ある雨の日・・・

 

 

私達は、退出してその服とかが準備されている部屋に行く事にしたが、ケンが、

「アキナ・・・すまなかった。あのような思いをさせて・・・」

と言ってきた。私は、何の事と言う顔をしてケンを見た。すると、ケンが、

「いや、あの男が、『あれだけ殺している女だ!』とか、『外見だけは目立つ娘』と言った発言だよ。アキナはそんな人間じゃないのにな・・・」

とすまなそうに言った。だから、私は、

「・・・ケンが気にする事は無いです。事実ですし・・・。私は、人殺しですし、外見だけは目立つから買い物に行っても何度も街で若い人に声をかけられますし・・・。あの人間違った事は言ってませんよ・・・」

と言ったらケンは、

「嘘だな・・・あの時のアキナの顔は・・・。俺は、君を十年見てきたのだ。あの時の顔は、苛立ちに満ちていた。」

と言ったので、私は、何も言えなくなった。すると、ケンは、

「・・・この党のおかしな所だ。上は、目の上のタンコブを排除する事だけしか考えていない。話し合ったり色々する事を考えていない。だから、俺みたいなのが必要なのだが・・・。」

と言ったので、私は、

「だから、私の今が有るんでしょ?」

と言った。すると、ケンは、更にすまなそうな、そう、あまり見せた事の無い顔で、

「ああ・・・そうだな・・・」

と言った。だから、私は、

「ケンがいなければあの時私は、行く所も無くあのまま何所かで死んでいたでしょう。でも、ケンが私を拾い育ててくれた。他の人間がどうであれ、私は、ケンのお陰で生きていられるの。」

と言ったら、ケンは、笑って、

「・・・そうだな・・・」

と言った。そして、ケンは、

「かなり時間が有るからこの近くでブラブラするか?」

と言ってきた。私は、

「でも、ケン。先程、準備の為部屋に行くって・・・」

と言ったらケンは、

「あの会何時から始まると思う?午後18時から。全く、うちの党もわざわざ10時に集まれなんて言わなくてもねぇ・・・」

と言って溜息をつきながらこの建物から出て行った。私は、

「あ・・・確かに・・・」

と言ってから、ケンの後を追った。

 

私達は、少し離れたお店で時間を潰す事にと言ってもこのお店では、後8時間も潰せないからその後はどうするか考えものだが・・・。

私は、早速、ケンに先程のあの男が言った事と昨日ケンが言った事が少し違う事を問いただす事にした。

「ところでケン。昨日、貴方は、『私は、貴方の護衛』また、『貴方は、彼らの護衛』と言ってなかった?でも、あの男、私達は、ただ、参加して他の党が馬鹿げた考えを持っている事を学べとしか言わなかったよ?どうして・・・?」

と言ったらケンは、

「俺も、護衛としか聞いてなかったんだよ。だから、あの人があんな事を言ったのが意外だった。てっきり、『わしを命に代えても守れ!』とか言い出すと思ったのだがな。どうも、俺も党内部からは、騙されたようだ。騙す必要なんて無いのにな。」

と言った。なんだ、ケンも上から信用されてなかったんだ。すると、ケンが、

「やはり、蛙の子は蛙と言うわけか?まあ、この場合逆かも知れないがな。俺が俺の護衛じゃないとアキナが動かないと思ったように、上も護衛じゃないと俺が動かないと思ったのだろう。」

と言ったので、私は、嬉しくなって、

「なんだ、私とケンって似てるんだね?でも、私は、新年会の様な物だって言われても参加したよ!」

と言ってあげた。すると、ケンも、

「俺もそう言われたら、参加するって!だから、ショックなんだよ・・・」

と言った。

私達は、私は、コーヒー、ケンは、紅茶を頼んだ。すると、ケンが、

「昨日外で何か有ったのか?」

といきなり聞いてきた。私は、

「え?・・・単に買い物に行っただけだけど・・・それが?」

と言ったら、ケンが、

「それは、昨日の電話で聞いた。あの時、君は、何か暗かった。だから、何か有ったのではないかと思った。だから、何が有ったか聞いたのだ。」

と言ってきた。私は、

「どうして聞くの?」

と言ったら、ケンは、

「アキナがそんな状態で今回の仕事は気が重いかと思ってな。もしまだそんな気持ちなら、今日は、家に帰るか?」

と言ってきたので、私は、

「いいえ。私は、大丈夫です・・・」

と言ったら、ケンは、

「じゃあ、昨日、何が有ったか言えるか?」

と言ってきた。何もかもお見通しだろうと言う事で私は、ケンに話す事にした。

「昨日買い物に行った。その時、大量に買ってしまった為、前が見えずに帰路にとりあえず着いた。そしたら、人と正面衝突してしまった。その人は、あの党の人だったの・・・まだ、下っ端。私は、そんな事も知らずに一緒にお昼を食べました。色々話をしました。彼は、私達のいる党の強行的な考えを批難してました。でも、私もそれは、納得できる。また、私は・・・彼の恩師を・・・先日・・・」

その時、ケンは、

「もう良い!言うな!」

と言って制止した。けど、私は、

「先日、その人に引鉄を引いた・・・。殺した実感は無いのに本当に亡くなって、多分、彼はそれを見たんだと思う。その人が死ぬ所を・・・彼の顔・・・私、見た事が無いぐらい、悔しさと怒りと悲しみで満ちていた・・・。私は、それを見て、ショックを受けたの・・・。人が死ねば、周りの人にこんなにも悔しさや怒りや悲しみで満たしてしまうのかって・・・。また、私も誰かに殺されたり、若しくは人で無くても殺されたりしたら、誰かこの人のように悔しがったり、怒ったり、悲しんだりしてくれる人がいるのかなぁ〜って思って・・・。」

「・・・・」

「・・・・」

私は、そんな事をケンにぶつけた。ケンは黙り、言い終われば私も黙った。そして、私は最後に、

「今日の集まりに彼も来るの・・・また、会う事になるの・・・。」

と言ったら、ケンは、驚いて・・・

「・・・今日、君が来る事を言ったのか?言ってないならまずい・・・」

と言ったので、私は、

「言ったよ・・・最後にね。だから、彼は最後、どう対応して良いのか迷っていたような感じだった。」

その後少しの間沈黙が続いた。注文していた物は、その間に運ばれた。私達は、それに手をつけようとはしなかった。

すると、ケンが口を開いた。

「俺達には、悔しがったり、怒ったり、悲しんだりする人間はいない・・・残念だが・・・。でも、今なら、俺が死ねば、アキナが悲しみ、アキナが死ねば俺が悲しむ!それでもう充分じゃないのか?」

確かにそうなのかもしれない。私とケン・・・それだけで今は充分。全く知らない他人が勝手に悔しがったり、怒ったり、悲しんだりされても困るわけだし・・・。でも、どっちも死んでしまった場合は・・・?私は、その問いを再びぶつけてみた。すると、ケンは、

「・・・確かに・・・。俺もお前も死んでしまったら誰も悲しまないな・・・。」

と言い私達は、しばらく黙っていた。

そう、私達は、二人だけ、だから、私とケンが死ねば誰も悲しまない。また、私達の存在なんか、この世界に存在していた事ですら知ってる人も少ない。結局、私達がいようがいまいがこの世界は、動いている。いなくなろうが存在しようが関係無い。私は、スピアのあの顔を見るまで、そんな事は気にしてなかった。だって、そんな事を嘆いても意味が無い事だったから、私は、何時の日かを境に死んでしまったの・・・何時の日かは知らないが・・・。だが、彼の顔を見た時、その感情が再び蘇った。嘗てのあの日より前生きていた物が・・・。

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