ある雨の日・・・

 

 

私は、ケンと一緒にいた。やっぱり、この空間は慣れない。食事も有るのだが、なんだか恥ずかしい。それに、何故か視線を感じるのは何故だろう・・・。

「け、ケン・・・なんだか、誰かに見られてるみたい・・・」

と言ったらケンは、

「そりゃそうだろ・・・まさか、気が付かなかったのか?」

と言ってきた。私は、全然気が付かなかった。だから、首を縦に振ったら、ケンが、

「本当か?これぐらいなら、お前ならすぐに気が付くと思ったぞ!だから、緊張した顔をしているのだと思ってたのだが・・・」

と言ったので私は、

「緊張してますよ!だけど、視線で緊張してたわけじゃなくて、最初はこの雰囲気で緊張していてちょっと気を抜いたら、多くの視線を感じてまた緊張しだして・・・」

と言ったら、ケンは、

「なるほどね・・・俺は、お前と一緒にいるからこそこの視線を感じる・・・。先程中に入った時は、誰も見てなかったのに、お前と一緒だといきなりこの視線だ。お前目立ちすぎ・・・」

と言ってきた。私は、それを聞いてまた、顔が赤くなるのが分かった。また、ケンは、

「それに女性は、お前だけじゃないのにだぞ!割とこの空間にはいるのに・・・。」

と更に言って来た。私は、この視線から逃れる為に少し動く事にした。

「ケン、ちょっと私動いてみる・・・」

と言ったらケンは、

「多分、無駄だと思うぞ・・・」

と言った。そして、

「一緒に行こうか?」

と言ってきたので、私は、

「いい」

と言って歩き出した。

 

歩き出してやはりケンの言っていた事が本当だと分かった。いや違う、ますます、視線を感じるようになって来た。どうも、さっきは、隅にいたから目立たなかったのに堂々と歩いているから逆に目立つんだ・・・。どうも、緊張のせいで冷静な判断も出来なくなってる。困ったなぁ〜・・・。

私は、歩いていると、一人の人が後ろから声をかけてきた。

「こんばんは。」

と言ってきたので私も、

「・・・今晩は・・・」

と言い返した。すると、その人が、

「お時間よろしいでしょうか?」

と聞いて来たので、時間は空いてるから、私は、

「え・・・は、はい・・・」

と答えた。そしたらその人が、

「貴女は、どちらの党の人ですか?」

と聞いてきた。私にとって一番聞いて欲しくない事だ・・・しかも、今はガチガチで冷静な判断も出来ない・・・。私は、

「え〜え〜っと・・・」

と言うしかない。すると、その人は、

「あれ?じゃあ、貴女のお名前は?」

と聞いてきたが、もう、ガチガチで耳に届いてない。一体どうしよう・・・。その人も困りだした。それを見た私も困りだし更に緊張してしまい・・・。すると、一人の人が後ろから、

「彼女は、アキナさんです。そして、何所の党の人間でも無いですよ。」

と言う声を聞いた。私は、その声でハッと我に返った。

「あっ!スピア、お前彼女を知ってるのか?」

とその人が彼に聞いたので彼は、

「はい、昨日街で出会いました。どうも、あの例の党として参加してるようですが、彼女は関係ないですよ。どうも、その党に彼女のお兄さんがいるらしく、人数合わせの為に彼女が呼ばれたそうです。」

と言った。私は、

「す、スピア?」

と言ったら、彼は、

「今晩は、アキナさん」

と答えてくれた。だから、私は、

「あっ失礼しました。今晩は、スピアさん」

と言い直した。するとスピアが、

「まさか、アキナさんだとは最初気が付きませんでしたよ。でも、見た事ある顔だなぁ〜と思ったんですよ。でも、やっぱり、アキナさんだった。一瞬間違えたかと思いましたがね・・・」

と言った。私は、

「その割には、堂々と私だと言い当ててましたが・・・」

と言ったら、スピアが、昨日会った時の顔で、

「それは、まあ、勘です・・・。それに先生も困られているようだったので・・・」

と言った、私は、

「え?先生・・・」

と言って、その私に声をかけた人を見た。するとその人が、

「確かにスピアのお陰で助かったよ!まさか、あのままだと、私が何か悪い事をしてるようだったからな。」

と言ったらスピアが、

「充分悪い事してますよ!いきなり自分の身分も明かさずに、女性の名前を聞くなんて・・・。彼女も可哀想だ!いきなり、ナンパだと思って不安そうな顔をして・・・。」

と笑いながら言っていたので、私は、

「いいえ、そうではないんですよ。ただ、どうも人の目線を感じて緊張していた時に、話しかけられてどう対応して良いのかわからなくなり・・・」

と言ったら、その先生と言われた方が、

「確かに悪い事をした。それに、自分の名前を言わずにいきなり名前を聞くとは、失礼だったね。私は、レオンと言います。紹介は良いだろうか、彼は、私の秘書をやってくれるスピアだ。口は先程の様に悪いがね。」

と言ったので私は、

「はい、知っています。」

と答えたらスピアが、

「そりゃ無いですよ、先生もアキナさんも・・・」

と笑いながら言った。私も一応筋だから、

「先程は申し訳ありませんでした。私は、アキナと言います。」

と自己紹介した。すると、彼が、

「アキナさんは、普段は何をやってるのですか?先程の話しだとお兄さんが党員だと聞きましたが。」

と聞いてこられたので、私は、

「え〜っと、兄は、党員と言うわけではないのです。まだまだ、下っ端の見習いの様な者です。また、私は、そんな兄を支えている為仕事はして無いのです。」

と言った、これは、ケンと一緒に考えて決めた返答だった。すると、レオンさんは、

「そうなのですか。では、この会の出席は?」

と聞いて来たので私は、

「どうも今日出席される方が倒れられたと言う事らしく、そこで兄が代わりに出席してくれと言われたそうで、また、どうもその方が夫婦か何かで出席する予定だったらしく、うちの党から女性が零もまずかろうと言う事から、私が関係ないながら抜擢されてしまったわけです。」

と言った。これも勿論ケンと決めた言葉だ。一部、本当で一部嘘。すると、スピアが、

「そうだったのですか。てっきり僕も貴女のお兄さんが党員だと思ってました。そんな事が有るんですか?僕も下っ端ですが一応党員ですし・・・。」

と言ってきた。あれ?どうも、言う事を失敗したかなぁ?すると、スピアが、

「まあ、各党色々有りますしね。」

と答えた。その時、他の人が声をかけてきた。

「レオン先生、お久しぶりです。」

その声がした方を私は見た。一人の女性がレオンさんに声をかけていた。すると、レオンさんの顔が強張った。そう、緊張したのだ。また、スピアもその女性の出現に緊張した顔つきになった。

そして、レオンさんが、お辞儀をしながら、

「み、ミサキ先生・・・お久しぶりです。」

と言った。スピアもそれを真似てお辞儀をした。すると、その人が、

「あらあら、そんなに硬くならないで。ところで、この子、貴方の党の方?」

とレオンさんに聞いていた。すると、レオンさんは、

「私の党では有りません。彼女は、党員ではなく・・・」

レオンさんは、私の事をその人に話した。すると、その人は、

「ふぅ〜ん、で、貴女の名前は?」

と私に聞いてきた。だから、

「アキナと言います。」

と言ったら、彼女は、少し驚いた顔をした。だから、私は、どうしましたか?と聞いてみた。すると、彼女は、

「いいえね、その名前は、少しばかり馴染が有ってね。だから、驚いたのよ。それに、アキナさんは、幾つ?」

と聞いてこられたので、私は、

「今年23です。」

と言ったら、彼女は、

「まさか、歳まで一緒とはね。こんな事も有るのね。」

と言った。ますます、分からない。すると、彼女が、話しだした。

「私の兄と慕っていた人の娘さんの名前が、"アキナ"なのよ。しかも、貴女と同じ年齢。まあ、いるならだけどね。」

私は、

「いるなら?」

と聞いたら、彼女は、

「そう、行方が分からないのよ。と言っても、兄と慕っていた人も今から十年以上も前に亡くなったわ。奥さんと一緒にね。だから、その娘さんの行方は分からないのよ。確か、近い親戚がいないから施設に預けられたそうだけど、その後、どうも、施設から出てる。その為、行方知れず・・・。今でも私達は、探しているのだけどね。」

と言った。それを聞いた時、私は、何か気になった。そう、私も十年ぐらい前に施設に預けられ、そして、逃げ出したのだ。その十年前の記憶は無い・・・。だから、私は、

「その夫婦は、どうして亡くなったのですか?」

と聞いたら、彼女は、

「・・・殺されたの・・・誰かに・・・」

と言った。そして、更に、

「銃で頭を打ち抜かれていた。二人とも即死だったそうよ。その時その娘さんも一緒だったのだけど、何故かその子は、無傷だった。その犯人もその子には、手を触れられなかったのでしょう。また、どうも、その時のショックで記憶もほとんど無くしてしまい、名前ぐらいしか言えなかった。私達もその犯人を捕まえる為に努力はしたが結局未だにその尻尾をつかめてない。」

それを聞いた時に私は、無性に悲しくなった。何人も殺している私がどうしてその事で悲しくなったのかは分からない。どうして、その子供だけ残したのか?そんな状態で生きていても地獄なだけ。その子もあの施設の地獄を味わい、そして、私と同じ様に逃げたんだ。私は、ケンに拾われたから助かったけど、多分、この子は・・・。

すると、彼女は、私に、

「ところで貴女の、御両親は、お元気?」

と聞いて来たので、

「両親はいません。兄が育ての親です。」

と言った、するとまた、

「御両親の顔は、覚えている?」

と聞いて来たので、私は、

「覚えてません・・・両親は、十年以上前に事故で亡くなりました。」

と言って、私は、しまったと思った。そう、本当の両親の話をしだすと、ケンが本当の兄で無い事がばれてしまう。すると彼女は、

「ごめんなさい・・・辛い思いをさせて・・・。」

と言い出した。私は、

「いいえ・・・それ以降兄がいましたから・・・」

と言ったら、彼女は、最後に、

「辛い思い出かもしれないけど、十年以上前の事故が何か覚えてます?」

と聞いてきた。私は、

「ごめんなさい・・・知らないのです・・・。それに、私、十年以上前の記憶が無いのです・・・」

と言ってしまった。彼女は、それを聞いて、吃驚した顔をした。顔には、

『状況が、あの子に似ている・・・まさか・・・』

と言う顔をしている。仮にそうだったとしても私は、覚えて無いし知らない。するとスピアが、

「ミサキ先生、これ以上は、よした方が良いのでは・・・アキナさんの顔真っ青ですし・・・。」

と途中に割って入って来た。すると、彼女も、

「そ、そうね・・・確かに良い思い出じゃないし・・・。ひょっとすると、彼女が、あの子なんじゃないかと思っちゃってね。ごめんなさいアキナさん。」

と言ったから、私は、

「いいえ・・・気にしてません・・・」

と言い返した。そして、彼女は、時計を見て、

「もうこんな時間なの?もう少しアキナさんと他の話しもしたかったのに、仕方が無い。それじゃあ、今日はごめんなさいね。後、思い出したらまた何時でも私を訪ねて。場所は、そこの子に聞いたら良いから。」

と彼女は、スピアを指して言った。すると、スピアが、

「え・・・?」

「君が分からなかったら、党の人間にでも聞きなさい!彼女一人じゃ来られないだろうし・・・。」

と彼女は言ってここから立ち去った。

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