ある雨の日・・・

 

 

ふと目が覚めた。目の前には天井。私は、天井を見ている。今日もまた、鉄の重い筒を持ってビルの屋上に登るのだろうか?

昨晩もその鉄の筒でビルの屋上から狙った。私は、ただ、その標的に向けて引鉄を引くだけ。それ以降は、見ていない。そう言えば、これで、一体何人目だろう。一体何人の人が死んだんだろう?と言っても、私は、全然実感がわかない。だって、その人達が死んだ所なんて見て無いんだもの。何時も引鉄を引いて、すぐに撤退する。後は、その結果を、ニュースや新聞または、同じ同僚や上から聞くだけだ。

何時も死ぬのは、私達とは違う考えを持つ人間らしい。私には、その政治とか思想とか社会と言った難しいものは全然分からない。ただ、私を拾ってくれた方の為にその人の邪魔をする人間だからと言う理由で彼らを撃っている。撃っていると言っても私にとっては、引鉄を引いているだけ、その結果、人が死んでいるといったところだ。

そう言えば、昨晩の人はどうなったのだろう・・・。今までの結果から考えると、ほぼ、即死だろう。ちゃんと、頭のところを見て引鉄を引いたから。何時も、そうした時は、今の所100%即死と言う報告を受けているから。その報告は楽しみだ。ちゃんと出来たのだろうか?それとも失敗しちゃったのだろうか?その事は早く知りたい・・・。

今は、朝の6時・・・昨晩は、少し遅めの仕事だったから、まだ、3時間ぐらいしか眠ってないな。なら、もう少し眠ろう。と言う事で、私は、もう少し、眠る事にした・・・。

 

チリリリリリリリ・・・

私は、再びある音で目を覚ました。少しボ〜ッとしていた為ちょっとしてから、その正体に気がついた。私の電話だ!着信音は、目覚し時計っぽい音にしていたのだったか・・・。と言ってもこの音しか必要は無いのだろうが・・・。私は、電話を取った。

「はい・・・もしもし・・・」

「ん?その声は・・・なんだ、寝てたのか!起こしてしまったか?」

と相手は言ってきたので私は、

「いいえ、そろそろ起きる時間でしたので、調度良い時間に電話をかけてきて下さいました。」

と言った、今の時間は、午前10時・・・ちょっと寝すぎた・・・。その答えに、電話の向こうで、

「わははははは・・・そうか、それは惜しい事をした。電話をせずにそのまま家に行っていれば、君のめったに見られない可愛い寝顔が見られたかもしれなかった。残念残念・・・」

と笑いながら言っている。この人は、未だに私の事を子供扱いしている。そう、この電話の人が私の拾い主、いわば私の育ての親と言っても良い人であるケンである。ただ、この人から電話が有ると言う事はたいてい何かの依頼である。

「何時までも私を子ども扱いして!私はもう大人です!それから、大丈夫ですか、この電話?」

と聞いたら、ケンも真剣になり、

「・・・ああ、大丈夫だ・・・だが、ここでは・・・」

と言ったので、私は、

「そうですね。では・・・」

「ああ、そう言うわけだ。何時も通りで・・・」

「はい、そうですね・・・では、電話切りますよ・・・」

「ああ・・・」

と言って電話を切った。そう、盗聴の心配は無いだろうと言うことしか分からないのでそこまで細かい会話は出来ない。"何時も通り"とは、"このまま、家に向かう"言った内容である、だが、その前の会話から、どっちにしろ、ケンは、私の家に来る可能性があるのではと思われても仕方が無い会話だったのだが・・・。となると、この工作は、逆に盗聴されてるとまずいなぁ〜と思ったりもしていたら、

ビリリリリ・・・

すぐに、ベルがなった。どうも、来客らしい。ここに来るのは、ケンと他数名ぐらいだが、来る前に必ず電話を入れる。電話をすると言っても連絡の為に3回連続でかけると言う形だ。その連絡があったのは、ケンのみ、となるとケンだけだろうが、ひょっとすると招かれざる客と言う可能性も有る。だから、私は、気を抜かずに、

「どちら・・・」

と言った。だが、その問いかけに返答は無い。また、私は、それを言ってしまった時に自分の間違えに気がついた。そう、この家には誰かがいると言う事を相手に知らせてしまったのだ。これは、失態だ。だが、言ってしまったのだから仕方が無い。だから、私は、普通の人がやるように、

「あの〜どちら様ですか?」

とドアも開けずに問いかけた。それでも返答は無い。私は、すぐに机に置いてある拳銃を持ち、再度、

「どちら!?」

と大き目の声で聞いた。しかし、やはり、返答は無い・・・。

仕方が無く、ドアを思いっきり開けて、左右を確かめてから外に出た。この時私は、決定的な間違いを犯している事に気がついていない。そう、その訪問者は、私の・・・、

「隙あり〜!!!」

と言って、上から私の頭を新聞で叩いた。私は、すぐさまその訪問者に対して拳銃を向けた。その訪問者は、笑っている。もし、その訪問者が私の命を狙ってきたのなら、私は、この場で死んでいた事になる。その訪問者が、私に、

「まだまだ甘いの・・・。だがなぁ〜いくら何でもその格好で迎え撃つのは、ちょっとなぁ・・・。」

と言った、そして、初めて私は、自分の格好に気がついた。そう言えば、昨晩帰ってから、お風呂に入って上着を着ようとしたが、あまりにも眠かったのでそのままの上着も着ずに寝たんだっけ・・・。となると・・・さすがにまずいな・・・。私は、黙って家に入ろうと思ったが、家に入るには、その訪問者がいる所を通らねばならない。けど、その訪問者は、退く気配が無い。それどころか、この姿を見て一人でにやけている。こうなったら、"邪魔な奴は消す!"と言う事で・・・私は、再び銃を彼に向けた。彼は、私の決意の目を見て、

「お・・・おっと・・・分かった分かったから撃つなよ・・・退くから撃つなよ・・・」

と言って、道を開けた。訪問者は、先程電話をくれたケンだった。

私は、家に入り、すぐに上着をまとい、ケンを家の中に入れた。

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