ある雨の日・・・

 

 

私は、買い物を済ませて家に戻って来た。荷物を置いて家を出たのが確か14時過ぎで今帰ってきたのが16時過ぎ、ほぼ二時間も買い物をしていた事になる。何時もならそれほど時間はかからないのに今日に限って何故か二時間も街を歩いていた。確かお肉屋さんを廻るだけだったと思うんだけど・・・。やはり、今日は、色々な経験をしすぎた。初めて人の怒る顔を見たし、初めて人の死を悲しむ顔も見た。

また、初めてここまで気になる相手を会ったのも・・・。

家に入り買って来た物を仕舞う。

「ああ、そろそろ、晩御飯の時間か・・・そろそろ準備をしないとね。」

と私は、独り言を言ってから、晩御飯の支度をした。

その支度をしてる最中でも、彼、スピアの事が気になった。

人の死を悲しみ、人の死を怒り、その相手を怒ってる・・・。

私は、怒りも悲しみも今の自分には理解出来ない。あまり良くは覚えてないが、両親が亡くなった時ですらも怒りも悲しみも無かったのではないだろうか?それとも単に思い出せないだけだろうか?

施設での生活、そして、脱走・・・その後のケンとの生活の中で自分の感情が消えていった。今では私は単に引鉄をひくだけの人間・・・。

「そんな私が・・・」

と口から漏れた。その時、電話のベルが鳴った。

チリリリリリリリ・・・

私は、我に返り電話機の前まで行き、受話器を取った。

「はい・・・もしもし・・・」

と言うと相手は、

「おっ!やっと出たな。何度も電話したんだぞ!」

と電話の主は言った、私は、

「すいません。ちょっと昼は買い物に行ってました。家に買い置きが無かったので・・・」

と言ったら、電話の主は、

「ん?ちょっと元気が無いようだな?どうした、何か有ったのか?」

と聞いて来たので私は、

「え・・・?そうですか?ところで何の用事ですか?今、晩御飯の支度をしてるので手が離せないのですが。」

と言ったら相手は、

「そうかすまんな。明日の件だよ。忘れてると困るのでな。念の為言うが、明日の午前10時までに本部へ来い。と言う事だ、では、用件はそれで終わり、また、明日」

と言ったので私は、

「じゃあ、お休み・・・ケン」

と言って受話器を下ろした。そして、すぐに準備を再開した。

 

晩御飯を食べ終わり、外は既に闇に覆われていた。今までなら私は、この闇の中に出て行くのだがここの所は、闇に出て行くことが無い。それに対して、心が落ち着く・・・。でも、そこから、私には、自分の仕事が無い寂しさと続きの本が読めるから嬉しいなと言う二つの矛盾した感情表れる。一体どっちが本当の私なのか?恐らくどちらも本物の私なのだろう。寂しさと嬉しさを両方持っている。でも、私には、昼間のあの人の様に、人の死を悲しんだり、怒ったりする感情は、持ってないのだろう。

私には、人としての感情が欠落しているのだろう。人を殺していると実感は無いが、現に人は死んでいる。それに罪悪感も持たないようでは、それは、人としての感情が欠落していると見た方が良いだろう。

 

私は、人では無いのだろうか?

私は、普通の生活はもう二度と出来ないのだろうか?

普通の娘が、するような事は二度と出来ないのだろうか?

そんな人間(わたし)は、必要有るのだろうか・・・

 

そう悩む私・・・。

しかし、逆にこの様に思う私もいる。

 

そんな事必要無い。

私が人であろうが無かろうが・・・

私はただ、ケンから言われた様に引鉄を引くのが仕事。

だって、私を助けてくれたのはケンだけだもの。

なら、私はまだ必要とされている・・・

 

この矛盾した物がいるのが私・・・。考えてもきりが無い・・・。

まだまだ、寝る時間でもないので、私は、昨日から再び読み始めた本を読む事にした。昨日は、結局、50ページぐらいしか読めなかった。と言う事は、今日は、100ページまで読めたら良い方かな?これだけ読んでもまだまだ終わらない・・・。

私は、昨日挟んだ栞の所からこの本を読み進めた。

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