空色の言葉





11道へ

この先の道を進もう
そこは何もない道
でも何かが起こる道
時空も時間の流れもグチャグチャな
秩序のない道
だけどこの濃い霧を手でたぐると、
目の前に新鮮な空気のにおいがするんだ
戻る事ができなくても進んでいくんだ
軽く呼吸を整える
僕は一歩を踏み出す
ふと後ろがきになった


12わたしらしさ

目の前に扉が見える
ひんやりとはっきりした
感触の空気で出来ている
わたししか前で立ち止まらない
みんなは気づかない

この扉は何かしら?

ソッと扉に触れる
その向こうにあるものを想像してみる
何もかもありそうで
未知で不思議

何もかもなく
無と死の扉かもしれない
わたしには分かる
その先に何があっても
開ける道しか進まないことを

それがワタシラシサだと知っているから


13告別

分からない
ただ部屋の片隅で足を投げ出している
視線は何を追っているんだろう
幸せなんて言葉は
本当に意味を成しているのかな
風が冷たく髪を額にうちつける
動く事もしないまま手の力を抜く
何もない
守りたいものなど
大切なものなど

黒い服の色が目に痛い
この風が止む事はないのだろうか
わたしの心にこだまする風も永遠に

大好きだった場所
ほこりっぽい物置小屋
シチューの香りが漂う小道
戻りたいあのころに純粋に
目を軽く閉じると
懐かしさが水滴になってこぼれ落ちた


14時間王国

腕時計を見て舌打ちする
時間は残酷だ
いつもオレを置いてきぼりにする
朝の猛烈な眠気も昼の爆裂な食い気も
時間に阻まれる
そして退屈な仕事につきっきりに費やすだけだ

そんな生活はもう嫌だ
逃げ出す事にしたんだ時間の網から
いつものように寝ているふりをしながら
様子を窺う

時計の針が明日に変わる瞬間に
昨日へとかけだそう
たくさん時間が使えたあの幼い頃に戻るんだ

ボーンボーンボーン
今だ!!
おれはガバッと起き上がり
時間のひずみへと体をねじ込む
行き先は分かっている
さあ、進むだけだ
全速力で走り出せ!!

ボーンボーンボーン
薄暗い日の光に目が覚めた
また時間に振りまわされた
おれは軽く舌打ちをして
もう三分だけ、とふとんにもぐり込む

いつもと少しも変わらない憎らしい朝だ


15地球の果ては?

悲しい
どこまでも終わらない気がする
世界の果てを見たくて旅に出たのに
ビスケットはもうない
何を求めて何を判断してここまで来たんだろう
何かを期待して?

わたしの才能
私自身定義なんてないけど、
わたしはある日思ったんだ
「変わらないと」
その想いはここまで途切れることなく……

大切なことが見つかる気がしてた
動けば何かが変わると信じていた
ここから先へはもう進めないよ
涙が止まらない

おかしいね、わたし
こんなに地球を大地を愛しているのに
愛しく思う程悲しくて
悲しく思うほど辛くて
うごけない自分に縛られたまま
動けない……

鼓動

誰かが呼んでいる
起こさないで
一人にして

わたしには何もないんだから……

でも、心の奥で求めている
嘘はつけない
望んでいる小さな変化
それがわたしの宝物になることを

誰?
わたしを虚無の暗い海から引きずり出すのは……
……誰?

今瞳から流れているのは絶望のしずく?
それとも涙、なの?


16天空の彼方

空に浮かぶ廃墟の姿がいつも胸をうつ
永遠に心に住みつづけると
わたしは分かっている
この映像は、わたしの居場所

あの時代に忘れた記憶
あの文明を捨てた日

でも、わたしの心はまだ動いている
考える度に痛みがひどくなる

ただひたむきに空を見ている
太陽の光のカケラが
記憶をもたらすことを期待しながら……


17ちりばめられた記憶

本当に大切なものってあったっけ?
ふいにそんなことを思う
わたしは苦笑した
そんなもの誰だって持っているはずじゃない……
……だけど私は……

探そうと思い立つ

サクラの花びらの間
埋めつくされた日記
空の淡い雲に光を放つ星々

何もないって気づいた時
わたしの心は死んでしまった


18弧

孤独な気持ちに
泣きたくなる
疲れて鈍痛な胃の痛みを感じる
人の群れ
わらいさざめく声
話し声
電話のベル

全てに耳を閉ざしたくて
何もかも捨てたくなる
満員電車の中で
突然わめきたくなる

自分が好きだと嘘をついてもすぐ見抜かれる
表面だけの自分をわたしは知っている

希望の光があるというなら
わたしはどこまでもいく
一番遠い場所に行くことすら
ためらわないかもしれない


19望む心

わたしの心に吹く風は絶えない
嵐と雪が激しく襲ってくる
抱えても抱えても保護できない

無数のトゲが降り注いで
もう対処できない
涙を流して抱きしめることで
自分を守っている

何かをすることがつらい
何も考えたくない

動くことが苦痛になったら動かないでいよう
嵐と雪が止まるまでトゲが止むまで
目を閉じていよう

それから動けるか死んでしまうのか
まだ分からないけれど……


20途切れない疼き

ガラスのように薄い膜を
純粋に破りたいと思った
それからどうしたいかなんて
知らない
この膜は自分にとって何なのかも……

ただ衝動のまま思うままに
オレは手を動かしていた
薄い膜
オレの軽い打撃にもろく破れてしまう

…………
オレは軽い満足感を覚えて
得意な気分になる
誰よりも強く逞しい男になった気がする

激痛はその後に来た
ちぎれるような手の痛み
永遠に止むことのないような激しさで

オレはその痛みのなかで
おぼろげな意識の中で
やっと気づいていた
おれが破ってしまったのは……
おれが必死で守っていた心の防御膜だったんだと

いくら強くても
防御できない者は
いつか壊れていく



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