錦生如雪創楽会寄書き欄


音の落書き日誌
<夢畑耕人氏の西洋音楽史一口メモ>


平成16年5月19日号

********** 掻い摘んで「西洋音楽史」 ***********

  音楽の世界も辿れば約4000年以上も前に遡る。
 最初の弦楽器は紀元前3000年に出ている。

  バッハが1685年生れて1750年に65歳で死に、その6年後1756年に
 モーツアルトが生れ、1791年にたった35歳11ヶ月で死ぬ。
 ベートーベンはモーツアルトの14年後生れ、1827年に57歳で死ぬ。
 シューベルトは1797年に生れ、1828年に死ぬから、ベートーベン死後
  たった一年しか生きていなかったことになる、まことに惜しい限り。
  ウエーバーは”魔弾の射手”一作で不朽となったが、彼も1786年に生れ、
  1826年に死んだ。

 これらの音楽の大家連は、だれも揃って若死にと言っても良い。

  ブラームスは1833年に生まれ1897年に死ぬ。
 彼よりすこし前のメンデルスゾーン(1809〜1847)と共に、
 このころやっとバッハが空前の大作曲家と認められたのだから、評価とは難しい。
 バッハ死後約100年近く経ってから再評価されたことになる。

  ところが有名な作曲家で今日でもレコードで聞けるのは、なんとバッハの
 前700年も前のグレゴリオ聖歌は別格としても、400年前14世紀の
 ギョーム・ド・マショーやフランチェスコ・ランディーニ、300年前
 15世紀のギョーム・デュファイなどの音楽で、彼が中世音楽から
 ルネッサンス音楽に切り替えるきっかけを作ったわけである。

 西洋音楽は底が深い。デュファイはバッハの約300年前である。
 ということはバッハからこの現在と同じ長さの歴史が西洋音楽にはあることになる。

 主だった音楽家の特徴を端的に記すと次の通り。

 その1 ラッソ、シュッツはルネッサンス音楽の金字塔である。
     シュッツはなんと無伴奏合唱、いわゆる「アカペラ」である。
 その2 このころイタリーに現れた天才モンテヴェルディーの”聖母マリア夕べの祈り”は
     天使の声のような女性合唱が聞ける。
     彼こそルネッサンス音楽をバロック音楽に変えた天才です。
 その3 そしてバロックの総仕上げとしてバッハ、ヘンデルが出たわけである。
     ヘンデルのメサイアは真の傑作。
 その4 バッハの昔の東ドイツでの楽譜を見ますと、全然訂正のかけらもない、
     完成度の高さには驚嘆させられる。
 その5 モーツアルトになると如何に音楽が大変化したか驚っく。その完成の高さに
     驚嘆する。個人的な体験やこの目で見た楽譜の写しの例として、ザルツブルクで
     みた楽譜の絵葉書こそ信じられなかった。初めから頭のなかにあったものを
     書き写しただけ。清書しないオリジナルで。
 その6  ベートーベン故郷へは、度々ボンのベートーベン生誕の家へ行った。
     連れていった皆さん一様に感激。人によっては、感激で顔が真っ赤になり、
     何べんも感謝され、いい所に連れて来てくれたと言われた経験あり。
      あの天才が生まれた薄暗い屋根裏部屋、天才が使ったピアノの象牙部分が
     ベートーベンその人の指圧で完全に変色し、へこんでいたり、弦楽器が
     ベートーベンの指後を残していたり、巨大な補聴器が残っている。
     最初見たときは深刻な衝撃を受ける。彼の楽譜の写真、絵葉書は楽譜に
     何べんも書き直しあり。

夢畑耕人氏の所蔵音楽源

  同氏は中世音楽、ルネッサンス音楽、バロック音楽、古典音楽は殆,レコードか
 テープ録音で持っておられます。次のコメントあり。

 「参考資料としては過去数々の音楽史の本と自分の訪問した体験、聴いた感慨に基づき
  音楽史を提供できますが、特に皆川達夫先生の "ルネッサンス、バロック名曲、
  名盤100” (音楽之友社)、村田武雄先生の ”音楽通史” (学芸図書出版)、
  中古本で買ったたった¥950の本ですが、内容は濃密で936ページもある労作です。
  アナログ時代のテープ2000巻ぐらいとレコード200枚ぐらいあり、聴きたいと
  言われる歴史的音楽源はほとんど全部あると自負しています。」

                 *********
 
 音楽鑑賞を趣味とする以上に音楽を人生の一部として愛好してきた夢畑耕人の思い入れを
語るメモ書きでした。

**** 編集子の復習  ****

(その1)ラジオ音楽講座(NHK高校講座音楽Iより)
     ー単旋律音楽の素朴な美しさー(2004年5月13日)

 「単旋律」とは、ハーモニーその他なにもない同じ旋律を歌うユニゾン(斉唱)音楽
 単旋律音楽時代とは、古代から10世紀まで、中世前半・グレゴリオ聖歌時代まで
 
(1)古代ギリシャ音楽(BC14〜AD2世紀)
   音階理論の確立、声楽、弦楽器(キタラ)、弦楽器(アウロス)の使用された時代。
   記録に残る最古の音楽:
     BC8世紀「ホメロスのデーメーテール賛歌」 
               (ホメロス・ヘシオドスなどの叙事詩を朗唱する)
     BC5世紀 ソフォクレス他三大ギリシャ悲劇作家の劇音楽
           例 「オレステース」エウリピディスの作品
     BC1世紀 「セイキュロス墓石碑文」最も完全なギリシャ音楽楽譜

(2)グレゴリオ聖歌(4世紀〜6世紀)395年東西ローマに分裂後、
     西ローマ帝国でのカトリック教会音楽として発展。
     6世紀末  グレゴリウス一世(在位590〜604)教会音楽の組織化と統一
           「グレゴリオ聖歌」の誕生。例。「レクイエム・エテルナム」
           特徴は、一定したリズムも長さもない単旋律の音楽。 


(その2)  堀内敬三著「音楽講座ー音楽史ー」
         (昭和33年10月発行)定価二百五十円

  第1章 古代の音楽 エジプト・メソポタミア・パレスチナ・ギリシャ・ローマ
  
  第2章 中世紀および対位法時代の音楽
            初期キリスト教音楽、グレゴリオ聖歌、教会旋法、複旋音楽、
            15,6世紀楽曲、パレストリーナその他、衆讃歌、劇音楽、
            通奏低音、17世紀イタリア・フランス・ドイツ歌劇と聖たん曲
  第3章 古典派の音楽 バッハ、ヘンデル、グルック歌劇改革、ソナタ形式、ハイドン
            モーツアルト、18世紀後半の作曲家
  第4章 ベートーベンと浪漫派音楽
            ベートーベン、ウェーバー、シューベルト、ベルリオーズ
            メンデルスゾーン、シューマン、リスト、ショパン、ワーグナー
            ヴェルディ
  第5章 近代の音楽 ドイツ・オーストリア・フランス・イタリア・ロシア・欧州
            アメリカ、日本
  第6章 現代の音楽 フランス・ロシア・ドイツ・オーストリア・イタリア・欧州
            アメリカ、日本


  著者が本文最後に締めくくった言葉

  「戦禍も去って日本は再び国際場裡に立つときとなった。我々は新しい日本文化を作ろうと
   している。まだ日本の新しい音楽は生まれているとは言えないけれど、前述の通り
   それを生み出す背景は大体出来上がっている。もう一段の教養と愛と熱とがわが楽壇に
   のぞましいのである。」

  書かれた時点から半世紀経った現在、彼の所信を今流に書き替えますと、

  「二十世紀も去って日本は表つらは一流国になった。我々は過去の先進諸国の真似事でない
   日本独自の文化社会を作る必要がある。まだ、残念ながら、世界に発信できる日本の
   新しい音楽は生まれているとは言えないけれども、過去大凡150年に渡る現代音楽世界
   を経験しているので、それを生み出す背景は大体出来上がっている。もう一段の教養と
   愛情と情熱が和が音楽世界に望まれる所である。」

  黄泉の国の音楽鑑賞の席から、堀内氏は如何に日本の現状を眺めていることでしょうか。

                             (以      上)

平成16年5月20日   ***錦生如雪***


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