある人に聞かれたの…お前は本当に岩倉玲音か?お前の両親は本当の両親か?…って。おかしいでしょ?おかしいよね…。」玲音は半泣きになりながら言った。しかし、両親は無言。
玲音は、冷蔵庫の麦茶を飲み、部屋に戻ろうとした。振り向くと、両親は玲音を見つめていた。しかし、無言…。

翌朝、学校へと向かう玲音。そこで、友人のありす達に呼び止められる。ありすの表情は険しい。
「私は、信じていないのだけど…。違うよね?玲音…。」
「え?何が…?」怯える玲音。そんな玲音を観て、納得するありす。
「違うよね。やっぱり玲音じゃないよね。私、信じている。」
どうやら、ワイヤード上で玲音について、良からぬ噂がたっているらしい。
そんな最中、校門を1台の車が通り過ぎて行く。乗っているのは、若い男性教師。ありすは、そんな男性教師を見つめていた…。

lain TV08-02 授業中の教室。玲音は、授業には耳を傾けず、携帯NAVIでワイヤードの中に入る。ワイヤードの中では、色々な噂が飛び交っていた。
「うるさい!何が面白いのよっ!」レインは、怒鳴り付ける。
「君は面白く無いんだね?」穏やかな男の声が、レインに応呼する。
「誰?神様の御登場?」レインは、睨み付ける様に周りを見渡す。 「君は、僕を探しているんだ…。神とは何か?世界の創造主?世界を司る万能の支配者?それは買い被り過ぎだ。しかし、神の定義がその世界に普遍として存在する者とするならば、僕はそう呼ばれても構わない。僕は一寸だけ、世界の動きに干渉しているだけ…。」
「誰なのよっ!何処に居るのよっ!」レインは、歯がゆさをぶつけるかの様に問う。
「僕は君さ。君も気付いているんだろう?もう一人の君が、このワイヤードには以前からずっと存在しているんだ。君は、そのホログラムに過ぎない。君は、ただに肉体だ。」
「そんな事、信じろって言う方が、無理だよ…そんなの。」不安そうな顔のレイン。その表情は既に玲音のものに…。
「リアルワールドの君と今の君が、同じ人格だとは君自身思えないだろう?」
「私は、私…。」
玲音は、正気にリアルワールドに戻る。そこは、授業中の教室。周りの生徒、そして教師までもが玲音を睨み付ける。そして携帯NAVIには、メールが…。
「玲音はのぞき屋!」

玲音は、周りの悪意に満ちた視線から逃れようと、学校中を走りまわる。しかし、逃れる場所は無い。玲音は心の拠り所を、友人のありすに求める。携帯NAVIには、ありすからのメールが届いていた。
「噂なんて、気にしない!気にしない!」
「ありす…何処に居るの?ありす!」
疲れ果てた玲音は、体育館の前に座り込んでいた。ありすのメールが表示された携帯NAVIを握りしめ、泣きべそをかいている。
「私の知らない私が、何をしているって言うの!?」

その夜も、玲音の知らない lain が、動き始めていた。

Searching . . .

ありすの部屋からは、明かりが漏れていた。ありすは、夢うつつに思い人の事を胸に耽っていた。思い人は、朝方にも目を奪われていた、男性教師。
「!?」
一瞬にして、ありすは正気に戻った。誰も要るはずの無い部屋に、lain が居るのだ。
「ねぇ、知ってる?瑞城ありすが、誰を好きかって。誰の事を思って、嫌らしい事をしているかって。」lain は、ニヤニヤと笑っていた。 「やっぱり、玲音が言いふらしていたの!?私の事をジッと見ていたの!?私が秘密にしている事とか、私が絶対に見られたく無い時とか、私が…!」ありすは泣きじゃくりながら、lain に言う。lain は、ただ笑い続けるだけ。

玲音は、ベットの中で震えていた。

lain TV08-03 闇の中に居るレイン。そこには、笑い続ける lain の姿があった。
「誰よ、あんたっ!」レインは、 lain に問う。
「あんたは私じゃ無い!私は、あんたみたいな事はしない!…やめてよ!私が自分で嫌な私を真似するの!?」
笑い続ける lain。思わず lain の首を締め付けるレイン。
「私、自殺しちゃうんだ…あはははは。」
「どうして、温かいの。どうして、あんたの体温を私が感じなければいけないの!?」
「だって、私は玲音だもの。」
「違う!違うよぉっ!」
そんな逆上しているレインに、また声が聞こえてくる。神様の声が。そして、周りには無機的な動きの、玲音の顔を象った人形が表れる。
「何よ、これは!」玲音は、驚く。
「みんな君さ。君はワイヤードにずっと存在していたっていっただろう?君は、僕と同じさ。ワイヤードに遍在している。だから、どんな所にも誰の所にも、常に君は側に居たんだ。他人に見られたく無い事も君は見つめていた。それを君は、他の人に伝えただけ。それは、正しい事さ。だってワイヤードの情報はシェアされるべきものじゃないか。」
「あんたが言っている事は全部嘘よ。ありす達は見ていたの。私が居ない時に、ワイヤードの私を見たって言っていたもの。私が私自身を認識している限り、私の自我は私の中に在る。こんな不出来な人形を私自身だと、思えと!?ふざけんじゃないわよ!」そう言いながら、周りの人形の首を叩き折っていく。
「私が、もしあんたの言う通りだとしたら、みんながレインに見られたと言う記憶の消去だって出来る筈。」レインは、神様に言う。
「そうだね。やってみたら良い。君は、それを出来るだけの力を持って生まれたのだから…。」神様は、そう言うと消えていった。

Deleting . . .

翌朝。通学途中の玲音。そこへ、ありす達がやって来て、声を掛ける。
「玲音〜。」
恐る恐る、ありす達の方を見る玲音。「…忘れてくれたの?」
玲音は、ありす達の元へ行こうとする。しかし、実際のは玲音では無く、 lain がありす達の元へ…。その場に、取り残される玲音。ありす達の元で、はしゃぐ lain。
「やめて!私は、私だよ。私は、ここだよ!」
「そうだよ、lain は玲音。私は私。」いつの間にか、lain もありす達も居なかった。その場に、呆然と立ち尽くす玲音。

夜。玲音は、NAVIに向かって語り掛ける。
「私は私だよね。私以外の私なんて居ないよね…?」
しかし、ただの機械であるNAVIが応えるはずも無い。

 to Be continued 

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