たった一人で、街を歩く。周りには笑顔があふれる中、僕はただひとりうつむいていた。
人ごみの中、揉まれるようにして歩いた。
持っていたちょっとのお金で、温かいコーヒーを買った。
自動販売機の前に立ち、コインを入れて。
大きな音を立てて落ちてくる缶コーヒーを、取り出し口から拾い上げる。
熱かった。
繁華街に入っていくと、喧騒と音楽が続く。
言葉の羅列が、次々と僕の耳を突き抜けていく。
普段僕が友達と話している話題なんかじゃなくて、もっと過激なこと。
殺す、そんな言葉も聞こえてきた。
いつのまにかコンクリートと人工光の世界を抜けていた。時計を見ると、
結構な時間が流れていた。
また、明日を迎えるんだ。
帰り道、ギターを持った少年と出会った。
まだ高校にも入学していないのだろう、あどけなさが残る。
彼は僕に言った。
「ねえ、聞いてくれない?……明日になる前に」
上手いわけではなかった。ところどころコードが違っていたし、
きっとチューニングもあまりできていなかったのだろう。
彼は歌わなかった。ギターだけが、何かを語っていた。
……涙が出てきた。
この世界は、まだ汚れきってはいなかったのだ。
明日になれば咲きそうなつぼみが、眠っているのだ。
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