何もかもが、突然消えてしまった。
幸せな顔も悲しげな顔も。
光と炎に溶かされて。
瓦礫と塵と煙が、残された。
闇と月、叫びと涙が世を覆う。
見えないものが壊した、大切なものはもう跡形もない。
生き残った人々は、しばらくの悲しみを過ごす。
光が戻らない日常を、下を向きながら過ごす。
そしていつか気がつく。このままではどうしようもないと。
希望は、実は自分の中で目を覚ます瞬間を待ち望んでいた。
まずは空を見上げてみる。
煙はまだ残っているけど、かすかに太陽が姿を見せる。
未来の進行方向がうっすらと現れ始めた。
次に、お互いの顔を見合ってみる。懐かしかった感情が、いつしか蘇る。
何の壁もない世界で、何のすれ違いもない世界で。
いつしか二人は笑顔になる。その渦は広がってゆく。
遠くまで歩いてみる。
破壊の中心まで、歩いてみる。
死臭はもう感じられない。いつのまにか、骨すらなくなっていた。
瓦礫に覆われていても、殺気にまでは覆われていない。
中心には、瓦礫すらなかった。
ただ大地があるのみ。
人々は気がついた。
自然は、常に人々の一歩先を進んでいるのだと。
その一点にあったのは、一輪の花。
小さいけれど力強い、命があった。
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