空色の言葉




201扉に合う鍵を

扉を叩く音が聞こえる
途切れる事なく悲痛な音で
無理よ
誰もでない
わたしは鼻で笑い
膝に顔をうずめる
その扉の鍵は特別式
わたしにも開け方なんて分からない
トントントン
懲りないノック
すがるような声で
細く泣き叫びながら
聞こえなければいいのに
どうしていいか分からないなら
あなたを救えないのなら
聞こえてこないで
この止むことのないノック

わたしは忘れようとしてる
辛くて音を拒絶してる
どんなに逃げてもこの音は続くのに
あなたはわずかな望みにかける
世界が敵にまわっている地で
一秒の奇跡を信じて
善良な人に一生に一度出会えると信じて
奇跡じゃなく必然だとあなたは信じて

あなたの影響でわたしも揺れる
信じる気持ちに打ち負かされる
あなたの声に耳を傾けたら
鍵のありかも思い出すのかもしれない
私の心の扉
思想の扉
そこにうずまく悲しみの闇


202黙

こぼれる涙に顔をそむけ
聞かないふりして目を閉じる
つらい声聞こえてくるけど
何も言わない

背中合わせの暖かさは
続いていく
雨の音が耳に跳ねる
さっきまでは何もなかった
満ちていく
静かに影のように
あなたの涙を曖昧に消して
次に目を上げるとお日様が覗く

つらくて言葉がでない
お互いにかける言葉なんてない
だから何も言いようがないけれど
手をのばせば握りかえす手のぬくもり
確信できる
暖かな場所にいること
つらい寒い雨の中で
微笑みたくなる気持ちを抱えていること

晴れるとわたしたちは無言で立つ
ひょいっと階段を降りて
あいさつ抜きで
別れられる


203時

時は繰り返す
学ぶこともなく
勉強の間もなくまた巡る
同じこと言って失敗する
繰り返しの中で
学ぶものはあったのかなかったのか

分からないことは
分からないまま
どんなに答えをもらっても
わたしの正解じゃない
いつかそれがわかるまで
散歩でも空でも眺めよう
一歩のリズムが狂う時
一日が上手くいかない
はじめの歯車に絡み取られ
先へは進ませてくれない
でもそれは些細なこと
つぎの日が来るまで
おとなしく窓の外をみていよう
時は繰り返す
楽しくても哀しくても
後ろには戻れない
それが分かるだけでも
繰り返す価値はある

無くなっていく過去
広がっていく未来
上を見るわたし
時を考えると混乱する
ただ信じれば
時の無限に答えを見つけるときが
来るかもしれない


204脱飛
(題考案:木の若芽さん)

縛るものは何もないから
わたしは自由にはばたく
後ろも前も空間だからいくら伸ばしても
障害に当たらない

幸せ
空は青いし緑は生きてる
わたしは羽を持ち
天使のようにはばたいてくらす

鳥は楽しげにさえずり
歓迎して周りを囲む
幸せ
どんなに飛んでも誰も叱る人はいない

わたしは気づいている
幸せだけど
哀しい
なにも障害がないけど
特別楽しいこともない
欲しかった羽をはばたかせ
わたしは太陽をめざし
台風に踊り
雷へと飛んでいく
どんなに危なくても
それでもそれは変化になる


205砂時計

砂のように細かく
手のひらからこぼれる
けれどなくせない
いつまでも感覚が残る
涙の色と似てる
どんなに考えても分からない
近づいても
そのものになることはない

なくしてしまえれば
心は痛まない
閉じた瞳
砂の感覚
許してくれない
解放しない

あのとき触れなければ……
どんなに思っても
もう砂はこぼしてしまった
倒れ込むような座り方で
わたしは自分をなぐさめる

優しい心と良心は
違う所にある
せめぎあっては
感覚を呼び覚ます
気持ちの激しさに
負けていく

気持ちは沈んでいく
砂の中に
閉じ込められたままの
砂時計のように
永遠を刻む
終わることがない
この痛みは
誰も解いてはくれない

わたしは涙を流し
少しずつ砂をとかす
ゆるやかに音もなく
長い長い時をかけて

終わりは来ないかもしれない
でも信じたいものがある
たくさん待っているから
砂だらけの手を握りしめる
砂時計のガラスが割れる
その日を信じて


206出現する街

この明るさに気づかない時を
わたしは後悔してる

不意に変わる視点
感じ方がゆがみ
色が鮮やかに変化する
幸福を感じる一時
その時のはしをグッとつかみ
離したくない

こんなに綺麗な色も輝く街も
いままではなかった
突如出現したんだ
いままでもあったなら
こんな倦怠に襲われるはずなかった
突然出現した街は
近寄りがたく晴れやかで
だけどそんな気後れも
いつの間にか消してしまう

その魔力は大きくて
わたしの心さえ変えるから
全てに自信が沸き不安が消える
この世界の住人になり
溶け込んでいる

この世界もこんな自分も
どこにいたのか
考える間に魔法が溶ける気がして
素早く街の中へ紛れた


207運命の通路

明るい響きに耳を傾ける
跳ねまわる太陽の素に微笑みながら
大地を着実に歩いていく
道を間違えることが多いけど
道の先には幸せな気持ちがあるから
進むときは一人でも元気
一人でも周りには
同じように進む仲間がいるから

希望を失う前に気がついた
何度でも戻れるし何度でも進める
土は変わらずそこにあるし
空は変わらず青い色でいる
時間だけが進んで先を急かすけれど
ゆっくり進んでいくのは穏やかさの象徴
自分を優しい動きが取り巻き
目を閉じると光の粒がまぶたに乗っかる
輝くものが周りにある
進む程に色付く

正しい道は分からない
正しいって意味も分からない
ただゆっくり歩いていると
幸せな道が見える
ゆっくり進む程強い力で
幸せが見えてくる


208脱出

悲しいと感じた時は出口は目の前だった
後ろにいる人々の声が遠く
激しい雷雨の中を先に進むかためらい

やはり先へ進んでいる
心残りだった人たちは消えていた
先に進むほど
好奇心かき乱されて
何が悲しかったのか
あの時の気持ちは亡くしてしまった

暗い箱の中で
膝を抱えて
寒がってた
今はもう違う
暖かい仲間と優しいまなざしは
わたしに向けられる

痛みは消えることがない
微かに責めるようにわたしを突く痛み
でも忘れてしまった
あの時の悲しみの感情は
雷雨の音に敏感になった
仲間なんていないと一人で
寒がっていた
あの洞窟にはまだたくさんの人が
もがいていた
わたしはどうしようとしていたのか
戻ってどうするつもりだったのか
でも悲しいと感じた瞬間
戻りたいと感じていた
それなのに
止まった足は引き返すことはなかった
心では戻ると誓っていたのに
その証拠に痛みは続く
良心の痛みは今日も続いているんだ


209鐘の音の向こうに

鳴りやまない鐘のように響く
頭の中で
爆発する
明日へと向かう時間を見つめて

この場所に響く余韻は
怖いほど足を鈍らせる
立ち止まりたくないのに
響きわたる鐘
音は鳴りやまない

夢のように
希望を追うその気持ちは
その場所で消滅する
運は尽きる
その瞬間の場所
うしろは見ない
鈍くかすむ思考は
本能で未来を望む

覗き込むように未来を仰ぐ
尊さを忘れ
今は遠くて
かすめ取れもしない
わたしの思考も場所も
ここから先へ進んではいない

夢見るだけでいい
先で待つ未来を信じてる
だから先へ向かう
足は動かなくても
思想だけでも
想いを馳せる
逃げない場所は常に先にある
その響きは
ハープのように優しく澄み
わたしを踏み出させる


210力の源

悲しいの?
ずっと後ろを見てる
変えようもない過去は
悲しく心に響く

涙しか見えないまま
歩いてる
自分の何が見えるのか
わたしには分からない

その振り向く姿に
わたしは魅了される
悲しげな瞳は
強さを秘めている
どんなに泣いても
あなたはきっと立ち直る

あなたには分かってる
その先に何があるのか
自分に何があるのか
泣きながら
胸の奥で
過去を乗り越えようと
努力する

その光はわたしにも見えて
劣等感と
終わりのない尊敬を抱く

あなたの心
弱さに宿る強さの影
後ろは見ない
あなたの目に映るのは過去じゃない
だからこそそんなに力に溢れているんだ
その力はあなたが弱さを認めた時に
沸き上がったね



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