錦生如雪創楽会寄書き欄



11.日本で生き延びた尺八

(大阪音楽大学音楽博物館講座より)

目  次


<日本の音 竹の音>
<尺八の音世界と日本人>
<(参考メモ)音楽博物館開館記念講座>
<(参考メモ)<尺八の自習メモ書き>

<日本の音 竹の音>

 平成14年10月、大阪音楽大学音楽博物館開館記念に開催された第53回目の
<ミュージアム・コンサート>「日本の音 竹の音」を聴講してきました。
 尺八演奏と講演は、同大学講師星田都雨山氏で、次のようなプログラムの尺八解説及び
模範演奏でした。

 1.講話関係
   (1)尺八の流派 都山流について
   (2)尺八の一般知識
   (3)尺八による各種ジャンルの音楽(小学唱歌、歌謡、ポピュラーソングほか)
   (4)演奏技術について(吹鳴物あれこれ)
 2.演奏関係
   (1)本曲「木枯らし」流組 中尾都山作曲
   (2)本曲「石清水」流組 中尾都山作曲
   (3)尺八独奏曲「飛雲」山本邦山作曲  
   (4)尺八独奏曲「茴香(ういきょう)」星田都雨山作曲

 尺八の一般入門知識を短時間で理解できるように解説していただき、尺八と簡単に思って
いた考えが、かなり改善されました。
 興味ある解説内容として

 *七節の中に五穴(一から四穴まで表、五穴は裏)あり、歌口が管上部に付いている。

 *尺八(一尺八寸)の名前の由来もさることながら、いろいろな4種の長さ(二尺三寸〜
  一尺三寸)の尺八が正規の一式であること。

 *真竹材が正式な素材であるが、簡略に木材の物もある。
  (価格は数万から十数万、高価な物は百万単位のものまで)(木材ものは2万円ほど)
 *江戸時代まで尺八は、法器扱い(普化宗僧侶に限定されていた)で、明治4年から
  一般人も扱えるようになった。(楽器の歴史としては、いまだ100年少し)
 *都山流は、明治29年に大阪枚方在の中尾金蔵氏が創始者で、平成8年で、
  ようやく100年目を迎えた。琴や三味線は、500年以上の歴史を有するのに比して、
  まだ歴史は浅い。
 
 *間近に尺八の演奏を聴いたことがなかっただけに、模範演奏で、尺八の音のすばらしさを
  体験し得たわけです。
  息の吹きかけ方、息の勢いによっていろいろな音色と音楽に感情を持たせうることが
  分かりました。演奏の技術に深みがあるということでしょう。
  簡単に良い演奏が出来ないだけに、技術を磨けば一層の音の世界に変化が得られると
  言うことでしょう。腕のみが気概があるというわけです。
          
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<尺八の音世界と日本人>

  尺八が、普化宗の法器からから一般大衆に解放されてから、すでに130年近く経っている
現在でも、一般の日本人には、「尺八」といえば、「虚無僧」、「虚無僧」といえば、時代劇の
映画の世界が連想されます。それほどに尺八の音の世界は、虚無僧に代表される宗教世界の音楽
というイメージを払拭することが出来ません。

 一方箏(琴)、三味線を中心とするいわゆる邦楽の世界は、特に戦後その活動範囲が広がって
きました。演奏される音楽分野と演奏する奏者の世代の拡大がみられ、新たな日本の代表的な音
楽に定着しつつあります。
 さらに最近では、宮廷の音楽であった諸楽器も、若手の奏者の幅広い活動によってその世界を
広げつつあります。

 洋楽に於ける各種の楽器も種類によっては、かなり古い歴史を有する物もありますが、尺八も
その原形が、正倉院の御物として伝承されているように、大変古い楽器の一種です。
 大凡千三百年間、殆ど基本的な構造を変えないで、伝承されてきたわけですから、千三百年前
に人々が聴いていた音の世界を尺八によって我々も体験することが出来るのです。

古代尺八群(正倉院宝物)
 尺八の発祥元の中国では、すでに、尺八の原型が消滅しているそうですから、唯一日本に於け
る尺八のみが、古代の音楽を伝えていることになります。
 竹で出来たこの尺八という楽器は、どうも日本人の感性にあっているのではないでしょうか。
 尺八の音は、どことなく鄙びた感じの音の世界を醸し出します。尺八の音楽を嗜んでいる人に
依りますと、演奏することによって、心が落ち着く、精神統一が出来る、という効果もあるよう
です。
 是非とも、民族の楽器、民俗の音楽として、伝承して行きたいものです。

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<(参考メモ)音楽博物館開館記念講座>

 平成14年度の大阪音楽大学音楽博物館開館記念の催し物は次のようになっています。

 第53回 ミュージアム・コンサート 2002年10月29日
      「日本の音 竹の音」   講師 星田都雨山大阪音楽大學講師

 第14回 ミュージアム・セミナー  2002年11月27日
      「ペルー音楽・今と昔」  講師 ダリオ・ゴンザレス桃山学院大学教授

 第15回 ミュージアム・セミナー  2002年11月30日
      「明治の西洋楽器」    講師 塩津洋子大阪音楽大学助教授

 第54回 ミュージアム・コンサート 2002年12月5日
      「19世紀の音楽と楽器」 講師 高橋浩子大阪音楽大学音楽博物館館長
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<(参考メモ)尺八自習メモ書き>

 以下、参考文献(平野健次ほか「日本音楽大事典」(1992年9月)平凡社)の抜き書き
です。

 現在の楽器を分類すると、弦鳴楽器、気鳴楽器、体鳴楽器、膜鳴楽器になり、気鳴楽器は、
さらに、「笛」と名のついたいろいろな構成の楽器があります。
 一例、龍笛、高麗笛、神楽笛、篠笛、明笛、清笛、ビービー笛、さらには、草笛、指笛、
口笛があり、古いところでは、石笛、土笛、チャルメラ、ラッパ、能管、オカリナ、など。
 日本風な楽器としては、尺八、一節切、ひちりき、笙などがあります。
 洋楽では、オーボエ、フルートなどが代表的な楽器です。

 尺八の起源は、唐朝貞観年間(627〜649)呂才なる中国人が長短十二種の縦笛を
制作したと伝えられています。館長が最長で一尺八寸であったので、尺八の語源となった
ようです。
 宋代以降は、各種の縦笛が出てきて、尺八の伝統はなくなったそうです。しかし、日本には、
中国よりもたらされてから伝承され、今日に至っています。

 現存の尺八の分類は、六種(普化尺八、古代尺八、天吹、一節切り尺八、多孔尺八、
オークラウロ)ですが、一般には、普化尺八の代名詞になっています。

 これらの尺八の特徴は、次の通りです。
  管上端切り口前側が歌口となること、
  歌口は管外面を斜めに削り落とし、出来た孤形の鋭い角に息を吹き付けることによって、
   音をだすこと、
  音高の変化は、指孔開閉と息の圧力と角度によって付けること、
  息の変化は、音色の変化を伴うこと

 尺八で演奏される曲は、宗教音楽、芸術音楽、民族音楽、通俗音楽などがありますが、
何れの分野でも本曲(尺八のみの尺八のための音楽)と外曲(他の楽器の曲を尺八音楽に
編曲した物)に分かれ、その範囲は、かっての普化宗の宝亀であった頃とは、比較にならない
ほど、広範囲になっています。         
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平成14年11月10日 *** 錦生如雪 ***


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