はじめに
現在、地球環境問題と言われる9つのキープロブレム(地球温暖化、オゾン層破壊、酸性雨、熱帯林減少、砂漠化進行、野生生物種絶滅、海洋汚染、有害物質越境移動、途上国公害問題)がある。その原点は、廃棄物問題にある。このようなことから、近年「リサイクル社会(循環型社会)」を構築しようとする運動が見られるようになってきている。その背景には、廃棄物の捨て場である最終処分場のキャパシティの問題がいよいよ最終的局面に近づきつつあるという事実がある。永い太陽と地球の胎動の歴史が生み出した貴重な生成物、主な地下資源は有限で枯渇の年数まで分かってきている今、我々が簡単にできる環境保全は、ゴミの減量化と資源の再利用が同時にできるゴミのリサイクル(再資源化)に他ならない。
そこで本稿では、まず平成9年4月から施行されることとなった「容器包装リサイクル法」を紹介し、大阪府北摂7市(豊中市、吹田市、茨木市、摂津市、箕面市、高槻市、池田市)においてゴミのリサイクルで最先端をいく吹田市と私の地元である茨木市(参考図)、
そして民間事業所の中で最も積極的な姿勢を見せている生協(コープ神戸)のリサイクルにおける取り組みを取り上げ、比較、検討することとする。
【容器包装リサイクル法について】 @容器包装リサイクル法制定の背景
近年の、経済発展に伴う生産や消費の拡大、あるいは生産様式の多様化、消費者意識の変化等に伴って、一般廃棄物の排出量が増加し、その一方で、廃棄物の処理施設の確保は益々困難となり、最終処分場が逼迫するなど一般廃棄物の処理環境は極めて深刻な状況となっている。また、わが国は明治開国以来、主要な資源のほとんどを輸入に依存しており、これらの廃棄物を再資源化することは、限りある資源の有効活用とあわせ、一般廃棄物の減量化、リサイクル化を促進することとなり、リサイクル社会(循環型社会)を構築する上で大変重要となっている。このような状況を背景として、平成7年6月「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進に関する法律」が成立し、平成9年4月から施行されることとなった。この法律は、消費者の分別収集への協力、市町村による分別収集及び事業者による再商品化を促進するシステムを構築し、関係者の適切な分担の下に、容器包装廃棄物の適正な処理及び資源の有効な利用の確保を図ることを目的としている。
A法の対象となる品目 全ての容器包装が対象となる。但し、1997年(平成9年)度から対象となるのは、アルミ缶、スチール缶、ガラス瓶、紙パック、PETボトルであり、2000年(平成12年)度からは、段ボール製容器、その他の紙製容器、その他のプラスチック製容器が対象となる。
B国及び市町村の責任 国は、法律を推進するための「基本方針」及びリサイクルを行うための「再商品化計画
」を策定し、公表する。市町村は、分別収集計画を策定し、それを実施する。都道府県は、市町村の分別収集計画をとりまとめ、分別収集促進計画を作成する。
C事業者の責務 分別収集によって集められた容器包装廃棄物を関係事業者が引き取って、再商品化する義務がある。但し、事業者(容器製造、容器使用)は、指定法人にリサイクルを委託することができる。また、小規模事業者等には、義務が免除されており、中小企業者等には、義務の運用が2000年3月31日まで猶予されている1)。
D容器包装リサイクル法の課題 まず第1に、この法律でいう分別収集は、自治体の責任になっている。自治体は、収集・回収・圧縮・梱包2)・保管までの責任を負い、相当な経費増となる。これに対し、事業者の負担は、非常に少なく再商品化を除けば、制度のほとんどが税金によって維持運営されるため、自治体、ひいては、住民の負担が重くなる。第2に、再商品化の義務量はあくまでも事業者の生産、販売量から割り出されるものである。すなわち、集めたものが必ずしも再商品化されるとは限らない。そのため、回収が順調に進んだときどうなって行くのか不明である。第3に、「容器包装リサイクル法」では、回収されたものが資源化されない場合、焼却されることが考えられる。第4に、市民は分別収集への協力だけでなく、分別のための経費増と共に、リサイクル・コストの価格転嫁で二重負担になる恐れがある。
以上のことより、「容器包装リサイクル法」は、市民や自治体よりも事業者優遇の法律と言っても過言ではない。
第1章 吹田市のゴミ処理の現状とリサイクル
第1節 一般廃棄物の収集と処理
廃棄物問題に対処するため、国では、「再生資源の利用の促進に関する法律」を平成3年10月に施行するとともに、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」を平成4年7月に改正施行した。これに合わせて吹田市でも、平成5年10月にそれまでの条例を「吹田市廃棄物の減量及び適正処理に関する条例」に改正し、廃棄物の排出の抑制、分別の徹底、再生利用の促進等を柱として翌年4月に施行し、廃棄物の適正な収集、処理に努めている3)。その年間予算は、約64.3億円(平成8年度)で吹田市一般会計予算の約5.8%を占めている。 吹田市におけるゴミ収集の対象は、平成8年4月現在、133,471世帯、339,561人である。
吹田市の中間処理施設については、ゴミ処理施設と粗大ゴミ処理・再生利用施設がある。前者は、1日150tの焼却能力を持つ炉が3基で、1日450t処理できる。後者は、1日5時間の稼動で処理能力は85tである。しかし前者の焼却施設は、昭和57年1月の運転開始以来今日まで15年経過しており、ゴミ焼却施設の耐用年数の15年〜20年に達しているため次期焼却施設の建設用地を早急に選定し、焼却施設整備事業を進めなければならない状況となっている。
一般家庭から吹田市が収集する廃棄物は、平成2年1月以降それまでの可燃、不燃、粗大という3種分別体制から燃焼ゴミ、資源ゴミ、大型複雑ゴミ、小型複雑ゴミ、有害危険ゴミの5種分別体制に順次移行し、平成4年6月には全市への移行が完了した。現在行われている収集は、燃焼ゴミ、資源ゴミ、大型複雑ゴミ、小型複雑ゴミ、有害危険ゴミの5種の収集とその他のゴミ収集の6つに分けられる。
@燃焼ゴミ収集 一般家庭を対象に、月木、火金、水土の曜日の組み合わせで、週2回の定曜日収集を行っている。収集方法は、各戸収集を基本としているが、集合住宅は、ゴミ集積場所収集となっている。また、戸建て住宅は、地域の合意で自主的に共同のゴミ集積場所を決めることもできる。収集品目は、台所のゴミ、プラスチック、ビニール製品、革製品、木製品等の小さな燃えるゴミなどである。
A資源ゴミ収集 平成2年1月から一般家庭を対象に、第1・3(月曜日〜土曜日)、第2・4(月曜日〜土曜日)の組み合わせで月2回の定曜日収集を始め、順次実施区域を拡大し、平成4年6月より全市で実施している。収集方法は、分別収集した新聞・雑誌・段ボール等の紙類、古布、古着類は、ステーションで収集している。それ以外の空き缶、空きビン、金属製品は専用のコンテナがある。収集された資源ゴミは、再資源化施設「資源リサイクルセンター」に搬入され、再資源化を図っている。
B大型複雑ゴミ収集 一般家庭から出される不要となった電化製品や家具類、自転車などの大型複雑ゴミは、月1回の定曜日収集が行われている。ゴミを出す際に「不用品」と張り紙をしなければならない。収集方法は、燃焼ゴミと同じ収集方法である。
C小型複雑ゴミ収集 一般家庭から出される不要となった陶磁器類や小型家電製品、ガラスくず等の小型複雑ゴミは、月1回定曜日にステーションで収集が行われている。
D有害危険ゴミ収集 一般家庭から出される不要となった電池、蛍光灯、水銀体温計等有害な物質を含む物及び刃物、または簡易ガスボンベ等取扱いに注意を要するものなどの有害危険ゴミは、月1回定曜日にステーションで収集が行われている。
Eその他のゴミ収集 転居に伴う引越ゴミなど臨時に排出されるゴミについては、通常の家庭ゴミ収集とは別に、申込みの都度、臨時に無料で収集している。その他、犬・猫等の動物の死体は、申込みの都度、有料で収集している4)。
家庭系一般廃棄物の収集量は、平成8年度実績で見てみると87,685.15tであり、総収集量の63.4%を占めており、市のゴミ処理事業の中心的事項である。家庭系一般廃棄物の収集量の推移を昭和60年度以降で見てみると、昭和60年度から平成元年度にかけては年々増加傾向にあり、平均増加率は3.7%である。特に昭和61年度の増加率は7.7%と最も多い。しかし、平成2年度から平成5年度にかけては年々減少傾向にあり、平均1.6%の減少となっている。特に平成5年度は2.7%減少している(図1)。この要因としては、平成2年1月から本格実施した「5種分別収集」の全市への展開の結果が挙げられる。その結果、平成2年度以降のゴミの増加が止まり、特に平成5年度には顕著な減少を示している。しかしながら、家庭系一般廃棄物の収集量は、平成6年度以降特に平成7年度には大きく増加している。この増加要因の大半は、15,283.52tもの阪神・淡路大震災の災害ゴミ(尼崎市等からの搬入分も含む)の影響と考えられる。1人1日当たりのゴミ排出量の増加率を見ても、昭和60年度から平成元年度までの平均増加率は2.4%を示し、平成2年度から平成5年度までは1.0%の減少を示しており、収集量とほぼ同様の結果が見受けられる(図2)。
事業系一般廃棄物の収集量は、平成8年度実績で見てみると50,681.84tであり、総収集量の36.6%を占めている。事業系一般廃棄物の収集量の推移を昭和60年度以降で見てみると、年々増加傾向にあり、平均増加率は4.8%である。特に、昭和61年度の増加率は10.8%も増えている。しかし、増加率は年々鈍化しており、特に平成2年度以降は鈍化傾向が顕著である(図1)。この要因としては、バブル景気のかげりにより増加率の伸びが一時の勢いはなくなったもののマイナスにまでには転じず、依然としてわずかながら増加していることがあげられる。また、平成6年度以降再び大きく増加している。この増加要因の大半は、阪神・淡路大震災の影響であると考えられる。
つまり、総収集量はバブル景気によって市民に大量生産・大量消費の世の中を定着させたが、バブル景気の後退、また分別収集の効果とあいまってゴミの増加率は鈍化したものの、人口の増加と1人当たりのゴミ排出量の増加のため増加し続けているのである。
事業系のゴミに関しては、事業所の規模、業種ともに多岐にわたり、ゴミの排出状況、種類も多種多様であり、ゴミの減量化や再資源化といっても、家庭系ゴミの様に一定の収集・処理方法では対処しきれない問題がある。また、事業者にとって直接利益に結びつかないゴミ処理に対し、経費の増大を招くゴミの減量化や再資源化などの取り組みを積極的に推進するとは考えにくい。事業者のゴミの減量化が余り見込めない以上、物の製造、加工、販売等の段階において、廃棄物があまり発生しないように規制していく必要があるのではないだろうか。
収集された廃棄物の処分については、ゴミの大部分をしめる可燃ゴミは吹田市の焼却場において中間処理され、焼却した後の残灰や不燃物などは尼崎沖や泉大津沖の埋立処分場において最終処分される。
第2節 吹田市におけるリサイクルの取り組み
好景気にわきたち、より豊かな生活が求められてきた昭和60年前後の頃、全国と同様にここ吹田市でも、開発とそれに伴う人口増加に比例して、ゴミの増加・多様化が急激に進んできた。それに対して、清掃工場の処理能力には限界があり、工場の新設についても、万国博覧会以降の開発で住宅地が広がった市域内では極めて困難な状況にあった。こうした状況を背景に、吹田市では昭和60年度に「吹田市廃棄物処理基本構想・基本計画」を策定し、@ゴミの減量化、A資源の有効利用、B一層の適正処理を3つの基本方針として掲げた。
これを実現するための具体的な施策として、従来の3種分別から5種分別への転換とともに推進されたのが、資源回収のための破砕選別工場と、市民に向けて啓発・研究・再生・展示などを行う拠点施設である資源リサイクルセンターの建設である。ゴミ問題にはもはや一刻の猶予もなく、単に収集したり処分したりといったゴミ処理では限界があるという状況下において市民による協力が大前提となっての施策が生まれた。平成4年には、資源リサイクルセンターの事業運営法人として、財団法人千里リサイクルプラザを第三セクター方式で設立し、同年11月には、厚生省の「廃棄物再生利用総合施設整備事業」の適用第1号施設として、全国の市民参加型リサイクル施設の先駆けとなった吹田市資源リサイクルセンターがオープンした。徹底した資源回収を進める破砕選別工場と、市民がリサイクル問題に触れるための施設が一体となった拠点がここに誕生した。
吹田市資源リサイクルセンターは5階建てで、その1階から3階部分は、燃焼ゴミ以外の4種のゴミ(資源ゴミ、大型複雑ゴミ、小型複雑ゴミ、有害危険ゴミ)を受け入れ、さらに資源化するために破砕・選別する破砕選別工場がある。4階から5階部分は、ゴミの減量、再資源化及び再生利用を図り、快適な生活環境づくりとリサイクル社会を形成するために、市民のリサイクル活動を推進する拠点施設で、ゴミの再生、啓発、研究のための総合施設である。市民によるリサイクル活動を進めるため、@市民リサイクル活動センター事業、A講演・講座事業、B調査・研究事業、C情報管理事業、D再生資源物流事業を行っている。
ここでは、まず吹田市資源リサイクルセンター内で行われているリサイクル事業、特に破砕選別工場における燃焼ゴミ以外の4種のゴミ(資源ゴミ、大型複雑ゴミ、小型複雑ゴミ、有害危険ゴミ)を資源化するための破砕選別作業について考察していきたい。
1)資源ゴミの破砕選別 3種類に分別収集された資源ゴミ〔カレット類(ビン類)5)、缶類、古紙、古布類〕を選別回収し、再資源化する。缶類は、磁選機と手選別により鉄・残さ分とアルミ分に分けられ各々別に破砕処理され鉄スクラップ、アルミスクラップとして回収される。カレット類や古紙・古布類は手選別により種類分けされ、出荷される。これらの工程により、再資源化量を増やすと共に、ゴミの減量化が推進される。
2)大型複雑ゴミの破砕選別 大型複雑ゴミは、まず破砕する前に解体と仕分けを行い、有価物として回収できるものと破砕困難なものとを分別する。さらに、可燃性ゴミと不燃性ゴミに分け、粗大ゴミ破砕機と不燃ゴミ破砕機の使い分けで破砕、回収される。布団、ジュータン、畳などは、切断機により切断処理される。ここでは、鉄、アルミ、カレットが回収できる。
3)小型複雑ゴミの破砕選別 陶磁器類や小型家電製品、資源にできないガラスくずなどの小型複雑ゴミ類は、ピットエプロンコンベヤ6)に投入され、不燃ゴミ破砕機によって破砕処理される。ここでは、鉄、アルミが回収できる。
4)有害危険ゴミの破砕選別 電池やスプレー缶類は、回転式選別台の上で異物選別が行われ、電池類は専用のドラム缶につめられる。スプレー缶は可燃性の液・ガスを除去し、破砕処理される。蛍光灯は、水銀吸着装置が組み込まれた蛍光管処理装置で破砕処理され、専用のドラム缶につめられる。ドラム缶につめられた電池類や蛍光灯は、立体倉庫に格納された後、専門処理業者に搬送される。このようにして有害危険ゴミを安全かつ適正に分別・処理している。ここでは、カレットが回収できる。
この工場では、コンピューターを使って情報管理や制御システムを集中管理し、工場全体の操業をしている。また、回収された資源をスットクするための「自動立体倉庫設備」、
工場内のコンテナ移送用「無人搬送車システム」など最新システムが組み込まれ、より円滑に処理ができるようになっている(図3)7)。
このように、破砕選別工場で破砕・選別されたゴミは、回収され再生資源としてリサイクルされる。破砕選別工場で回収された資源の回収量を見てみると、平成4年度は5,398.06t、平成5年度は7,323.83t、平成6年度は7,498.98t、平成7年度は8,600.98t、平成8年度は8,574.9tとなっている(図4)。平成8年度現在、この工場で回収された再生資源は、鉄・アルミ・銅・カレット・リターナブルビン8)・古紙類・乾電池・蛍光管等全部で30種類にも及んでいる。ここでは、破砕選別工場で回収量が多い5種(鉄・アルミ・カレット・リターナブルビン・古紙類)について見ていきたい。
1)鉄 破砕選別工場で回収される鉄には、破砕前の鉄と破砕後の鉄の2種類がある。前者は、自転車等の破砕選別工場で破砕・選別する前に回収される鉄であり、後者は破砕選別工場で破砕・選別し回収された鉄である。
前者の回収量を見てみると、平成4年度は16.66t、平成5年度は50.70t、平成6年度は79.98t、平成7年度は120.16t、平成8年度は150.98tとなっており、毎年回収量は増加している。後者の回収量は、平成4年度は2,148.10t、平成5年度は2,855.26t、平成6年度は3,248.96t、平成7年度は3,291.96t、平成8年度は3,177.98tとなっており、この破砕選別工場において回収される資源の中で、最も回収量が多い品目であり、平成8年度で見ると、総回収量の37.1%も占めている(図5)。また、平成8年度における破砕後鉄の回収のうち、スチール缶は全体の約45%(1,430.1t)を占めている。
2)アルミ 破砕選別工場で回収されるアルミの回収量を見てみると、平成4年度は232.98t、平成5年度は318.06t、平成6年度は397.56t、平成7年度は411.38t、平成8年度は441.62tとなっており、毎年増加傾向にある(図6)。平成8年度におけるアルミの回収のうち、アルミ缶は全体の約80%(353.3t)を占めており、平成4年6月より全市で実施された資源ゴミ収集の効果のあらわれと考えられる。
3)カレット 破砕選別工場で回収されるカレットには、カレット(白)、カレット(茶)、カレット(混)の3種類ある。カレット(白)、カレット(茶)は平成5年度から、カレット(混)は平成4年度から回収を実施している。
まず、カレット(白)の回収量を見てみると、平成5年度は1,576.06t、平成6年度は1,623.02t、平成7年度は1,649.44t、平成8年度は1,647.78tとなっており、平成5年度開始当時からこの破砕選別工場において回収される資源の中で、2番目に回収量が多い品目であり、平成8年度で見ると、総回収量の19.2%を占めている。次に、カレット(茶)の回収量を見てみると、平成5年度は705.28t、平成6年度は685.90t、平成7年度は698.70t、平成8年度は683.98tとなっており、ほぼ毎年同程度となっている。最後に、カレット(混)の回収量を見てみると、平成4年度は1,774.23t、平成5年度は367.52t、平成6年度は411.38t、平成7年度は424.58t、平成8年度は410.76tとなっており、平成5年度以降回収量が激減している(図7)。この要因としては、平成5年度よりカレット(白)、カレット(茶)の回収が実施されたことにより、今まで(混)という色分けなしで回収されてきた物が、(白)、(茶)という色分けを実施したことで、より細かく分別できるようになり、リサイクルしやすくなったためであると考えられる。
4)リタナーブルびん リタナーブルびんというのは、繰り返し利用できるびんのことで、例としてビール、酒、ウイスキー、ワイン、ジュース、酢のびん等が挙げられる。
リターナブルびんの回収量を見てみると、平成4年度は58.74t、平成5年度は84.18t、平成6年度は164.67t、平成7年度は153.85t、平成8年度は183.44tとなっている(図8)。
5)古紙類 破砕選別工場で回収される古紙類には、大きく分けてダンボール、新聞、雑誌の3種類ある。
まず、ダンボールの回収量を見てみると、平成4年度は332.62t、平成5年度は349.43t、平成6年度は423.01t、平成7年度は444.35t、平成8年度は466.12tとなっており、年々増加している。次に、新聞の回収量を見てみると、平成4年度は337.10t、平成5年度は320.17t、平成6年度は370.30t、平成7年度は432.95t、平成8年度は474.74tとなっている。最後に、雑誌の回収量を見てみると、平成4年度は264.32t、平成5年度は367.22t、平成6年度は610.50t、平成7年度は600.93t、平成8年度は568.79tとなっており、平成5年度から平成6年度にかけて大幅な増加を見せている(図9)。
以上、破砕選別工場で回収量が多い5種について見てきた。その中でも、5種の大半に見られる傾向に、平成6年度と平成7年度の回収量が前年度と比較して大幅な増加を示していることが挙げられる。これは、一般廃棄物同様、阪神・淡路大震災の災害ゴミの影響と考えられる。この破砕選別工場で破砕・選別され回収された再生資源は、回収業者に売却され、その売却益は平成8年度では52,163,727円に及んでいる。
吹田市資源リサイクルセンターでは、再生資源の中間処理までであり、再生品化までは行っていない。しかし、市民のリサイクル活動を推進するため市民工房レベルでほんの僅かではあるが行われている。市民工房は、衣類・一般・家電製品・自転車・ガラス・木工製品の6つの工房に分かれている。衣類の工房では、ワイシャツをエプロンにしたり、ジーンズを壁掛けの状差しに作り替えるなど、いらなくなった衣類のリフオームを進めている。一般の工房では、牛乳パックをミキサーで分解して葉書やしおりを作っている。家電製品の工房では、回収した廃家電品をクリーニングや点検・補修して、大阪府下の外国人留学生や民間社会福祉施設に無償で提供している。自転車の工房では、廃自転車を再生して月10台程度販売している。ガラス工房では、びんを溶かしてコップや花瓶等のガラス工芸品を作っている。木工製品工房では、家具を補修したり、廃材を使って木工製品や家具などを作っている。こうした再生品の数々はリサイクルコーナーに展示されるほか、年8回中央の広場で開催されるフリーマーケット等で販売されており、その売却益は平成8年度で2,306,150円となっている。
第2章 茨木市のゴミ処理の現状とリサイクル
第1節 一般廃棄物の収集と処理
茨木市におけるゴミ収集の対象は、平成8年4月現在、95,053世帯、255,116人である。ゴミ処理の年間予算は、約31.1億円(平成8年度)で茨木市の一般会計予算の約3.7%を占めている。
中間処理施設については、茨木市には、ゴミ処理施設と粗大ゴミ破砕設備がある。前者は、昭和55年7月に完成した1日150tの焼却能力を持つ炉が3基で、1日450tの処理能力がある。後者は、1日5時間の稼動で処理能力は75tである。また、ゴミ量の増加と施設の耐用年数を考慮し、平成5年7月から1炉(150t/日)増設と1炉(150t/日)更新工事に着手し、平成8年3月に完成した。同時に既存の3炉のうち1炉を廃止している9)。
一般家庭から茨木市が収集する廃棄物は、平成3年10月以降それまでの普通ゴミ、粗大ゴミという2種分別体制から、現在の普通ゴミ、粗大ゴミ、資源ゴミの3種分別体制に順次移行し、平成7年4月には全市への移行が完了した。現在行われている収集は、普通ゴミ、粗大ゴミ、資源ゴミの3種の収集とその他のゴミ収集の4つに分けられる。
@普通ゴミ収集 一般家庭を対象に、月木、火金、水土の曜日の組み合わせで、週2回定曜日にステーションで収集が行われている。収集品目は、台所のゴミや段ボール、雑誌、新聞等の紙類、古布、古着、金物類、ビニール・プラスチック製品、革製品、刃物などである。
A粗大ゴミ収集 一般家庭から出される不要となった電化製品や家具類、自転車などの粗大ゴミは、月2回定曜日にステーションで収集が行われている。また、飲料・調味料以外のビンやガラス等は粗大ゴミとして収集されている。
B資源ゴミ収集 平成3年10月から一般家庭を対象に、月1回各水曜日にステーションで収集を始め、順次実施区域を拡大し、平成7年4月より全市で実施している。収集品目は、当初古紙類、缶類及びビン類で始められたが、平成4年4月以降古紙類を除く缶類及ビン類のみの収集に変更された。また、平成9年4月より「容器包装リサイクル法」施行に伴い新たにペットボトルが追加された。
Cその他のゴミ収集 転居に伴う引越ゴミなど臨時に排出されるゴミや犬・猫等の動物の死体などについては、通常の家庭ゴミ収集とは別に、申込みの都度、臨時に有料で収集している。
家庭系一般廃棄物の収集量は、平成8年度実績で見ると68,458tであり、総収集量の56.6%を占めている。家庭系一般廃棄物の収集量の推移を昭和60年度以降で見てみると、微量減少した平成4年度と平成7年度を除いて、ほぼ一貫して増加傾向にある(図10)。特に、昭和60年度から昭和63年度にかけては、大幅に収集量が増加しており、平均増加率は、4.9%を示している。また、1人1日当たりのゴミ排出量の増加率も同様な率を示している(図11)。平成3年10月より本格実施した普通・粗大・資源ゴミの「3種分別収集」の全市への展開が行われたにも関わらず、ゴミの減少が進まなかった要因としては、市がゴミの減量、ひいてはリサイクルを積極的に推進しなかったほかならない。
事業系一般廃棄物の収集量は、平成8年度実績で見てみると52,435tであり、総収集量の43.4%で、市のゴミ処理事業の約半分を占めている。事業系一般廃棄物の収集量の推移を昭和60年度以降で見てみると、140tという微量減少した平成4年度を除いて、ほぼ一貫して増加傾向にある(図10)。特に、昭和60年度から平成3年度にかけては、平均増加率10.9%と非常に高い増加率を示している。また、平成4年度以降では、家庭系・事業系一般廃棄物の収集量とも平成6年度は他の年度に比べ、増加率が高くなっているが、これは阪神・淡路大震災の影響であると考えられる。
以上により、総収集量は、バブル景気によって市民に大量生産・大量消費の世の中を定着させたが、バブル景気の後退によりゴミの増加率は鈍化したものの、人口の増加と1人当たりのゴミ排出量の増加のため増加し続けているのである。
収集された廃棄物の処分については、ゴミの大部分を占める可燃ゴミは、茨木市の焼却場において中間処理され、焼却した後の残灰や不燃物などは、尼崎沖や泉大津沖の埋立地において最終処分されている。
第2節 茨木市におけるリサイクルの取り組み
茨木市においては、ゴミ収集処理の効率化や市民の排出時の利便性(ゴミをわざわざ分別する必要がない)を考え、不燃、可燃ゴミを問わず処理できるという全国でも数少ない高温溶融処理方式10)をゴミ処理施設に導入することで、ゴミの適正処理に努めている。この方式では、出てくる残さの大部分がスラグ、鉄分として再資源化でき、少量の溶融飛灰のみが埋立地で最終処分されるという特長と、反面リサイクルへの取り組みを遅らせるという2面性を持っている。このような中で、茨木市においては、子供会、自治会等が中心となり古紙等の集団回収を行い、ゴミの減量化、再資源化に努めているが、古紙等まだまだ多くの再資源化可能なゴミが廃棄物として処理されている。こうしたことから、ゴミの減量化と限りある資源を有効活用するためにも資源ゴミの回収は必要であるという考えから、現在の処理施設の特長をいかした形での資源ゴミ回収の取り組みを平成3年10月から実施している。また、平成3年7月より市内55の公共施設(本庁、小学校、公民館等)に牛乳パック回収箱を設置し、回収を行っている11)。
1)資源ゴミ収集事業 資源ゴミ収集事業は、平成3年10月から一般家庭を対象に、月1回各水曜日にステーションで収集を始め、順次実施区域を拡大し、平成7年4月より全市で実施している。収集品目は、当初
古紙類、缶類及びビン類で始められたが、平成4年4月以降古紙類を除く缶類及びビン類のみの収集に変更された。また、平成9年4月より「容器包装リサイクル法」施行に伴いペットボトルが新たに追加された。収集方式は、平成3年度は缶類、ビン類、古紙類の分別収集であったが、平成4年4月以降、缶類及びビン類を同じ袋にいれる混合収集に変更された。また、平成9年4月以降、それまでの缶類及びビン類にペットボトルを加えた混合収集に変更された。平成4年4月以降、古紙類の回収を廃止した要因としては、古紙等の市場価格の下落やこれに伴っての回収業者の引き取り拒否、自治会や子供会等による自主的な集団回収の推進などが挙げられる。収集された資源ゴミは、リサイクル事業者に委託して再商品化している。
資源ゴミ収集における回収量を見てみると、平成3年度は21,602kg,平成4年度は50,660kg,平成5年度は289,300kg,平成6年度は504,120kg、平成7年度は1405,460kg,平成8年度は1632,440kgとなっており、この5年間の平均増加率は175.0%と大幅な増加を見せている(図12)。1世帯1ヶ月平均の回収量は、平成3年度は2.77kg,平成4年度は1.30kg,平成5年度は1.43kg,平成6年度は1.49kg,平成7年度は1.25kg,平成8年度は1.43kgとなっている。資源ゴミ収集における回収量は、1世帯1ヶ月平均の回収量があまり増加していないのにも関わらず、年々増加している。この要因としては、資源ゴミ収集対象世帯の増加によるものである。
2)牛乳パック回収事業 牛乳パック回収事業は、平成3年7月から市内55の公共施設(本庁、小学校、公民館等)に牛乳パック回収箱を設置し、直営により回収を行っている。平成4年6月より、牛乳パック回収専用車を購入し回収すると共に、新たに3ヶ所に回収箱を増設している。また、回収した牛乳パックは回収業者に売却し、その売却益金は回収事業に生かされる方向として茨木市緑化基金に充当し、活用されている。
牛乳パックの回収量を見てみると、平成3年度は29,820kg,平成4年度は38,840kg,平成5年度は33,410kg、平成6年度は28,800kg、平成7年度は22,730kg、平成8年度は22,170kgとなっている(図13)。平成3年度を除いた、平成4年度以降の5年間で年平均13.3%づつ減少しており、回収量は年々減少傾向にある。この要因としては、生協(コープ神戸)をはじめとする大手スーパーなどにも牛乳パックの回収箱が置かれたため、わざわざ公共施設までもっていく手間が省け、買い物ついでにもっていけるようになったためであると考えられる。平成8年度における牛乳パックの回収益金は、221,700円で、立木換算にすると443.4本、トイレットペーパー(65m)にすると110,850個の資源が救われたことになる12)。
以上、茨木市のリサイクルへの取り組みについてみてきたが、茨木市のリサイクル事業は、環境問題の世論や「容器包装リサイクル法」の施行に対し、申し訳ない程度にしか行われていない。やはり、吹田市のように積極的に取り組む必要性があるのではないだろうか。
第3章 民間事業所(生協)におけるリサイクルの取り組み
生協(コープ神戸)では、平成2年度から牛乳パックの回収を始め、平成3年度以降飲料用アルミ缶、飲料用スチール缶、食品トレイ、飲料用ペットボトルなど順次回収を行っている。そこで、ここでは事業所としてリサイクルに対して先進的な取り組みを積極的に行っている生協(コープ神戸)を取り上げ、生協が行っている回収事業について考察していきたい13)。
1)牛乳パックの回収事業所数と回収量 まず、牛乳パックの回収を行っている事業所数を見てみると、平成4年度は123ヶ所、平成5年度は132ヶ所、平成6年度は144ヶ所、平成7年度は182ヶ所、平成8年度は187ヶ所となっており、この5年間の平均年増加率は11.4%で、特に平成6年度から平成7年度にかけては、26.4%の増加率を示している(図14)。また、平成8年度には牛乳パック回収対象事業所のすべての店舗で、牛乳パックの回収が行われていることになる。
次に、牛乳パックの回収量を見てみると、平成4年度は461,404kg,平成5年度は450,864kg,平成6年度は447,140kg、平成7年度は443,369kg、平成8年度は502,646kgとなっており、この5年間の増加率は8.9%で、特に平成7年度から平成8年度にかけては、13.4%の増加率を示している(図15)。また、平成8年度の全事業所における牛乳パックの回収率は48.6%に達しており、供給した牛乳パックのうち約半分が店に帰ってきていることになる。
回収された後、再生し製品化されるまでの基本的な過程は、まず組合員14)から回収事業所(店舗)に持ち込まれた牛乳パックは、配送センターに集められ、そしてそこから古紙回収業者、製紙会社と手渡され製品化される(図16)。その中で、生協(コープ神戸)が負担する配送経費は2,149,087円、牛乳パックを売った売却益は4,404,522円で、差引2,255,435円の利益がある(図17)。牛乳パックから出来る再生品としては、トイレットペーパーやキッチンペーパー、綿棒、スポンジ、防虫カバーなどがある。このように見事に生まれ変わる牛乳パックだが、回収できない物もある。例えば、内側が銀色のLL牛乳15)やジュース、「要冷蔵」表示のないものやお酒、焼酎、茶色いパックなどである。これらのものは、普通の紙パックのものより長い間品質が保持できる反面、リサイクルできない弱点を持っている。リサイクルを進めていく上で、これらの課題は今後解決していかなければならない問題ではなかろうか。
2)アルミ缶の回収事業所数と回収量 まず、アルミ缶の回収を行っている事業所数を見てみると、平成4年度は85ヶ所、平成5年度は90ヶ所、平成6年度は87ヶ所、平成7年度は113ヶ所、平成8年度は117ヶ所となっており、この5年間の平均増加率は9.0%で、特に平成6年度から平成7年度にかけては、29.9%の増加率を示している(図14)。また、平成8年度はアルミ缶回収対象事業所の69.6%の事業所で回収が行われていることになる。
次に、アルミ缶の回収量を見てみると、平成4年度は78,485kg,平成5年度は74,662kg,平成6年度は90,174kg,平成7年度は94,153kg,平成8年度は115,481kgとなっており、この5年間の平均増加率は10.8%で、特に平成7年度から平成8年度にかけては、22.7%の増加率を示している(図18)。また、平成8年度におけるアルミ缶の回収率は14.3%となっている。
回収された後、再生し製品化されるまでの基本的な過程は、まず組合員から回収事業所(店舗)に持ち込まれたアルミ缶は、アルミ缶回収センターに集められ、そしてそこから溶解工場、圧延工場、製缶工場と運ばれて製品化される(図16)。その中で、生協(コープ神戸)が負担する配送経費は10,302,472円、アルミ缶を売った売却益は6,818,305円で、差引3,484,167円の損失がある(図17)。アルミ缶から出来る再生品は、アルミ缶やアルミ鋳物(いため鍋、深型フライパン、玉子焼き器)、換気扇カバー、揚げ物フェンス、レンジパネル16)などである。
3)スチール缶の回収事業所数と回収量 まず、スチール缶の回収を行っている事業所数を見てみると、平成4年度は32ヶ所、平成5年度は35ヶ所、平成6年度は33ヶ所、平成7年度は61ヶ所、平成8年度は82ヶ所となっており、この5年間の平均増加率は30.7%で、特に平成6年度から平成7年度にかけては、84.8%の増加率を示している(図14)。また、平成8年度はスチール缶回収対象事業所の49.4%の事業所で回収が行われていることになる。
次に、スチール缶の回収量を見てみると、平成4年度は22,884kg、平成5年度は26,218kg、平成6年度は30,140kg、平成7年度は33,070kg、平成8年度は55,669kgとなっており、この5年間の平均増加率は26.9%で、特に平成7年度から平成8年度にかけては、68.3%の増加率を示している(図19)。また、平成8年度におけるアルミ缶の回収率は、5.3%となっている。
回収された後、再生し製品化されるまでの基本的な過程は、まず組合員から回収事業所(店舗)に持ち込まれたスチール缶は、鉄回収センターに集められ、そしてそこから製鋼工場に運ばれ製品化される(図16)。しかし、回収できるスチール缶はジュースやコーヒーなどの飲料用のスチール缶だけに限られ、それ以外の缶詰やのり、お菓子の缶などは回収できない。その中で、生協(コープ神戸)が負担する配送経費は2,524,736円、スチール缶を売った売却益は50,985円で、差引2,473,751円の損失がある(図17)。スチール缶から出来る再生品は、建築資材などである。
4)食品トレイの回収事業所数と回収量 まず、食品トレイの回収を行っている事業所数を見てみると、平成4年度は39ヶ所、平成5年度は48ヶ所、平成6年度は46ヶ所、平成7年度は89ヶ所、平成8年度は105ヶ所となっており、この5年間の平均増加率は32.6%で、特に平成6年度から平成7年度にかけては、93.5%の増加率を示している(図14)。また、平成8年度は食品トレイ回収対象事業所の63.3%の事業所で回収が行われていることになる。
次に、食品トレイの回収量を見てみると、平成4年度は54,690kg,平成5年度は80,746kg,平成6年度は81,902kg、平成7年度は96,082kg,平成8年度は134,348kgとなっており、この5年間の平均増加率は26.5%で、特に平成4年度から平成5年度にかけては、47.6%の増加率を示している(図20)。また、平成8年度における食品トレイの回収率は、12.6%となっている。
回収された後、再生し製品化されるまでの基本的な過程は、まず組合員から回収事業所(店舗)に持ち込まれた食品トレイは、製造メーカーに運ばれ製品化される(図16)。その中で、生協(コープ神戸)が負担する配送経費は5,983,270円要したが、食品トレイについては、製造メーカーに対して無償提供しているため、5,983,270円の配送経費分のすべてが損失である(図17)。食品トレイからできる再生品は、ボールペンやエコチェア、エコテーブル、エコベンチ、エコボックス17)、店内買い物かご、仕切り板等すべて生協(コープ神戸)の店舗内で使われるものに生まれ変わる。
5)ペットボトルの回収事業所数と回収量
まず、ペットボトルの回収を行っている事業所数を見てみると、平成4年度は22ヶ所、平成5年度は27ヶ所、平成6年度は29ヶ所、平成7年度は84ヶ所、平成8年度は100ヶ所となっており、この5年間の平均増加率は59.7%で、特に平成6年度から平成7年度にかけては、189.7%の増となり、他の回収品と比べ大幅な増加を見せている(図14)。また、ペットボトル回収対象事業所の60.2%の事業所で回収が行われ、これについても最も高い率を示している。
次に、ペットボトルの回収量を見てみると、平成4年度は5,174kg、平成5年度は7,967kg、平成6年度は12,387kg、平成7年度は24,600kg,平成8年度は61,268kgとなっており、この5年間の平均増加率は89.3%で、特に平成7年度から平成8年度にかけては149.1%増と、大きな伸びを示している(図21)。また、平成8年度におけるペットボトルの回収率は、10.1%となっている。
回収された後、再生し製品化されるまでの基本的な過程は、まず組合員から回収事業所(店舗)に持ち込まれたペットボトルは、再生業者に集められ、そしてそこから綿加工メーカー、ゴミネット製造メーカーに運ばれ製品化される(図16)。その中で、生協(コープ神戸)が負担する配送経費は6,915,935円、ペットボトルを売った売却益は116,815円で、差引6,799,120円の損失である(図17)。ペットボトルからできる再生品は、台所のシンクで使う水切り袋や換気扇のカバー、エプロン、カーペットに生まれ変わる。
以上、生協が行っている5品目のリサイクルについて見てきたが、平成6年度から平成7年度にかけて回収事業所(店舗)の増加が著しい要因としては、リサイクルに関心を持っている組合員からの強い要望があったことである。平成7年度から平成8年度にかけて回収量の増加が著しい要因として次の3点が挙げられる。
(1)平成8年度の夏季は例年に比べ非常に暑さが厳しく、また残暑も厳しかったため飲 料品等の消費が伸び、それにより回収量が増加した。
(2)回収を始めた回収事業所(店舗)の増加とあわせ店舗に備えつけられる回収容器も増えた。
(3)回収事業所(店舗)及び回収容器の増加により、さらに組合員のリサイクルに対する意識が高まった。
次に、リサイクルルートに関しては、基本的には回収業者が生協の回収事業所(店舗)や配送センターに引き取りに来て、それを再生業者に渡すという過程である。配送経費とは、店舗から生協の配送センターと共同作業所に持ち込む経費のことを指しており、回収品を売った売却益とは、回収業者に売却して得る金額を指している。この中で、食品トレイは売却益がない。これは、生協と再生業者が協力して独自に行っている取り組みであり、他の回収品のように販売ルートが確立していないため、生協は無償で回収トレイを再生業者に手渡している。
回収業者は、牛乳パックなら古紙回収業者、アルミ缶ならアルミ缶回収業者というように部門別の回収業者が回収を行うというのが基本だが、その中でも1つのある店舗はある回収業者と専属契約をし、その業者が5品目の回収を一手に引き受けている。それは、非常に合理的であると思われる。また、生協は、福祉施設である障害者等の共同作業所に回収品を無償で提供している。回収品は共同作業所において、良品と粗悪品とに分別され、回収品の売却益は共同作業所に入るという仕組みになっている。すなわち、生協はリサイクルだけでなく、社会的弱者でもある障害者の働く場を提供するという役割も果たしている18)。
以上のとおり、生協におけるリサイクルの取り組みを述べてきたが、平成9年4月からの「容器包装リサイクル法」の施行に伴い、事業者の責任がより強く求められている現在、生協の取り組みは、今後の民間事業所等のリサイクルに対するあり方を示している。従って、今後については生協の取り組みを1つの参考事例として、他の民間事業所等にも拡大していく必要があると考える。そのためには、我々1人1人がリサイクルに対する意識をさらに高め、同じ買い物をするにしてもリサイクルに取り組んでいる事業所(店舗)を優先するなどの行動を起こすと共に、行政もさらに本腰を入れ、民間事業所に対してより積極的にリサイクルへの取り組みを行うよう働きかけるべきである。
おわりに
1)吹田市と茨木市のリサイクルの取り組みの比較
本稿では、大阪府北摂地域におけるゴミのリサイクル、特にその中でも行政では吹田市、茨木市のリサイクルの取り組みについて見てきた。吹田市、茨木市とも市内に最終処分場がなく、また、近畿圏の内陸部はすでに住宅化などの土地利用が進み、個々の自治体が最終処分場を確保するのは、極めて困難な状況であり、両市とも現在、尼崎や泉大津沖の埋立処分場へ搬入処分している。しかし、そこも近年のゴミ量の増加により、平成10年度には処分場の埋め立てが完了するものと予測されている。そこで、両市ともゴミの減量・再資源化(リサイクル)に取り組まざるをえなくなっている。
吹田市は、平成2年1月以降従来の3種分別体制から5種分別体制に移行することで、ゴミの減量化に努め、さらに資源リサイクルセンターを建設し、その中の破砕選別工場で燃焼ゴミ以外の4種のゴミを破砕・選別し再資源化を行っている。一方、茨木市はゴミ収集処理の効率化や市民の排出時の利便性を考え、不燃、可燃を問わず処理できる新方式の高温溶解処理方式をゴミ処理施設に導入することで、ゴミの減量と再資源化に努めている。両市とも、それぞれ異なる方法ではあるがゴミの減量化と再資源化に努めている。しかしながら、吹田市の取り組みは、素人目で見ても「リサイクルに積極的に取り組んでいる。」というのが明らかにわかるのに対し、茨木市の取り組みは市民の見えないところであり、なかなか理解しづらい。確かに、茨木市の場合、市民は今までと変わらずゴミを出せばよいのだから非常に便利であるが、まだまだ使用できる資源も焼却してしまう恐れがあり、資源の有効利用という観点から見ると問題があるように思われる。また、反面、最終処分場である埋立地の面積が少なくてすむ利点がある。果たして、どちらの市の取り組みが優れているかは判断しかねるが、いずれにせよ最終処分場へのゴミを減らし、またゴミの再資源化をよりもっと推進するために、行政・事業者・市民が一体となって考えていく必要があるのではないだろうか。
2)民間企業における回収の問題点
牛乳パックの回収運動にも多くの問題がある。それは、再生紙のトイレットペーパーやテイッシュなど再生品の消費量が増えないことである。回収には協力していても、買って使うのは再生紙でない純バージン・パルプ19)のテイッシュという人が多いからである。再生品の消費量が増えない理由は2つある。1つは、スーパーなどの小売り価格を調べると、再生品よりも純バージン・パルプ品の方が安いこともあるからである。生産にかかる費用だけ比べれば再生品の方が安いのだが、価格競争力が違う。例えば、純バージン・パルプのテイッシュは、大手製紙会社が大量生産・大量販売で大手スーパーに大幅に値引きして卸すため、大手スーパーはお客を集める目玉商品として店頭に並べることができるが、再生紙商品はそうした対応ができないので安くならない。従って価格面からは目玉商品にならない。
もう1つは、再生品に対する消費者のイメージである。率直に言うと、「再生紙は粗悪」という思い込みである。これは、最初に商品化された頃の再生紙トイレットペーパーが、黒くてゴワゴワしていて品質が低かったからである。しかし、現在の再生品は、純バージン・パルプのものと区別できないほどの品質になっている。また、何となく「汚い」というイメージもある。「一度使った紙を再利用するなんて」と思われがちであるが、回収された紙は原料パルプとして溶かし直すし、印刷済みの紙を溶かしたパルプもインクを落とすために水で洗い流すので清潔さも問題ないようだ。
こうした状況を踏まえて生協(コープ神戸)は、「再生紙商品は品質的に問題ありませんのでぜひお使い下さい。」と組合員に勧めている。バージン・パルプ製品に対抗できるようになるためには、組合員を始めとする回収運動に協力している人々に支えてもらうしかない。自分達の買い物行動を意識的に変えることが、社会を変えることにつながっていく。生協以外でも、再生紙商品がおいていない店舗があったら、「是非おいて下さい。」と一言伝える必要があるのではないだろうか。一般のスーパーでは、純バージン・パルプのものが販売量の8〜9割を占めているようだが、生協の販売量は全く逆になっており、再生紙商品が8〜9割を占めている。
飲料缶リサイクルでの問題は、回収してから製造工場に戻すところの費用負担を誰がするのか、ということである。特に、アルミ缶については、消費者が回収し処理業者に引き渡すとき、これまでは幾らかでもお金になっていたが、最近では不景気のために回収しても非常に少額にしかならないため、アルミのリサイクルの将来はかなり厳しいと言える。ボランティアで一生懸命分別してアルミ缶を回収しているのに、自分に見返りがあるどころか、お金を払って業者に引き取ってもらうようになってしまったり、環境に優しいことをした人が、余分にお金を払わねばならないというような矛盾を解決する社会的な仕組みにしていかないと、リサイクルの将来は難しいと言える。
現在生協では、ペットボトル・発泡スチロールの食品トレイというプラスチックのリサイクルに取り組んでいる。やはり、それにも問題点がある。それは、紙や缶は資源のリサイクルの輪がだいたいできているのに、プラスチックの場合それがまだできていないということである。原因は幾つかあるが、プラスチックの種類ごとに分別しなければならないというのが、最大の課題である。プラスチックには、ポリエステル20)、ポリエチレン21)、ポリプロピレン22)などの種類があり、それぞれの性質は全く違う。それゆえ、違う種類のプラスチックが混ざるとリサイクルできない。現在、リサイクルが行われているプラスチックは二種類である。1つは、飲料用ペットボトルに使われているポリエステルで、ワイシャツなど衣料に使われている繊維と同じものである。もう1つは、生鮮品などのトレイに使われているポリエチレンである。
また、上記以外にも生産者側の都合により、プラスチックがリサイクルしにくい理由が3つある。1つは、商品本体が生産段階で分別しにくい形に設計されていることである。リサイクルが考慮されていない場合が多く、別の種類のプラスチックが組み合わされていることもある。最近では、家庭電気製品もリサイクルしやすいように工夫され始めたようだが、まだまだ分別には困難なようである。これが、商品本体のリサイクルに手が付けられない最大の問題であり、生産者側の努力が求められる課題である。2つ目は、容器や包装についてであり、お菓子などの包装に使われている薄い袋は、違う種類のプラスチックを張り合わせてあるのがほとんどであり、分別不可能である。なぜ張り合わせるのかと言うと、プラスチックの種類によって異なる性質をうまく組み合わせて、商品の品質を保持したり加工しやすくしたりしているからである。3つ目は、プラスチックの種類が多すぎることである。細かく分けると数万種類にもなり、捨てる時に分別できず、リサイクルできない。これは、生産者だけでなく流通・販売者また消費者の課題とも言えるのではないだろうか。
最後になるが、本稿作成にあたり、資料の提供をはじめ数々の助言をして下さった吹田市民生保健総務課の溝畑参事、同市環境事業総務課の徳田さん、(財)千里リサイクルプラザの辻井さん、茨木市環境部環境衛生課の小谷課長、塚参事、コープ神戸くらし創造本部環境推進環境活動部の寺下さん、勝田さんをはじめ数多くの方々に大変お世話になった。紙面上であるが、感謝の意を表したい。
注
1)中島富三『容器包装リサイクル法ー決定版ー平成9年』国政情報センター出版局、16〜 52頁、1997
2)覆いや縄などをかけて荷造りすること。また、その荷造りしたもの。
3)吹田市環境事業部『吹田市一般廃棄物処理計画』吹田市、1頁、1997
4)吹田市環境事業部『吹田市一般廃棄物処理計画』吹田市、19〜20頁、1997
5)「カレット」とは、破砕されて再利用される空きビンなどのガラスくずのことをいう。
6)搬入されたゴミの受け入れと、ベルトコンベヤで破砕機へと運ぶ仕事をするもの。
7)吹田市環境事業部『資源リサイクルセンター』吹田市、9〜16頁、1997
8)「リターナブルビン」とは、リサイクルのために返却、回収ができるビンのことをい う。また、返却、回収できないビンを「ワン・ウエイビン」という。
9)茨木市環境部環境衛生課『環境衛生事業概要』茨木市、29頁、1997
10)高温溶融処理方式の中心である溶融炉は、熱分解炉と溶融炉を一体化した高効率でコ ンパクトな竪型シャフト炉で、ゴミの水分を蒸発させる乾燥・予熱帯(300℃)、可燃分を ガス化させる熱分解帯(300℃〜1000℃)、不燃分を溶かす燃焼・溶融帯(1500℃以上)を一 本の炉の中にもっている。この処理方式は、まず、資源ゴミを分別した後の普通ゴミ、 粗大ゴミを溶融炉に投入し、乾燥させる。この際に、ゴミを燃やす副資材としてコーク スと成分を調整する石灰岩を添加する。乾燥したゴミは次第に降下し、酸素の無い状態 で高温にさらされ、有機物は熱分解で一酸化炭素、水素、メタン等を含む可燃ガスとな って燃焼室におくられる。ガス化された残りの灰分及び金属、陶磁器、ガラスなどの無 機物が、次の溶融帯に降下する。溶融帯に到達したコークスが羽口から供給される空気 (酸素分40%)と急激に発熱反応して高温高熱を発し、熱分解帯より降下してきた灰分 及び金属、陶磁器、ガラスなどの不燃分が完全に溶融され、溶融物(スラグ・鉄分)と なって排出される。
11)茨木市環境部環境衛生課『環境衛生事業概要』茨木市、43頁、1997
12)牛乳パック1kgは、牛乳パックの空き箱(1000ml)30枚、トイレットペーパー(65 m)5個分に相当する。また、牛乳パック50kg(1500枚)は20年〜30年の立木(高さ 8m,直径16cm)1本分に相当する。ちなみに、牛乳パック1kgの回収益金は、10 円である。
13)コープ神戸地域・環境本部 環境活動部『環境報告書』コープ神戸、54〜56頁、1997
コープ神戸広報部『地球の声を聞こう、話をしよう』コープ神戸、6〜7頁、1997
14)生協を利用するには、出資金を出して組合員になる必要がある。しかし、一般に出資 金を払っていない人でも生協の店舗に来たお客のことを組合員とよんでいる。
15)牛乳を摂氏135〜150度で数秒間連続的に滅菌し、気体透過性のない容器に無菌的に充 填したもの。常温でも長期間の保存が可能。
16)レンジまわりを油のはねや汚れから守るもの。
17)回収した食品トレイから再生品化した椅子、机、ベンチ、ボックスのことをいう。生協の店舗内備品として使用されている。
18)コープ神戸地域・環境本部 環境活動部『環境報告書』コープ神戸、55頁、1997
と聞き取り調査
19)木材繊維から最初に作られた紙を「バージン・パルプ」と言う。
20)多価カルボン酸と多価アルコールの縮合重合によって得られる高分子化合物の総称。 代表例は、テレフタル酸とエチレングリコールからつくられるポリエチレンテレフタレ ート繊維で、テトロンダクロンなどの高評名で普及している。抗張力・折り曲げ強度・ 電気絶縁性が高く、合成繊維やフィルム材、機械・電機部品として広く利用される。
21)エチレンの付加重合により得られる高分子化合物の総称。無色半透明の可燃性物質。 耐薬品性・電気絶縁性・防湿性・耐寒性・加工性が高く、絶縁材料・容器・パッキング などに用いられる。
22)プロピレンの付加重合により得られる高分子化合物。引っ張り強さが大きい。フィル ムや成型製品として、またこれを溶融紡糸して繊維製品として用いる。