空色の言葉




211信じる強さの秘密

信じてた明日を
変わらない幸せを
崩れていくなんて
考えられなかったから

好きなものがあった
変わらない気持ち
未来という名
嬉しさが沸き上がる

逃げることはできない
追い詰められ
悲しい夢に飛び起きる

忘れていたのに
考えたくないのに
明るい光は
いつも闇に追われる

どんなに逃げても
立ち止まると
呑まれる

知らなかった
信じていたかった
忘れたままで
いたかったのに

あなたの微笑み
何も恐くなかったあの時間
今は無い
恐怖と不安の夜に怯え
陽を仰ぐ

ごめんね
小さく囁く
希望を信じていた
明るさを楽しんでいた
昨日までのわたしに

でも何のためらいもなく
首を振るんだ
大丈夫だから
静かなささやき
大丈夫だから
希望はなくなることがない
闇もなくならないけど
希望も決して
消滅しない

小さくハミングしたら
また陽を浴びよう?
そこから始まる

信じることから
始まっていくことは
数えきれないほどに
待っているから


212わたしの色

なにもない壁に
絵をかきあげる
目を閉じないと完成しない絵
水のようになめらかで冷たくて
そんな色で染める
寒い風が入って
肌に触れていく
閉じたままでも
悲しさが伝わる

なにもないから
何かを作りたかった
作らなくては
いけなかった
涙に濡れた絵を
目にすることになっても

青が見える
まぶたに映える
この純粋な青は
何の色も通さない
悲しい記憶を積んで
崩れる時を待っている

その色が見えるまで
わたしは何もしなかった
強い青に
瞳は奪われていたから
涙の感触も気づかない程に

その純白の色は
心は
わたしの青を
やわらかい空色に変える
何もなくなりはしない
わたしの心は温まる

純白にはほど遠い
でもこれはわたしの色
そう笑顔で言える


213涙の結晶

悲しい気持ち
何度も反復して
ここに戻って来てしまうんだもの
叫べない
声の限りに
あなたも辛いのに
わたしだけが苦しんでるみたい

想いが消えてしまったの?
そんなことはないといいたいけど
あなたの瞳のぞくのが恐くて
まっすぐ答えられなくなりそうで
そらし続ける瞳は
罪悪感?

いつも偽り続けていたから
あなたにも自分にも
偽りばかりで
疲れ果てて
ただ眠っていた

空を飛んでいる夢を見たけど

現実は沈んでいく
地の深くに
心の葛藤に

この瞳の色はいつも真実
だから直視できない
あなたの瞳を翳らせたくなくて
それはわたしのワガママだよ
傷つきたくないだけだね


214砂時計に例えて

愛してる
その言葉だけで全て語れたらどんなに良かったか
いつも思ってる
どうにもならない想い
壊れかける想い
そして傷つけて
何も残りはしない

愛されていたの?
愛していた?
疑問は尽きることがない
いつでも耳障りに響いて
しゃがんでも耳をふさいでも
何も変われない

あなたを見つめていたかった
その優しさで
包まれていたかった
そうしたら
時は止まっていたかもしれないのに
砂時計は落ちることはなかったかもしれないのに

もう遅いことは知ってる
落ちている砂時計は
確かにわたしの足を埋めて行っている

そしてあなたは
わたしを一度も振り返りはしなかったのだから


215居場所のない居場所

シャリシャリと音をたてて
氷の上を渡る
痛みと共に感じる
冷たさ
前も後ろも氷と水
どんなに沈んでも暖かな安らぎはない

けれど空からの光は……
いつも変わらずに
激しい暑さで照りつける
暖かくはない
安らぎは感じない
中間の想いは決してできない
上からの痛みと熱射
下からの凍りつく冷却
大好きな食べ物も飲み物も
何もいらなくなる

ただ進むだけ
出口を求めて暑くもない寒くもない
季節を求めて

たまに座る
頭に氷をあて足を日差しに向ける
一瞬の至福を超えた祝福
そしてまた
進み出しはするけれど


216見続けるものは

水の中でわたしは見てる
ずっと永遠を体現して
怖いほど深い水の音
色はどこまでも続き
終わりがないように
目の前を覆う

水面が見えない
どこにあるかあるのかさえ
ここでは分からない
手を伸ばせば水の濃さに呑まれる
霧のように
ぼんやりと消える
深い青に
悲しさを覚える
冷たさがいっそう
悲しさを増し
涙に変えていく

静かな水音
眠りを誘う色
消えない不安
悲しみの心
多くの感情が
わたしに降りかかる
ここから見る青は
純粋な青
空の色も闇も
この青は出せない
わたしはここで
永遠の色を見ている
何も知らないけれど
動かずに
ここで


217苦悩

ぶつけられる場所がないなら
見つけるしかないじゃない
強い心の声
強い威圧的に怖いほどに
だけど知ってる
自分の心の中にいる強さは
弱さから出てること

自信がなくて
ただ
強く見せかけている

どこにもわたしの感情が無い
にこにこしてる
言いなりになってる
後ろばかり気にしてる

人が分からない
だからわたしも
本当はどこにもいない
弱さだけが浮き彫りになって
わたしの存在を問いかける
そして強さが
弱さから生まれる

ただし偽の強さ

ぶつけるものがほしい
激震に揺れる心は
穏やかな波の中になど最初から浮かんでない
休むことなく落ちる隕石
何もかも亡くしてしまう前に
自分を受け止めてくれる
人が物が場所が
わたしの手に紛れ込めばいいのに


218平穏な日々に……

何も壊さないでいたい
平和でいたい
優しさがどこに積もるのか
その在りかも知りはしないのに

そっと触れるその手は
壊そうと力をこめる
私は怯えて
花瓶を落とす

心に誰かが住み着いている
自分だと認めたくないから
そう言い聞かせて
それでも
不安は
消えない

平和を望むのに
安定していたいのに
正反対なその思考は
やはり私のものでは
ないかもしれない

誰も信じてくれない
わたしも信じない

何が起こっても
わたしは信じない


219小さな意志

塊は砕けてもカケラは壊れない
先にゆくほど鋭利で触れると血の色に染まる
塊を抱いていたわたし
振り返りカケラを見る
そらさずにじっとカケラのことを見つめる
塊は抱けたのにカケラは触れられない
傷つくのが恐くて側にも近寄れない
その繊細に見えて強い意志を持つカケラは
壊れることを知らない

知ってしまった
頑丈そうな塊はもろく容易に壊れてしまうこと
小さくても人を傷つける力のあるカケラのこと

わたしは注意深くそっと
カケラのもとへ行きかがむ
静かにカケラを持ち上げかける
そのナイフのような側面が
わたしの手に赤い雫を残しはするけれど
わたしはもう何も構わずに
力のかぎり抱きしめる


220理由

巻き上がる風
近づいているような空
黒の服がはためいて
目の前が更けたような
一瞬だけの錯覚

手すりを一瞥して
一歩踏み出す
下へと続くビルの窓
全てが小さなこと
ここから見る世界は
そんな風に感じる

なぜか風は涼しくて
全身は氷のように寒い
退こうと力を込めても
意志がそうさせない
静かに静かな気持ちで
目に世界を見せる
動くものがある
ここから見る世界

なぜあんなに小さいのに
動いているのだろう
ひっきりなしに動く
目を離すと見失うほどに
自分の力で自分の意志で動く生き物

どうでもいいのに
動かずに諦めても生きられるのに
目に光を含まずに考えていた

けれど下を歩いている生き物は
風を切り
空を見上げ
光浴びて
笑顔で歩く
そんな姿はここでいるわたしの
何もせずにいる姿と
対照的だ

わたしは一歩退く
いいことなんて何もないと
感じているのに
感情が進もうとする

あなたの柔らかい笑みへ
出会う為に
歩きだしている

ここから鳥になれるなら
恐怖に負かされて
わたしは飛べないだろう
笑顔絶やさない下の住人は
ためらいもせず
新しい世界へ飛び出す

なんとなく分かったのかもしれない
わたしは飛びたつことのできる
前向きな風に乗りたかった



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