美学への招待 (中公新書)



美学への招待 (中公新書)
美学への招待 (中公新書)

商品カテゴリ:アート,建築,デザイン
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真摯な招待状

「俺にはかくかくしかじかの美学がある」ではない方の、芸術哲学としての美学の入門。
そういうと、カントやらヘーゲルやらそこら辺の難しい人の難しい議論の説明から始まるのが
この手の「入門書」なのだが、この本は正真正銘で読者を美学の世界へ招待しようという心
意気が感じられる(その反面、著者の保守的な部分が出ているのか、たまに例に出す大衆
文化には若干毒気のある記述が目立つが・・・)。
芸術とデザインの関係、デュシャンの「泉」から始まる感じるのではなく考えさせる芸術の始
まり、オリジナルと複製芸術の問題、感性の芸術としてのスポーツなどなど、初心者がなるた
け取っつきやすくなるようにする努力がわかるし、現にそれに成功していると思う。

ただ、あとがきで明かされるとおり本書では「です・ます」調の柔らかい口語調が使われてい
て、筆者自身が言っているとおりそれによって自由に伸びやかに書くことに成功していると
は思うのだが、僕との相性が悪いだけなのだろうか、その分読みにくくもなっているのである。

例えば同じあとがきの文章から。
「流行作家ならけた違いの量を書くのでしょう。しかし、研究者仲間では、わたくしは筆の遅
い方ではありません。それでも、一日に三〇枚書いたことはありません」(224p)。
口語体であるがゆえに、このように逆接で行ったり来たりされていたり、理路整然とした文章
として読もうとすれば、前後がつながっていないように感じられるところがあったりして、少々
読みにくいのである。
僕と同じように読みにくさを感じた人は、ちょっと苦労するかもしれない。

↓ちなみに、本書で論じられる「アートは藝術とは異なる」という問題をさらに深く掘り下げた本
アーティスト症候群―アートと職人、クリエイターと芸能人
そうなんだぁとおもった―専門家じゃないから。

「美学」という学問があるということを最近まで知りませんでした。
でも、日常生活で最近よく引っかかることを集約したらこういう言葉(美学)に入ってる学問が何かの役に立つんじゃないだろうか?と思って書店でこの本を手に取りました。

そして私の悩みや答えが欲しかった最初の関心は払拭されました。
問いに期待通り答えてもらったのではなく、答えてもらえなかったというのでも決してありません。自分の中の価値観が広がったから、悩みが消えちゃったんです。

私たちが大学までで学ぶ価値観や知識って言うのは非常に一面的で、ある意味資本主義に役立つように偏っていて、でもこういう深い思想みたいなものが世の中にはあるんだなぁ、すごいなぁ学問の世界って、と思って、力が出てきました。知らないことが一杯あるから、楽しいという感覚?「知的好奇心」が刺激されたというんでしょうね、こういうことを。きっと。

その意味で、著者がこの本に込めた「美学を一人でも多くの人に知ってもらいたい」という熱意を私は確かに受け取った。

学者の人の書く文章は難しいというけれど、この本は私が最近購入した美術や美学や哲学の本の中でも一番見た目が地味で、内容が輝いてる本だった。高校生の教科書や小論文にはこういう文章を使って欲しい。そうしたら進路を決めるときに、こういう学問や人生の選択肢があるんだって分かるから。

学問への入り口だから簡単に書いてるってことは、著者が最初に断っているけど、そういうものがあるって知らないと、こういう世界を学びようもない。偶然手にした人や周りに賢い大人がいた人だけが、こういった広い学問の世界に入っていけるとしたら、それはお金がある人だけがいい大学へいけるって「格差社会」とはまた違った意味の不均衡を生み出すんだと思う。だからこういう本はもっと広く専門外の人にも、若い人にも広まって愛読されるといいなぁと思った。傾いていきがちな社会や自分の中の思考をブレーク・スルーしてくれるはずだから。

文系の学問は、「専門に閉じこもって社会と接触しないで自己満足で研究しているだけ」っていわれるけど、研究を突詰めた説得力、この本にあるような説得力が、社会の価値観を変えたり、人の生活に少しの潤いや楽しい気持ちや活力を与えるんだと思う。

本当に面白い本だった。
新書というのはこうでなくてはいけない。

全く美学を学んだことが無いという人向けの、美学の入門書です。
著者は学問としての「美学」を「美と藝術と感性を論ずる哲学」だと定義し、本書では主に藝術が取り上げられています。

著者はあとがきで文章を「です・ます」調にした理由を読者との距離感のため、と書いていますが、その著者の目論見は実に上手く成功しており、堅苦しいタイトルとは裏腹に(本書はタイトルで少し損をしているかもしれません)内容の読みやすさはもちろん、文章自体もかなり読みやすいものに仕上がっていて、初学者でも本当にすんなり美学の面白さについて学ぶことができるのではないでしょうか。

とにかく、「美学を学んだことが無い人にも美学に対して興味を持ってもらいたい!」という著者の熱意が文章から伝わってきて、非常に好感が持てる本だと思います。やはり新書というのはこうでなくてはいけません。良い仕事です。
かくいう私もタイトルで敬遠していた一人

下の方が書いていますが、私もタイトルで「堅苦しくてつまらなそう」と思っていて、読んでいなかった一人です。

読んでみると、これが意外に面白い。

美学って何ですか、みたいなところから、デュシャンの「泉」(トイレをひっくり返したもの)やウォーホルの「デルモンテ・ボックス」(段ボール箱をそっくり再現したもの)がなぜ芸術といえるのか、など、一般人の持つ疑問にも答えてくれます。
個人的には、2章のセンスについての話、4章のコピーと本物の話、9章のこれからの美学の話がよかったです。

この本が自分の好みと合わなかったら、筆者も推薦書のところに書いていますが、今道友信「美について」を読んでみるといいでしょう。
生のなかの美学

前著『エスニックの次元』(1998年)で輸入物でない《われわれの問題》を扱うべきことを論じ、『タイトルの魔力』(2001年)で身近なネーミングの機能や背景を緻密に分析した著者が、今回、美学史を見渡し、その根本問題に迫る入門書に取り組んだものである。

激変の時代。「かつては、美学書にも標準的な目次がありました。いまでは、その目次を作り出すことが、美学者の最初の課題であるようにさえ思われます」――そう言う著者が持ちかけるトピックは、一見美学書らしからぬもの。センス、カタカナ語、複製、身体、スポーツ、美人・・・・・・。しかし、それらが「趣味」や「感性」から「藝術の終焉」「アートワールド」に至るまで、美学上の重要概念に結びついてゆく。

本書では、藝術にまつわる自身の体験や見解がユーモアを交えて語られる。しかし、著者の執拗なほどの問題意識、厳密な思索や分析は、そうする間も休むことはない。平易でありつつも、じつは最も先端的な美学の問題を扱い、さらには人間中心主義の近代を清算した近未来の「人間を超える美学」を示す、貴重な入門書である。



中央公論新社
美について (講談社現代新書 324)
芸術の哲学 (ちくま学芸文庫)
芸術哲学入門 (文庫クセジュ)
タイトルの魔力―作品・人名・商品のなまえ学 (中公新書)
美学辞典




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