赤い詐欺師
星がキラキラ輝く夜でした。
という女の子は呆然と空を見上げていました。
そんな彼女の目の前に現れたのは
笑顔を貼り付けた赤い髪をした、詐欺師でした。
ぺテン師は言いました。
「お嬢さん、一緒に星空デートなんてどうですか?」
そんなペテン師を見て
彼女は悲しそうな笑顔を浮かべて頷きました。
「はい、ご一緒に行かせていただきます」
女の子は詐欺師が跨っていた槌に手を伸ばしました。
だけど、女の子は知っていたのです。
詐欺師はいつか自分の元から消え去ってしまうことを。
だけど、女の子は知っていたのです。
詐欺師が被った、偽りの笑顔の仮面の存在に。
だけど、詐欺師は気づかず笑うのです。
「さあ、綺麗なあの星空まで、一気に飛ぶさ」
女の子はそんな彼を見て、笑うのです。
「怖いのであんまりスピードは出さないで下さいね」
詐欺師はその言葉に、頷くと
握っていた槌をグンと伸ばして空まで飛びました。
キラキラキラキラ。
光る星たちはあと少し手を伸ばせば届きそうなくらい。
女の子は満面の笑みで言いました。
「ラビさん、ありがとう。すごく幸せです」
その言葉を聞いて、詐欺師は言いました。
「大好きなの為だったら、なんだってするさ」
嗚呼…なんて幸せな時間なんだろう。
女の子は胸の中で小さく願いました。
この幸せがどうか続くことを、終焉が訪れないことを。
「ラビさん、ずっと傍に居てくださいね」
女の子は詐欺師にギュッと抱きついて囁きました。
そんな彼女の行動に詐欺師は悲しく笑いました。
「そうだな、ずっと一緒に居れたらいいのにな…」
キラキラキラキラ。
輝いているのは綺麗な星屑と、女の子の涙。
悲しい悲しい物語。
演じているのは、ある女の子と赤い詐欺師。
だけど、女の子は思うのです。
(愛しい貴方の為ならば、嘘でも笑っていましょう)
だけど、詐欺師は思うのです。
(愛しい貴女の為ならば、苦しくても嘘を吐いてましょう)