タダの命名編(社会人)
「レイという名前はどうだろう?」
タダは聞いた。名前は両親がつけるものだと長老に言われたのだが、なんせ一生を通じてのもの
だけに慎重に決めなければならないと思うタダだった。
「レイ・レーンって変なの。レーンとあわねぇや」
即座にフロルは言った。
「でも僕はレイという名が好きだ。それにレーンという名は変わる事があるかもしれないが、レ
イは変わらない」
タダは主張した。
レーンが“姓”ならレイは“名”だからだ。
「オレさ、最初タダトスが“姓”でレーンが“名”だと思ってたんだ。だってオレの星ならその
順なんだもん。フロルベリチェリとフロルでね。お前ん星と逆だもんな」
それはタダも知らなかったのだ。フロルベリチェリが“名”でフロルが“姓”だと思っていたの
だから。
「レンモンド、レイドック、レイヤード… いろいろ考えたんだけどやっぱりレイがいいな」
もう一度タダは言った。今日のタダはしつこい! フロルは観念したのだった。
ヴェネからやって来た両親は初めて見る男の子のベビィに感激していたのであった。フロルの
兄までもが感心したように眺めていたのにはさすがの彼女も苦笑していたのである。
「いくらめずらしいからってずっと裸じゃかわいそうだろ」
フロルはさっさとおむつをしてしまったのだった。
「フロル、早くレイを連れて帰ってきてくれよ。レイの事は近所でも話題になっているのだから
な」
フロルの父親はそう言って手放しで喜んでくれたのだった。彼にとって初めての最初から男の子
の孫だったからだ。
「お父さんったらみんなに自慢して… 」
母親が困ったような顔をして言った。しかし彼女も主人と同じ思いなのだ。
「レイ」
フロルは呼んだ。答えはなかったが満足そうな顔をしているように彼女には感じられたのであった。
終