ある雨の日・・・

 

 

窓から注いで来る朝の光で目が覚めた。

「ん〜あ・・さ・・・?」

私の口からそんな独り言が出た、あのまま、本をキリの良いところまで読み、そのまま、寝たんだっけ?時計を見ると、もう、午前7時だった。私は、着替え、朝食の準備をした。そう言えば、ずいぶん前に買ったパンが未だにテーブルの上に置いてあるんだった。今日の朝は、それで良いか、後、やっぱり、寝起きにはコーヒーと・・・。

その時、昨日と同様、電話のベルが鳴った。私は、すぐに出た。

「もしもし。・・・」

すると、電話の向こうで、

「俺だ!どうだ、久しぶりの休暇は過ごせたか?」

と聞いて来たので、

「どうかしらねぇ?過ごせたんじゃない?けど、自由に使えたのって、貴方と別れてからじゃない?一日も無いわよ。」

と言ったら、ケンが、

「わはははは、確かに一日も無いわな。だが、喜べしばらくは、でっかい仕事は無いらしい。ところで、今空いてるか?」

と聞いて来たので、私は、

「どうしたの?空いてはいるけど・・・。」

と聞いたら、ケンは、

「分かった・・・」

と言って、電話を切った。どうも、今から行くと言いたかったらしい。おそらく、昨日同様、すぐに、

ビリリリリ・・・

と本当にすぐに鳴った。また、昨日と同じ様な事になりかねないなぁ〜。私は、最初、無視して、コーヒーを作った。次のベルが鳴るまで応答する気は無かった。すると、ちょっと時間が経ってから再び、

ビリリリリ・・・

と鳴ったので、私は、拳銃を懐に隠し、どちら様も言わずに、ドアを勢いよく開けてやった。

バキ・・・

ドアが誰かにぶち当たった感触が有った。つまり、どうも、今日は、ドアの前に人が立っていたようだ。そして、その人に当たってしまったと言う事らしい。だから、私は、ドアを、手前に引き、その隙間から、そっと覗いたら、顔をおさえているケンの姿が有った。

「あいててて・・・。まさか、今日は、勢いよくドアを開けてくるとは思わなかった・・・。昨日同様、聞いてくると思った。」

と言っているので私は、

「昨日の事と、ケンの電話から、考え出した結果として今日もまた、同様の事を仕出かす可能性が否定できなかった為、この様な手段に出ました。また、こんな家なんかに他の人は来ませんから・・・。」

と言ったらケンは、

「確かに、この家に頻繁に他の誰かが来られても困った者だからな。それに、この地域は、近所付き合いと言う言葉は無いからな。」

と言った。だから、私は、

「そういう事、ここに来るのは、ケンか後私を捕らえに来た人達のどちらかしかいないの。で、何時までそこで顔をおさえてるの?入るんでしょ?」

と言ったら、ケンが、

「全く・・・こんな娘に育てたつもりは無かったのだが・・・」

と言ったので、私も、

「こんな親に育てられた覚えもありません。」

と言ってやった。

 

ケンは家に入った。私はと言うと、出来上がったコーヒーをカップに入れている。そのカップを持って、

「ケンは、昨日同様いらないわよね?ところで、前から聞きたかったんだけど、どうして、電話をかけた直後に家の呼び鈴がなるわけ?この近くに公衆電話なんて無かったと思うけど。」

と言ったら、ケンが、

「ああ、有るなら紅茶が良いが、無いだろうしな・・・。後、電話の方は、別に種も仕掛けも無い。携帯電話を単に持ってるだけだ。それで、家の前で電話をかけているだけだ。それで、呼び鈴がすぐに押す事が出来るわけだ。」

と言った、全く、すごい時代になったものだ・・・。電話を携帯できるのだから、と言う事は、私も持てば良いわけって事じゃないの!それなら、どんな場所でも電話がかけられる。すると、ケンが、

「一体何所にかけるんだ?アキナがかける様な知り合いがいるとは、思えないのだが。」

と私の思っている事を見透かされた様な事を言った、だから、

「何さ!私にだっているわよ!」

と強がった、勿論、そんなのは、単なる強がりにしか無い、本当にかける人なんて誰もいないのだ。すると、ケンが、

「・・・まあ・・・と言ってもこんな物は結局、何時でも何処でも呼び出せると言う点でしか働いていないがな。いわば、館内放送の様な物だ。『ピンポンパンポン、ケン至急本部まで来い』とかね。アキナに持たせると、俺からの『今は何処にいる』だの『至急家まで来い』だのの電話しか来なくなるぞ!何処にいても連絡がつくからな。」

と言った。どうも、便利便利とばかりはいえないらしい。と言う事は、この携帯電話なる物を持たされたら最後、何処にいてもどんな時も呼び出される可能性が有るわけか・・・。私は、ケンの話している事を聞きながら、そんな事を考えて、テーブルに置いてある、パンを食べている。

すると、ケンは、真面目な顔で、

「最近は、他の面子がお前の仕事をする事が多くてね。実は、一昨日の晩の仕事以後、お前の仕事が無いんだよ!」

と言った、つまり、私は、お役御免・・・

「いやいや、別にくびと言うわけじゃない!他の異なった仕事をしてもらいたいのだよ。今までの仕事よりは、お前から見たらある意味大事ではないのだが、俺らから見たら結構大事かもしれない。お前には、ちょっとした集まりに参加してもらいたい。参加と言ってもその場合、俺の護衛みたいなもんだ!そして、その集まりとは、我々の党と他の色々な党の一部の人間が、砕けた言い方をすると、ドンチャン騒ぎをすると言う集まりだが・・・。その集まりの中、例のあの党の一人が殺される事になるらしい。勿論、お前がやるわけではない。他の面子がやる事になっている。後、お前にはその席上では、俺の妹で有ると言い張る事!良いな?」

と聞いて来たので、私は、

「・・・つまり、今回の指令は、ケンの護衛って事で良いのですね?」

と聞いたら、ケンは、

「そういうところだ・・・。なぁ〜に今までよりは気楽で良いだろう?」

と言ったので、私は、

「まあ、そうですね・・・でも、ケンの妹と言うのは・・・まあ、娘と言うと絶対に変だしね。」

と言ったところ、ケンは、

「まあ、他の関係でも良いが、どうも、その他の関係だとどうもしっくり来ないからこの様な関係で、潜入する!で、日は、明日の夜。」

と言った、私は、

「明日の夜!?それは急ですね。」

と言うと、ケンは、

「仕方ないだろう!これの本来の担当者が、昨日、倒れたんだから!俺だって急だったよ!まあ、この数日手が空いている奴は、俺とアキナだけと言う事で、二人でよろしくと言う事になったわけだ。全く・・・まあ、党内では、この辺でこの二人が表に出るのも良いのではないか?と言う意見と、奴等は我々にとっては影の存在だと言う意見もある。どっちも賛成だがね。だが、俺だって、この党に10年以上もいるけど何時までも影の部分しか触らせてくれないし・・・。」

と言って、一人不満げにしている。ところで、今、ケンが影の部分って言ってたけどどう言う事?すると、ケンは、また、私のそんな顔を見て、

「影の部分と言うのは、意見が合わないと言う事で、人を闇討ちしたり、相手を消すような仕事だよ!まあ、今となっては、こんな中継ぎ役になってるが、アキナが知ってるように出会った当時は、俺だってアキナと同じ事してたわけ・・・。」

と言ったので、

「なんだ、影の部分ってそう言う意味だったの。知ってるよ。だって、私に数多くの事教えてくれたのは、ケンだったでしょ?結局、ケンと同じ様な事しか向いてなかったけど・・・。」

と言ったら、ケンは、少しすまなそうな顔をしたが、すぐに、

「まあ、明日の為に服等が必要だろう!と言うわけで明日午前の内に、本部へ来いと言う事を伝えに来た。以上、何か質問は?」

と聞いて来たので、

「じゃあ、質問!」

と言うと、ケンは、

「ほう、お前が質問とは、何処か分かりにくい点が有ったか?」

と聞いたので、私は、少し可愛らしく、

「私は、ケンの事をどんな風に呼べば良いの?お兄ちゃん!」

と言ったら、ケンが、固まった。だから、私は、

「ふぅ〜どうも、今の発言は、まずかったようね。なら、ケンと呼べば良いわけ?」

と普通に言ったらケンは、

「ああ、さっきの以外なら何でも良い・・・いや待て!"ちゃん"とか"君"とかは無しだぞ!"ちゃま"なんてもってのほか!」

と言っている。どうも、ケンをからかってしまったようだ。だから、私は、

「はい、では、『ケン』、若しくは、『ケンにい』とでもお呼びしましょう。」

と言って、何とかこの話題が収束していきそうだ。

すると、ケンは更に、

「今回の暗殺者は、誰かは、俺も聞いてない。実は、誰を暗殺するのかも俺は聞いてないのだよ。どうも、俺とは違う奴が仕切ってるようだ。そいつも誰だか分からないのだがな。」

と言った私は、

「ふ〜ん、で、その同業者は、私より上手いの?そいつがへまして結局近くにいた私がやらないと駄目になったとかは、嫌だよ!」

と言ったらケンは、

「勿論、そんな事は絶対に無いし、やったらまずいだろ!まあ、失敗しても、こっちには関係無い事だし。失敗して見つかり捕まった時は、自ら死ぬと言うのがお前らの決まりだろ?」

と言ったので私は、

「それもそうね。そんなへまするような同業者なら、そこで、死んだ方が良いのかもしれないわね。でも、失敗しようが成功しようが、私達の方が危険なのでは?銃は持ってなくても疑われるのは、必至!その時は、逃げるの?」

と言ったので、ケンは、

「大丈夫!実際、その席には、俺ら以外の党の人間もいるわけだしな。俺の護衛をお前がするが、俺は、その党の人間の護衛をするのが受けている指令。まあ、つまり、お前は、俺の護衛って言ってもその党の人間の護衛と言っても良い。」

と言ったので私は、

「それって、騙したわけ?なら、その党の人の護衛だって言ってくれたら良かったのに!」

と言った、すると、ケンが、

「言ったら、お前、快く引き受けたか?」

と言ってきた。私は・・・どうだろう・・・。結局、そんな見ず知らずの人の護衛なんかしたく無い。ケンの護衛だから、しても良いと思ってるだけで、他の人間ならあまり、乗り気ではないだろう。だから、ケンは、本当は、その人の護衛だが、俺の護衛と思ってやってくれってわけなのだろう。私が、何も話さずに考えているとケンが、

「ふぅ〜だろうな。だ・・」

「だから、そんな事言ったのね。良いわ!貴方の護衛なら別に問題ないしね。私は、他の人の命令で動くのは嫌だけど、貴方の命令なら良いわ。」

とケンが言う前に言ってやった。ケンは、それを聞いて、

「わかった・・・」

と言った。

次へ

戻る

トップへ

背景は、から借りています。