きみがいた夏は


きみがいた夏は
遠い夢の中
空に消えてった
打ち上げ花火

ジッタリン・ジン 『夏祭り』





今からおよそ10年前。
俺が東京都内にある高校の弓道部に在籍していた頃。

当時16歳の俺には、付き合っていた女の子がいて。
彼女は俺よりひとつ年下の、新聞部の女の子で。
短い髪がよく似合う小さな女の子で。

笑っちゃうくらいに照りつける夏休みの日差しの中、校庭の隅にある水道の脇で。
俺と彼女は、互いにとってはじめてのキスをして。
それは唇と唇が触れ合うだけの、本当に子供みたいなキスで。

「せんぱいのこと、好きでいいんですよね」

急に彼女はそう言って、少しだけ泣いて。

「当たり前だろ」

そう答えて俺は、彼女の真っ黒なショートボブの髪を撫でて。

「好きだよ」

そう言って、真夏の太陽の下で彼女を抱きしめて。
さっきよりも長い、ずっと長い、2度目のキスをして。

何処かで。
ジッタリン・ジンの『夏祭り』が流れていて。

その日、偶然にも俺の両親は旅行に出かけていて。
彼女は友達の家に泊まるから、って親に嘘をついて。
そしてその夜、16歳の俺と15歳の彼女は。
もう何度目か忘れてしまったキスをしながら裸になって。



あのね。
俺にとってジッタリン・ジンの『夏祭り』っていうのは、もう本当に特別な曲なんですよ。これ聴いただけで当時の記憶が何もかも蘇ってくるんですよ。いま聴いても思わず泣けてくるときがあるんですよ。



だからよ。



もう少し何とかならなかったのかよホワイトベリー。お前ら非道すぎ。嫌い。


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