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ついに、やっと、なんとか目的地到着――
   D氏      「よし!これで新婚旅行も終わったな!!」
   ぱんだ  「え……終わったの?」
   D氏      「ああ、後は帰るだけだ!」
   まだ何もしてないのに……
   D氏にとって、旅とはそこへ辿り着くことであり、新婚旅行とはハウステンボスへ辿り着くことであったのだ。あれほどまでに行きたがっていたハウステンボスも、到着してしまえばなんだかどうでもいいらしい。手段が目的に取って代わっている、顕著過ぎる例である。
   D氏を冷ややかな目で見つめながら、しかしぱんだも思っていた。「この順調さをもってすれば、帰りもちゃんと帰れるだろう。確かに終わったと言えるかもしれないな……」――D氏と共に旅してきた者の辿り着く、いじましい末路である。
   目的を果たしてスッキリサワヤカ。晴れ晴れとした虚しさなども感じつつ、ぱんだとD氏は軽快な足取りで、あらかじめ予約を入れておいた、ハウステンボスのオフィシャルホテルへと向かうのだった。


長崎 /    初めてのオフィシャルホテル

あぁ、朝からホテルにチェックインするなんて、何百日ぶりだろう……今夜は宿探しをしなくてもいいのね!!(喜)
   感涙にむせぶ心と、ボストンバッグ2つ、お菓子の詰まったトートバッグにパソコンバッグ、さらに大小様々な土産物袋を持って、ぱんだとD氏はフロント前に立っていた。
   その大荷物に一瞥をくれたフロントのおにーさんは、先頭駄者であるD氏ににこやかに対応した。
   お1人様ですか?
   ぱんだは透明人間かよっ!
   なぜ……なぜこの黒と白の人間を認めてくれない……そんなにぱんだはお荷物に見えるのだろうか?
   「2名様」と記入されたPOSの予約画面を見ながらの彼の言葉の真意は、最後まで謎に包まれたまま、ぱんだたちは1名分の宿泊費をボッタクることなく、ちゃんと「2名様」でチェックインした。


ハウステンボス /    入場

蔦の絡まる煉瓦造りの建物。咲き誇るパンジー。グリーンで作られたテディベアのオブジェ。
   ハウステンボスの入り口は、大変美しかった。
   平日のせいか人もまばらで、いい具合に古ぼけた石畳と相まって、実に優しい空気が流れる。
   そんなまったりとした雰囲気の中、ぱんだたちは日本人の性で、さっそく写真を撮った。

   背中の向こうにテディがいる。

   うーん。人もいなくてイイ感じ。
   特に狙いすまして撮ったわけではないのに、まるで貸切のようだ。
   ちょっぴりリッチな気分で、ぱんだとD氏は歩き出した。


ハウステンボス /    内情

ゆったりと回る風車。咲き誇るパンジー。
   ハウステンボスの田園は、大変美しかった。
   パンジーの世話をしているおばさま方が、いまいちテーマパークに似つかわしくない作業服を着ていたことには、目を瞑ろう。それが、大人の楽しみ方というものだ。
   同様に、世界のテディが所狭しと並んでいるテディベアキングダムの入り口で、作業服姿のおじさま方がなにやら配線工事らしきことをしていたことにも目を瞑る。今日のぱんだは、ウィンクの練習に余念がない。
   のんびりと歩を進めていくと、運河にさしかかった。運河にかかる橋は、これまで歩いてきた田園とこの先広がる街並みとの境界でもある。
   ぱんだたちは日本人の性で、またもや写真を撮った。

   背中の向こうが涼しい。

   うーん。ここも人がいなくてイイ感じ。
   この場所は決して辺境ではなく、名をシティゲートという、先へ進もうと思ったら必ず通らねばならない橋なのに、まるで貸切のようだ。
   ほんのり優雅な気分で、ぱんだとD氏は橋を渡った。


ハウステンボス /    貸切はつらいよ

100年の伝統を誇るホテル(模造)。17世紀オランダの街並み。緑あふれるガーデン。クラシックカー。
   ハウステンボスの街並みは、大変美しかった。
   クリスマスイベントの1つ、サンタクロースと共に乗る馬車体験が、午前10時にすでに終了していることも、気にならない。……わけもない(ハウステンボスは9時開園。どないせぇっちゅ〜んじゃ)。
   ぱんだたちは日本人の性で、写真を撮り続けた。

   背中の向こうに誰もいない……
   やっぱり誰もいない……
   港にも誰もいない……
   誰もいない……
   誰も……
   ……
   うーん。どこも人がいなくて、これでイイのかって感じ。
   これらの場所は絶ッ対に辺境なんかではなく、ハウステンボスの中心部のはずなのに、依然として貸切のようだ。
   三脚を持ってきて本当に良かった。そんな思いをしみじみと噛みしめながら、ぱんだとD氏は探索を開始した。

   各ガイドブックでイチオシのアミューズメント、ホライゾンアドベンチャー。実際に起こったオランダの大洪水を体験することができる……らしい。断定することができないのは、メンテナンスのため休館していたからだ。
   ハウステンボス自身が最もウリにしている、展望バルーンルフティー。地上120メートルの空中で楽しむ、ハウステンボスの街並みや大村湾の360度の大パノラマは、まさに圧巻!!……なんじゃないかな〜。想像の枠を出ないのは、なぜか知らんが休止していたからだ。
   ハウステンボスの歴史を展示したテーマリウム。ハウステンボスの創設には、並々ならぬ努力があった……のかもしれない。推測で物を言わざるをえないのは、理由もなく休館していたからだ。
   やる気あんのか、こらぁ!
   いや、失敬。やる気はあっても力が伴わないんですのよね、のほほほほ(毒舌)。
   あぁ、ヨーロッパの街並みが泣いている……
   経営って、大変だよね。一筋縄ではいかないよね。でもハウステンボスおまえには、素質がある。がんばれよ。
   そんな優しい気持ちで、ぱんだたちは枯れ葉のがさごそ・・・・する石畳を踏みしめた。