《 次世代の指導者の巻 》

去る11月26日のNHKスペシャル、「トルシエと若きイレブン」を皆さ
んはご覧になられたでしょうか?
オリンピック出場を決め、ますます快進撃が期待される、日本サッカー界の
頂点を極める選手達とその指導者であるトルシエ監督に係わるオリンピック予
選にまつわる秘話が報道されました。

私は、たまたまこの番組を見て、ハタと閃くことがあり、次世代常識百科第
5号で紹介させていただきます。

この番組の内容を纏めてみますと、トルシエ氏のユニークな指導力、人間力
が技術的にも精神的にも全日本の選手を飛躍させ、それが起爆剤となってアジ
アではダントツの強さでオリンピック出場を決めたことを裏付けた結果となっ
ています。

中でも、トルシエ監督と選手個人との人間対人間のぶつかりあいや、トルシ
エが選手の闘争心を奮い立たせたようといろいろな工夫をしている点が圧巻で
す。

番組で垣間見られた、トルシエ氏の挙動を具体的に列挙してみますと
・ 雨天練習中、監督自ら率先しゴール前で何度もスライデイングし選手を煽る
(いい加減な練習はさせないという効果)
・ 試合前の選手の表情を観察し、その状況から選手に最もふさわしい言葉を選
び選手に指示する(時には激しく…………時には理知的に…………)
・ 前半1点を先行され引き上げてきた選手に、ハーフタイム中に強く選手を勇
気づける(叱るのではない……あせりを誘発するのではない…………)
・ 試合直前にデイフェンスの選手に、体と体のぶつかり合いを覚え込ませる(結
果的に安定的なデイフェンスを確保)
・ 有能な選手ほど、複数のポジションを与えプレイに幅をもたせる(実はこれ
が中田マーク外しの戦術として生きることになる)
・ センスが良くボールコントロール力はあるのにやる気が表面に出ない選手に
対し、やる気を全面に出てくるまで厳しく指導(結果的に大柄な外国選手相
手と対等にわたりあう効果)
・ 選手間のコミュニケーションを大事にする(最初は声を出し合いながらパス
する様励行し、最終的には目と目があっただけでパスを以心伝心でまわすこ
とを目指させる)
・ どんな相手にも臆することなく、自分の考えを言える人間に育てようとして
いる(中田の精神的な強さを評価し、それを他の選手の手本にしようとして
いる)

さて、以上の例において、トルシエ監督が選んだ(?)指導法は、この国にお
いては、まったく奇異に映るのでしょうが、サッカーというスポーツ自体がそ
もそも攻撃的であることを知れば、当たり前の指導法なのかもしれないという
見方ができます。

それでは、トルシエ指導法における次世代常識と通説を比較してみましょう。

(選手に求めるもの)
次世代常識/アグレッシブとコミュニケーション
通説/チームワークとしての調和の徹底(雰囲気の確保)

(一流選手に求めるもの)
次世代常識/国際水準
通説/国内で評価されれば納得

(技術目標)
次世代常識/複数のポジションをこなせる能力を身につけさせる(選手の視野
の拡大と戦術の多様化)→マルチタレント
通説/一つのポジション専業で能力の伸長を図る→専業主義

(選手指導法)
次世代常識/遠慮せず直接指導
通説/コーチに指導を一任(どこかのプロ野球球団の場合)

(叱るタイミング)
次世代常識/人前だろうがどこだろうが叱る時は叱る
通説/人前では直接叱らない(ワンパターン)

(監督と選手の人間関係)
次世代常識/人間対人間のつきあい(立場を超越するという意味)
通説/監督という立場と選手という立場でのつきあい

常識や通説に挑戦する、知的道楽の世界、今回は『次世代の指導者像』を取上
げました。
あなたは十分にInspire されたでしょうか (^J^)

それにしてもトルシエ監督という人は、経済大国化し、我々日本人が忘れかけ
た動物的な闘争本能やチャレンジングスピリットを呼びさます指導者であり、
次世代の指導者像を予感させるものがあります。

皆さんはどう思われますか?(^J^)

Back to HOMEPAGE

編集 発行 Oasist Association

Issued on 1,Nov,1999