記憶のままで

日々を過ごすということは、痛みを積み重ねていくことだろう。
積み重なった痛みは、いずれ心のどこかで疼きだす。
痛みを背負ったことがない人間は、誰一人いないだろう。
誰だって、痛みを我慢しながら歩いているんだ。

それは、あなたも僕も同じ。

街でもしも僕とあなたが出会ったとしたら、どうするだろう。
僕の本心は、できることならあなたから声をかけて欲しい。
きっと僕からは何もできない。僕は、あまりにも弱すぎるし
あなたに無視されることが怖いから。
あなたの本心は、このまま無視して遠ざかりたいことだろう。
きっと僕から声をかけられたくない。あなたの傷は、また蘇るし
あなたの日々が崩壊してしまうから。

誰にも見られないように、長袖を着て。
帽子を深くかぶって、街を歩くんだ。
消えない刺青を誇ることは、年を取りすぎてしまった僕にはもうできない。
若さが許した過ちは、今ではただの重荷でしかない。

今までと変わらない日々を、僕もあなたも過ごしていたいんだ。
もうこれ以上、古傷には触りたくない。
ほんのちょっとした僕の希望は、僕にとっては無駄にしか過ぎなくて。
あなたにとっては、一番憎たらしい象徴こそが僕なのだろう。

あなたは許さないだろう。
僕だって、もう許されないことは承知している。

それでも、くすぶる気持ちだけは、
いつまでも消えなかったんだ……

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