銀色物語9



 ナイロン卿はジュラルミンとの決別を実行せんとしていた。人生には転機という
ものがある。彼にとって今がその時だった。
「ナイロン卿、もうすこし東の方にプラスチックの城を建てようと思っておる」
と、ジュラルミンが切り出したのだ。
「さようで」
ナイロンはジュラルミンが彼の息子に王位を譲る為の準備を始めていると感じたの
だった。
「その為にはもっと国民から税金を取らないとな」
ジュラルミンはさらなる重税を押し付けようとしているのだ。
「しかし国民は納得するでしょうか?」
ただでさえ負担が大きくなっている現状を知ってナイロンはいぶかしげに聞いた。
「させるのじゃ! ナイロン、それはお前に任す。しかるべき城を数年の内に建て
王となったプラスチックをむかえる、それがわしの夢じゃ」
ジュラルミンはそういい切ったのである。
「なるほど、プラスチック王の立派なお姿が目に浮かぶようですね」
"ふん、その時がオレの隠居の時ですな"と、言う言葉を飲み込んだナイロンは短く
返事をしたのだった。

 棺桶塔に戻ったサファイヤは王妃の心配をよそに、また城下町にゆく事を決めて
いた。もう少しシルバーランドの様子を見てみたい、そう思うからだ。
「サファイヤ、私は止めません。でもね、決して危険な事をしないで下さいね」
王妃は娘を心から心配していたのだった。それがわかるサファイヤはあえて何も言
わなかったのである。
"ごめんなさい、お母さま。ボクはやはり国民が気になるのです"
彼女は母の寝顔を尻目に棺桶塔を抜け出そうとしていた。真っ黒な装束に仮面をつ
けた姿は以前とっさに名乗ったリボンの騎士の姿だった。彼女を魔女から守ると断
言していたチンクは最近ヘル夫人が現れないせいか、夜になるとさっさと寝てしま
っているようだ。
「ガマー、今夜も頼む」
サファイヤは彼に馬の用意を頼んだのである。彼は有能な男であり彼女の意を察し
て行動をしてくれる。一方ガマーも聡明で行動力があるサファイヤを未来の統治者
として認めており、彼女の為に役にたちたいと思っていたのである。

 城下町の着いたサファイヤは壁にはりつけてあったおふれを見ていたのだ。何枚
ものおふれに同じ文字が躍っており、その内容は重税を国民に強いるものだった。
「やりきれないよなぁ・・・ただでさえ苦しいのに」
かがり火に照らされたおふれを見ていた男が言った。彼だけではない、おふれを横目
に通り過ぎざまにぼやく者もいた。更に酒場ともなるとおおっぴらにジュラルミン
の悪口を言う者たちがおり、彼らはプラスチックの為の城造りに反対していたので
ある。
「なぁ、掟って国王なら簡単に変えられるんだろう? だったらジュラルミン王が、
サファイヤさまを女王にしてくれないかな?」
ひとりの酔った男が言った。
「バカ言え! そんな夢みたいな話・・・ある訳ねぇだろ!」
「でもよぅ・・夢が見たいよな。男でも女でもそんなのどっちでもいいと思うけど
な。おれたちが安心して暮らせるようになるのなら男女関係ないさ」
「サファイヤさまが現れてジュラルミンを追っ払ってくれないかなぁ・・」
「だいたいさぁ、女って強いよな。うちのかみさんなんかオレを下僕かなんかと勘
違いしてるんだぜ。どうして女に王位が継げないのか・・・そっちの方がおかしい
ぜ」
どうやら人はその場になってみないと物事を考えないらしい。今回の継承権の問題
も今までお世継ぎの王子が生まれていたから問題にもならなかったようだった。
「サファイヤさま・・・生きておられるって聞いたけど、どこにいらっしゃるのか
なぁ・・・」
彼らは安い酒を酌み交しながらぼやき続けていた。今夜は兵隊たちはいない、きっ
とどこかを見回っているのだろうと思うサファイヤだったのである。
"ボクは期待されている"
彼らの本音は彼女の耳に届いている。しかし王位を取り戻す、その方法がわからな
い。サファイヤは王位に未練は持っていなかった。しかし今では単にジュラルミン
の悪行をあばくだけでなく、自分が彼らを苦しい生活から救いたいと思うようにな
っていたのだった。

 シルバーランドの王子となったプラスチックはヘケートとの奇妙な生活を続けて
いた。それは一見未来の国王夫妻かのように見受けられ、ヘケートは広い城内を公
然と歩き回る事ができたのである。
「プラスチック、あなたのパパ、評判悪いわよ」
ヘケートは遠慮がない。
「だいたい城があるのに城を造るだなんて・・・だから生活が苦しいって不満の声
がでるんだわ」
彼女の言葉に何もできないプラスチックはただ、うなだれていた。
「僕には力がない。勇気もない。何も出来ないし家来の信望もない・・」
彼は全く何も出来ない自分を卑下していたのである。
「そうね、あなたは今の所なーーんにもやっていないんだわ」
ヘケートはなだめる事をしなかった。
「サファイヤはきっとこんな僕を知っているからひっぱたいたんだ・・・」
プラスチックはサファイヤを船から逃がす前に打たれた頬を思い出したかのように
さすっていた。考えたらそれがサファイヤとの最後のシーンになる。
「サファイヤは無事なのかな?」
彼はサファイヤを心配していたのだった。
「ええ、無事に過ごしているわ。だって私、知ってるんですもの」
彼女は魔法の鏡を持っている。ヘル夫人と相性の悪かった魔法の鏡は、なぜかほと
んど魔法力のないヘケートには協力的で、いろんな情報を知らせてくれるのだった。
プラスチックはもうヘケートの言葉に驚かなかった。彼女は魔女なのだ。いろんな
不思議があってもおかしくないと思うようになっていたのである。
「本当は僕は王位なんていらない。父にもその資格はない。僕はいつも暖かい所で
何もできずにじっとしているんだ・・」
彼の自己嫌悪は父親譲りではなさそうだ。しかしヘケートから見ても、彼はとうて
い国王という器ではない。
「もし出来るなら、今すぐでもサファイヤにこの国に帰ってもらって女王になって
欲しいのに。父上も父上だ。僕に王位を継がせたいのならサファイヤが女だと知っ
た時に、棺桶塔になんか送らないで僕と婚約させてくれたら良かったのに」
プラスチックは自分に都合の良いように考えていた。しかしそれはもうかなわない。
彼は本当に困っているようだった。そんな彼を毎日見ていたヘケートは愛おしさと
も言える感情をいだくようになっていたのである。
「好きなのかも・・・」
ヘケートが言った。
「  え?  」
プラスチックが間の抜けた声を出す。
「頼りないあなたの事が好きなのかも知れないって言ったの!!」
今度は怒ったようなヘケートの声だった。
「あの・・この僕を?」
思わぬ逆告白に戸惑うプラスチックはどうしていいのかわからずパニックにおちい
ったのである。
「君はいつも僕をからかって楽しんでいるみたいだ。今のもきっと本気じゃないん
だろ?」
プラスチックはついキツイ口調で言ったのだ。
「からかってなんていないわよ! 本当にそう思ったの! あなたに足りないのは
自信なのよね!!」
彼女はつい大きな声を出したのだ。歯がゆいけど気になる、まさにプラスチックは
そんな存在だったのである。

 一方ナイロンはどうしたらシルバーランドを手にする事ができるのかを考え続け
ていた。そしてやはりこの手しかないと思うのだ。
"ジュラルミン大公を殺るのは簡単だ。プラスチックは問題外、どうにでもなる。そ
れより大事なのはこの国をもっと強い国にする事だ"
それにはどうしてもゴールドランドも手中に収めたいと思うナイロンだったのであ
る。

 シルバーランドのすぐ北にあるレイランド王国は小さな国だった。小さいながら
もまとまった国であり、信仰の厚い人々は日々神に感謝し過ごしていたのだった。
その国にナイロンは目をつけたのである。彼は以前から知り合いだったユン大臣に
会い、とんでもない事を告白したのである。
「なんですと? ゴールドランドが我がレイランドを攻撃する準備を進めているで
すと?」
大臣は大いに驚いた。
「確かな筋からの情報ですぞ。きっとゴールドランドはこの国に進撃して来る」
ナイロンはありもしない証拠物件をまことしやかにユン大臣に見せたのだった。
それはゴールドランドの軍隊が今後、どういう動きをするかを記した密書なのだ。
「このナイロンにもらえばジュラルミン王に話をもちかけて大臣の国に加担しなく
もないですぞ」
その文書はすぐにレイランドの国王に届けられ、ナイロンは正式に親善大使と認め
られた。その間にナイロンはジュラルミンを説得し、ゴールドランドに攻め込む決
意を固めたのだった。当然両国の友好関係はそれによって壊れようとしていたのだ。

 宣戦布告が突然まいこんだゴールドランドは震撼した。寝耳に水とはこの事だっ
た。
「どうしてこんな事に? しかもレイランドとシルバーランドが?」
フランツは叔父の手から渡された布告文を食い入るように見つめていた。
「これは何かの間違いだ。どうしてゴールドランドがレイランドを攻めなくてはい
けないんだ?」
フランツはレイランドの王子と面識がある。国王に似た温厚な王子だった。
「確かな証拠があっての事なのか?」
彼は側近に聞いた。しかし帰って来た返事は厳しいもので、レイランドはシルバー
ランドと共に近日中に進撃してくる様子だったのである。
"なんてことだ・・・サファイヤ・・"
フランツはまだ何も知らないだろうサファイヤの顔を思い浮かべていた。知ったと
ころでどうにもならないだろう。
「戦うしかないのか・・・?」 
フランツは迷っていた。どうしてサファイヤの国を攻めなくてはいけないのか?
いったい誰の意志でシルバーランドはゴールドランドを攻めるのか?
ジュラルミンは王位だけでなくこの国までも狙っていたのか?
真実はわからない。
しかし歯車はすでに動き出したのだ。
決断が迫られている。レイランドの王子に会う時間さえ与えられない状態だ。
「真実をとやかく言っている間に攻め負けられてはかなわない」
フランツは不本意ながら軍を指揮すると決意したのである。

 棺桶塔にいるサファイヤはチンクの友達の鳥たちからその情報を仕入れていた。
「どうしてシルバーランドがゴールドランドを攻めなくちゃいけないんだ? その
証拠とは何なの?」
彼女はチンクに聞いた。
「よくわかんないけどゴールドランドがレイランドに攻める計画があったって話だ
ったよ。だからシルバーランドが加勢するってうわさだったんだ」
彼の情報は正しかった。
「フランツがそんな事を許すわけがない。これは何かの間違いだ! きっとジュラ
ルミンやナイロンが計画したのに違いないよ!」
彼女は確信していたのだ。ただしその計画者はあくまでナイロンひとりであり、ジ
ュラルミンは本当にゴールドランドはその意志があると信じていたのだが。
「お母さま、ボクは真実が知りたいのです。もうしばらくわがままをお許し下さい」
彼女は王妃に謝った。いつも心配してくれている母には申し訳ないのだが今は両国
の危機なのだ。かつて一つだった国が分裂し、さらに戦争状態に陥る最悪の結果を
数日前の誰もが予測だにしなかった。
「しばらく帰ってこないかも知れませんが心配しないでね」
彼女はそう言って出て行ったのだった。今度はチンクもついて来ている。今までの
出遅れを取り戻すべく彼はサファイヤに付き添っていたのだった。
 棺桶塔に残された王妃はバルコニーにたたずんでいた。
"サファイヤ・・・子どもを心配しない親なんていないのですよ・・・"
王妃はポツリと言った。しかし止めはしなかったのだ。たとえ止めてもサファイヤ
は行くだろう。彼女は自分では気がついていないようだがフランツ王子を深く愛し
ている。彼の為にも国民の為にもサファイヤは行くのだろうと思う。
「王妃さま、お姫様はきっと帰ってきますよ」
後ろに控えていたガマーがはげました。
「今日頑張らないヤツは明日も頑張らない。お姫様は今日を大事にしていなさるか
らきっと良い結果を生み出しますよ」
彼は去ってゆくサファイヤの馬をみていたのだ。颯爽と駆けて行く姿は気持ち良い。
"サファイヤ、わたしはここでいつまでも待ってますからね"
彼女は改めてサファイヤの前では強い母を演じなければと思うのであった。

「フランツ・・・フランツ!」
フランツ王子の部屋にサファイヤが入ってきた。木をよじ登りバルコニーから入っ
てきたサファイヤに彼は驚いたのである。
「そんな所から・・・それに何? その格好」
彼女はリボンの騎士と名乗った時の装束を着ていたのだ。
「これは・・・いや、そんな事よりどうしてこんな事態になったのか・・きっとジ
ュラルミンやナイロンのしわざに違いないんだ。レイランドは騙されてるんだよ。
ジュラルミンはプラスチックの城を建てる為のお金をゴールドランドに勝って略奪
しようとしてるんだ!」
彼女は一気にまくしたてた。
「落ち着いて、サファイヤ」
フランツは彼女の両肩に手を置いて彼女の興奮を鎮めようとした。
「でもフランツ。シルバーランドが君の国を攻めるんだよ? とても冷静でいられ
ない!」
彼女の言葉にフランツはにっこり微笑んだ。
「落ち着いて、サファイヤ。焦っても良い結果は生まれない。きっと誤解は解ける
はずだ。でもとりあえず軍を整えておかないと攻め込まれたら国がなくなるんだよ」
彼はごく当たり前の事をサラリと言った。しかしそれは大変なことなのだ。
「僕はこの国の王子として応戦する。君は絶対来てはいけないよ」
フランツは真剣な表情で言った。
「ボクは・・・」
サファイヤは彼がそう言うだろうと察していた。
「これは起こりうる事件だよ。同じ規模の国、君と僕の国の力関係をレイランドが
加わることによって破る、それが戦争につながるんだ」
フランツは非常に王子らしかった。彼の耳にはすでに進軍を開始しているらしいレ
イランドの足音が聞こえているようなのだ。
"臆病でも卑怯でもいいから生きていて欲しい!!"
サファイヤは心の底から湧き上がる不安を隠し切れなかった。しかしフランツは決
して臆病でも卑怯でもない。
「フランツ。約束だ! 無茶をしちゃいけないよ。生きて・・会おう」
強気な言葉とは裏腹に涙が止まらないサファイヤをフランツは抱きしめた。恋人と
しての抱擁は甘くて優しい。いとおしさとは限りがないものだと感じる瞬間が今だ
った。
「君は棺桶塔で僕の無事を祈っていて欲しい」
フランツは彼女を抱いたままで言った。彼にしても不安だった。
"サファイヤがおとなしく待っているわけがない"
彼女なら何かの行動をおこすだろう。しかし戦争の真っ只中に飛び込んでくるとは
思えない。とにかく今は安全な所でじっとしていて欲しいと思うのであった。

 はるか北の国でヘル夫人は戦争が始まった事を知った。
「全くバカな事をするんだね、人間は」
彼女は戦争という愚かしい人間のいさかいを醒めた目で見ていたのだ。しかしシル
バーランド軍が自分の住みかの付近を通ると知ってヘケート探しを一時中断して帰
る事にしたのである。
 一羽の黒い鳥が飛んでいた。ヘル夫人だった。シルバーランドの城は住人が変わ
ったけれどもその姿はかわらない。かつてサファイヤ姫が住んでいた部屋では・・・
「ヘケート!!」
鳥の姿のままでヘル夫人はさけんだ。彼女はその部屋に自分の娘がいた事を知った
のだ。
「おまえ、どうしてここに!!?」
ヘル夫人は娘を見つけた喜びと、勝手にいなくなった腹立ちとか入り混じり、かす
れた声でヘケートの前に姿を現した。
「ママ・・・」
大魔女になる為サファイヤの負のエネルギーを取るのが嫌で逃げ出したヘケートだ
が、久しぶりに会った母に思わず抱きついてしまったのだ。
「どうしてお前がここにいるんだい? それにこの国は戦争をはじめたんだよ。こ
んな所にいちゃ危ないじゃないか」
やはりヘル夫人は母らしく娘の身を案じていたのである。
 ヘケートは迷った。素直にプラスチックに恋していると言えばいいのだが、そう
すると母は彼を許さないだろう。サファイヤから負のエネルギーを奪い、大魔女に
なるまで自分は処女であらねばならないのだ。
"どうしよう・・・"
しかしここでプラスチックを捨てて抜け出すほど彼女の思いは軽くない。
「ママ、聞いて」
彼女は決意した。そして話を始めようとした時に・・・

「ヘケート!」
突然入ってきたプラスチックに二人は驚いた。そしてもっと驚いたのはヘル夫人を
見たプラスチックだった。
「   ???   」
ヘケートの部屋の前には番兵たちがいる。しかしここに入り込んだとなるとバルコ
ニーからとしか思えない。
 しかしプラスチックは声をあげなかった。普段の彼なら彼らしく恐れおののいて
叫び声を出すところなのだがこらえていたのである。
「誰だい? この子は」
ヘル夫人が聞いた。
「プラスチック王子さまよ、ママ」
ママという言葉にプラスチックは納得した。そう言えば彼女に似ている。
「ああ、あのジュラルミンの息子だね。ナイロンに命令して国王を毒殺した」
ヘル夫人は情け容赦ない。しかしプラスチックはなんも言い返せないでいたのであ
る。事実は事実であり動かしようがないからだ。
「僕は殺人者の息子です。国王になる資格なんてありません・・・戦争の事もどう
してこうなったのかわからないし、知ろうともしなかった・・」
彼はうなだれていた。
「サファイヤがこの国に帰って来てくれたら全ては解決すると思うけど、この僕で
はどうする事も出来ない・・」
彼は大きなため息をついたのだ。
「なんだか情けない王子だね」
どう見ても王子の風格をそなえていないプラスチックにヘル夫人は噴出した。
「ごめんなさい・・」
さらに追い討ちをかける言葉にプラスチックは傷ついた。しかし誰が見ても彼の評
価はそんなものだろう。
「でも僕はこれだけは心に決めている。この国の後継ぎはサファイヤしかいないん
だ!」
彼ははっきりと、頭をあげて言い切った。それには彼らしくない強い意志が現れて
いた。
 
 ジュラルミンはナイロンの陰謀に乗せられてゴールドランドを攻めるように指示
したのである。
「ゴールドランドがそんな大それた事を考えているなんてな」
ジュラルミンは私室に呼んでいたナイロンに声をかけた。
「本当に・・・レイランドは小さな国だから攻めやすかったのでしょうな」
彼は不敵に笑っていた。
「ところでナイロン、いったいどこからゴールドランドの秘密文書を手に入れたの
だ?」
彼は聞いた。
「ふふふ・・・それはですな。ジュラルミン大公さま・・ある所から」
ナイロンはジュラルミンに酒を注いだ。
「大公さま、祝いの酒ですぞ。もうすぐゴールドランドは大公さまの物・・」
彼は自分のグラスにも酒を注ぎ、乾杯の真似をしたのである。
「ふふふ・・そうか。ゴールドランドもわしのもの・・・プラスチックはニ国を治
めるのだな」
ジュラルミンはその酒を飲み干した。
そして・・・・

 ジュラルミン大公の突然の自害の報がプラスチックの元に届いたのはそれからし
ばらくしての事だった。ここに来て事態は大きく変わろうとしていたのである。

                                 

                                    終



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