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佐賀 /    意味なく走ってみるのもいい……

行き場を失ったD氏の○田屋腹と、ぱんだの普通の・・・食欲(ちゃんとあるんですよ)は、讃岐うどんで埋められた。
   1杯をほぼ1コインで食べられる、たぶん地元のチェーンであろう店の、思いがけない美味さに感動したぱんだたちは、3日連続夕食が麺であるという事実に、気がつきさえもしなかった。
   箸をおいて時計を見ると、時刻はPM8:00。
   「やばい、時間が……ありすぎる……」
   尋常ならぬ理由で、D氏は焦っていた。
   ぱんだ  「ゆっくりすればいいじゃないの」
   D氏      「そうだな。……走るか……」
   なぜそうなる。
   ぱんだ  「……宿は佐賀でとるんじゃなかったか?」
   D氏      「あぁ。たぶんテンボス付近には、オフィシャル以外の宿はないだろうからな」
   ぱんだ  「そんじゃどこ行くの?」
   D氏      長崎テンボス。」
   なぜそうなる……?
   ぱんだには本気でわからなかった。
   ぱんだ  「じゃぁ、明日泊まるところ(この旅唯一の定宿。オフィシャルホテル)に飛び込んでみる?」
   D氏      「いや、そこは明日のお楽しみにとっておこう」
   ぱんだ  「じゃぁ何しに行くの……」
   D氏      「さぁ……」
   マジで本人にもわからない。D氏の中の「ひとところに留まってはいられない性分」が暴走し始めた。


長崎 /    ……わけあるかぁ!

うどん屋から長崎までは2時間。もはや時間つぶしの枠には収まりきらない距離である。
   ぱんだ  「ないねぇ……」
   一応、暗闇の中、目を凝らしてみるものの、やはり宿は見つからない。
   D氏      「ほ〜ら見ろ。俺様の勘は当たったぁ!」
   喜ぶなっ!
   というより勘はいいとしても、D氏自体がそれを生かす障壁になっているのでは、何の意味もないではないか!
   D氏      「ほら見ろ、あれがハウステンボスだ!」
   ぶぃ〜ん(素通り)。
   D氏      「そしてこれが、俺たちが明日泊まるホテルだ!」
   ぶぃ〜ん(素通り)。
   D氏      「じゃぁ、戻ろうか」
   D氏は車をUターンさせた。
   ぱんだ  「……(この2時間は)一体何だったんだ……」
   D氏      「さぁ?」
   私って寛大だなぁ……と、ぱんだは思った。


佐賀 /    ホテルを探して

「じゃぁ、佐賀にホテルを探しに行こうか」
   「うん」
   やや疲れを感じ始めていたぱんだは、D氏の提案に、素直に頷いた。
   D氏      「…………。佐賀に、さがしに行こうか」
   ぱんだ  「?うん。って、あぁっ!!」
   ぱんだはようやく気がついた。
   ぱんだ  「よりによってまた、ずいぶんベタなネタを……」
   D氏      「テンションさがるよな。」
   ぱんだ  「まったくね……」

   すっかりテンション下がったぱんだたちには、ホテルを見つけることができなかった。
   ビジネスホテルからラブホテル、民宿に至るまで、見かけたところはどこもつぶれている(ように、ぱんだたちには見えた)のだった。
   D氏      「まいった。こいつはマジで見つからないかも……」
   ぱんだとD氏が結構本気で車中泊を考え出した頃、一軒のラブホテルが視界をかすめた。
   ……ぱんだにはラブホテルに対する抵抗感はない。こんな旅を続けていけば、誰だってなくなるというものである。もはや宿でさえあれば、看板は何だっていい……という境地に、とっくの昔に達していた。ただし、建物のスペックは気にする。
   D氏      「一応行ってみるか……」
   ぱんだ  「(建物の様子は)大丈夫そう?」
   建築物の鑑定は、その方面の知識を有する氏に一任していた。
   D氏      「いや、ダメそう。でもま一応……」

   D氏の言うとおり、そのホテルは微妙な外観をしていた。
   というか、どう見ても普通の民家であった。20年前くらいに建てたような、ちょっと(いやかなり)痛んだ普通の平屋のおうち……
   「……本当にここホテル?あっ……」
   訝るぱんだの目の前を、たぶん絶対に祖母であろう人が、ゴミ袋片手に歩いていった。
   「…………」
   ……まぁ家族経営ならばあり得ることよな。仲良きことは美しきかな……
   建前ではそう思いながらも、本音では「できればこういうところのゴミは隠してほしいな……」と思わずにはいられなかった。
   「ご宿泊ですか?」
   「わっ!!」
   いつのまにか車のすぐ横に、割烹着のような作業着のようなたぶん仕事着を着た女の人が、ぴったりと立っていた。
   女の人  「現在満室なのですが、お待ちくださればすぐにご用意いたしますので」
   D氏      「そ、そうですか……。……え〜とこの辺りにはホテルってないんでしょうか?長崎から走ってきたんですが、全然見かけなかったもので……」
   女の人  「そうですねぇこの辺りには、まぁあんまり・・・・ないですねぇ」
   あ、何か隠してる(当たり前)。
   「もうすぐ1部屋空きますから。ネッ(ニコッ)」
   うぅっ。なんという微妙な誘い文句……
   ……別にカマトトぶるつもりはない。そりゃぁラブホなんだから、部屋は回転するだろう。長らく経営していれば、退室のタイミングも読めてくるに違いない。しかしなんというか、リアルすぎる。お願いですから、あまり実情を見せないでください。
   「すぐに掃除も済ませますから。ネッ(ニコォッ)」
   すぐに済ませないで!じっくりやってぇーーー
   「ささっ、どうぞどうぞ奥のほうへ……ネッ(ニコニコォッ)」
   にこやか過ぎてコワい!こんなのラブホじゃねぇーーーーー
   何だかものすごく、回転させる気満々である。
   このホテルには、違う意味で危険な香りがプンプンする。
   ぱんだたちは奥のほうで待つフリをして、こっそりと出口へ向かった……

   ……ら、そこは物置だった。
   D氏      「なにィ……」
   出口の左右をがっちりと、家具?やら大工道具?やら粗大ゴミ?やらが固めている。
   ぱんだ  「なんと生活感に溢れた出口よ……」
   D氏      「…………(呆然)」
   ぱんだ  「ある意味ではアットホームな雰囲気と……
               言えるかぁ!!


   それからたぶん1時間強、ぱんだたちは走り、なんとか宿を見つけた。たしかけっこういい感じのホテルだった。……ような気がする。
   いろいろ断言できないのは、先のホテルのインパクトが強すぎて、この日の宿の記憶が酷く曖昧だからである。
   一応「下ネタは書かない」というポリシーを持っているぱんだが一線を越えた、貴重なネタ資源であった。


  持ち物リスト  


  醤油ラーメンふりかけ(火の山にて)
  黄金芋甘納豆(同上)
  讃岐うどん(腹の中)
  トルコライス(腹の中)
  皿うどん(腹の中)

  食べ物しか買っていないことに、今気づいた。