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今回の旅は長い。
   長すぎて、3日目でなお、まださわりの部分である。
   旅行記としては、めちゃくちゃ困りものなのであった。


広島 /    D氏のギリギリ伝説

D氏の計画したハウステンボスまでへの旅には、様々なオプションが組み込まれていた。
   その1つ目が宮島――かの有名な厳島神社の大鳥居である。
   なんだかハウステンボスとは毛色が違いすぎる気もするが、そこはそれ、日本人特有の節操のなさでなんとかする。
   とにかく、「宮島まんじゅう」とかの物だけは買わないようにするぞ!おーーーっ。

   すべてが国宝、重要文化財。歴史と伝統の島、宮島。神をいつきまつる島、宮島。日本三景の1つ、宮島――
   そんな宮島の空は、前日までの「雨」の予報には膝を屈せず、雨の侵入をなんとかこらえていた。
   D氏      「う〜む、微妙。……これまでにはないほどに。」
   ぱんだ  「ギリギリさに、さらに磨きがかかったようですな」
   久方ぶりに、「D氏の行い天候連動説」浮上である。
   D氏      「くっ……宮島の空、がんばれーーー」
   ぱんだ  「D氏もなーーー」
   応援の言葉とは裏腹に、傘を手にするリアリストのぱんだであった。


広島 / 宮島 /    「接近」の感覚

「世界文化遺産の厳島神社・朱の大鳥居に大接近!」
   そう謳う遊覧船に乗って、ぱんだとD氏は宮島への海を渡った。
   ポンポンポンポン……
   D氏      「見よ!あれが大鳥居だっ!」
   ぱんだ  「おぉ!見えてきた見えてきたぁっ!!」
   ポンポンポンポン……
   D氏      「よぅし今だ、面舵いっぱーい!」
   ぱんだ  「おぉ?遠ざかる遠ざかるぅっ!!」
   D氏      「……え?」
   そう、ぱんだとD氏は観光客らしく、華麗に騙されたのであった。
   視力を失う前のサンコンさんなら、鮮明に見えたかもしれない。そんな距離を、常にキープする遊覧船であった。


広島 / 宮島 /    鹿襲来

「あっ!鹿がいるっ!」
   宮島の土を踏んだばかりのぱんだたちを、営業部長の鹿が迎えた。
   「(写真)撮って撮って〜」
   犬とか猫とか狐とか鹿とか、一見無害そうな動物に目のないぱんだは、おずおずと鹿とのツーショットを試みた。
   D氏「よぅしいくぞ〜。はい、チーズ。」
   ぱんだ「はい、チ〜……あっ!」
   オナカが空いていたのだろうか。営業部長はばっくりと、ぱんだの傘に喰らいついた。
   「うおぉぉぉっ!!」
   思わず鹿と力比べをするぱんだ。
   「D氏、今だ!シャッターチャ〜ンスッ!!」
   そんな時でも、ネタ心は忘れない。
   ぱんだはいつしかレベルアップしていた。

   しかしD氏のレベルはそのままであったので、この「鹿と闘うぱんだ」という後世にも残したい絶好のネタ写真を、見事撮り逃したのであった。
   ちぇっ。


   
    喰われ始め。


広島 / 宮島 /    揺れる伝説

「おかゆが今ここにいたら、さぞかし喜んだことだろうに……」
   そう、在命中の妹に思いを馳せながら、ぱんだは宮島の地を巡った。
   「はいぃ、お土産はあとあとっ」
   D氏は、忙しくぱんだの進路調整をしながら、宮島の地を巡った。
   京都のお土産屋さんの立ち並ぶ小道とか、松島のお土産屋さんの立ち並ぶ小道とか、羽田空港のお土産屋さんの立ち並ぶスペースとかが大好きなぱんだには、宮島は結構天国であった。
   本殿内の橋の角度の激しさや、宮島の土を彩る鹿のフンなどに思いを馳せながら、イカスミせんべいを買う。
   大雑把にも巡りつくし、どちらからともなく帰りの遊覧船へと足を向けていると……
   ポツリ。
   やっぱり降ってきた。
   ぱんだ  「すごい……本当にギリギリだ……」
   D氏      「見たか俺様の実力を!ふはははは……は〜ぁ。」
   あまりにもギリギリ過ぎて、さしものD氏にも、鬱が入ってきたようだ。
   D氏      「……俺って、そんなにギリギリなのか?」
   ぱんだ  「そそ、そんなことっ……あるかもしんない。」
   D氏      「うが……」
   慰め下手な、ぱんだであった。

   しかしその後、フラリと入ったJR側のお好み焼き屋さんの味に感動し、そんな会話は忘れられた。駅側の、明らかに観光客相手のお好み焼き屋さんの味が、こんなに美味だとは。広島の人っていいなぁ。
   隣の芝が青く見える。それこそが、旅の恩恵なのであった。