夏休みの日編(あきひかこ1)
「塔矢ぁ〜〜もういいよ〜」
なさけない声が碁会所の控え室に響いている。
「ダメ、ちゃんと宿題はやっておかなくちゃ!」
アキラはヒカルの教科書をチェックした。
公立中学のヒカルのそれは私立有名校のアキラのそれとは違っていて易しい。
「だってまだ夏休みあるじゃん。それにどうせ高校にいかねーもん」
ヒカルの泣き言は続いている。
しかしそれに動じるアキラではなかったのだった。
「君はもっと今を大切にするべきだ。いつでもできるとか、やらなくてもいいとか言って
後悔した事はないのか?」
決して冷たい言い方ではないのだがヒカルにとって痛い言葉が胸をつく。
"そんなコト言われたら佐為を思い出すじゃん・・あいつ、オレと打とうって言ってたの
にいつでも打てるからって断っちまって・・"
「いやだ・・」
ヒカルが涙声で言った。
「進藤?!」
急に泣き出したヒカルに驚いたアキラが彼女のとなりにやって来た。
「ごめん・・言い方がキツかったよね? 進藤」
アキラはハンカチを出そうとしたがポケットを探っても持っていなかった。
「 ・・・ 」
何も言わずにヒカルをそっと抱いたアキラは言った。
「ボクのシャツがハンカチのかわりだよ・・」
と。
終