<俺の自覚>

どうも近頃体が重い、体調もあまり良くは無いような気がする。入院してからすぐに小部屋から大部屋に移った。主治医によれば、自殺未遂によっての影響は、ずいぶん回復したので大部屋に移っても良いだろうとの事だ。しかし、実際は、体力もずいぶん減ってきたし体調もあまり良くは無い。

あいつは大部屋に移った後に来た。俺は、最初寝てた為気が付かなかったが母親がいたので起こしてくれた。そのとき先生も一緒であった。先生は、俺の調子などを聞いたりするのが今日の主な事らしく聞き終えるとすぐに出て行ってしまった。大部屋なのであいつとも騒げない。それに、俺の体力がそこまで無いのも事実だが・・・。小声で話し、なかなか今回は盛り上がらない。あいつも少し話して俺の調子が悪いという事がわかったのか、

「君、ちょっと今日は調子悪そうなので帰るよ。またね。」

「すまんな、わざわざ来てもらって・・・・。」

そう言って別れた。

やっぱり、変だとこの日思った。自分の体調が悪く、病気が悪化したのかもしれないとこの時思った。そして、自分の死期もそう遠くないように思えた。

              

その後、先生が再びやって来た。

「あれ?彼とは盛り上がって無かったのか・・・。まだ、いて楽しく盛り上がってると思ったんだがなぁ」

と先生は、かなり明るく話した。

俺は、先生に聞くことが調度有ったのでいきなりこう言った。

「先生、俺、病気悪化したのですか?」

先生は、ちょっと驚いた顔をしたが、急に真面目な顔になり、

「ふ〜、やっぱり、自覚出来ますか・・・。まだ、言うには早いかと思ってましたが・・・。」

と言った。そして、

「君の言ったとおりかどうかは、まだ、わからないと言うのが今の見解です・・・・。」

先生は、今の現状の説明と検査結果を説明してくれました。その話は、非常に詳しく、また、俺にショックを受けさせないような風に話してくれましたが、先生の言ったことを俺なりに解釈すると、

『検査結果は少し悪い、しかも、俺が体調の悪さを自覚し始めてるからかなりやばい状態になりえる。つまり、病気がかなり進行しているかもしれない。このままではもう長くもたないだろう。』

との事だそうだ。

予想はしていた返答だ。俺はもうすぐ死ぬのだろうなとこの時思った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<彼の決意>

俺は、もう時期死ぬ!それは、医者から言われた事によって更に実感させられた。もう、回復して元の生活には戻れない。俺は、病院のベッドで何もせずに死んでいくのかと思った。正直言って、嫌だ!俺は、死ぬ時でも病院のベッドの上というのは避けたかった。俺は、家に帰って死にたい。例え、死期が通常より早まったとしても、俺は、家に帰りたい。俺は、決断した。この胸を先生に言おうと・・・。

ただ、病院を出る不安はある。自分はもう時期死ぬだろうが、それでもしばらくは生きるのだ。その間、普通の生活が出来ないのに家に帰ってどうやって過ごせば良いのか?それに家族の人に迷惑が掛かる!迷惑を掛けてまで生きたいのか俺は?けど、最後まで生きるのが俺の務めだろう。迷惑を掛けずに生きる事は、今の俺には、不可能だろう。

俺は、どちらが良いかと再び悩んだ。

『ほら、結局おまえは役立たずなのだよ!何時までも死ぬ事すら出来ない中途半端野郎』

また、奴が俺を襲ってくる。弱っている時に俺を襲ってくる。

「確かに、俺は役立たずだろう。否定はせんよ!」

俺も意外な言葉が出た。奴の言葉を認めたが、心は弱ってもいない。

『役立たずが生きていて良いと思うのか?』

「なら役立たずが死ななければならないという事が良い事なのか本当に?」

俺は、逆に奴に問い返した。

『他人に迷惑を掛けるのだぞ!それでも生きていたいと思うのか?』

「おまえの言い分だと迷惑を掛けるから死なないといけないのか?」

『貴様、質問に答えろ!俺はそれでも生きていたいのか?と聞いているのだ!』

「ああ、俺は生きたい!例え、迷惑になっても、今は生きたい。」

「なら、俺も質問にも答えろ!迷惑を掛けるから死なないといけないのか?」

『それは当然だろ?迷惑を掛けているのだぞ!』

「なら、人間は誰一人生きれないな!なぜなら、迷惑を掛けずに生きている人間はいないからな!それでもおまえはそういうのか?」

奴は、急に答えられなくなった。そして、最後にいつもの言葉を言った。

『もう、死んだ方が良い!』

そう言った瞬間俺も飛びついた。

「嫌、生きた方がもっと良い!」

そうしたら、奴の声は聞こえなくなった。

俺は、生きる決意をした。しかし、残り時間は少ない。俺は、家に帰って、残りの時間を精一杯生きようと決意した。そして、俺は、家に帰る決意もした。これ以上、何も出来ないのならここにいても仕方が無い。家に帰って生きたい!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<帰宅>

彼は、一時帰宅をした。彼曰く、「死ぬまでもう、入院はしない。」そうだ。

先生は、「一時帰宅です。すぐに入院してもらいます。」とおっしゃった。

二人の意見はずいぶん食い違う。彼は、一時帰宅を無視する気なのか?

彼は、久しぶりに家に戻った。自殺をしようとした日以来の帰宅。そして、最後の帰宅・・・。

彼は、前にお見舞いに行った時よりやつれている。これで一時帰宅を出すのか?と思うほど彼の調子は悪そうだった。現に悪いのだろう。彼は家で何かをしようとしていた。

ところが、やはり、2,3日経ってますます調子が悪くなってるのが見てわかる。家に帰っても彼は、何も出来なくなってきた。最初は、少しは出来たのだが、最初の事すらも2,3日経ってからは出来なくなっていた。病院でもほとんど一日中寝てたのだ、彼が何かをする体力があるわけが無かった。この数日間出来た事だって奇跡に近い。

彼は、それが痛いほどわかっていた。家で寝るしか無い。しかも、病院と違って誰かが看護してくれるわけではない。しかし、彼は自分の力だけでやろうとしていた。もう、ほとんど動く体力も無いのに、長時間立つ事も出来ない。彼は、本当に最後の火を燃やしているようだった。僕は、その姿を見てもう我慢できなくなった。

「もういいよ。病院に戻ろう!これ以上無茶すると・・・・。」

「・・・あ、あ、わかって・・・いる・・・・」

彼は、喋るのもやっとである。

彼は、一体何をやってたのだろうか?日常生活の事もしていた。家族がいない時には、自分で飯も作っていた。家族の人はすごく心配なのだが、彼の強硬な態度を見て仕方が無く任せていた。また、何かを書いている様でもあった。

僕が家に行くと、寝てるか、起きて何かを書いているかだった。僕は、彼が亡くなる日までその内容を知らなかった。

ある日、偶然、彼は、起きているだけだった時にお見舞いに言った。僕は、相変わらず、病院に戻ろうよと言うが、彼は、笑ってわかってると言うだけだった。病院に戻るのは、僕だけでなく、家族も先生も同意見だった。当然だ!もう、何時倒れてもおかしくない状態。彼が次倒れればもうそれは、彼の死を意味する。

それは、病院でも同じ事かもしれないが・・・。彼は、話すのも辛そうなので僕は、会社の事や、この頃会った、僕らの知ってる友達の話などをした。彼は、うなずきながら聞き時には、小さい声で質問したり、昔の事を言ったりしました。今日は、久々に話す事が出来ました。今回が、久々であってそして彼との最後になってしまいました。退院後、彼は、寝てたり、何かを書いてたりしてなかなか話す事が出来なかったのです。そして、彼は、疲れこけて寝てしまったように思いました。僕は、彼が起きないように彼の部屋から出ようとしました。ところ、彼が起きて、

「それじゃあ、さよならね。」

と言いました。

僕は、

「"さよなら"じゃ無いでしょ!またね!」

と言いました。彼は、それを聞いても

「さよなら」

と言いました。

僕は、気にせずに帰りました。それが僕と彼との最後までの出来事でした。彼は、帰宅して6日目に亡くなりました。彼は、わかってたのでしょうか?もう、僕とは会えないという事を・・・。

         

          

 

            

<遺書>

後で彼の家に行き日記と彼の書いていた物を見つけました。彼の書いていたのは、遺書でした。その内容は、

                          

「俺は、もう時期、死にます。もう、何も迷いは無いように思います。ただ、後悔なのは、俺は、最後まで自分がしたいように生きる事が出来なかった事です。いつも、後回しにして結局、自分のしたい事を後回しにしたり、今しなければならない事を後回しにして、いつも楽な方楽な方に逃げてしまいました。其の結果、今の後悔にいたるわけです。本当に、いまさら後悔してももう遅いのですが、それでも、病床にいて動かそうとしてもなかなか動かないこの体で今までの後悔した分をやろうと思いました。病気になってから、今まで後回しにしていた事をまずしようと思い、部屋に溜まっている本を読みました。読んで読んで・・・。結局、全部読みきる事も出来ませんでした。

こんな情けない状態で死ぬのかと思います。しかし、それでも良き友も出来た事には感謝しています。この病床の中、家にいると訪ねてきてくれる。いつも、病院に戻れと言うが、それも俺を思っての事。本当に俺には勿体無い友です。

                         

と言った内容がメインでした。最後の方は、葬儀方法などが書いてありました。これが見つかる前に全部終わってしまったので遺書と言うよりは、最後の日記と言った感じです。それに、人にも渡してなかったのだから・・・。葬儀方法は、質素にしてくれとか、あまり、人が多くならないようにとかいろいろ注文が有りました。実は、その通りの葬儀になったのですが・・・。彼が死ぬ前にそのような事を言ったのでしょう。

        

           

               

             

                 

                  

                  

                

             

              

                         

                      

あとがき

今回の私の書いた、はじめての文章作品です。本当に小説とも言えないものかもしれませんが・・・。ある時、2003年10月4日の書記にて「ちょっとした事でもいてみたいよ〜」と言って結局、「小説」のような物をしてみたいと思い、今回の様なのが思いついたというわけです。書き終えたのが2003年11月3日と調度一ヶ月の作業。今回の内容、「余命」といかにも暗いテーマです。私がこれを書くとき何故か、死に直面している人物と、それを見なければならない人物の二人が主役と言った感じのものが思い浮かんでしまい、その結果、このような内容になってしまいました。ちょっと、死に直面とそれを目撃と言う弐種類の人物を完璧に書ききれてはいません。どうも、ボキャブラリー不足と表現能力不足です。参考資料は無く、全部おいらの空想話。結局、現実感すらちょっと欠けているとも思えます。

             

主人公の二人の名前をあえて書かなかったのは、名前を書かずにちょっと暈しを入れてみてはどうかと思いこのようにしました。また、交互に、主役を交代してもらいある事柄を二つの方向から見たらどのように感じるかと思いやってみました。

                    

                   

2003年11月3日    ショウ(著)

戻る


トップへ

背景は、から借りています。